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1月5日 Side涼15
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「はぁ……冬休み短くない?」
結が窓際に肘をついてやる気のなさそうな声で呟く。
始業式が終わり、HRが始まるまで教室で待機している。午後から普通に授業があるので休み明けから憂鬱な気分だった。
「短い。もう少し長かったら良かったのに」
私も同意見だ。あまりにも短い冬休みのせいで、凪沙の風邪は治りきらなかったし。初詣は凪沙と2人で行ったがまた悪化したら大変だからという事で早めに解散をした。
せっかくの大型連休、凪沙ともっと一緒にいたかったなぁ。学校は学校で毎日凪沙に会えるし、凪沙のお弁当が食べれるから嬉しいけど、クラスが違うから授業中は凪沙といられないのはやっぱり寂しく感じる。
はぁ――
気づけば勝手にため息が漏れていた。
「あ、凪沙ちゃんだ」
「え?」
グテっと窓の外を眺めていた結が顔を上げた。
私もつられて外を見ると、凪沙が男子生徒と楽しそうに校舎裏の方へ歩いている。
「校舎裏に向かってるね?」
「………うん」
「告白かな?」
「えっ!?!?告白?」
「校舎裏って告白スポットだし」
楽しそうに会話しながら歩いている2人を見ると、男子生徒は頬を染めながら照れたような笑いをしている。どう見ても凪沙に好意があるような態度だ。
「わ、私行ってくる!!」
「ちょっと!待ってよ」
いても立ってもいられなくて、動き出そうとしたら結に腕を掴まれた。
「告白されても、断るんだから大丈夫だって」
「で、でも……何かあったら……無理やり付き合えとか言われたりだとか」
「大丈夫だよ。見て?」
結が下を指差した。
凪沙達が歩いて行った後、高坂と東雲が同じ方向へ歩いて向かっていた。離れて歩いているのは何かあった場合だけ出ていけるようにしているんだろう。
「凪沙と同じクラスならついていけたのに……いや、誰も凪沙に近寄らせないし、告白もさせない」
「涼くん……」
結が私の顔を見て口の端を引き攣らせている。
「重いよ?」
「え?」
「わかるよ?凪沙ちゃんは可愛いし、美人さんだから色んな人が好意を寄せちゃうだろうけど、それをずっと番犬みたいに周りの人にガルルって威嚇してるなんて独占欲強すぎだよ」
結はガルルと私に威嚇ポーズをしながらバシっと私の肩を軽く攻撃してきた。
「だって、不安じゃん。凪沙は可愛いし綺麗だし美人だし優しいし料理も上手だし髪はふわふわだし良い匂いするし凪沙の瞳って色素薄くて茶色っぽいんだけどそれに見つめられたら誰だってイチコロだと思うし――」
「え?え?何?急な惚気??私、惚気聞かされてるの?」
「とにかく!誰かに取られちゃうのが不安だし、いつも……私ばっかり嫉妬してる気がする」
「涼くんの嫉妬すごいもんねぇ」
遠い目をして結がいつかの記憶を思い出している。いつのかは知らないけど……
窓際に寄りかかり下を覗くが、校舎裏に行ったのか今は人の気配はなかった。
「凪沙って嫉妬とかしないのかな……」
「ん?凪沙ちゃんって嫉妬しないの?」
「嫉妬とかヤキモチとかそういうのない気がする」
「さすが凪沙ちゃんだね余裕があるって感じかな?」
私がこんなに独占欲、嫉妬、ヤキモチで毎日振り回されているっていうのに、凪沙はそういうのが一切ないのはちょっと寂しい。
「凪沙にヤキモチ妬かせたい」
「え!?別にわざわざ妬かせる事ないんじゃないの?」
「ヤキモチ妬くって事はそれだけ私の事好きって事だよね?」
「それはそうかもしれないけど……」
色んな女の子と歩いている私を見て凪沙はどう思うかな?妬いてくれたりするかな?男の子でもいいかも、仲の良いところを見せつけたりしたら、きっと……
校舎裏の方から人影が現れる。
あ、凪沙だ。
ペコペコと頭を下げる男子生徒と楽しそうに笑いながら戻ってくる。
「なんで……告白断ってるよね?」
「告白じゃなかったのかもしれないね?」
でも、男子生徒は絶対に凪沙に好意がある。照れたような笑いと真っ赤に染まった顔。どう見ても凪沙のことが好きで校舎裏に行き、告白をしたんだと思うんだけど、それが何故2人で戻ってきているんだろう。
男子生徒は凪沙に手を差し出した。
「な、凪沙!!」
凪沙の手がその男子生徒に触れそうな時、思わず声を上げてしまった。手を繋ごうとした?
キョロキョロとあたりを見渡して、凪沙は顔を上げた。
「涼ちゃん」
笑顔で手を振ってくる。隣にいる男子生徒は突然声をかけられたことに驚いているのか、私の方を見て口がぽかんと開いている。
凪沙に手を振り返していると隣にいる結が小声で「すぐ独占欲出るんだから」と呆れたように呟いていた。
結だって凪沙のこと好きなはずなのに……
「このくらいは普通だと思うけど……」
私は小さく言い返した。
結が窓際に肘をついてやる気のなさそうな声で呟く。
始業式が終わり、HRが始まるまで教室で待機している。午後から普通に授業があるので休み明けから憂鬱な気分だった。
「短い。もう少し長かったら良かったのに」
私も同意見だ。あまりにも短い冬休みのせいで、凪沙の風邪は治りきらなかったし。初詣は凪沙と2人で行ったがまた悪化したら大変だからという事で早めに解散をした。
せっかくの大型連休、凪沙ともっと一緒にいたかったなぁ。学校は学校で毎日凪沙に会えるし、凪沙のお弁当が食べれるから嬉しいけど、クラスが違うから授業中は凪沙といられないのはやっぱり寂しく感じる。
はぁ――
気づけば勝手にため息が漏れていた。
「あ、凪沙ちゃんだ」
「え?」
グテっと窓の外を眺めていた結が顔を上げた。
私もつられて外を見ると、凪沙が男子生徒と楽しそうに校舎裏の方へ歩いている。
「校舎裏に向かってるね?」
「………うん」
「告白かな?」
「えっ!?!?告白?」
「校舎裏って告白スポットだし」
楽しそうに会話しながら歩いている2人を見ると、男子生徒は頬を染めながら照れたような笑いをしている。どう見ても凪沙に好意があるような態度だ。
「わ、私行ってくる!!」
「ちょっと!待ってよ」
いても立ってもいられなくて、動き出そうとしたら結に腕を掴まれた。
「告白されても、断るんだから大丈夫だって」
「で、でも……何かあったら……無理やり付き合えとか言われたりだとか」
「大丈夫だよ。見て?」
結が下を指差した。
凪沙達が歩いて行った後、高坂と東雲が同じ方向へ歩いて向かっていた。離れて歩いているのは何かあった場合だけ出ていけるようにしているんだろう。
「凪沙と同じクラスならついていけたのに……いや、誰も凪沙に近寄らせないし、告白もさせない」
「涼くん……」
結が私の顔を見て口の端を引き攣らせている。
「重いよ?」
「え?」
「わかるよ?凪沙ちゃんは可愛いし、美人さんだから色んな人が好意を寄せちゃうだろうけど、それをずっと番犬みたいに周りの人にガルルって威嚇してるなんて独占欲強すぎだよ」
結はガルルと私に威嚇ポーズをしながらバシっと私の肩を軽く攻撃してきた。
「だって、不安じゃん。凪沙は可愛いし綺麗だし美人だし優しいし料理も上手だし髪はふわふわだし良い匂いするし凪沙の瞳って色素薄くて茶色っぽいんだけどそれに見つめられたら誰だってイチコロだと思うし――」
「え?え?何?急な惚気??私、惚気聞かされてるの?」
「とにかく!誰かに取られちゃうのが不安だし、いつも……私ばっかり嫉妬してる気がする」
「涼くんの嫉妬すごいもんねぇ」
遠い目をして結がいつかの記憶を思い出している。いつのかは知らないけど……
窓際に寄りかかり下を覗くが、校舎裏に行ったのか今は人の気配はなかった。
「凪沙って嫉妬とかしないのかな……」
「ん?凪沙ちゃんって嫉妬しないの?」
「嫉妬とかヤキモチとかそういうのない気がする」
「さすが凪沙ちゃんだね余裕があるって感じかな?」
私がこんなに独占欲、嫉妬、ヤキモチで毎日振り回されているっていうのに、凪沙はそういうのが一切ないのはちょっと寂しい。
「凪沙にヤキモチ妬かせたい」
「え!?別にわざわざ妬かせる事ないんじゃないの?」
「ヤキモチ妬くって事はそれだけ私の事好きって事だよね?」
「それはそうかもしれないけど……」
色んな女の子と歩いている私を見て凪沙はどう思うかな?妬いてくれたりするかな?男の子でもいいかも、仲の良いところを見せつけたりしたら、きっと……
校舎裏の方から人影が現れる。
あ、凪沙だ。
ペコペコと頭を下げる男子生徒と楽しそうに笑いながら戻ってくる。
「なんで……告白断ってるよね?」
「告白じゃなかったのかもしれないね?」
でも、男子生徒は絶対に凪沙に好意がある。照れたような笑いと真っ赤に染まった顔。どう見ても凪沙のことが好きで校舎裏に行き、告白をしたんだと思うんだけど、それが何故2人で戻ってきているんだろう。
男子生徒は凪沙に手を差し出した。
「な、凪沙!!」
凪沙の手がその男子生徒に触れそうな時、思わず声を上げてしまった。手を繋ごうとした?
キョロキョロとあたりを見渡して、凪沙は顔を上げた。
「涼ちゃん」
笑顔で手を振ってくる。隣にいる男子生徒は突然声をかけられたことに驚いているのか、私の方を見て口がぽかんと開いている。
凪沙に手を振り返していると隣にいる結が小声で「すぐ独占欲出るんだから」と呆れたように呟いていた。
結だって凪沙のこと好きなはずなのに……
「このくらいは普通だと思うけど……」
私は小さく言い返した。
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