【完結】カエルレア幻想譚〜神と人間、永遠の絆〜

千鶴

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第一章

導者

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「——なるほど。それでマウト様……いや、テイ様は故郷を追われるハメに」

 ジンノは何度か頷く。

「まあ、結果としてはそれで良かったのだがな」
「テイ様の兄、アンク様は大変民思いの神だったのですね。ニフティ様たち弟妹への愛が、大変感じ取れました」
「感じ取れた? 我はアンクやニフティへの愛を語った覚えはないぞ、何を言うておる」
「へ? あ、いや……霊魂崇拝の儀の様子や、アンク様の他者へ対する気遣いなどが」

 マウトはジンノの言葉に吹き出した。

「我がニフティの儀の様子など知るわけなかろう、なんの妄想だ」

 ジンノは慌てて、マウトに合わせて笑う。

(なんだ? 話が噛み合わない……頭がグルグルする)

 マウトの口の動きを凝視するも、声がうまく聞こえない。ジンノはゆっくりと瞼を閉じる。すると突然、脳裏にタイプライターで打たれたような文字がカチカチカチ、と浮かんだ。


 “ワレノキヲクヲミヨ”
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