溜息だって吐きたくなるわっ!〜100賢人仕込みの龍姫は万年反抗期〜

ぽん

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その後のあれこれ

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 サツキ・ミーナの母であるカラ妃は剣術を得意とするイースタン国の姫であった。

 故に祖国から連れてきた護衛から侍女達に至るまでが武術に優れていた。
 サツキ・ミーナも幼少期から自然と剣術に精を出したのは当然だった。

 それは成人を迎えても変わる事なく、皇帝位や継承権、それに叔父ディミトリオ・ハクヤの不幸などにも目を向ける事もなかった。

 彼女の人生が変わったのは“龍王島”から龍の姫巫女が来た時だった。

 あれよあれよと、長兄ジャンヴィエ・リーンがクーデターを起こし、サツキ・ミーナも母と立ち向かった。
 死を覚悟しても無事に事を乗り切ったが、彼女の母が皇帝から貰った離宮は燃えてしまい住む場所は後宮の一室に移された。

 混乱の中にファヴィリエ・ルカが皇帝となると、サツキ・ミーナは母と共に母の故郷イースタン国へと送られた。

 帝国民の血税を湯水の如く使った事で新たな皇帝の怒りを買ったとの事だったが、サツキ・ミーナには何がいけないのか分からなかった。
 剣術しか鍛錬してこなかった彼女は周囲が見えていなかったのだ。

 それどころか、若き皇帝の判断に怒り狂う母を他所に、サツキ・ミーナは剣術に長けたイースタン国に行く事にワクワクしていた。

 イースタン国に迎え入れられたサツキ・ミーナは姫として持ち上げられてきたロンサンティエ帝国の毎日とは全く違う日々を送る事となった。

 母方の祖父であるイースタン国王は、サツキ・ミーナを同盟国からの修行者として扱い、同世代の若者達の中に放り込み切磋琢磨させた。
 その中には貴族だけでなく、優秀な平民も多くいた。
 
 サツキ・ミーナは仲間と過ごす事で初めて平民の厳しい生活を知った。
 何故、自分達が帝国民の血税を必要以上に使う事で罰せられたのか気付かされたのだ。

 知ろうとしていなかった。

 それこそが罪なのだと彼女は分かった。

 彼女は毎日のように仲間達と汗水流した。
 そして、自分が突出して優秀でない事も知った。
 
「兄様。
 我らはたまたま皇帝の子として産まれたにすぎない。
 そして神は我らから皇帝の子としての立場を奪った。
 そこには逃げる事の出来ないが運命がある。
 運命に導かれた先で何をするのか、それが私達人間にできる事だ。」

「・・・黙れ。
 たまたまだろうと、運命は私を皇帝の子とした。
 正当な子だ!
 今、あそこに座っているのはたまたま龍の姫巫女に気に入られた男だろう。
 だったら、私でも良いじゃないか!!」

 悔しさで涙を流すマルト・ジュンにサツキ・ミーナは首を横に振った。

「運命は皇帝ファヴィリエ・ルカ陛下を選んだ。
 残念ながら、これに関しては、たまたま選ばれた訳ではないのだろう。」

 ファヴィリエ・ルカが初代王フランコ・トワの生まれ変わりと知らないサツキ・ミーナでも、己の中で答えを出していた。

「愚かにも私の母はイースタンの城の一室で、己が運命を呪い、皇帝ファヴィリエ・ルカ陛下への恨み節を吐く事で一日を終える日々を送っていた。
 だが、私は聞きたい。
 そんな人間の話を誰が聞いてくれる? 
 手を差し伸べてくれるのだ?
 1人で殻に籠る母は、見るも悲しい御姿をしていた。
 兄様はどうだ?」

 妹にそう言われたマルト・ジュンは顔を背けて地面に視線を向けた。

「兄様。
 私は思うのだ。
 我らをロンサンティエ帝国から離れさせたのは、皇帝陛下・・・いや、ルカ兄様の優しさだったのではないかと。」

「優しさ?」

 そんな事を一欠片も思ってなかったマルト・ジュンは妹に顔を向けた。
 すると、サツキ・ミーナは情けない顔で笑っていた。



 

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