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3章 候補者は4人
12 危険な旅立ち
しおりを挟むその後、丹下景勝氏は真龍警部らの運営する『施設』へ本格的な訓練を受けるべく戻って行った。妹の灯里嬢は最後まで納得がいかなかったようで後で聞いた話では最後は喧嘩別れになったという。
「灯里さん、大丈夫、お兄さんはきっと戻ってきますよ。お兄さんが帰ってきたら盛大に無事を祝ってあげましょう?それが仲直りのきっかけになりますよ」
私は自分が掛けられる唯一の慰めの言葉を、ありきたりで事務的にも聞こえる言葉しかかける事が出来なかった。
「ありがとうございます。実は黒崎美鈴さん、でしたかしら?その方から連絡があって向こうに送られてくる通信文と一緒に兄から私への手紙を逐一寄こしてくださるそうです。連絡の手段は私の方にはないから・・・・と」
「そうですか。良かったじゃないですか」
「ただ、私の方から兄への手紙は送れないそうで、これは黒崎さんの方でも同じだそうです。冒険者を意図的にコントロールすることになるからと」
灯里嬢は残念そうに言った。
この会話を交わした1週間後灯里嬢から兄を含むカオス探索隊が出発したという連絡が入った。
「彼女は義理堅いね。それに比べて真龍警部はどういうつもりだろう?そんな連絡なんか一切寄こさないけれど」
「ま、彼にとってはいつもの事さ。しかし早いな。ダーハムの奴らの動きが予想以上に早いのかもしれん。僕の見立てでは後2週間は訓練やら準備やらにかかると思っていたが・・・・」
渡は憤慨する私を更に不安にさせる言葉を放った。
「それじゃ、危険がすぐ迫っているというのかい?」
「かもしれないし、そうじゃないかもしれない。予想以上に飛び入り参加の2名が優秀だったから早まったという事も十分あり得る。何と言っても僕と黒崎女史はそれなりに知名度はある方だからね。とはいえこうなってしまった以上は僕らにとってできる事はただ待つことだけだ」
「施設へ確かめに行く事は出来ないだろうか?灯里さんは物凄く心配していたし、無事に異世界に旅立った事を報告するのは僕らの依頼者への義務じゃないかな」
「フム、普段と違って随分乗り気だね。だが君の言う事も尤もだ。大丈夫僕が居る限り門前払いなんぞさせるものか」
数分後私達はアパートを出て真龍警部肝いりに『施設』を訪ねた。
件の『施設』は〇△山の山中の中腹にあった。ここに人間がいるとは考えられないほど不気味なほど静まり返っている。
「おい、渡!警備の人間が倒れているぜ!」
「気絶している。これは良からぬことが起きたな」
私達は勝手に敷地内に入る。渡は迷路のような建物内の通路を無言でズンズン先に進むので私は付いて行くのがやっとだった。
やがて私達はある大きなドアの前に立った。渡はノックもせずにドアを押し開けて中に入ると真龍警部と先日のコンペで見かけたあの白衣の学者風の男達がいた。
「襲撃を受けたのですか?」
「そうだ。先程下手人共は捕縛した」
挨拶抜きに恐るべき事実を淡々と交わす渡と真龍警部
「ですが転送装置が連中の正で狂ってしまって本来の転送位置から大分離れた所に転移してしまったんです」
真龍警部に座馬と呼ばれた男が聞かれてもない事をペラペラとしゃべるのを警部は睨みつけるがもう後の祭りだった。
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