もふもふ子狐のせいで、廃棄(ゴミ)の烙印を押されたハズレ男。あまりにも酷い扱いをされたので、異世界召喚をした国を爽快バトルにて滅ぼします

竹本蘭乃

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ダンジョン~〝戦極〟覚醒編

058:解呪の札のゆくえ

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「報告では、この島より右の浮島へと行き、そこから下層へと下る階段があるそうですわ」

 歩くこと一時間ほどで、目的の場所へと到着する。
 そこは何度か浮島をわたり、そこへと行くまで何度か気持ちの悪い魚の魔物と戦った後のことだった。

 少し大きめの浮島の中央に、不自然な四角形の空間が切り取られていた。
 その奥には日時計に似た物があり、地面へと影を落とす。
 
「ハッ! 結構ベタな階段だな。RPGかっつーの」
「違うよ昇司くん……階段なんてないよ」
「ハァ? どういう意味だ桜」

 桜が最初にその切り取られた空間をのぞき見る。
 入り口と同じく、全く光を通さない漆黒の空間だけが広がり、そこには何も見えなかった。
 驚く二人にかまわず、エカテリーナはその闇へと足を踏み出す。
 すると真っ暗な空間にもかかわらず、足場があるように彼女の右足が途中で停止。

「これが暗黒のダンジョンの由来ですわ。当初ただの穴と思い込み、調査が進まなかったとの事。とは言え、まぁ……その調査隊も途中までの報告のみでしたが」
「こ、ここを行くのですか?」
「ぅぇぇ~アタシも行きなくないわ~」
「黙りなさい。いいですか貴方たち、わたくしが入った後に躊躇ちゅうちょせず入って来なさい。じゃないと迷う・・わよ?」

 そう言うとエカテリーナは漆黒の闇へと消えていく。
 それを見た剛流と真乃依が恐怖で顔を引きつらせていると、お気楽な昇司がすぐ後に続く。

「だらしねぇ奴らだ。俺が規格外ニセモノと違い、ホンモノの勇者ってやつを見せてやるぜ!」
「あ! 待ちなよ昇司ぃ、アタシも行くって~」

 エカテリーナに続き、二人が漆黒の階段へと入っていく。
 不気味なほど静まり返る入り口に、桜と剛流は震えている。
 そんな二人の肩をたたきつつ、戦極は穴へと向かう。

「まず俺が入るから大丈夫だって。もしあっちがヤバイ状況ならすぐに戻って、お前たちだけでも戻るように指示するからさ」
「わ、わかりました」
「戦極さん……むりはしちゃだめですよ?」
「大丈夫だよ桜。俺は弱いからムリはしないさ」

 ムリはしない……か。
 とは言え、ムリは承知で押し通らないとな。
 最悪この二人だけでも、生き残らせなきゃならない。
 
「お、本当に足場があるぞ? これなら行けそうだ。じゃあ向こう側が安全なら手招きするから付いてきてくれ」
「「はい!」」

 これは流石に気持ちが悪いな。
 例えるなら闇が濃密な質量をもち、まとわりつくような……ただ……なんだ?
 一瞬だが頭まで沈んだ瞬間に、この世界へ来たときと同じ感覚を感じた?

 つぅ事は、転移系の何かなのかもしれないな。
 って、次はベタないかにも・・・・な場所だねぇ。
 あいつらは……いた。ドS女は前方を向いているなら、一度戻れるな。

「あ、桜ちゃん。戦極さんの手じゃないあれ?」
「そうだね……じゃあ行こうか」

 戦極の手が漆黒の空間から伸び、手招きをしている。
 とはいえ、あの何者も呑み込む闇を入り口で経験したとはいえ、飛び込むのは恐ろしい。
 しかし二人は戦極を信じ、ゆっくりと足を踏み出す。
 最初に剛流が入り、次に桜が歩をすすめる。

 やがて頭までつかり、次に二人が気がついたときは、自然石を組み合わせたような内部であった。
 それも壁だけにとどまらず、天上も床も全てが同じような感じであり、壁には松明たいまつの明かりが灯っている、うす暗い圧迫感がある空間。

 誰が設置したのかと不思議に思う桜であったが、それより戦極の姿が見当たらないの気になる。
 先に入った三人を見るが、やはりそこにもいない。
 不安になったその時、突如背後から剛流との間に影が割り込み、二人の肩を掴まれた。

「だぁ~れだっと?」
「「戦極さん!?」」
「そう不安そうな顔をするなよ。大丈夫、よわっちぃ俺がついているからな?」
「せ、戦極さん。驚かさないでくださいよ~」
「ふふ。でもおかげで変な緊張がとけた感じです。ね、剛流くん?」
「い、いわれてみれば……うん。不思議と恐怖心が薄らいだよ」

 ふぅ~。この肩叩きの呼吸って難しいんだよな。
 変にやると逆に怖がらせるからなぁ……クソジジイ。こんな事まで教えてくれて感謝してやる。

 さてと……。
 後はこのドS女の出方次第ってところだが、どうやって解呪の札を手に入れる?
 そこが一番の問題ではある、か。
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