拒絶の白魔はその白き魔力で何を成す?

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唯一無二の学舎(2)

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エンタリティー魔法学校——

人々はその場所を、魔法の叡智が集約した偉大な学び舎と称する。その場所で求められるものはただひとつだけ。それは圧倒的な魔法の才能であった。生まれや立場、財力や名声はその学校では何の意味も持たない。ただひたすらに魔法を追求する者たちが集い、頂点を目指すために存在している場所。


この学び舎は、ただ魔法を教えるために造られた学校とは一線を画す。そこは、魔法の智慧と見識を極限まで磨き上げることが可能な場所であった。だからこそ、賢者《ハイメイジ》を超える領域に立つ大賢者《アークメイジ》、そしてそれらとは一線を画す存在である魔法使い《ウィザード》へと到達するほどの魔導士を幾人も輩出してきたのだろう。魔法の真髄を追求する者たちにとって、この場所こそが唯一無二の学び舎——それが、エンタリティー魔法学校という揺りかごであった。

魔法を極めるには、永遠の道を歩まなければならない。これは決して比喩ではなく、揺るぎない真実だ。魔法とは、今なお解き明かされていない未知そのものなのだから。そんな未知に満ちた領域の中で魔法を追い求め、その永遠の道の先にある景色へと辿り着いた者こそが、魔法使い《ウィザード》へと到達する。

ライラが言葉にした「エンタリティー」という名を耳にした瞬間、ブランの鼓動が跳ね上がる。それはきっと、その場所で今もずっと、自分の事を待ってくれてる存在がいるからだろう。

「エンタリティー魔法学校は、稀に、才能ではなく、努力によって魔法を極める可能性を持つ者を、全てが集約した魔法都市アストラルへと招待する時があります」

『無限の可能性』を秘めた才ある魔法の子ではなく、たゆまぬ努力の末に己の『限界』を超えた魔法の子たちを、エンタリティー魔法学校が求める年がある。それは十年に一度かもしれないし、二十年に一度かもしれない。ただひとつ確かなことは、それが本当に稀な瞬間であり、選ばれることは極めて特別だということだ。

「そんな稀代の瞬間が……今年、訪れたんです」

ライラの声は静かでありながら、その響きには確固たる確信が宿っていた。ブランは彼女の言葉を聞きながら、自分の胸の中で広がる興奮と期待を抑えきれずにいた。心の奥底で燻っていた小さな希望が、一気に燃え上がる感覚が体中を駆け巡る。

「選ばれるのは、ほんの一握りの者。ですが、才能ではなく、たゆまぬ努力によって己の可能性を証明した者へと、必ず門が開かれる。私は、その瞬間の為に、自身の魔法を磨き続けてきました。構築の根幹を成す魔力を鍛え上げてきたんです」

少女の淡黄色の瞳には、その言葉に裏付けられた信念と揺るぎない決意が込められていた。ブランは彼女の決意と内に秘めた強い意志を感じ取る。そして彼は、目の前の少女が口にした言葉を心の中で噛みしめた。

――『努力』によって己の可能性を証明した者に、永遠の道エンタリティーへと続く門が開かれる。

世界から拒絶された少年にとって、「才能」とは焦がれるほどに羨ましいものであった。彼にとってそれは、絶対に手に入れることのできない力だったから。そんな少年は、「努力」によって道を切り開くことしか知らない存在であり、その術であらゆる困難を乗り越えてきた。彼にとって努力とは、数多の過酷を乗り越えるための希望の力であった。


心に新たな火が灯るのを感じた。大嫌いだった己の精神は、もうすでにダンジョンに置いてきた。一歩を踏み出すことが自分の成長に大きな意味を持つことを理解した。ならば次は、次のステップへと進む時間だ。そのために、二歩目を踏み出さなければならない時が訪れたのだ。

「私は……ブラン君と一緒にその魔法の学び舎に行きたいと考えています。だから――」

少女の言葉は、少年の言葉によって遮られる。

「ライラの提案、有難く受けさせてもらえないかな?」

決意を込めた双眸を緑色の少女へと向けた白色の少年は、ただ一言、言葉を発する。

「俺が更に前へと進むために、ライラの力を貸してほしい」

『いつまでも待ってる』と言ってくれた少女《クレア》の元へと行くために、ブランは自らの力を磨く決意を固める。少年の心に芽生えたのは未来への希望であり、それが深く広がっていく。自身の限界を打破し、魔法なしでも強さを手に入れる。余りにも無謀であると分かるその目標が、彼の中で燃え上がっていく。

ブランはもう一度空を眺め、はるか遠い領域にいる少女の姿を思い浮かべる。その瞳には、彼を待つ彼女の微笑みが映し出され、彼の心を一層強く打つ。彼女の存在が、自分の成長を促す原動力の一つとなっていることを改めて実感し、ブランはさらなる覚悟を決めた。今、自分が何をすべきかを。








雷冷の姫騎士プランセス。そろそろ時間です。」

その声を聴き、少女は重い瞼をゆっくりと上げる。次第に開かれた黄金に輝く双眸が視界を捉え、周囲の景色を映し出していく。

少女は自分を呼びに来た少年へと視線を向ける。その目の前に立つ少年が羽織っている黄色の色彩に彩られたローブの胸元、そこにはハイメイジを意味する紋章が輝いていた。

魔法使いの会議マギアデス・レユニオンに来いと、赤色の魔法使いマギアス・ルージュ様から呼ぶようにとお伝えされました」

少年のその言葉に、少女は溜息を漏らす。少女は逃げるように、その視線を巨大な窓から見える青い空へと向けた。

—そういえば、初めて会ったときの空もこんな感じだったっけ。

ふと昔の記憶が蘇り、少女は小さな笑みが浮かべた。

「…待ってるよ。ずっと待ってる」

その声を聞く者は誰もいない。ただその青い空へ、その声は、クレア・ウィル・ヴァルラークの声は、小さく消えていく。


====================

少しだけヒロイン視点の番です。

まず初めに、私の拙い文章を読んでくださり、ありがとうございます。
ゆっくりと書いていく予定です。
時々修正加えていくと思います。
誤字脱字があれば教えてください。
白が一番好きな色。






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