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「あん、ああんっ、カーティス、さ、まっ」
「ヘレナ、っ、気持ち、いいか…?」
「んっ、んぅ、ぃ…いいっ、ですっ」
ぐちゅりぐちゅりと濡れた音が状況を伝える。
「ヘレナ…」
王太子は隣の部屋から聞こえる生々しい声に頭を抱えた。
結婚式当日。
その初夜に、花嫁は、夫の友人に組み敷かれ、純潔を散らされた。
原因は夫となった王太子の賭け事のせいだ。
ヘレナを組み敷く男は隣国の王太子だ。
昔から、周辺諸国の王太子同士は仲が良い。
都合が合えば転移魔法で、皆で集まり飲んだり食べたりくだを巻いたりしたものだった。
始まりは社交のためだったが、次第に気安い集まりとなってしまっていた。
誰かが始めたただのカードゲーム。
自然と賭け事に発展してしまうのは致し方ない。
皆実力は拮抗し、突出してゲームの強い者が居たわけでもなかった事もあり、余計にハマった。
はじめは金銭。
少額から大金になった頃、動かせるお金がなくなった者が出したのが、自身の権限内の「関税率」だった。
金銭よりも白熱した。
皆、金銭をやめ、「関税率」を賭け始めた。
そんなある日、王太子はたまたま負けが続いた。
恐ろしいことに、賭け続けた関税が0になってしまった。
これはさすがに不味すぎた。
友人たちも負けが続き始めたときに何度もやめようと言ってくれていたのに、負けを取り返すのに必死で止められなかった。
その結果が大敗だ。
友人間のゲームだからといってなぁなぁには出来ない理由がある。
不正防止の為、魔石を使い契約魔法を使用していた。
契約魔法により、カードを差し替えたり、賽の目を誤魔化したり、イカサマを使えない場を作る代わり、賭けた物は必ず相手に差し出さなくてはならない。
嘘や誤魔化しは許されない。
関税を取り戻そうにも、すでに手持ちの物がない。
ならばと、独り勝ちをしていたカーティスに提案したのは、「婚約者の純潔」だった。
カーティスと一騎打ちで勝負し、
そして、…負けた。
いや、正確には勝負には引き分けた。
引き分けとなったときに、「これ…互いに賭けたやつ交換できないのかなぁ」と、別の王太子が呟いた。
彼にしてみれば、関税0は流石に不味いと思っての言葉だったのだ。
そのときは名案だと思った。
関税を戻してもらう代わりに「婚約者」を差し出した。
カーティスに頭を下げ、なんとか交換に同意してもらった。
魔石もそれを認めた。
なんとか事なきを得て、助かった。
そう思っていた。
それから賭け事から避け、王太子の集まりにも顔を出さなくなった。
何度かカーティスから、声がかかったが無視をした。
だが、王太子の結婚式に、周辺諸国の王太子である彼らを呼ばないわけには行かない。
カーティス達を招待して、祝いの言葉もらった。
「で、いつ受け取ればいい?」
カーティスに問われ、なんのことかわからなかった。
あの賭けの日から一年近く経過していた。
契約魔法を掛けた魔石を持ち出され、思い出した。
「ま、待ってくれ、ヘレナにはまだなにも話せてなくて、」
「お前、今までずっと連絡無視しやがって…心配して連絡してやってたのに!
明日であの賭けの日から一年経つ。
こちらは未だに賭物を受け取れていないから、明日になれば契約不履行扱いになるぞっ」
「すまないっ、なんとか収められないか?大事な婚約者なんだっ」
「なら、賭けに出すなよ!馬鹿がっ」
カーティスの手にした魔石を起動させれば、空に文字が浮かぶ。
ゲームの勝敗と賭物が記録されている。
最後の記録、カーティスとの勝負は【引き分けにて互いの賭物の交換】とあった。
関税率は【受取済】となっており、純潔には【未受領】とある。
その下に警告文が出ていた。
【一年の期日を越えても、純潔を受取できない場合は、賭物の交換を無効とし、関税を遡って徴収する】
遡って…
「待ってくれ、これ、」
「だから何度も連絡したんだよ!」
この契約が施行されれば、
「お前のとこの一年分の関税料がうちの国庫に入る。そして、お前のとこの国庫からごっそり持っていかれる」
「嘘だ、ろ…」
「だから何度も連絡していたんだ。
打開策を練ろうと。
だが、今更どうしようもない。お前が選べ」
【一年分の関税料か婚約者の純潔か】
考えて、考えて、ヘレナの笑顔を思い出し、泣いた。
花嫁姿のヘレナは美しかった。
政略結婚ではあったが、彼女を愛していた。
そして、決断した。
-----
「それは、どういう…」
夫婦となった、初めての夜。
寝室で待つヘレナの前に、夫となった王太子と、その友人のカーティスが現われ、驚いた。
しかも、言われた内容にヘレナは理解が追いつかなかった。
「カーティスに、抱かれてほしい」
夫はそう言ったのだ。
冗談と笑い飛ばす空気ではない。
二人とも神妙な顔をしていた。
夫は床に頭を擦り付け、何度も謝り、何度も願った。
「カーティスに純潔を捧げてくれ」と。
理由は、何も言わずに。
涙を零しながら、頼む、頼む、と何度も乞う。
泣きたいのはこちらなのに。
王太子二人を前に、怒り出せるタイミングはなかった。
断れる雰囲気ではない。
せめて理由を知りたいのに、それすら許されなかった。
「…わかり、ました」
「ありがとう、すまない、ありがとう」
何故ここで礼を言われるのかもわからない。
カーティスもほっとしていた。
カーティスは、何か石のようなものを夫に渡すと、ヘレナの横に座り、夫は部屋を出た。
腰を強く抱かれ、ぐっと引き寄せ、唇を奪われる。
「できるだけ、優しくする」
目を細めて笑うカーティスにドキドキした。
夫よりも大きい身体は、騎士のように逞しい。
大きい掌に撫で回され、うっとりと身を預けた。
結婚したばかりだというのに、自分がこんなにも薄情な女だとは思わなかった。
幸せの絶頂時に、「他の男に抱かせる」夫に冷めたのかもしれない。
----
何故こんなことに…。
カーティスの口づけを受けている内に、まともな思考はどうでも良くなった。
頭がぼんやりして、目の前の男が与えてくれる快楽しか興味がなくなっている。
カーティスに塗りこまれた薬は、痛みを軽減するものだと言っていたが、本当に痛みを感じなかった。
散々、指で解され、気持ちよさに何度もイカされたせいかもしれない。
足の間に、カーティスの太い杭が打ち込まれた。
衝撃はあった。
痛みは、なかった。
ぐずぐずのそこは抵抗なく、カーティスを受け入れた。
「あああんっ」
ずんずんっと奥まで挿れられ、肚の中がカーティスでいっぱいになる。
ずるりと腰を引いて、入り口近くで小刻みに出し入れされ、むず痒いしびれを感じる。
初めては痛いと聞くのに、全くそれがなく、むしろ快楽で溺れそうだった。
「もうナカで、気持ちよくなれるなんて、相性がいいのかもしれないな、俺達は」
そう言われてすごく嬉しかった。
「もっと気持ちよくなろう」
頷いて、彼の背に腕を回した。
どれくらいの時間が経ったのかなんてわからない。
ヘレナのナカでカーティスは少なくとも三度は吐精した。
初めに彼が射精する際、膣内から杭を引き抜いた。
腹の上を白濁に濡らされ、はぁと息を吐くカーティスに、その杭を早くまた腹の中に納めてほしくて
「ナカにください」
と強請った。
何を思ったのか、見開いて驚いたカーティスは、嬉しそうに目を細めて、次からはナカで射精するようになっていた。
「あー…これで終わりなんて無理だ」
ヘレナを抱きしめ、足を絡め合う。
「ヘレナを毎日抱きたい」
ちゅっちゅっと音を立ててヘレナの唇に吸い付く。
「私も…」
「ヘレナ…」
口付けを深くして、そしてまた、ヘレナのナカに剛直を突き入れた。
----
カーティスが寝室から出てきたのは、翌日の昼頃だった。
妻の嬌声が聞こえる壁一枚隔てたこの場所で、夫である王太子は眠れずに過ごしていた。
カーティスも寝ていないはずだが、顔色はよかった。
ただ、表情は沈んでいた。
「あー…うん、確かに、受け取った、」
歯切れ悪くカーティスは告げる。
名残惜しさが顔に出ていた。
悔しい。
悔しいが、これを選んだのは自分だ。
後悔は何度もした。
それでも、これが王太子として最善の選択だった。
そう思うしかない。
カーティスから預かった魔石を確認しようと、契約内容を展開する。
賭物の項目にあった、純潔は【受領中】に変更されていた。
「受領中…ってなんだ…?」
二人は顔を見合わせた。
警告文の文面がかわっていた。
【賭物の受取までに大幅な遅れが生じた為、利息を取る物とする。遅れた期間、約一年間は賭物と性交する権利を得る。妊娠、出産で性交できない期間が発生すれば、その分延長される。】
「う、そ…だろ…」
思わず魔石を落としてしまった。
拾い上げたカーティスが何度も読み返し、手で口を覆った。
驚いてはいるが、喜びを隠しきれていない。
「こんな、無効だ、こんなもの!」
「待て、やめろ。お前がそれを放棄すれば、関税の方に切り替わるぞっ」
カーティスの言葉に、踏みとどまった。
何のために、初夜を耐えたというのか。
ぎりっと奥歯を噛み締めた。
----
魔石の効力もあり、カーティスは毎晩、転移でこの国までやって来る。
そして、ヘレナの待つ寝室へ向かう。
夫なのに、別の男に妻を抱かせている。
嫉妬で、カーティスが自国へ戻ったあと、ヘレナを襲った。
精液に濡れるそこに、男根を押し付けた。
妻のナカを抉るが、ヘレナは何も声を上げなかった。
必死な夫をただただ見つめていた。
結婚式までは確かにあったはずの愛情がヘレナの瞳から消えていた。
彼女の中で精を吐き出し、ずるりと引いた。
何も言わず、ヘレナを残して部屋を出た。
「あんっあんっ、カーティ、いいっきもち、いいっっ」
ぱんぱんぱんっと肌を打つ音の合間に、今夜も妻の嬌声が上がる。
「はぁ、レナ、締めつけ、きっつ、くっそ、いいっ」
いつの間にか二人は愛称で呼び合うようになっていた。
「レナ、レナの、このいやらしい穴は誰の物だ?」
夫である自分のもののはずなのに。
「かぁ、かーてぃのっ、もの、ですっ、あんっ」
「良い子」
ヘレナの感じてる喘ぎで、カーティスに気持ちよく攻められているのが手に取るようにわかる。
しんどい。辛い。
「良い子にはご褒美な」
「ぅあああっ、ごほ、びぃ、き、もち、い、いぃ…」
ヘレナは、夫に抱かれるときはこんな声を出さない。
こんなに感じることもない。
結婚前は、相思相愛だと言われていた二人だったのに。
全ては、己のせいなのだ。
ヘレナはそのツケを払わされているだけなのだ。
ヘレナに対して怒りを感じるのはお門違いなのに。
「ヘレナ、っ、気持ち、いいか…?」
「んっ、んぅ、ぃ…いいっ、ですっ」
ぐちゅりぐちゅりと濡れた音が状況を伝える。
「ヘレナ…」
王太子は隣の部屋から聞こえる生々しい声に頭を抱えた。
結婚式当日。
その初夜に、花嫁は、夫の友人に組み敷かれ、純潔を散らされた。
原因は夫となった王太子の賭け事のせいだ。
ヘレナを組み敷く男は隣国の王太子だ。
昔から、周辺諸国の王太子同士は仲が良い。
都合が合えば転移魔法で、皆で集まり飲んだり食べたりくだを巻いたりしたものだった。
始まりは社交のためだったが、次第に気安い集まりとなってしまっていた。
誰かが始めたただのカードゲーム。
自然と賭け事に発展してしまうのは致し方ない。
皆実力は拮抗し、突出してゲームの強い者が居たわけでもなかった事もあり、余計にハマった。
はじめは金銭。
少額から大金になった頃、動かせるお金がなくなった者が出したのが、自身の権限内の「関税率」だった。
金銭よりも白熱した。
皆、金銭をやめ、「関税率」を賭け始めた。
そんなある日、王太子はたまたま負けが続いた。
恐ろしいことに、賭け続けた関税が0になってしまった。
これはさすがに不味すぎた。
友人たちも負けが続き始めたときに何度もやめようと言ってくれていたのに、負けを取り返すのに必死で止められなかった。
その結果が大敗だ。
友人間のゲームだからといってなぁなぁには出来ない理由がある。
不正防止の為、魔石を使い契約魔法を使用していた。
契約魔法により、カードを差し替えたり、賽の目を誤魔化したり、イカサマを使えない場を作る代わり、賭けた物は必ず相手に差し出さなくてはならない。
嘘や誤魔化しは許されない。
関税を取り戻そうにも、すでに手持ちの物がない。
ならばと、独り勝ちをしていたカーティスに提案したのは、「婚約者の純潔」だった。
カーティスと一騎打ちで勝負し、
そして、…負けた。
いや、正確には勝負には引き分けた。
引き分けとなったときに、「これ…互いに賭けたやつ交換できないのかなぁ」と、別の王太子が呟いた。
彼にしてみれば、関税0は流石に不味いと思っての言葉だったのだ。
そのときは名案だと思った。
関税を戻してもらう代わりに「婚約者」を差し出した。
カーティスに頭を下げ、なんとか交換に同意してもらった。
魔石もそれを認めた。
なんとか事なきを得て、助かった。
そう思っていた。
それから賭け事から避け、王太子の集まりにも顔を出さなくなった。
何度かカーティスから、声がかかったが無視をした。
だが、王太子の結婚式に、周辺諸国の王太子である彼らを呼ばないわけには行かない。
カーティス達を招待して、祝いの言葉もらった。
「で、いつ受け取ればいい?」
カーティスに問われ、なんのことかわからなかった。
あの賭けの日から一年近く経過していた。
契約魔法を掛けた魔石を持ち出され、思い出した。
「ま、待ってくれ、ヘレナにはまだなにも話せてなくて、」
「お前、今までずっと連絡無視しやがって…心配して連絡してやってたのに!
明日であの賭けの日から一年経つ。
こちらは未だに賭物を受け取れていないから、明日になれば契約不履行扱いになるぞっ」
「すまないっ、なんとか収められないか?大事な婚約者なんだっ」
「なら、賭けに出すなよ!馬鹿がっ」
カーティスの手にした魔石を起動させれば、空に文字が浮かぶ。
ゲームの勝敗と賭物が記録されている。
最後の記録、カーティスとの勝負は【引き分けにて互いの賭物の交換】とあった。
関税率は【受取済】となっており、純潔には【未受領】とある。
その下に警告文が出ていた。
【一年の期日を越えても、純潔を受取できない場合は、賭物の交換を無効とし、関税を遡って徴収する】
遡って…
「待ってくれ、これ、」
「だから何度も連絡したんだよ!」
この契約が施行されれば、
「お前のとこの一年分の関税料がうちの国庫に入る。そして、お前のとこの国庫からごっそり持っていかれる」
「嘘だ、ろ…」
「だから何度も連絡していたんだ。
打開策を練ろうと。
だが、今更どうしようもない。お前が選べ」
【一年分の関税料か婚約者の純潔か】
考えて、考えて、ヘレナの笑顔を思い出し、泣いた。
花嫁姿のヘレナは美しかった。
政略結婚ではあったが、彼女を愛していた。
そして、決断した。
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「それは、どういう…」
夫婦となった、初めての夜。
寝室で待つヘレナの前に、夫となった王太子と、その友人のカーティスが現われ、驚いた。
しかも、言われた内容にヘレナは理解が追いつかなかった。
「カーティスに、抱かれてほしい」
夫はそう言ったのだ。
冗談と笑い飛ばす空気ではない。
二人とも神妙な顔をしていた。
夫は床に頭を擦り付け、何度も謝り、何度も願った。
「カーティスに純潔を捧げてくれ」と。
理由は、何も言わずに。
涙を零しながら、頼む、頼む、と何度も乞う。
泣きたいのはこちらなのに。
王太子二人を前に、怒り出せるタイミングはなかった。
断れる雰囲気ではない。
せめて理由を知りたいのに、それすら許されなかった。
「…わかり、ました」
「ありがとう、すまない、ありがとう」
何故ここで礼を言われるのかもわからない。
カーティスもほっとしていた。
カーティスは、何か石のようなものを夫に渡すと、ヘレナの横に座り、夫は部屋を出た。
腰を強く抱かれ、ぐっと引き寄せ、唇を奪われる。
「できるだけ、優しくする」
目を細めて笑うカーティスにドキドキした。
夫よりも大きい身体は、騎士のように逞しい。
大きい掌に撫で回され、うっとりと身を預けた。
結婚したばかりだというのに、自分がこんなにも薄情な女だとは思わなかった。
幸せの絶頂時に、「他の男に抱かせる」夫に冷めたのかもしれない。
----
何故こんなことに…。
カーティスの口づけを受けている内に、まともな思考はどうでも良くなった。
頭がぼんやりして、目の前の男が与えてくれる快楽しか興味がなくなっている。
カーティスに塗りこまれた薬は、痛みを軽減するものだと言っていたが、本当に痛みを感じなかった。
散々、指で解され、気持ちよさに何度もイカされたせいかもしれない。
足の間に、カーティスの太い杭が打ち込まれた。
衝撃はあった。
痛みは、なかった。
ぐずぐずのそこは抵抗なく、カーティスを受け入れた。
「あああんっ」
ずんずんっと奥まで挿れられ、肚の中がカーティスでいっぱいになる。
ずるりと腰を引いて、入り口近くで小刻みに出し入れされ、むず痒いしびれを感じる。
初めては痛いと聞くのに、全くそれがなく、むしろ快楽で溺れそうだった。
「もうナカで、気持ちよくなれるなんて、相性がいいのかもしれないな、俺達は」
そう言われてすごく嬉しかった。
「もっと気持ちよくなろう」
頷いて、彼の背に腕を回した。
どれくらいの時間が経ったのかなんてわからない。
ヘレナのナカでカーティスは少なくとも三度は吐精した。
初めに彼が射精する際、膣内から杭を引き抜いた。
腹の上を白濁に濡らされ、はぁと息を吐くカーティスに、その杭を早くまた腹の中に納めてほしくて
「ナカにください」
と強請った。
何を思ったのか、見開いて驚いたカーティスは、嬉しそうに目を細めて、次からはナカで射精するようになっていた。
「あー…これで終わりなんて無理だ」
ヘレナを抱きしめ、足を絡め合う。
「ヘレナを毎日抱きたい」
ちゅっちゅっと音を立ててヘレナの唇に吸い付く。
「私も…」
「ヘレナ…」
口付けを深くして、そしてまた、ヘレナのナカに剛直を突き入れた。
----
カーティスが寝室から出てきたのは、翌日の昼頃だった。
妻の嬌声が聞こえる壁一枚隔てたこの場所で、夫である王太子は眠れずに過ごしていた。
カーティスも寝ていないはずだが、顔色はよかった。
ただ、表情は沈んでいた。
「あー…うん、確かに、受け取った、」
歯切れ悪くカーティスは告げる。
名残惜しさが顔に出ていた。
悔しい。
悔しいが、これを選んだのは自分だ。
後悔は何度もした。
それでも、これが王太子として最善の選択だった。
そう思うしかない。
カーティスから預かった魔石を確認しようと、契約内容を展開する。
賭物の項目にあった、純潔は【受領中】に変更されていた。
「受領中…ってなんだ…?」
二人は顔を見合わせた。
警告文の文面がかわっていた。
【賭物の受取までに大幅な遅れが生じた為、利息を取る物とする。遅れた期間、約一年間は賭物と性交する権利を得る。妊娠、出産で性交できない期間が発生すれば、その分延長される。】
「う、そ…だろ…」
思わず魔石を落としてしまった。
拾い上げたカーティスが何度も読み返し、手で口を覆った。
驚いてはいるが、喜びを隠しきれていない。
「こんな、無効だ、こんなもの!」
「待て、やめろ。お前がそれを放棄すれば、関税の方に切り替わるぞっ」
カーティスの言葉に、踏みとどまった。
何のために、初夜を耐えたというのか。
ぎりっと奥歯を噛み締めた。
----
魔石の効力もあり、カーティスは毎晩、転移でこの国までやって来る。
そして、ヘレナの待つ寝室へ向かう。
夫なのに、別の男に妻を抱かせている。
嫉妬で、カーティスが自国へ戻ったあと、ヘレナを襲った。
精液に濡れるそこに、男根を押し付けた。
妻のナカを抉るが、ヘレナは何も声を上げなかった。
必死な夫をただただ見つめていた。
結婚式までは確かにあったはずの愛情がヘレナの瞳から消えていた。
彼女の中で精を吐き出し、ずるりと引いた。
何も言わず、ヘレナを残して部屋を出た。
「あんっあんっ、カーティ、いいっきもち、いいっっ」
ぱんぱんぱんっと肌を打つ音の合間に、今夜も妻の嬌声が上がる。
「はぁ、レナ、締めつけ、きっつ、くっそ、いいっ」
いつの間にか二人は愛称で呼び合うようになっていた。
「レナ、レナの、このいやらしい穴は誰の物だ?」
夫である自分のもののはずなのに。
「かぁ、かーてぃのっ、もの、ですっ、あんっ」
「良い子」
ヘレナの感じてる喘ぎで、カーティスに気持ちよく攻められているのが手に取るようにわかる。
しんどい。辛い。
「良い子にはご褒美な」
「ぅあああっ、ごほ、びぃ、き、もち、い、いぃ…」
ヘレナは、夫に抱かれるときはこんな声を出さない。
こんなに感じることもない。
結婚前は、相思相愛だと言われていた二人だったのに。
全ては、己のせいなのだ。
ヘレナはそのツケを払わされているだけなのだ。
ヘレナに対して怒りを感じるのはお門違いなのに。
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