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序章
019-冷たき城塞
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そして、ついにその日はやって来た。
検査の終わった二人は、二週間を過ごした外周リングから離れ、Noa-Tunの本体へと移送された。
「す.....凄い....!」
「なんて大きな....!」
外周リングの広大な施設すら霞む大きさ。
ホールドスターとは、まさに月サイズの施設なのだ。
ドックインしたグローリー級から、二人はオーロラに導かれて城内へと降り立つ。
そこに広がっていたのは、二人からすれば未知の光景であった。
金属と金属がぶつかる音、吹き抜ける冷たい風、上から降り注ぐ、無機質な光。
そして――――――
「これが天使様?」
「かも.....」
ずらりと並ぶのは、作業用の人型アンドロイドである。
人の手でしかできない作業のために、人型に近い姿を持っている。
オーロラの采配で、アンドロイドで壁を作って誘導する形にしたのだ。
「見て! お姉ちゃん! あれがきっと、獣神様のお船だよ!」
「あれが.....!」
ネムが指差したのは、天井付近で建造中らしき船。
塗装前で緑色のため、森を司る獣神の船だと思ったのだろう。
その正体は、戦略支援艦ガヴリエル。
現在建造中の、遠隔アーマーリペアラを搭載できる、いわゆる回復役の船である。
『コチラへ、ドウゾ』
アンドロイドに案内され、二人は長い長い回廊へと足を踏み入れた。
そこには小型車輌が待機しており、運転席には同じくアンドロイドが座っている。
二人がそれに乗り込むと、車輌は音を立てて出発した。
「お姉ちゃん、これって…お馬さんなの!?」
「私にもわかんない!」
二人にとって、人を乗せて走る最速のものとは馬である。
だが、金属で出来ていて、尚且つこんな速度で走るものは二人にとって未知のものだった。
「きっとこれが、星空の王様のお馬さんなのかも!」
「……そうかも、しれないわね」
ルルは少し迷う。
自分たちを救った人間が嫌がっているというのに、妹の態度はこのままでいいのかと。
だが、純真な妹は、無垢な信仰を向けている。
それを邪魔するのは、如何なものかと思ったのだ。
二人は20分ほどかけて、ホールドスターの中を旅した。
ネムは目に映るもの全てに興奮していたが、ネムは無機質で整然とした構造にある種の不気味さを覚えていた。
「(あの人、ここで何年も過ごしてるのかな)」
だとしたら、随分と寂しそうだ。
ルルはそう思った。
そして二人は、戦闘指揮所の前の大エレベーターへと到着する。
普段シンが利用している小さなエレベーターではなく、この要塞の本来の人員である大人数の輸送に利用されているものだ。
それは圧巻の大きさであり、二人を威圧するのに十分だった。
「っ、お姉ちゃん」
「え、ええ。行きましょ」
二人は手を繋いで、エレベーターの前へと歩いていく。
そして二人の目の前で、巨大なエレベーターの扉が開いた。
二人は乗り込み、充分に安全性を確保したと判断したオーロラが扉を閉め、エレベーターを動かす。
轟音の中で、二人は耳を伏せつつ話す。
「わくわくするね!」
「…私も、そう思うわ」
ルルは初めて、ネムの元気を羨ましく思った。
エレベーターは最上階へと到着し、そして…
「待っていたぞ」
二人の前に、艦隊総司令シンが姿を現した。
検査の終わった二人は、二週間を過ごした外周リングから離れ、Noa-Tunの本体へと移送された。
「す.....凄い....!」
「なんて大きな....!」
外周リングの広大な施設すら霞む大きさ。
ホールドスターとは、まさに月サイズの施設なのだ。
ドックインしたグローリー級から、二人はオーロラに導かれて城内へと降り立つ。
そこに広がっていたのは、二人からすれば未知の光景であった。
金属と金属がぶつかる音、吹き抜ける冷たい風、上から降り注ぐ、無機質な光。
そして――――――
「これが天使様?」
「かも.....」
ずらりと並ぶのは、作業用の人型アンドロイドである。
人の手でしかできない作業のために、人型に近い姿を持っている。
オーロラの采配で、アンドロイドで壁を作って誘導する形にしたのだ。
「見て! お姉ちゃん! あれがきっと、獣神様のお船だよ!」
「あれが.....!」
ネムが指差したのは、天井付近で建造中らしき船。
塗装前で緑色のため、森を司る獣神の船だと思ったのだろう。
その正体は、戦略支援艦ガヴリエル。
現在建造中の、遠隔アーマーリペアラを搭載できる、いわゆる回復役の船である。
『コチラへ、ドウゾ』
アンドロイドに案内され、二人は長い長い回廊へと足を踏み入れた。
そこには小型車輌が待機しており、運転席には同じくアンドロイドが座っている。
二人がそれに乗り込むと、車輌は音を立てて出発した。
「お姉ちゃん、これって…お馬さんなの!?」
「私にもわかんない!」
二人にとって、人を乗せて走る最速のものとは馬である。
だが、金属で出来ていて、尚且つこんな速度で走るものは二人にとって未知のものだった。
「きっとこれが、星空の王様のお馬さんなのかも!」
「……そうかも、しれないわね」
ルルは少し迷う。
自分たちを救った人間が嫌がっているというのに、妹の態度はこのままでいいのかと。
だが、純真な妹は、無垢な信仰を向けている。
それを邪魔するのは、如何なものかと思ったのだ。
二人は20分ほどかけて、ホールドスターの中を旅した。
ネムは目に映るもの全てに興奮していたが、ネムは無機質で整然とした構造にある種の不気味さを覚えていた。
「(あの人、ここで何年も過ごしてるのかな)」
だとしたら、随分と寂しそうだ。
ルルはそう思った。
そして二人は、戦闘指揮所の前の大エレベーターへと到着する。
普段シンが利用している小さなエレベーターではなく、この要塞の本来の人員である大人数の輸送に利用されているものだ。
それは圧巻の大きさであり、二人を威圧するのに十分だった。
「っ、お姉ちゃん」
「え、ええ。行きましょ」
二人は手を繋いで、エレベーターの前へと歩いていく。
そして二人の目の前で、巨大なエレベーターの扉が開いた。
二人は乗り込み、充分に安全性を確保したと判断したオーロラが扉を閉め、エレベーターを動かす。
轟音の中で、二人は耳を伏せつつ話す。
「わくわくするね!」
「…私も、そう思うわ」
ルルは初めて、ネムの元気を羨ましく思った。
エレベーターは最上階へと到着し、そして…
「待っていたぞ」
二人の前に、艦隊総司令シンが姿を現した。
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