もふもふ子狐のせいで、廃棄(ゴミ)の烙印を押されたハズレ男。あまりにも酷い扱いをされたので、異世界召喚をした国を爽快バトルにて滅ぼします

竹本蘭乃

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ダンジョン~〝戦極〟覚醒編

065:漆黒の秘密

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 ◇◇◇


「あら、無能のくせによく見つけましたわね下等種」

 ――戦極たちが戻りしばらくすると、エカテリーナたちが帰ってくる。
 そして開口一番この言いように、戦極もうんざりしつつも丁寧にお返事。

「これは失礼、元・お嬢さん。無能の方が先見つけてしまうとは、痛恨の極み」
「チッ、それでどこですの? 早く案内なさい」
「それはいいが一つ聞きたい。なぜこうも攻略を焦る? まだ始まったばかりだし、勇者たちも全く戦闘経験をつんでいないだろう?」

 コイツ、一体何を考えている?
 どう見ても昇司しょうじ真乃依まりえも戦闘をした感じがない。
 むしろ何もせずに歩き、危険な状況に慣れてしまった感じだな。
 このままなら想定外の強敵と出会った時、ドS女が負傷したら死人が出るかも知れねぇ……マズイな。

「そんなことを下等種に話す必要があって? かりにあったとしても、わたくしはこう言うでしょう。ダマレ、と」
「……話す気は無いか。了解、階段はこっちだ」

 目的もなく進む? いやありえない、必ず目的があるはずだ。
 状況を整理しよう。このドS女はなぜか俺に敵対をしている。しかも命を軽く見るほどにだ。
 
 ライオンマン側の話では、勇者は国の状況をうれい、豚王セルドをそそのかして勇者召喚をした。
 そしてセルドは勇者を使い、ダンジョンから遺物を見つけ出し戦争に使うという……。

 だがダンジョンで勇者を使うには、あまりにも経験不足だし、遺物いぶつとやらも偶然見つけた箱のみで、探査する素振りもない。
 しかし目的地・・・へと、最短で進んでいるように感じる。

 勇者の育成もなし、遺物も無視とくる。
 もし最短で何かの目的地へ辿り着こうとするならば、荷物にしかならない勇者は置いてくるはず。
 特に俺なんざ、邪魔以外なにものでもない。
 で? それらを消していくと、残るは俺に対する増悪のみ。

「こいつぁ目的は俺……か?」
「なにか言いましたか、下等種?」
「いえいえ。今日もお美しい事ですねと言っただけですよ、聖眼のエカテリーナちゃん」
「美しいのは当然としても、下等種に言われると虫唾むしずが走りますわね」
「喜んでもらえたようで良かった。あぁ、そこの大きな墓石の足元に階段がある」

 六人は地面にポカリと開いた漆黒を見つけると、誰も入ろうとせず周りを囲む。
 その無言に耐えられなくなった昇司が、軽口を叩き始めたのが最初だ。

「はは……な、なんだか墓穴へと入る気分だぜ」
しゃくだけどぉ昇司と同じで、テンさげぇ~」
「だ、大丈夫。僕がついているから」
「……だね。剛流くんが守ってくれるし、それに戦極さんもいるから」

 桜の言葉、とくに自分より頼りのない、剛流に守ってもらうと言うのも腹が立つが、戦極へも頼る桜に無性にイラだつ。

「オイ桜ッ! こいつらのドコが頼りになるつぅんだ!? 剛流はビビリだし、規格外ゴミムシは何の役にもたたねぇ!」
「少なくても吠えている誰かさんより、剛流くんはもちろん、戦極さんの方が凄いもん!!」
「んだとテメエエエエ!!」

 そんな大声で叫ぶ昇司だったが、エカテリーナは全く無視をしている。
 だがその視線は一箇所を見つめており、それは階段の近くにある特徴的な墓石であった。

 周囲の墓石は石の土台に、十字と〇が重なったデザインであるが、彼女が見つめる先のものは、日時計ににたものが先端についていた。
 さらにその先端から伸びる影は、土台の墓石にある数字へと影が移動したのを確認すると、エカテリーナは口を開く。

「……あと十五分はこのまま待機ですわ」

 ギャァギャァ騒ぐ昇司と、それを煽る真乃依。
 それに対抗する桜と剛流がヒートアップ。
 後頭部をかきながら、「やれやれ」と四人を止めようと思ったが、そんな言葉が聞こえた事で理由を聞く戦極であった。


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