59 / 105
ダンジョン~〝戦極〟覚醒編
058:解呪の札のゆくえ
しおりを挟む
「報告では、この島より右の浮島へと行き、そこから下層へと下る階段があるそうですわ」
歩くこと一時間ほどで、目的の場所へと到着する。
そこは何度か浮島をわたり、そこへと行くまで何度か気持ちの悪い魚の魔物と戦った後のことだった。
少し大きめの浮島の中央に、不自然な四角形の空間が切り取られていた。
その奥には日時計に似た物があり、地面へと影を落とす。
「ハッ! 結構ベタな階段だな。RPGかっつーの」
「違うよ昇司くん……階段なんてないよ」
「ハァ? どういう意味だ桜」
桜が最初にその切り取られた空間を覗き見る。
入り口と同じく、全く光を通さない漆黒の空間だけが広がり、そこには何も見えなかった。
驚く二人にかまわず、エカテリーナはその闇へと足を踏み出す。
すると真っ暗な空間にもかかわらず、足場があるように彼女の右足が途中で停止。
「これが暗黒のダンジョンの由来ですわ。当初ただの穴と思い込み、調査が進まなかったとの事。とは言え、まぁ……その調査隊も途中までの報告のみでしたが」
「こ、ここを行くのですか?」
「ぅぇぇ~アタシも行きなくないわ~」
「黙りなさい。いいですか貴方たち、わたくしが入った後に躊躇せず入って来なさい。じゃないと迷うわよ?」
そう言うとエカテリーナは漆黒の闇へと消えていく。
それを見た剛流と真乃依が恐怖で顔を引きつらせていると、お気楽な昇司がすぐ後に続く。
「だらしねぇ奴らだ。俺が規格外と違い、ホンモノの勇者ってやつを見せてやるぜ!」
「あ! 待ちなよ昇司ぃ、アタシも行くって~」
エカテリーナに続き、二人が漆黒の階段へと入っていく。
不気味なほど静まり返る入り口に、桜と剛流は震えている。
そんな二人の肩をたたきつつ、戦極は穴へと向かう。
「まず俺が入るから大丈夫だって。もしあっちがヤバイ状況ならすぐに戻って、お前たちだけでも戻るように指示するからさ」
「わ、わかりました」
「戦極さん……むりはしちゃだめですよ?」
「大丈夫だよ桜。俺は弱いからムリはしないさ」
ムリはしない……か。
とは言え、ムリは承知で押し通らないとな。
最悪この二人だけでも、生き残らせなきゃならない。
「お、本当に足場があるぞ? これなら行けそうだ。じゃあ向こう側が安全なら手招きするから付いてきてくれ」
「「はい!」」
これは流石に気持ちが悪いな。
例えるなら闇が濃密な質量をもち、まとわりつくような……ただ……なんだ?
一瞬だが頭まで沈んだ瞬間に、この世界へ来たときと同じ感覚を感じた?
つぅ事は、転移系の何かなのかもしれないな。
って、次はベタないかにもな場所だねぇ。
あいつらは……いた。ドS女は前方を向いているなら、一度戻れるな。
「あ、桜ちゃん。戦極さんの手じゃないあれ?」
「そうだね……じゃあ行こうか」
戦極の手が漆黒の空間から伸び、手招きをしている。
とはいえ、あの何者も呑み込む闇を入り口で経験したとはいえ、飛び込むのは恐ろしい。
しかし二人は戦極を信じ、ゆっくりと足を踏み出す。
最初に剛流が入り、次に桜が歩をすすめる。
やがて頭までつかり、次に二人が気がついたときは、自然石を組み合わせたような内部であった。
それも壁だけにとどまらず、天上も床も全てが同じような感じであり、壁には松明の明かりが灯っている、うす暗い圧迫感がある空間。
誰が設置したのかと不思議に思う桜であったが、それより戦極の姿が見当たらないの気になる。
先に入った三人を見るが、やはりそこにもいない。
不安になったその時、突如背後から剛流との間に影が割り込み、二人の肩を掴まれた。
「だぁ~れだっと?」
「「戦極さん!?」」
「そう不安そうな顔をするなよ。大丈夫、よわっちぃ俺がついているからな?」
「せ、戦極さん。驚かさないでくださいよ~」
「ふふ。でもおかげで変な緊張がとけた感じです。ね、剛流くん?」
「い、いわれてみれば……うん。不思議と恐怖心が薄らいだよ」
ふぅ~。この肩叩きの呼吸って難しいんだよな。
変にやると逆に怖がらせるからなぁ……クソジジイ。こんな事まで教えてくれて感謝してやる。
さてと……。
後はこのドS女の出方次第ってところだが、どうやって解呪の札を手に入れる?
そこが一番の問題ではある、か。
歩くこと一時間ほどで、目的の場所へと到着する。
そこは何度か浮島をわたり、そこへと行くまで何度か気持ちの悪い魚の魔物と戦った後のことだった。
少し大きめの浮島の中央に、不自然な四角形の空間が切り取られていた。
その奥には日時計に似た物があり、地面へと影を落とす。
「ハッ! 結構ベタな階段だな。RPGかっつーの」
「違うよ昇司くん……階段なんてないよ」
「ハァ? どういう意味だ桜」
桜が最初にその切り取られた空間を覗き見る。
入り口と同じく、全く光を通さない漆黒の空間だけが広がり、そこには何も見えなかった。
驚く二人にかまわず、エカテリーナはその闇へと足を踏み出す。
すると真っ暗な空間にもかかわらず、足場があるように彼女の右足が途中で停止。
「これが暗黒のダンジョンの由来ですわ。当初ただの穴と思い込み、調査が進まなかったとの事。とは言え、まぁ……その調査隊も途中までの報告のみでしたが」
「こ、ここを行くのですか?」
「ぅぇぇ~アタシも行きなくないわ~」
「黙りなさい。いいですか貴方たち、わたくしが入った後に躊躇せず入って来なさい。じゃないと迷うわよ?」
そう言うとエカテリーナは漆黒の闇へと消えていく。
それを見た剛流と真乃依が恐怖で顔を引きつらせていると、お気楽な昇司がすぐ後に続く。
「だらしねぇ奴らだ。俺が規格外と違い、ホンモノの勇者ってやつを見せてやるぜ!」
「あ! 待ちなよ昇司ぃ、アタシも行くって~」
エカテリーナに続き、二人が漆黒の階段へと入っていく。
不気味なほど静まり返る入り口に、桜と剛流は震えている。
そんな二人の肩をたたきつつ、戦極は穴へと向かう。
「まず俺が入るから大丈夫だって。もしあっちがヤバイ状況ならすぐに戻って、お前たちだけでも戻るように指示するからさ」
「わ、わかりました」
「戦極さん……むりはしちゃだめですよ?」
「大丈夫だよ桜。俺は弱いからムリはしないさ」
ムリはしない……か。
とは言え、ムリは承知で押し通らないとな。
最悪この二人だけでも、生き残らせなきゃならない。
「お、本当に足場があるぞ? これなら行けそうだ。じゃあ向こう側が安全なら手招きするから付いてきてくれ」
「「はい!」」
これは流石に気持ちが悪いな。
例えるなら闇が濃密な質量をもち、まとわりつくような……ただ……なんだ?
一瞬だが頭まで沈んだ瞬間に、この世界へ来たときと同じ感覚を感じた?
つぅ事は、転移系の何かなのかもしれないな。
って、次はベタないかにもな場所だねぇ。
あいつらは……いた。ドS女は前方を向いているなら、一度戻れるな。
「あ、桜ちゃん。戦極さんの手じゃないあれ?」
「そうだね……じゃあ行こうか」
戦極の手が漆黒の空間から伸び、手招きをしている。
とはいえ、あの何者も呑み込む闇を入り口で経験したとはいえ、飛び込むのは恐ろしい。
しかし二人は戦極を信じ、ゆっくりと足を踏み出す。
最初に剛流が入り、次に桜が歩をすすめる。
やがて頭までつかり、次に二人が気がついたときは、自然石を組み合わせたような内部であった。
それも壁だけにとどまらず、天上も床も全てが同じような感じであり、壁には松明の明かりが灯っている、うす暗い圧迫感がある空間。
誰が設置したのかと不思議に思う桜であったが、それより戦極の姿が見当たらないの気になる。
先に入った三人を見るが、やはりそこにもいない。
不安になったその時、突如背後から剛流との間に影が割り込み、二人の肩を掴まれた。
「だぁ~れだっと?」
「「戦極さん!?」」
「そう不安そうな顔をするなよ。大丈夫、よわっちぃ俺がついているからな?」
「せ、戦極さん。驚かさないでくださいよ~」
「ふふ。でもおかげで変な緊張がとけた感じです。ね、剛流くん?」
「い、いわれてみれば……うん。不思議と恐怖心が薄らいだよ」
ふぅ~。この肩叩きの呼吸って難しいんだよな。
変にやると逆に怖がらせるからなぁ……クソジジイ。こんな事まで教えてくれて感謝してやる。
さてと……。
後はこのドS女の出方次第ってところだが、どうやって解呪の札を手に入れる?
そこが一番の問題ではある、か。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした
新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。
「もうオマエはいらん」
勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。
ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。
転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。
勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
【コミカライズ決定】勇者学園の西園寺オスカー~実力を隠して勇者学園を満喫する俺、美人生徒会長に目をつけられたので最強ムーブをかましたい~
エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング2位獲得作品】
【第5回一二三書房Web小説大賞コミカライズ賞】
~ポルカコミックスでの漫画化(コミカライズ)決定!~
ゼルトル勇者学園に通う少年、西園寺オスカーはかなり変わっている。
学園で、教師をも上回るほどの実力を持っておきながらも、その実力を隠し、他の生徒と同様の、平均的な目立たない存在として振る舞うのだ。
何か実力を隠す特別な理由があるのか。
いや、彼はただ、「かっこよさそう」だから実力を隠す。
そんな中、隣の席の美少女セレナや、生徒会長のアリア、剣術教師であるレイヴンなどは、「西園寺オスカーは何かを隠している」というような疑念を抱き始めるのだった。
貴族出身の傲慢なクラスメイトに、彼と対峙することを選ぶ生徒会〈ガーディアンズ・オブ・ゼルトル〉、さらには魔王まで、西園寺オスカーの前に立ちはだかる。
オスカーはどうやって最強の力を手にしたのか。授業や試験ではどんなムーブをかますのか。彼の実力を知る者は現れるのか。
世界を揺るがす、最強中二病主人公の爆誕を見逃すな!
※小説家になろう、カクヨム、pixivにも投稿中。
【書籍化】パーティー追放から始まる収納無双!~姪っ子パーティといく最強ハーレム成り上がり~
くーねるでぶる(戒め)
ファンタジー
【24年11月5日発売】
その攻撃、収納する――――ッ!
【収納】のギフトを賜り、冒険者として活躍していたアベルは、ある日、一方的にパーティから追放されてしまう。
理由は、マジックバッグを手に入れたから。
マジックバッグの性能は、全てにおいてアベルの【収納】のギフトを上回っていたのだ。
これは、3度にも及ぶパーティ追放で、すっかり自信を見失った男の再生譚である。
転生したら領主の息子だったので快適な暮らしのために知識チートを実践しました
SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
不摂生が祟ったのか浴槽で溺死したブラック企業務めの社畜は、ステップド騎士家の長男エルに転生する。
不便な異世界で生活環境を改善するためにエルは知恵を絞る。
14万文字執筆済み。2025年8月25日~9月30日まで毎日7:10、12:10の一日二回更新。
【状態異常無効】の俺、呪われた秘境に捨てられたけど、毒沼はただの温泉だし、呪いの果実は極上の美味でした
夏見ナイ
ファンタジー
支援術師ルインは【状態異常無効】という地味なスキルしか持たないことから、パーティを追放され、生きては帰れない『魔瘴の森』に捨てられてしまう。
しかし、彼にとってそこは楽園だった!致死性の毒沼は極上の温泉に、呪いの果実は栄養満点の美味に。唯一無二のスキルで死の土地を快適な拠点に変え、自由気ままなスローライフを満喫する。
やがて呪いで石化したエルフの少女を救い、もふもふの神獣を仲間に加え、彼の楽園はさらに賑やかになっていく。
一方、ルインを捨てた元パーティは崩壊寸前で……。
これは、追放された青年が、意図せず世界を救う拠点を作り上げてしまう、勘違い無自覚スローライフ・ファンタジー!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる