異世界転生請負人・渡界人~知られざる異世界転生の裏側公開します

紀之

文字の大きさ
92 / 125
3章 候補者は4人

12  危険な旅立ち

しおりを挟む



 その後、丹下景勝氏は真龍警部らの運営する『施設』へ本格的な訓練を受けるべく戻って行った。妹の灯里嬢は最後まで納得がいかなかったようで後で聞いた話では最後は喧嘩別れになったという。

「灯里さん、大丈夫、お兄さんはきっと戻ってきますよ。お兄さんが帰ってきたら盛大に無事を祝ってあげましょう?それが仲直りのきっかけになりますよ」

私は自分が掛けられる唯一の慰めの言葉を、ありきたりで事務的にも聞こえる言葉しかかける事が出来なかった。

「ありがとうございます。実は黒崎美鈴さん、でしたかしら?その方から連絡があって向こうに送られてくる通信文と一緒に兄から私への手紙を逐一寄こしてくださるそうです。連絡の手段は私の方にはないから・・・・と」

「そうですか。良かったじゃないですか」

「ただ、私の方から兄への手紙は送れないそうで、これは黒崎さんの方でも同じだそうです。冒険者を意図的にコントロールすることになるからと」

灯里嬢は残念そうに言った。

この会話を交わした1週間後灯里嬢から兄を含むカオス探索隊が出発したという連絡が入った。

「彼女は義理堅いね。それに比べて真龍警部はどういうつもりだろう?そんな連絡なんか一切寄こさないけれど」
「ま、彼にとってはいつもの事さ。しかし早いな。ダーハムの奴らの動きが予想以上に早いのかもしれん。僕の見立てでは後2週間は訓練やら準備やらにかかると思っていたが・・・・」

渡は憤慨する私を更に不安にさせる言葉を放った。

「それじゃ、危険がすぐ迫っているというのかい?」

「かもしれないし、そうじゃないかもしれない。予想以上に飛び入り参加の2名が優秀だったから早まったという事も十分あり得る。何と言っても僕と黒崎女史はそれなりに知名度はある方だからね。とはいえこうなってしまった以上は僕らにとってできる事はただ待つことだけだ」

「施設へ確かめに行く事は出来ないだろうか?灯里さんは物凄く心配していたし、無事に異世界に旅立った事を報告するのは僕らの依頼者への義務じゃないかな」

「フム、普段と違って随分乗り気だね。だが君の言う事も尤もだ。大丈夫僕が居る限り門前払いなんぞさせるものか」

数分後私達はアパートを出て真龍警部肝いりに『施設』を訪ねた。

件の『施設』は〇△山の山中の中腹にあった。ここに人間がいるとは考えられないほど不気味なほど静まり返っている。

「おい、渡!警備の人間が倒れているぜ!」

「気絶している。これは良からぬことが起きたな」

私達は勝手に敷地内に入る。渡は迷路のような建物内の通路を無言でズンズン先に進むので私は付いて行くのがやっとだった。

やがて私達はある大きなドアの前に立った。渡はノックもせずにドアを押し開けて中に入ると真龍警部と先日のコンペで見かけたあの白衣の学者風の男達がいた。

「襲撃を受けたのですか?」

「そうだ。先程下手人共は捕縛した」

挨拶抜きに恐るべき事実を淡々と交わす渡と真龍警部

「ですが転送装置が連中の正で狂ってしまって本来の転送位置から大分離れた所に転移してしまったんです」

真龍警部に座馬と呼ばれた男が聞かれてもない事をペラペラとしゃべるのを警部は睨みつけるがもう後の祭りだった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる

アルカス
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。 でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。 でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。 その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。 そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。

1×∞(ワンバイエイト) 経験値1でレベルアップする俺は、最速で異世界最強になりました!

マツヤマユタカ
ファンタジー
23年5月22日にアルファポリス様より、拙著が出版されました!そのため改題しました。 今後ともよろしくお願いいたします! トラックに轢かれ、気づくと異世界の自然豊かな場所に一人いた少年、カズマ・ナカミチ。彼は事情がわからないまま、仕方なくそこでサバイバル生活を開始する。だが、未経験だった釣りや狩りは妙に上手くいった。その秘密は、レベル上げに必要な経験値にあった。実はカズマは、あらゆるスキルが経験値1でレベルアップするのだ。おかげで、何をやっても簡単にこなせて――。異世界爆速成長系ファンタジー、堂々開幕! タイトルの『1×∞』は『ワンバイエイト』と読みます。 男性向けHOTランキング1位!ファンタジー1位を獲得しました!【22/7/22】 そして『第15回ファンタジー小説大賞』において、奨励賞を受賞いたしました!【22/10/31】 アルファポリス様より出版されました!現在第四巻まで発売中です! コミカライズされました!公式漫画タブから見られます!【24/8/28】 マツヤマユタカ名義でTwitterやってます。 見てください。

レベルアップは異世界がおすすめ!

まったりー
ファンタジー
レベルの上がらない世界にダンジョンが出現し、誰もが装備や技術を鍛えて攻略していました。 そんな中、異世界ではレベルが上がることを記憶で知っていた主人公は、手芸スキルと言う生産スキルで異世界に行ける手段を作り、自分たちだけレベルを上げてダンジョンに挑むお話です。

最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~

ある中管理職
ファンタジー
 勤続10年目10度目のレベルアップ。  人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。  すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。  なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。  チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。  探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。  万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。

40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私 とうとうキレてしまいました なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが 飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした…… スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます

高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません

下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。 横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。 偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。 すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。 兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。 この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。 しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。

アラフォーおっさんの週末ダンジョン探検記

ぽっちゃりおっさん
ファンタジー
 ある日、全世界の至る所にダンジョンと呼ばれる異空間が出現した。  そこには人外異形の生命体【魔物】が存在していた。  【魔物】を倒すと魔石を落とす。  魔石には膨大なエネルギーが秘められており、第五次産業革命が起こるほどの衝撃であった。  世は埋蔵金ならぬ、魔石を求めて日々各地のダンジョンを開発していった。

処理中です...