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1月1日 Side涼14
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凪沙の肌をゆっくりと滑らせるように上から下に向かって撫でていく。
「ん………は……ぁ」
小さく声を漏らす凪沙の瞳は潤んでぼんやりとしている。
背骨の線を辿るようにゆっくりと手を動かしていく。凪沙の肌は熱を帯びて少し赤みがあるように見える。
わかっていた。汗をかいたから着替えたいという凪沙が、パジャマを脱いでタオルを手にし、私にお願いをしてくるということは背中を拭いてくれという事。
私は時折漏れる凪沙の声と下着しか身につけていない、彼女を見ながら私の中の理性という理性をかき集めて、任務を遂行している。
凪沙の背中を眺めながらタオルで優しく拭いていく。
「はい。凪沙終わったよ」
体調を崩しているのだからできるだけ早く終わらせて、早く服を着た方が良いだろう。
凪沙が私に振り返って潤んだ瞳で私を見つめた。
「んっ!!」
振り返ってきた凪沙の胸元にはうっすらとまだキスマークの痕が残っていた。自分でつけたとはいえ、こんな痕をつけた彼女を正面から見つめるのは流石に理性が崩壊しそうだ。
「あ、あの……凪沙。流石に前は自分で拭いてね?」
「……うん」
手渡そうとしたタオルが凪沙の手から滑り落ちていく。それを追うように凪沙も倒れていくのを感じて咄嗟に抱き止めた。
「大丈夫?」
「………うん」
理性がとか言ってる場合じゃなかった。凪沙は力なく私に寄りかかってきていて、熱であまり思考が働いていない様子だった。凪沙をベッドに寝かせて、私は目を瞑って素早くタオルで身体を拭いた。
着替えのパジャマはクローゼットに置いてある衣装ケースに収納されていて、すぐに見つけることができた。
なんとかパジャマを着させると、目を閉じた凪沙は汗を拭いて少しスッキリしたのかすぅすぅと寝息を立て始めた。
「もっと早く気づいてあげればよかった……」
こんなに辛い中、なんとか“ごめん“というメールを送ってきてくれたのだろう。
額に張り付いた前髪を指で撫でた。
謝るようなことでもないのに……私に風邪をうつしたくないからと、この家に1人で辛い思いをしていたのだと思うと悲しくなってくる。もっと私のことを頼って良いのに……私はあなたの彼女なのに……
1人でがんばろうとしないで……
凪沙の額に唇を押し付ける。熱い……
何か冷やすものを持ってこようと離れようとすると、凪沙の手が私の手を掴んだ。
「冷たい。気持ちいい……」
目を閉じたまま手を頬に寄せて呟いた。
私はあいているもう片方の手で頭を抱えた。
どうして熱に浮かされながらも私のことを揺さぶってくるんだ。
凪沙の頬を優しく撫でると口元が微笑んだ。凪沙の耳元に唇を寄せて囁く。
「風邪が治ったら凪沙の事抱かせて……」
これ以上は理性が持ちそうにないから、私は凪沙を起こさないように部屋から退散した。
キッチンの前に立ち私は別の意味で頭を抱えた。
私はほとんど料理というものをしたことがなかった。当然“おかゆ“という存在を錬成させる事もできない。しかも初めて来た凪沙の家のキッチンだ。調味料の場所も材料の場所もわからない。
人様の家を色々と物色するようなことはなんとなくよくない気がしてどうしたもんか、と私はしばらくキッチンを眺めていた。
買い物に行って材料を一から揃えるという手段もある。それか“おかゆ“というレトルト食品を買ってくるこという手段もある。
しかし、凪沙が開けてくれた玄関の鍵の場所がわからない。開けたまま凪沙を1人置いていくことも嫌だった。
こういう時は東雲か高坂にでも連絡して食材を買ってきてもらうか?と思ったが、そういえば凪沙の幼馴染の龍皇子さんなら凪沙のキッチン事情に詳しいのでは?と思いたち、すぐさま電話をかけた。
『はい。龍皇子です』
「龍皇子さん?あの悠木です」
『あけましておめでとうございます』
「あ、あけましておめでとう」
『年明け早々にどうなさったんですか?』
「えっと、龍皇子さんって凪沙の家に来たことある?」
『えぇ。昔からよく行かせてもらっていますね』
「なら、凪沙の家のキッチンとかも詳しい?」
『それはそこまで詳しくはないですが、何回か立ち入らせていただいたことはあります』
「じゃあ!おかゆの材料の場所わかる?」
『おかゆ?………それは凪沙様が体調を崩しているということですか?』
「そ、そうなんだけど……」
『っ!!凪沙様は病院へ行かれましたか?』
「行ってないみたい。年末年始だから病院もやってないみたいで……」
しばらく龍皇子さんからの返事が途切れた。
『申し訳ないのですが、今日はどうしてもそちらに向かうことができなくて……』
「それはいいんだけど、おかゆの材料………」
『私は行けないのですがお医者様の手配をさせていただきましたので安心してください。それとおかゆでしたらこちらで用意させていただきます』
「え!?」
龍皇子さんは通話中にもかかわらず、お医者さんとおかゆの両方を手配してくれた。凪沙のことになると行動力が半端ない……
『凪沙様の家に着くまで少々お待ちください。悠木さんは凪沙様のおそばにいてあげてください。それは私にはできない役目ですから』
「あ、ありがとう。龍皇子さん」
とてもありがたいけれども……何もできない私が少し惨めに感じる。
「ん………は……ぁ」
小さく声を漏らす凪沙の瞳は潤んでぼんやりとしている。
背骨の線を辿るようにゆっくりと手を動かしていく。凪沙の肌は熱を帯びて少し赤みがあるように見える。
わかっていた。汗をかいたから着替えたいという凪沙が、パジャマを脱いでタオルを手にし、私にお願いをしてくるということは背中を拭いてくれという事。
私は時折漏れる凪沙の声と下着しか身につけていない、彼女を見ながら私の中の理性という理性をかき集めて、任務を遂行している。
凪沙の背中を眺めながらタオルで優しく拭いていく。
「はい。凪沙終わったよ」
体調を崩しているのだからできるだけ早く終わらせて、早く服を着た方が良いだろう。
凪沙が私に振り返って潤んだ瞳で私を見つめた。
「んっ!!」
振り返ってきた凪沙の胸元にはうっすらとまだキスマークの痕が残っていた。自分でつけたとはいえ、こんな痕をつけた彼女を正面から見つめるのは流石に理性が崩壊しそうだ。
「あ、あの……凪沙。流石に前は自分で拭いてね?」
「……うん」
手渡そうとしたタオルが凪沙の手から滑り落ちていく。それを追うように凪沙も倒れていくのを感じて咄嗟に抱き止めた。
「大丈夫?」
「………うん」
理性がとか言ってる場合じゃなかった。凪沙は力なく私に寄りかかってきていて、熱であまり思考が働いていない様子だった。凪沙をベッドに寝かせて、私は目を瞑って素早くタオルで身体を拭いた。
着替えのパジャマはクローゼットに置いてある衣装ケースに収納されていて、すぐに見つけることができた。
なんとかパジャマを着させると、目を閉じた凪沙は汗を拭いて少しスッキリしたのかすぅすぅと寝息を立て始めた。
「もっと早く気づいてあげればよかった……」
こんなに辛い中、なんとか“ごめん“というメールを送ってきてくれたのだろう。
額に張り付いた前髪を指で撫でた。
謝るようなことでもないのに……私に風邪をうつしたくないからと、この家に1人で辛い思いをしていたのだと思うと悲しくなってくる。もっと私のことを頼って良いのに……私はあなたの彼女なのに……
1人でがんばろうとしないで……
凪沙の額に唇を押し付ける。熱い……
何か冷やすものを持ってこようと離れようとすると、凪沙の手が私の手を掴んだ。
「冷たい。気持ちいい……」
目を閉じたまま手を頬に寄せて呟いた。
私はあいているもう片方の手で頭を抱えた。
どうして熱に浮かされながらも私のことを揺さぶってくるんだ。
凪沙の頬を優しく撫でると口元が微笑んだ。凪沙の耳元に唇を寄せて囁く。
「風邪が治ったら凪沙の事抱かせて……」
これ以上は理性が持ちそうにないから、私は凪沙を起こさないように部屋から退散した。
キッチンの前に立ち私は別の意味で頭を抱えた。
私はほとんど料理というものをしたことがなかった。当然“おかゆ“という存在を錬成させる事もできない。しかも初めて来た凪沙の家のキッチンだ。調味料の場所も材料の場所もわからない。
人様の家を色々と物色するようなことはなんとなくよくない気がしてどうしたもんか、と私はしばらくキッチンを眺めていた。
買い物に行って材料を一から揃えるという手段もある。それか“おかゆ“というレトルト食品を買ってくるこという手段もある。
しかし、凪沙が開けてくれた玄関の鍵の場所がわからない。開けたまま凪沙を1人置いていくことも嫌だった。
こういう時は東雲か高坂にでも連絡して食材を買ってきてもらうか?と思ったが、そういえば凪沙の幼馴染の龍皇子さんなら凪沙のキッチン事情に詳しいのでは?と思いたち、すぐさま電話をかけた。
『はい。龍皇子です』
「龍皇子さん?あの悠木です」
『あけましておめでとうございます』
「あ、あけましておめでとう」
『年明け早々にどうなさったんですか?』
「えっと、龍皇子さんって凪沙の家に来たことある?」
『えぇ。昔からよく行かせてもらっていますね』
「なら、凪沙の家のキッチンとかも詳しい?」
『それはそこまで詳しくはないですが、何回か立ち入らせていただいたことはあります』
「じゃあ!おかゆの材料の場所わかる?」
『おかゆ?………それは凪沙様が体調を崩しているということですか?』
「そ、そうなんだけど……」
『っ!!凪沙様は病院へ行かれましたか?』
「行ってないみたい。年末年始だから病院もやってないみたいで……」
しばらく龍皇子さんからの返事が途切れた。
『申し訳ないのですが、今日はどうしてもそちらに向かうことができなくて……』
「それはいいんだけど、おかゆの材料………」
『私は行けないのですがお医者様の手配をさせていただきましたので安心してください。それとおかゆでしたらこちらで用意させていただきます』
「え!?」
龍皇子さんは通話中にもかかわらず、お医者さんとおかゆの両方を手配してくれた。凪沙のことになると行動力が半端ない……
『凪沙様の家に着くまで少々お待ちください。悠木さんは凪沙様のおそばにいてあげてください。それは私にはできない役目ですから』
「あ、ありがとう。龍皇子さん」
とてもありがたいけれども……何もできない私が少し惨めに感じる。
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