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「……トイレ」
東伍は、情けない足取りで部屋を出る。
広い宿舎を右往左往。こんな時にすぐ手洗いを見つけられない自分にさえ呆れて俯いた、その時。
「どうする? このまま、水野東伍を第四ラボに引き渡す?」
「いや。彼は我々にとって切り札です。使い所は考えないと」
聞き覚えのある声。東伍は導かれるようにして、薄暗い廊下の先に灯りの漏れる部屋を見つけると、その引き戸にそっと手を掛ける。
数ミリ。動かした隙間から覗けばそこは書庫のようで、壁一面に陳列した本棚を前に、凛子と恭一の姿があった。
「泉はそろそろ限界だよ。エルが暴走してる。本物が起きる前に早いとこ手を打たないと」
「凛子さん。そのことなんですが」
「でもまさか、陽子が生きていたなんて。今までずっと、泉はそれを隠していたのかな」
「凛子さん」
「まずいよ。このままじゃママが」
「凛子」
恭一の呼び掛けに、凛子はやっと顔を上げる。その不安と怯えに満ちた表情を見ると、目を合わせた恭一はそっと微笑んだ。
「もう、終わりにしよう」
「恭ちゃん?」
「こんなこと、ずっと続けるなんて無理です。淑和学院への潜入も、もうこれきりに」
瞬間で目に涙を溜めた凛子は、唇をワナワナと振るわせる。
「なんでよ! そんなことしたら!」
「元に戻るだけです。罪は、あなたの分も私が」
「恭ちゃん……」
凛子が恭一の胸にしがみつき顔を埋めたところで、東伍は引き戸をそっと閉めた。
(俺を引き渡す? ラボって、今はもう使われていないんじゃ……それに、本物ってなんだ? 淑和学院で、一体何が起きてるんだ)
東伍は催していたことさえすっかり忘れて、たった今得たばかりの情報を吟味する。
このまま彼らと一緒で良いのか。
この場所は窮地なのではないか。
すぐに動ける準備だけはしておきたかった。東伍は踵を返して部屋に戻ると、備蓄されていた衣類や水、懐中電灯やらを適当な袋に突っ込んで握りしめる。
ベッドに腰を下ろし、開いた足は確実に地に着いているはずなのに、妙な浮遊感で膝が震えた。
コンコンっ——
時刻は午前三時過ぎ。
東伍は袋を手に持ったまま、反射的に立ち上がった。
コンコンコンっ——
今度はさっきより少し強めに扉が叩かれる。
東伍は恐る恐る入り口まで行くと、息を呑んでから返事をした。
「はい」
東伍の声に、返事は続かない。
「あの。誰、ですか?」
すると足元で何かが動いた。
見れば、床には一枚の紙。外から扉の隙間を通されたその紙には、文字が。
“ガレージにある 品川 へ 348 黒のセダンを使って、今すぐ鷹司の敷地を出てください。キーは車体の下に。急いで”
「……まじで、なんなんだよ」
東伍の腹が、またギュルギュルと痛み出す。
「品川……へ、348。これだ」
東伍は持ってきたライトでナンバープレートを照らし、紙にあった黒のセダンを見つける。しゃがみ込み、運転席側の車体の下に手を突っ込めば、確かにそこには車のキーがあった。
解鍵音にすら怯えながら、辺りを見回して車に乗り込む。シートベルトを締めてエンジンをかけ、サイドブレーキを外し、ヘッドライトが前方を照らした瞬間。東伍は思い切りアクセルを踏み込もうとしてそれを止めた。
「……門、閉まっているんじゃ」
冷や汗が背中を伝う。
「これじゃあ、外には」
「大丈夫。門なら開いています。行ってください」
「へっ?!!」
シートベルトを締めていなければ、天井に頭がついていたのではと思うほどに、東伍の身体は驚きで跳ね上がる。
慌てて振り返れば、後部座席には泉が乗っていた。
「き、きみ、なんで」
「いいから早く車を出して。凛子と恭一さんが来てしまうわ」
無論、冷静ではいられなかった。
それでも東伍には、車を発進させる以外に選択肢はなく、泉の指示に従う他ない。
東伍は今度こそアクセルを踏んだ。泉の言った通り、すでに門は開いていて、すんなり鷹司の敷地を出る。
だが安堵も束の間、今度は焦燥感が東伍を襲った。状況も理解できないままにしばらく車を走らせるも、無音の車内。高級車であるためかエンジン音も最小限で、東伍はとうとう沈黙に耐えきれなくなる。
「これは、どういうことなんだ」
「あら。思ったより冷静ね。陽子からは、あなたはボケッとしていて掴みにくいって聞いていたけど」
東伍は眉間に皺を寄せた。
「……陽子、なのか?」
「ううん。ごめんね、私は陽子じゃない」
クスクス笑う彼女は、陽子の時とも泉の時とも違う、どこか柔らかい雰囲気を纏う。
「困ってるわよね。全く、泉も陽子もエルも凛子も、自分のことばっかりで全然あなたに説明してあげないんだもの。でも安心して。私が、あなたに起きたことをちゃんと教えてあげるから」
彼女はやはり、目を細めてクスクス笑う。大人のようで、子供のようで。掴みにくいのは彼女の方だと東伍は困惑を極めた。
「今回のこと、あなたは偶然に巻き込まれたわけじゃない。元々あなたは私たちの生きる円の中に居て、そこから去っていった。最初から関わりのある人間だったのよ」
「関わりって……俺は鷹司の名前も、人格遺伝子や小瀬メンタルクリニックのことだって、こうなるまで何ひとつ知らなかった」
「でも、陽子のことは知ってるでしょう? 陽子とあなたは、恋人同士だって」
「それは」
「覚えている? あなたは陽子とどう知り合って、どうして付き合うことになったか。それ以前に、あなたは幼少期をどう生きて、大人になるまでどんな人生を歩んできたか」
東伍はバックミラーで後部座席を確認しつつ、前方を見据えて話に耳を傾ける。
「あなたの恋人、本当に小林陽子?」
「……え?」
「思い出して。考えて。あなたの記憶の底に沈んだ、恋人の顔。あなたが好きになった女の子の顔は、どんなだった?」
東伍の瞬きが増える。同時に、思い出そうとすればするほど、頭の中で無機質なシャッターがガシャンガシャンと音を立てて阻む。
「陽子は……栗色のショートヘアで、目はちょっと鋭くて。高い鼻に、薄い……唇」
東伍はハザードを炊いて、路肩に車を停めた。額を、拳で何度か叩く。
頭の中に浮かべた陽子の顔面にはノイズが掛かっていた。鉤爪で引っ掻いたような傷が、陽子の目に、鼻に、唇に、手の甲に、残酷に線を引っ張っていく。
「うっ……頭が」
「大丈夫よ落ち着いて。水は持ってる? これを飲んで」
後部座席から身を乗り出した彼女が右手を差し出す。手のひらには、小さなカプセルがひとつのっていた。
「これは……」
「そうよ。覚えがあるわね?」
そのカプセルは、陽子がいつも東伍のためにと用意してくれていたサプリメントによく似ていた。
「これを飲めば、頭のノイズは消える」
「飲まなきゃ、どうなる? 死ぬのか?」
「死ぬことはないと思うわ。でも飲まなければ、その頭の痛みはしばらく続くでしょうね。そうするうちに霧が晴れるか、はたまた身体が先に壊れるか。いずれにしても、今は飲んでおいた方がいいと思う」
東伍は片目を瞑りながら歯を食いしばるも、痛みに耐えきれずに、彼女の手のひらのカプセルをむしり取った。
持ってきた袋から水のペットボトルを取り出すと、震える手で蓋を開け、カプセルと一緒に口へと流し込む。
浅い呼吸が、少しずつ速度を緩めて。
乾いた唇を舌で舐めとる頃には、頭の痛みも引いていた。
「落ち着いた?」
「ああ」
「良かった。ごめんなさい、私が焚き付けたりしたから。でもね。今の現象が、あなたが元々こちら側にいたことの証明になる」
みれば彼女の手のひらには、カプセルの代わりに宝石のついた小さな鍵が。
「連れて行って欲しい場所があるの」
「待って。もう少しだけ、時間をくれ」
「ええ、もちろん。じゃあそうね。あなたの心が落ち着くまで、ちょっとした昔話でもしましょうか」
東伍は、情けない足取りで部屋を出る。
広い宿舎を右往左往。こんな時にすぐ手洗いを見つけられない自分にさえ呆れて俯いた、その時。
「どうする? このまま、水野東伍を第四ラボに引き渡す?」
「いや。彼は我々にとって切り札です。使い所は考えないと」
聞き覚えのある声。東伍は導かれるようにして、薄暗い廊下の先に灯りの漏れる部屋を見つけると、その引き戸にそっと手を掛ける。
数ミリ。動かした隙間から覗けばそこは書庫のようで、壁一面に陳列した本棚を前に、凛子と恭一の姿があった。
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「凛子さん。そのことなんですが」
「でもまさか、陽子が生きていたなんて。今までずっと、泉はそれを隠していたのかな」
「凛子さん」
「まずいよ。このままじゃママが」
「凛子」
恭一の呼び掛けに、凛子はやっと顔を上げる。その不安と怯えに満ちた表情を見ると、目を合わせた恭一はそっと微笑んだ。
「もう、終わりにしよう」
「恭ちゃん?」
「こんなこと、ずっと続けるなんて無理です。淑和学院への潜入も、もうこれきりに」
瞬間で目に涙を溜めた凛子は、唇をワナワナと振るわせる。
「なんでよ! そんなことしたら!」
「元に戻るだけです。罪は、あなたの分も私が」
「恭ちゃん……」
凛子が恭一の胸にしがみつき顔を埋めたところで、東伍は引き戸をそっと閉めた。
(俺を引き渡す? ラボって、今はもう使われていないんじゃ……それに、本物ってなんだ? 淑和学院で、一体何が起きてるんだ)
東伍は催していたことさえすっかり忘れて、たった今得たばかりの情報を吟味する。
このまま彼らと一緒で良いのか。
この場所は窮地なのではないか。
すぐに動ける準備だけはしておきたかった。東伍は踵を返して部屋に戻ると、備蓄されていた衣類や水、懐中電灯やらを適当な袋に突っ込んで握りしめる。
ベッドに腰を下ろし、開いた足は確実に地に着いているはずなのに、妙な浮遊感で膝が震えた。
コンコンっ——
時刻は午前三時過ぎ。
東伍は袋を手に持ったまま、反射的に立ち上がった。
コンコンコンっ——
今度はさっきより少し強めに扉が叩かれる。
東伍は恐る恐る入り口まで行くと、息を呑んでから返事をした。
「はい」
東伍の声に、返事は続かない。
「あの。誰、ですか?」
すると足元で何かが動いた。
見れば、床には一枚の紙。外から扉の隙間を通されたその紙には、文字が。
“ガレージにある 品川 へ 348 黒のセダンを使って、今すぐ鷹司の敷地を出てください。キーは車体の下に。急いで”
「……まじで、なんなんだよ」
東伍の腹が、またギュルギュルと痛み出す。
「品川……へ、348。これだ」
東伍は持ってきたライトでナンバープレートを照らし、紙にあった黒のセダンを見つける。しゃがみ込み、運転席側の車体の下に手を突っ込めば、確かにそこには車のキーがあった。
解鍵音にすら怯えながら、辺りを見回して車に乗り込む。シートベルトを締めてエンジンをかけ、サイドブレーキを外し、ヘッドライトが前方を照らした瞬間。東伍は思い切りアクセルを踏み込もうとしてそれを止めた。
「……門、閉まっているんじゃ」
冷や汗が背中を伝う。
「これじゃあ、外には」
「大丈夫。門なら開いています。行ってください」
「へっ?!!」
シートベルトを締めていなければ、天井に頭がついていたのではと思うほどに、東伍の身体は驚きで跳ね上がる。
慌てて振り返れば、後部座席には泉が乗っていた。
「き、きみ、なんで」
「いいから早く車を出して。凛子と恭一さんが来てしまうわ」
無論、冷静ではいられなかった。
それでも東伍には、車を発進させる以外に選択肢はなく、泉の指示に従う他ない。
東伍は今度こそアクセルを踏んだ。泉の言った通り、すでに門は開いていて、すんなり鷹司の敷地を出る。
だが安堵も束の間、今度は焦燥感が東伍を襲った。状況も理解できないままにしばらく車を走らせるも、無音の車内。高級車であるためかエンジン音も最小限で、東伍はとうとう沈黙に耐えきれなくなる。
「これは、どういうことなんだ」
「あら。思ったより冷静ね。陽子からは、あなたはボケッとしていて掴みにくいって聞いていたけど」
東伍は眉間に皺を寄せた。
「……陽子、なのか?」
「ううん。ごめんね、私は陽子じゃない」
クスクス笑う彼女は、陽子の時とも泉の時とも違う、どこか柔らかい雰囲気を纏う。
「困ってるわよね。全く、泉も陽子もエルも凛子も、自分のことばっかりで全然あなたに説明してあげないんだもの。でも安心して。私が、あなたに起きたことをちゃんと教えてあげるから」
彼女はやはり、目を細めてクスクス笑う。大人のようで、子供のようで。掴みにくいのは彼女の方だと東伍は困惑を極めた。
「今回のこと、あなたは偶然に巻き込まれたわけじゃない。元々あなたは私たちの生きる円の中に居て、そこから去っていった。最初から関わりのある人間だったのよ」
「関わりって……俺は鷹司の名前も、人格遺伝子や小瀬メンタルクリニックのことだって、こうなるまで何ひとつ知らなかった」
「でも、陽子のことは知ってるでしょう? 陽子とあなたは、恋人同士だって」
「それは」
「覚えている? あなたは陽子とどう知り合って、どうして付き合うことになったか。それ以前に、あなたは幼少期をどう生きて、大人になるまでどんな人生を歩んできたか」
東伍はバックミラーで後部座席を確認しつつ、前方を見据えて話に耳を傾ける。
「あなたの恋人、本当に小林陽子?」
「……え?」
「思い出して。考えて。あなたの記憶の底に沈んだ、恋人の顔。あなたが好きになった女の子の顔は、どんなだった?」
東伍の瞬きが増える。同時に、思い出そうとすればするほど、頭の中で無機質なシャッターがガシャンガシャンと音を立てて阻む。
「陽子は……栗色のショートヘアで、目はちょっと鋭くて。高い鼻に、薄い……唇」
東伍はハザードを炊いて、路肩に車を停めた。額を、拳で何度か叩く。
頭の中に浮かべた陽子の顔面にはノイズが掛かっていた。鉤爪で引っ掻いたような傷が、陽子の目に、鼻に、唇に、手の甲に、残酷に線を引っ張っていく。
「うっ……頭が」
「大丈夫よ落ち着いて。水は持ってる? これを飲んで」
後部座席から身を乗り出した彼女が右手を差し出す。手のひらには、小さなカプセルがひとつのっていた。
「これは……」
「そうよ。覚えがあるわね?」
そのカプセルは、陽子がいつも東伍のためにと用意してくれていたサプリメントによく似ていた。
「これを飲めば、頭のノイズは消える」
「飲まなきゃ、どうなる? 死ぬのか?」
「死ぬことはないと思うわ。でも飲まなければ、その頭の痛みはしばらく続くでしょうね。そうするうちに霧が晴れるか、はたまた身体が先に壊れるか。いずれにしても、今は飲んでおいた方がいいと思う」
東伍は片目を瞑りながら歯を食いしばるも、痛みに耐えきれずに、彼女の手のひらのカプセルをむしり取った。
持ってきた袋から水のペットボトルを取り出すと、震える手で蓋を開け、カプセルと一緒に口へと流し込む。
浅い呼吸が、少しずつ速度を緩めて。
乾いた唇を舌で舐めとる頃には、頭の痛みも引いていた。
「落ち着いた?」
「ああ」
「良かった。ごめんなさい、私が焚き付けたりしたから。でもね。今の現象が、あなたが元々こちら側にいたことの証明になる」
みれば彼女の手のひらには、カプセルの代わりに宝石のついた小さな鍵が。
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