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ダンジョン~〝戦極〟覚醒編
070:追い追われ
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◇◇◇
――エカテリーナが戦極を探すため歩き始めたころ、目の前のモンスターハウスをどうしようかと悩む戦極。
一度戻ろうかと思った瞬間、アンデットの一体に見つかってしまう。
何か見えない繋がりがあるのか言葉もなしに、次々とアンデッドが戦極のほうへ向き歩いてくる。
「クッ……やるしかねぇのか。上等だ、かかって来いよ――っえ゛!?」
突如走り出すアンデッド群。
戦極までの距離、残り二メートルの所でその行動の異常さに気がつく。
どう見ても戦極を見ておらず、その先へと視線をむけているようだ。
それに驚いていると、アンデッド群は戦極をスルーして戦極が来た道へとなだれこむ。
やがてポツンと一人取り残された戦極は、状況が分からず呆然。
「い、一体何がどうなってるんだ? なぜ俺を無視して消えたんだ……ッ、まさかあのアンデッドより強い強者が迫って来ているのか!?」
戦極は反対側の出口を凝視し、強者の気配を探る。
ほどなくして、奥の道から〝ペタリ……ペタリ……〟と何か妙な足音が聞こえた。
「こ、この爺さんゾンビが強者……なのか?」
現れたのは片足が不自由な、おじいさんのゾンビ。
その顔は食欲に満ちあふれ、生前はとても元気だったんだろうと戦極は思う。
そんなおじいさんだが、戦極など眼中になく、背後の道へ食事をしにでかけるようである。
その違和感に戦極はふと思い出す。
今の自分がどういう姿なのかを。
「まさか!? ……よいしょっと。ぎゃああこっち向いたああああ!!」
戦極は無敵の兜である、スカルビームをスッポ抜く。
すると、おじいさんゾンビは食欲をむき出しに、戦極へと噛みついてくる。
慌ててスカルビームをかぶり直すが、おじいさんはもう止まらない。
「くっ、許せお爺! セヤッ!!」
おじいさんの眉間へと細身の剣を突き立て、その動きを停止させる事に成功。
おじいさんゾンビは「めしぃ」と呟くと、その場に崩れ落ちた。
「おじいちゃん、ご飯はさっき食べたでしょ?」
そう言うと戦極は左手で片合掌をして、「無事に輪廻に帰ってくれよ」と祈る。
スカルビームの位置を直しつつ、戦極は部屋を去っていく。
後には安らかな顔をした老人の遺体が一つ、床に寝ているのだった。
◇◇◇
――同時刻、暗黒のダンジョンに悲鳴が響く。
だが悲鳴というより、怒声にちかい感じでだが……。
「ちょ!? 一体なんですの! わたくしが何をしたというのです!!」
せまい通路いっぱいに詰まるアンデッド群。
いきなり走って現れた死体の山に、エカテリーナは即座に戦闘へはいる。
狭い通路で血糸の効果も限定的であり、処理速度が明らかに悪い。
しかも死体が重なることで、奥にいる死体へと血糸がとどく前に、腐った肉塊と骨の壁ができてしまう。
「チィッ、引きながら処理するしかないですわね」
徐々に後退しつつ、適切に処理をするエカテリーナ。
やがて減り始めたのが分かる頃には、すでに時間もかなり経過していた。
「手間をかけさせてくれましたわね……」
それに苛立ちをおぼえ、足元に転がる頭蓋骨をケリ飛ばし、壁にぶち当て粉々にする。
「下等種はいったいどこへ? アンデッドに食われて仲間になっていれば笑えますが、できればこの手で楽しみたいですわね」
死体を踏み潰しながら、エカテリーナは進む。
こんな所に連れてこられた恨みを、戦極の無惨な死を楽しむために歩く。
戦極へと向かう狂った死神が、ヒタリヒタリと確実に迫っていくのだった。
――エカテリーナが戦極を探すため歩き始めたころ、目の前のモンスターハウスをどうしようかと悩む戦極。
一度戻ろうかと思った瞬間、アンデットの一体に見つかってしまう。
何か見えない繋がりがあるのか言葉もなしに、次々とアンデッドが戦極のほうへ向き歩いてくる。
「クッ……やるしかねぇのか。上等だ、かかって来いよ――っえ゛!?」
突如走り出すアンデッド群。
戦極までの距離、残り二メートルの所でその行動の異常さに気がつく。
どう見ても戦極を見ておらず、その先へと視線をむけているようだ。
それに驚いていると、アンデッド群は戦極をスルーして戦極が来た道へとなだれこむ。
やがてポツンと一人取り残された戦極は、状況が分からず呆然。
「い、一体何がどうなってるんだ? なぜ俺を無視して消えたんだ……ッ、まさかあのアンデッドより強い強者が迫って来ているのか!?」
戦極は反対側の出口を凝視し、強者の気配を探る。
ほどなくして、奥の道から〝ペタリ……ペタリ……〟と何か妙な足音が聞こえた。
「こ、この爺さんゾンビが強者……なのか?」
現れたのは片足が不自由な、おじいさんのゾンビ。
その顔は食欲に満ちあふれ、生前はとても元気だったんだろうと戦極は思う。
そんなおじいさんだが、戦極など眼中になく、背後の道へ食事をしにでかけるようである。
その違和感に戦極はふと思い出す。
今の自分がどういう姿なのかを。
「まさか!? ……よいしょっと。ぎゃああこっち向いたああああ!!」
戦極は無敵の兜である、スカルビームをスッポ抜く。
すると、おじいさんゾンビは食欲をむき出しに、戦極へと噛みついてくる。
慌ててスカルビームをかぶり直すが、おじいさんはもう止まらない。
「くっ、許せお爺! セヤッ!!」
おじいさんの眉間へと細身の剣を突き立て、その動きを停止させる事に成功。
おじいさんゾンビは「めしぃ」と呟くと、その場に崩れ落ちた。
「おじいちゃん、ご飯はさっき食べたでしょ?」
そう言うと戦極は左手で片合掌をして、「無事に輪廻に帰ってくれよ」と祈る。
スカルビームの位置を直しつつ、戦極は部屋を去っていく。
後には安らかな顔をした老人の遺体が一つ、床に寝ているのだった。
◇◇◇
――同時刻、暗黒のダンジョンに悲鳴が響く。
だが悲鳴というより、怒声にちかい感じでだが……。
「ちょ!? 一体なんですの! わたくしが何をしたというのです!!」
せまい通路いっぱいに詰まるアンデッド群。
いきなり走って現れた死体の山に、エカテリーナは即座に戦闘へはいる。
狭い通路で血糸の効果も限定的であり、処理速度が明らかに悪い。
しかも死体が重なることで、奥にいる死体へと血糸がとどく前に、腐った肉塊と骨の壁ができてしまう。
「チィッ、引きながら処理するしかないですわね」
徐々に後退しつつ、適切に処理をするエカテリーナ。
やがて減り始めたのが分かる頃には、すでに時間もかなり経過していた。
「手間をかけさせてくれましたわね……」
それに苛立ちをおぼえ、足元に転がる頭蓋骨をケリ飛ばし、壁にぶち当て粉々にする。
「下等種はいったいどこへ? アンデッドに食われて仲間になっていれば笑えますが、できればこの手で楽しみたいですわね」
死体を踏み潰しながら、エカテリーナは進む。
こんな所に連れてこられた恨みを、戦極の無惨な死を楽しむために歩く。
戦極へと向かう狂った死神が、ヒタリヒタリと確実に迫っていくのだった。
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