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序章
012-激戦の開幕
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『良い旅を』
「ああ」
それから二日後、アドアステラはステーションから出航した。
すぐにワープに入る。
「ワープドライブ起動」
轟音と共に景色が歪み、数秒経ってワープが終了する。
すぐにワープコアを非アクティブ化し、ハイパースペースへの入り口を作る。
「ハイパードライブ起動!」
モニターにハイパーコア起動の文字が浮かぶ。
ハイパースペースへとアドアステラが突入し、周囲の景色が極彩色に染まる。
「はぁ~......」
ハイパースペースの出口まで31時間。
それが終われば、全力戦闘の始まりだ。
出口の先にあるのは海賊の港。
単艦で突破するには少々厳しい。
TRINITY.は連動ワープで私より6時間遅れて到着する。
「つまりは、6時間耐えきる必要があるって事だ」
速度を捨てて耐久へ。
そんなことは難しい、というか不可能に近い。
耐久を得たところで、多対一では圧倒的に不利だ。
「速度で振り切る、やっぱりこれしかない」
規模が大きい以上、絶対にワープ阻害を使ってくる。
なら、全力で範囲外まで逃げ切るしかない。
「お兄ちゃん.......不肖の妹だけど、頑張るよ」
私は不利な戦いはしない。
いつだって万全の準備を整えて、アドアステラ.....お兄ちゃんのくれた、お兄ちゃんの大事な船を守ってきた。
SNOの世界は厳しい。
対策や常套手段を知らなければ、どんなに高い船も、どんなに強力な船も。
あっという間に沈むのだから。
「これは、私の最初の戦い....」
蹂躙ではなく、この世界に来て初めての、戦闘。
生死を賭けた戦いに挑むのだ。
それはそれとして。
ハイパースペースを通過するまで残り30時間。
「一人だと、何も無くて嫌だな.....」
こういう時、別れを告げる相手も、来る決戦を誓い合う仲間もいない。
お兄ちゃんがいれば、こんなに不安になることもないんだけど。
「.....」
私は残りの数時間を、トレーニング→風呂→風呂上がりのトマト風炭酸飲料の組み合わせで過ごした。
4ループ目くらいで眠くなってきて、そのまま就寝した。
お兄ちゃんの夢は.......
見れなかった。
『ハイパーアウトまで、残り42秒』
そんな表示が、目の前の画面で点滅する。
コンソールについた手に、感覚が無くなるくらいの力を込める。
「お兄ちゃんの言う通りにしていればいいお兄ちゃんの言う通りにしていればいいお兄ちゃんの言う通りにしていればいいお兄ちゃんの言う通りにしていればいいお兄ちゃんの言う通りにしていればいいお兄ちゃんの言う通りにしていればいいお兄ちゃんの言う通りにしていればいいお兄ちゃんの言う通りにしていればいいお兄ちゃんの言う通りにしていればいいお兄ちゃんの言う通りにしていればいい.....」
そんな、呪詛と言われても文句の言えない言葉を呟きながらその時を待つ。
全てのモジュールの点検は終わった。
後は戦うだけだ。
『ハイパーアウトまで、残り3秒』
『2秒』
『1秒』
「出た!」
極彩色だった背景が、まるで巻き戻るかのように通常の宇宙へと戻る。
そして、同時に.....周囲を囲む無数の建造物。
鳴り響くアラート。
どう考えても死地だ、なのに......
「不思議と、楽しい....」
わくわくする。
お兄ちゃんだって、そう思うはずだ。
私はコンソールへと手を伸ばし、推力を最大に引き上げた。
「さあ、行こう!」
「ああ」
それから二日後、アドアステラはステーションから出航した。
すぐにワープに入る。
「ワープドライブ起動」
轟音と共に景色が歪み、数秒経ってワープが終了する。
すぐにワープコアを非アクティブ化し、ハイパースペースへの入り口を作る。
「ハイパードライブ起動!」
モニターにハイパーコア起動の文字が浮かぶ。
ハイパースペースへとアドアステラが突入し、周囲の景色が極彩色に染まる。
「はぁ~......」
ハイパースペースの出口まで31時間。
それが終われば、全力戦闘の始まりだ。
出口の先にあるのは海賊の港。
単艦で突破するには少々厳しい。
TRINITY.は連動ワープで私より6時間遅れて到着する。
「つまりは、6時間耐えきる必要があるって事だ」
速度を捨てて耐久へ。
そんなことは難しい、というか不可能に近い。
耐久を得たところで、多対一では圧倒的に不利だ。
「速度で振り切る、やっぱりこれしかない」
規模が大きい以上、絶対にワープ阻害を使ってくる。
なら、全力で範囲外まで逃げ切るしかない。
「お兄ちゃん.......不肖の妹だけど、頑張るよ」
私は不利な戦いはしない。
いつだって万全の準備を整えて、アドアステラ.....お兄ちゃんのくれた、お兄ちゃんの大事な船を守ってきた。
SNOの世界は厳しい。
対策や常套手段を知らなければ、どんなに高い船も、どんなに強力な船も。
あっという間に沈むのだから。
「これは、私の最初の戦い....」
蹂躙ではなく、この世界に来て初めての、戦闘。
生死を賭けた戦いに挑むのだ。
それはそれとして。
ハイパースペースを通過するまで残り30時間。
「一人だと、何も無くて嫌だな.....」
こういう時、別れを告げる相手も、来る決戦を誓い合う仲間もいない。
お兄ちゃんがいれば、こんなに不安になることもないんだけど。
「.....」
私は残りの数時間を、トレーニング→風呂→風呂上がりのトマト風炭酸飲料の組み合わせで過ごした。
4ループ目くらいで眠くなってきて、そのまま就寝した。
お兄ちゃんの夢は.......
見れなかった。
『ハイパーアウトまで、残り42秒』
そんな表示が、目の前の画面で点滅する。
コンソールについた手に、感覚が無くなるくらいの力を込める。
「お兄ちゃんの言う通りにしていればいいお兄ちゃんの言う通りにしていればいいお兄ちゃんの言う通りにしていればいいお兄ちゃんの言う通りにしていればいいお兄ちゃんの言う通りにしていればいいお兄ちゃんの言う通りにしていればいいお兄ちゃんの言う通りにしていればいいお兄ちゃんの言う通りにしていればいいお兄ちゃんの言う通りにしていればいいお兄ちゃんの言う通りにしていればいい.....」
そんな、呪詛と言われても文句の言えない言葉を呟きながらその時を待つ。
全てのモジュールの点検は終わった。
後は戦うだけだ。
『ハイパーアウトまで、残り3秒』
『2秒』
『1秒』
「出た!」
極彩色だった背景が、まるで巻き戻るかのように通常の宇宙へと戻る。
そして、同時に.....周囲を囲む無数の建造物。
鳴り響くアラート。
どう考えても死地だ、なのに......
「不思議と、楽しい....」
わくわくする。
お兄ちゃんだって、そう思うはずだ。
私はコンソールへと手を伸ばし、推力を最大に引き上げた。
「さあ、行こう!」
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