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10月25日
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「おはよー凪沙」
「おはよう凪沙さん」
公園の広場で体を伸ばして待っていると、あくびをしながら学校のジャージ姿でちさきちゃんはやってきた。隣の亜紀ちゃんは動きやすそうなラフな格好をしている。
「2人ともおはよー来てくれてありがとう」
今日は週明けに迫った球技大会の最後の練習のため公園にみんなを呼んだ。
来てくれるのはちさきちゃん亜紀ちゃん山野さんの3人。寺田さんと杉本さんは用事があって来られないと連絡が来ていた。
「朝早くない?」
「そうかな?学校よりは遅いよ?」
「休みの日は昼まで寝るのが常識でしょ」
「ちさき、そんな常識ないよ」
ちさきちゃんは眠そうにしながら体を伸ばし始めた。
「ちさきちゃんは昨日亜紀ちゃんと一緒にいたの?」
昨日バレーの練習をしようと3人のグループメッセージに送ったつもりだったメッセージを間違えてちさきちゃんだけに送ってしまって、すぐにちさきちゃんが気づいて返信してきて何故か『間違えるタイミング間違えるな』と謎に怒られてしまった。
「あー…亜紀の家で宿題してたからね」
「そうなんだ。それでそのままお泊まり?」
「え?」
「だって学校のジャージで来てるし」
「まぁ、亜紀の家にはよく泊まったりしてるからな」
相変わらず仲良しだ。そんな仲良しな2人と体を伸ばして準備運動をしていると、公園の入り口から小走りで山野さんがボールを片手にやってきた。
「遅れてしまって申し訳ない!」
「まだ約束の時間前だから全然大丈夫だよー」
「最近は休みの日はお昼まで寝てるのが常識になってしまっていて、ついつい夜更かしをしてしまって…」
「やっぱ休みの日はお昼まで寝るのが常識だよね!!イテッ」
ちさきちゃんが口元をニヤっとさせながら亜紀ちゃんに詰め寄って、亜紀ちゃんにチョップをくらっていた。やっぱり仲良し。
「山野さんもボールありがとうね」
「いえいえ、中学の時に使ってたボールがこうやって天城さんの役に立てるなんてありがたい限りです!!」
練習をしようと思って山野さんにボールを持っていないか聞いてみたら、流石元バレー部。ちゃんと持っていた。なかったら今日の練習できなかったかもしれない。
「それじゃあ、練習始めよっか」
山野さんの号令で4人で輪になってパス練習をしていく。高く上げてパスを繋げていく円陣パスは長く続けば続くほど楽しく盛り上がっていく。
「凪沙。今年の球技大会はやけに気合入ってんね」
ちさきちゃんが高くレシーブをして私にボールをパスしてくる。
「え?そうかな?去年の球技大会だって結構練習したよ?」
ボールをトスして亜紀ちゃんに回す。それを亜紀ちゃんがスパイクして山野さんがレシーブをしてちさきちゃんが高くトスを上げた。
「去年は休みの日まで練習しなかったでしょ?」
「んー。今年はみんなで勝ちたいなーって思って?」
「何で疑問系なんだよ」
私も高くトスして今度は山野さんにパスをした。トスしたボールを山野さんがスパイクを打って亜紀ちゃんがレシーブをしてボールを高く上げた。
山野さんも会話に参加してくる。
「私も優勝は難しくても天城さんと勝ちにいきたいです!」
山野さんの頼もしい表情に嬉しくなった。
ボールはちさきちゃんがトスをして高く上げた。
「山野さん!頑張ろうね!!」
「はい!!」
山野さんと私はしっかりと目を合わせて拳を突き上げた。
「涼さんも今年はすごくやる気があるように見えた」
ずっと静かに円陣パスをしていた亜紀ちゃんが急にここで口を開いた。
ちさきちゃんが上げたボールをまた亜紀ちゃんがスパイクして山野さんがレシーブをする。
何でここで涼ちゃんの名前を出しちゃったの!?
「あ、なるほど。悠木涼関係か…」
え!?何でちさきちゃんはそこで納得したの!?何がわかったの!?
高めに上がったボールをちさきちゃんが片手で軽く打って私の方にボールをパスしてきた。
予想外の方向とスピードに乗ったボールを慌てて片手を伸ばして取ろうとしたけど指に当たったボールは地面に落ちてしまった。
「っ!!!」
「ごめん、凪沙」
「ううん。大丈夫だよ」
――少し指に違和感があった。
「いくよー」
ボールを拾って亜紀ちゃんに向かってトスを上げた。
――痛みがあった。
亜紀ちゃんは私が上げたトスをスパイクで打って山野さんがレシーブで取る。ボールはちさきちゃんの方へ飛んでいき、ちさきちゃんもレシーブして私に戻してきた。
そのボールを私は山野さんに向けてトスを上げた。
――さっきより痛く感じた。
一時間半ほどの練習をして解散することになった。円陣パス以外にも山野さんがトスを上げる時のコツやスパイクを打つ時のコツなど色々話してくれてA組が勝てるように熱心に教えてくれてとても嬉しかった。
「今日は来てくれてありがとう!」
「凪沙。明日はどうする?今日みたく練習するか?」
「えーっと、明日は球技大会前日だからゆっくり休んで、万全な状態で球技大会に挑もう!!」
「そっか。じゃあ、また月曜日に」
「絶対勝ちましょうね!天城さん!!」
「頑張ろうね!山野さん」
帰っていく3人に手を振って見送った。
――指が腫れてきていた。
私は机に向かって勉強を始める。
球技大会は明後日の月曜日に迫っていた。
涼ちゃんと一緒に頑張ろうと約束をした。
みんなと朝練に参加していっぱい練習をした。
今日は休みの日だけど、みんなに連絡をして集まってバレーの練習をした。
みんなで勝つぞーといって拳を上げた。
――左手には湿布が巻かれていた。
「おはよう凪沙さん」
公園の広場で体を伸ばして待っていると、あくびをしながら学校のジャージ姿でちさきちゃんはやってきた。隣の亜紀ちゃんは動きやすそうなラフな格好をしている。
「2人ともおはよー来てくれてありがとう」
今日は週明けに迫った球技大会の最後の練習のため公園にみんなを呼んだ。
来てくれるのはちさきちゃん亜紀ちゃん山野さんの3人。寺田さんと杉本さんは用事があって来られないと連絡が来ていた。
「朝早くない?」
「そうかな?学校よりは遅いよ?」
「休みの日は昼まで寝るのが常識でしょ」
「ちさき、そんな常識ないよ」
ちさきちゃんは眠そうにしながら体を伸ばし始めた。
「ちさきちゃんは昨日亜紀ちゃんと一緒にいたの?」
昨日バレーの練習をしようと3人のグループメッセージに送ったつもりだったメッセージを間違えてちさきちゃんだけに送ってしまって、すぐにちさきちゃんが気づいて返信してきて何故か『間違えるタイミング間違えるな』と謎に怒られてしまった。
「あー…亜紀の家で宿題してたからね」
「そうなんだ。それでそのままお泊まり?」
「え?」
「だって学校のジャージで来てるし」
「まぁ、亜紀の家にはよく泊まったりしてるからな」
相変わらず仲良しだ。そんな仲良しな2人と体を伸ばして準備運動をしていると、公園の入り口から小走りで山野さんがボールを片手にやってきた。
「遅れてしまって申し訳ない!」
「まだ約束の時間前だから全然大丈夫だよー」
「最近は休みの日はお昼まで寝てるのが常識になってしまっていて、ついつい夜更かしをしてしまって…」
「やっぱ休みの日はお昼まで寝るのが常識だよね!!イテッ」
ちさきちゃんが口元をニヤっとさせながら亜紀ちゃんに詰め寄って、亜紀ちゃんにチョップをくらっていた。やっぱり仲良し。
「山野さんもボールありがとうね」
「いえいえ、中学の時に使ってたボールがこうやって天城さんの役に立てるなんてありがたい限りです!!」
練習をしようと思って山野さんにボールを持っていないか聞いてみたら、流石元バレー部。ちゃんと持っていた。なかったら今日の練習できなかったかもしれない。
「それじゃあ、練習始めよっか」
山野さんの号令で4人で輪になってパス練習をしていく。高く上げてパスを繋げていく円陣パスは長く続けば続くほど楽しく盛り上がっていく。
「凪沙。今年の球技大会はやけに気合入ってんね」
ちさきちゃんが高くレシーブをして私にボールをパスしてくる。
「え?そうかな?去年の球技大会だって結構練習したよ?」
ボールをトスして亜紀ちゃんに回す。それを亜紀ちゃんがスパイクして山野さんがレシーブをしてちさきちゃんが高くトスを上げた。
「去年は休みの日まで練習しなかったでしょ?」
「んー。今年はみんなで勝ちたいなーって思って?」
「何で疑問系なんだよ」
私も高くトスして今度は山野さんにパスをした。トスしたボールを山野さんがスパイクを打って亜紀ちゃんがレシーブをしてボールを高く上げた。
山野さんも会話に参加してくる。
「私も優勝は難しくても天城さんと勝ちにいきたいです!」
山野さんの頼もしい表情に嬉しくなった。
ボールはちさきちゃんがトスをして高く上げた。
「山野さん!頑張ろうね!!」
「はい!!」
山野さんと私はしっかりと目を合わせて拳を突き上げた。
「涼さんも今年はすごくやる気があるように見えた」
ずっと静かに円陣パスをしていた亜紀ちゃんが急にここで口を開いた。
ちさきちゃんが上げたボールをまた亜紀ちゃんがスパイクして山野さんがレシーブをする。
何でここで涼ちゃんの名前を出しちゃったの!?
「あ、なるほど。悠木涼関係か…」
え!?何でちさきちゃんはそこで納得したの!?何がわかったの!?
高めに上がったボールをちさきちゃんが片手で軽く打って私の方にボールをパスしてきた。
予想外の方向とスピードに乗ったボールを慌てて片手を伸ばして取ろうとしたけど指に当たったボールは地面に落ちてしまった。
「っ!!!」
「ごめん、凪沙」
「ううん。大丈夫だよ」
――少し指に違和感があった。
「いくよー」
ボールを拾って亜紀ちゃんに向かってトスを上げた。
――痛みがあった。
亜紀ちゃんは私が上げたトスをスパイクで打って山野さんがレシーブで取る。ボールはちさきちゃんの方へ飛んでいき、ちさきちゃんもレシーブして私に戻してきた。
そのボールを私は山野さんに向けてトスを上げた。
――さっきより痛く感じた。
一時間半ほどの練習をして解散することになった。円陣パス以外にも山野さんがトスを上げる時のコツやスパイクを打つ時のコツなど色々話してくれてA組が勝てるように熱心に教えてくれてとても嬉しかった。
「今日は来てくれてありがとう!」
「凪沙。明日はどうする?今日みたく練習するか?」
「えーっと、明日は球技大会前日だからゆっくり休んで、万全な状態で球技大会に挑もう!!」
「そっか。じゃあ、また月曜日に」
「絶対勝ちましょうね!天城さん!!」
「頑張ろうね!山野さん」
帰っていく3人に手を振って見送った。
――指が腫れてきていた。
私は机に向かって勉強を始める。
球技大会は明後日の月曜日に迫っていた。
涼ちゃんと一緒に頑張ろうと約束をした。
みんなと朝練に参加していっぱい練習をした。
今日は休みの日だけど、みんなに連絡をして集まってバレーの練習をした。
みんなで勝つぞーといって拳を上げた。
――左手には湿布が巻かれていた。
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