伯爵令嬢は、愛する二人を引き裂く女は悪女だと叫ぶ

基本二度寝

文字の大きさ
2 / 5

「爵位関係なく、既存の全貴族の婚約は、全て解消する」

フリージアの婚約が白紙撤回されたと噂されてすぐ、王命が出された。

明日に結婚を控えていた貴族も、その触れにより式を取り止めにされた。

多くの貴族らは戸惑った。

何を突然と、こぞって当主らが登城した。
王に説明を求めるためだった。


ーーー
「今まで公爵位以上の令嬢には無理を敷いてきたのだ」

王は集った貴族当主を広間に集め、壇上より語った。

昔、突然の魔物の大量発生で危機に陥った際、国を救ってくれたのが伯爵家の者だった。
荒れた国を立て直す為、英雄に差し出せる報酬も当時はなく、代わりに優遇措置として、本来国に収めるべき税金を免除され、財産の潤沢な上位貴族家の令嬢を、王命にて伯爵家に嫁がせてきた。

そのせいで、英雄と言われた伯爵家は堕落した。

領地も持たぬ、商売もせぬ、資金を集める術も能力もなくなった伯爵家は、何代も嫁いできた妻の実家からの援助だけで存続していた。

それが、フリージアの婚約者だったロマンセの一族の実態だ。

「しかし、もう上位貴族から令嬢を差し出させる生贄のようなことは止めにしようと思う。
それを決めたのは、まだ若い貴族学園に通う子女たちの声だ」

王は面会を求められたフリージアから奏上された。

「公爵令嬢フリージアの婚約は止めるべきだと、多くの令嬢からの声を受けた」

フリージアが王に提出したのは、彼女の元に送りつけられた大量の手紙。
若い貴族たちは、フリージアとロマンセの婚姻を認めるべきではないと、そういった内容が多くあった。


「いつまでも、過去に縛られる事もない。伯爵家の義理は、これまでの長い年月で十分果たしたと、王家としても認める」

高らかに宣言した王の言葉に、皆顔を見合わせた。

「それに伴い、一度全貴族の婚約を王命にて解除する。
王命で婚約を敷いた公爵家令嬢フリージアの婚約を一番に取り決めた後、各家の婚約を結び直してほしい」

国内随一の資産を持つ公爵家の令嬢が、伴侶に選ぶ相手によって国内の情勢が大きく変わるかもしれない。

それまで婚約を決めていた相手と派閥が変わってしまう可能性も、利害得失も考えられる為、国王は既存の婚約を強制的に白紙にさせたのだった。

フリージアは、どの家と繋がるか。

今回、王命で婚約が白紙になったことで、フリージアの瑕疵とはならない。

高位貴族で年頃の子息を持つ当主は、婚約が撤回された事を機と捉え、王家の覚えも良い公爵家に釣書を送る算段をつけ始める。

ギラギラと獲物を狙う当主、ただひたすら平穏を望むの当主、貴族らの反応は様々であった。

あなたにおすすめの小説

【完結】婚約破棄した王子と男爵令嬢のその後……は幸せ?……な訳ない!

たろ
恋愛
「エリザベス、君との婚約を破棄する」 「どうしてそんな事を言うのですか?わたしが何をしたと言うのでしょう」 「君は僕の愛するイライザに対して嫌がらせをしただろう、そんな意地の悪い君のことは愛せないし結婚など出来ない」 「……愛せない……わかりました。殿下……の言葉を……受け入れます」 なんで君がそんな悲しそうな顔をするんだ? この話は婚約破棄をして、父親である陛下に嘘で固めて公爵令嬢のエリザベスを貶めたと怒られて 「そんなにその男爵令嬢が好きなら王族をやめて男爵に婿に行け」と言われ、廃嫡される王子のその後のお話です。 頭脳明晰、眉目秀麗、みんなが振り向くかっこいい殿下……なのにエリザベスの前では残念な男。 ★軽い感じのお話です そして、殿下がひたすら残念です 広ーい気持ちで読んでいただけたらと思います

【完結】婚約破棄はしたいけれど傍にいてほしいなんて言われましても、私は貴方の母親ではありません

すだもみぢ
恋愛
「彼女は私のことを好きなんだって。だから君とは婚約解消しようと思う」 他の女性に言い寄られて舞い上がり、10年続いた婚約を一方的に解消してきた王太子。 今まで婚約者だと思うからこそ、彼のフォローもアドバイスもしていたけれど、まだそれを当たり前のように求めてくる彼に驚けば。 「君とは結婚しないけれど、ずっと私の側にいて助けてくれるんだろう?」 貴方は私を母親だとでも思っているのでしょうか。正直気持ち悪いんですけれど。 王妃様も「あの子のためを思って我慢して」としか言わないし。 あんな男となんてもう結婚したくないから我慢するのも嫌だし、非難されるのもイヤ。なんとかうまいこと立ち回って幸せになるんだから!

あなたへの想いを終わりにします

四折 柊
恋愛
 シエナは王太子アドリアンの婚約者として体の弱い彼を支えてきた。だがある日彼は視察先で倒れそこで男爵令嬢に看病される。彼女の献身的な看病で医者に見放されていた病が治りアドリアンは健康を手に入れた。男爵令嬢は殿下を治癒した聖女と呼ばれ王城に招かれることになった。いつしかアドリアンは男爵令嬢に夢中になり彼女を正妃に迎えたいと言い出す。男爵令嬢では妃としての能力に問題がある。だからシエナには側室として彼女を支えてほしいと言われた。シエナは今までの献身と恋心を踏み躙られた絶望で彼らの目の前で自身の胸を短剣で刺した…………。(全13話)

知らぬが花

鳥柄ささみ
恋愛
「ライラ・アーデ嬢。申し訳ないが、キミとの婚約は破棄させてもらう」 もう何度目かわからないやりとりにライラはショックを受けるも、その場では大人しく受け入れる。 これでもう婚約破棄と婚約解消あわせて十回目。 ライラは自分に非があるのではと自分を責めるも、「お義姉様は何も悪くありません。相手の見る目がないのです」と義弟であるディークハルトにいつも慰められ、支えられていた。 いつもライラに親身になって肯定し、そばにいてくれるディークハルト。 けれど、ある日突然ディークハルトの訃報が入ってくる。 大切な義弟を失い、泣き崩れて塞ぎ込むライラ。 そんなライラがやっと立ち直ってきて一年後、とある人物から縁談の話がやってくるのだった。

──いいえ。わたしがあなたとの婚約を破棄したいのは、あなたに愛する人がいるからではありません。

ふまさ
恋愛
 伯爵令息のパットは、婚約者であるオーレリアからの突然の別れ話に、困惑していた。 「確かにぼくには、きみの他に愛する人がいる。でもその人は平民で、ぼくはその人と結婚はできない。だから、きみと──こんな言い方は卑怯かもしれないが、きみの家にお金を援助することと引き換えに、きみはそれを受け入れたうえで、ぼくと婚約してくれたんじゃなかったのか?!」  正面に座るオーレリアは、膝のうえに置いたこぶしを強く握った。 「……あなたの言う通りです。元より貴族の結婚など、政略的なものの方が多い。そんな中、没落寸前の我がヴェッター伯爵家に援助してくれたうえ、あなたのような優しいお方が我が家に婿養子としてきてくれるなど、まるで夢のようなお話でした」 「──なら、どうして? ぼくがきみを一番に愛せないから? けれどきみは、それでもいいと言ってくれたよね?」  オーレリアは答えないどころか、顔すらあげてくれない。  けれどその場にいる、両家の親たちは、その理由を理解していた。  ──そう。  何もわかっていないのは、パットだけだった。

【完結】最後に貴方と。

たろ
恋愛
わたしの余命はあと半年。 貴方のために出来ることをしてわたしは死んでいきたい。 ただそれだけ。 愛する婚約者には好きな人がいる。二人のためにわたしは悪女になりこの世を去ろうと思います。 ◆病名がハッキリと出てしまいます。辛いと思われる方は読まないことをお勧めします ◆悲しい切ない話です。

真実の愛の言い分

豆狸
恋愛
「仕方がないだろう。私とリューゲは真実の愛なのだ。幼いころから想い合って来た。そこに割り込んできたのは君だろう!」 私と殿下の結婚式を半年後に控えた時期におっしゃることではありませんわね。

【完結】彼の瞳に映るのは  

たろ
恋愛
 今夜も彼はわたしをエスコートして夜会へと参加する。  優しく見つめる彼の瞳にはわたしが映っているのに、何故かわたしの心は何も感じない。  そしてファーストダンスを踊ると彼はそっとわたしのそばからいなくなる。  わたしはまた一人で佇む。彼は守るべき存在の元へと行ってしまう。 ★ 短編から長編へ変更しました。