令嬢は魅了魔法を強請る

基本二度寝

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「ミファ。男の臭いがする。誰に絡まれた?」

アトラクトを見つけて追いかけてきたミファセスは、彼の開口一番の言葉に、「犬なのかな?」と思った。

「絡まれたと言うほどでは…話しかけてきた方なら居られましたけど」

「ふぅん?」

ミファセスの婚約者は狭量だ。
ここは誤魔化しなく答えておかないと後で泣かされるのは目に見えている。
…恥じらいの涙だけれど。

「以前の婚約者だった方に婚約破棄を宣言されました」

「…ふぅん」

すでにアトラクトと婚約して半年になる。
公表も終えているし、社交界でも周知されている。

シュラブとの婚約破棄は半年前のこと。
『今更』なのだ。

アトラクトの学園卒業と同時に婚姻も決まっている。
あと数カ月。
婚約から一年も待てなかったのは、アトラクトの独占欲の結果だった。

ミファセスは呆れてた。
彼のように容姿が整っているわけでもないミファセスを、他者に取られまいといつも周囲を威嚇する彼に。

「ミファのを知るのは自分だけでいい」

アトラクトに囁かれたら、ミファセスはうっとりと彼を見上げて、ああその通りだと思う。
価値があるとは思ってはいないけど。彼が言うならそれでいい。

その度、アトラクトに向けて見えない触手を伸ばし、彼を逃さぬように絡めとるような、変な感覚がある。

そうすれば、アトラクトはまたミファセスに執着する。

「また、ソイツが声をかけてきたらすぐに俺の名を呼べ。転移してでもすぐに行くから」

獲物を前にした捕食者のように、狡猾そうな笑みを浮かべる。

もう元婚約者とは縁が切れているし、彼の中でも先程婚約破棄したようであるし。
話しかけてくることもないだろうと思うのだが。

それでも、逆恨みが怖いから、と何かあれば必ず呼ぶように、約束させられた。
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