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「何を、言っている」

カブラスは自分の耳が誤った情報を聞き取ったのだと聞き返したが、ガールックは同じ内容を再び返した。

「メルージュが、僕以外の子を、?」
「え…?以外もなにも…、あんた普通にメルに嫌われてっけど…。むしろあんた以外なら誰でもいいとまで言ってたしな…」
「そんなわけないっ!いつも結婚が待ち遠しいといっていた!楽しみだと!」

「それについては、誤解があるかもしれません」

メルージュの父、商会長が口を挟んた。

「娘が楽しみだったのはの結婚式でカブラス様結婚ではないそうです。誤解をさせてしまっていたのであれば、申し訳ありません」

「そんな、言葉遊びのような、言い訳など、」

そんな予感はあった。
カブラスも、メルージュが居なくなるまで気づいていなかったけれど。

メルージュはカブラスを一度も好きだと愛していると言ったことはない。素直な彼女は好きならば、愛しているならばきちんと言葉にする女だった。
カブラスの浮気を咎めることもしなかったのは、認めたくはなかったが、好かれていないのではないかと薄々思い始めていた。

「私もこの婚姻をどうかと思っていましてね。以前から貴方の発言には辟易しておりまして。
先日のカブラス様の、宴の金を出せ、侯爵家主催と偽れと命じられた時もですね。さすがに年甲斐もなく頭に来まして」

「違う、偽れなど、そういう意味ではなくて」
カブラスにしてみれば、あくまで良かれと思っての提案だった。

「この国の王都住みの貴族とは殆ど繋がりがあるので、今更侯爵の名を借りてどうこうなど思っていません。
前々から、カブラス様は我が家を馬鹿にしすぎです。
そんな貴方の婿入りなどご遠慮したいと思いまして、婚約破棄に足る理由を用意いたしました」
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