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三
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「魔女よ、私の王位をくれてやる。だからカサラバの心を返してくれ」
先触れもせず、リンドーグは魔女の住む森に足を踏み入れ、たまたま薬草摘みをしていた老女に出くわすなり、叫んだ。
「誰だ。急に一体なんだい」
「カサラバを助けてくれ」
王太子の持つもので、大切なもの。
次期王の座。それしかない。
はぁ?と首を傾げ、リンドーグの顔をまじまじと見た魔女は「あぁ」と何かに思い当たった。
「アンタ呪われてた王子かい」
「そうだ!解呪の対価に払ったカサラバの心を返してくれ!彼女は今、物言わぬ人形のようで…」
カサラバの様子を思い出して、言葉にならない。
いつものカサラバを取り戻さなければ。
「そりゃそうさ。それが対価を払った代償ってことさね」
「困るんだ!」
リンドーグは勢いのまま魔女に詰め寄った。
「カサラバがいないとっ!」
「この国も終わっちまうね?」
「!!」
魔女がニタリと笑った。
「王太子の仕事という仕事を全部カサラバが対処していた。王太后が息子に願われ、肩代わりしていたお飾り王妃の公務まで引き継いでいた」
「…どうしてそれを、」
「どうしても何も、カサラバの心を得たのは私だよ?心の中の記録を読んだだけさ」
リンドーグが女に会う時間を捻出するには、執務の代行を誰かに頼むしかなかった。
一度、二度、が常習化して、カサラバに任せきりになっていった執務内容などもう、王太子には把握できていない。
今、カサラバを失えば王太子としての役目など、社交以外に何一つこなせるものはない。
カサラバが居ることで王太子の立場が成り立っていた。
「すぐに価値の無くなる王位など、あの子の心とは釣り合わないとわかっているだろうに」
「…!」
リンドーグは唇を噛んだ。
その通りだった。
しかし、それ以外にリンドーグが差し出せる物などない。
リンドーグの一存で動かせる金もない。
「国王の仕事もお前の所に振り分けられるようになっていた。それらを処理していたのはカサラバだったがね。
王は知らないのかい?カサラバが肩代わりしていたことを。
まさか仕事を放棄して、女に現を抜かしている息子が有能だと思っているわけあるまい?」
王がリンドーグをどう評価していたのかなんて知らない。
女を使うことを咎められたことはない。
なんにせよ、カサラバが居なければ王宮内の多くの部門で混乱が発生する事だけは、リンドーグにも理解できていた。
王太子の臣下が、登城しないカサラバをわざわざ迎えに出向くほど。
「一人の女。一つの心を失っただけでごたつくような王族で、この国はやっていけるのかねぇ」
やれやれと魔女は息を吐いた。
「あの子はわかっていたんだね。寝たきりになるだけで命を奪われるわけでないアンタの解呪は必要ないと言ったんだね。
アンタは居なくても政務は回る。いなくなって困るのは…?」
そんなことは言われなくてもわかっていた。
「だからどうか、カサラバを…返してくれ」
カサラバが今国を維持するための柱になっている。
恥を忍んで頭を下げてみても、絞り出すように願い乞うリンドーグに魔女は肩を竦めるだけ。
「すでに成立した契約は訂正も変更もできない」
先触れもせず、リンドーグは魔女の住む森に足を踏み入れ、たまたま薬草摘みをしていた老女に出くわすなり、叫んだ。
「誰だ。急に一体なんだい」
「カサラバを助けてくれ」
王太子の持つもので、大切なもの。
次期王の座。それしかない。
はぁ?と首を傾げ、リンドーグの顔をまじまじと見た魔女は「あぁ」と何かに思い当たった。
「アンタ呪われてた王子かい」
「そうだ!解呪の対価に払ったカサラバの心を返してくれ!彼女は今、物言わぬ人形のようで…」
カサラバの様子を思い出して、言葉にならない。
いつものカサラバを取り戻さなければ。
「そりゃそうさ。それが対価を払った代償ってことさね」
「困るんだ!」
リンドーグは勢いのまま魔女に詰め寄った。
「カサラバがいないとっ!」
「この国も終わっちまうね?」
「!!」
魔女がニタリと笑った。
「王太子の仕事という仕事を全部カサラバが対処していた。王太后が息子に願われ、肩代わりしていたお飾り王妃の公務まで引き継いでいた」
「…どうしてそれを、」
「どうしても何も、カサラバの心を得たのは私だよ?心の中の記録を読んだだけさ」
リンドーグが女に会う時間を捻出するには、執務の代行を誰かに頼むしかなかった。
一度、二度、が常習化して、カサラバに任せきりになっていった執務内容などもう、王太子には把握できていない。
今、カサラバを失えば王太子としての役目など、社交以外に何一つこなせるものはない。
カサラバが居ることで王太子の立場が成り立っていた。
「すぐに価値の無くなる王位など、あの子の心とは釣り合わないとわかっているだろうに」
「…!」
リンドーグは唇を噛んだ。
その通りだった。
しかし、それ以外にリンドーグが差し出せる物などない。
リンドーグの一存で動かせる金もない。
「国王の仕事もお前の所に振り分けられるようになっていた。それらを処理していたのはカサラバだったがね。
王は知らないのかい?カサラバが肩代わりしていたことを。
まさか仕事を放棄して、女に現を抜かしている息子が有能だと思っているわけあるまい?」
王がリンドーグをどう評価していたのかなんて知らない。
女を使うことを咎められたことはない。
なんにせよ、カサラバが居なければ王宮内の多くの部門で混乱が発生する事だけは、リンドーグにも理解できていた。
王太子の臣下が、登城しないカサラバをわざわざ迎えに出向くほど。
「一人の女。一つの心を失っただけでごたつくような王族で、この国はやっていけるのかねぇ」
やれやれと魔女は息を吐いた。
「あの子はわかっていたんだね。寝たきりになるだけで命を奪われるわけでないアンタの解呪は必要ないと言ったんだね。
アンタは居なくても政務は回る。いなくなって困るのは…?」
そんなことは言われなくてもわかっていた。
「だからどうか、カサラバを…返してくれ」
カサラバが今国を維持するための柱になっている。
恥を忍んで頭を下げてみても、絞り出すように願い乞うリンドーグに魔女は肩を竦めるだけ。
「すでに成立した契約は訂正も変更もできない」
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