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ダンジョン~〝戦極〟覚醒編
077:ワン! 美! 戦! 腐!
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◇◇◇
「……まだなのかワン? もう三十分以上過ぎているんだワンよぅ」
――戦極が王の口から二度目の脱出をした頃、わん太郎と美琴は、まだ一階の階段のところで漆黒の穴を見ていた。
その何者も飲み込み、外へと開放をゆるさない……そんな覚悟を決めて、入らないと戻れないと思えるモノをジット美琴は見つめる。
『もう少し……もう少しで分かるんだよ』
「もぅ、さっきからそればっかりだワンよ~。なんだかワレねぇ、あるじぃが困っている感じがするんだワンよねぇ」
美琴も内心焦っている。
だからこそ、わん太郎よりも焦っている自信があると、霊体だが鼓動が早鐘を打つことで証明されている。
当然だ。だれよりも戦極に会いたいのは、他の誰でもない美琴なのだから。
だが、それでも、だからこそ、美琴は〝今、この時〟を真剣に吟味する。
この漆黒のゲートの向こう側にある、最短を見極めるために。
『三……百七……九十……五百八……ッ!? わん太郎!! 七秒後に行くんだよ!!』
「ほぇ? 七秒って何のことだワン?」
『……五……四……三……二……一……今!!』
「あ~~~~れ~~~~~?」
『戦極様ただ今すぐに!!』
美琴は思い切り、わん太郎を悲恋の柄で押し込むと、自分も同時に漆黒の穴へとダイブして消え去る。
そんな二人の様子を、遠くからお魚の魔物が見て驚く。
だが突如消えた事で〝ギョッ〟とした表情で、不思議そうに見つめていたのだった。
◇◇◇
――人間五十年、下天の内をくらぶれば、夢幻の如くなり……か。
ここは京扇子でも片手に、舞を楽しみ辞世をよむのもいいだろう。
思えば色々あったな……。
古廻家に生まれ落ち、気がつけばクソジジイに拉致監禁された輝かしい青春だった。
青春? なにそれおいしいの? って話しよ。
だってそうだろう? 何が悲しくて、十六歳の時に羅臼のヒグマとガチで殴り合いしなきゃならんのよ。
さらに気がつけば、どこだここは? 異世界? なにそれおいしいのってやつだ。
ふっ……あの偉大な漢も人生五十年だよなぁ……そう五十年だ……。
「だが、あの英雄は三年早く逝ったし、俺に至ってはまだ三十年足りねえだろうがああああああああああああああああああ!!」
戦極はきしむ体の痛みなど、無かったように立ち上がる。
当然背中は悲鳴をあげ、足は痺れにより感覚をなくす。
が、この漢は額に脂汗を滝のごとく流し叫ぶ。
「おい、腐ドラ! テメェにくれてやるほど、俺の極上の肉体は安くねぇんだ」
「グルルルルルル……」
「だから、な」
理性などフッとんだ表情の王は、食欲をむき出しにして走り出す。
そんな王をみた戦極は、悲しげに続ける。
「王としての命が終わり、歩く死体と成り果てたテメェだけは、俺が必ず土にかえしてやる――ジジイ流 断斬術」
戦極も走り出し、むきだしの食欲へと駆け出す。
手に持つ細身の剣を酷使したせいで、あちこちにヒビが入っているが、全力全開の気力を全て込める。
白く発光する細身の剣の刀身。
戦極の九日にわたる苦行で集約された、洗練された気は最大限の硬度と斬れ味を、ナマクラの細身の剣へと与えた。
それを左肩へ担ぎながら、さらに王――いや、元・王へと加速を続ける。
互いの距離が残り八メートル。
戦極は肉食獣かと思える瞳で元・王の弱点をさぐる。
だがそれもすぐに判明。
溶け落ちた首の肉からよく見える、首の十九番目の骨の隙間から飛び出す、脊髄部分だと狙いを決めて特攻するのであった。
「……まだなのかワン? もう三十分以上過ぎているんだワンよぅ」
――戦極が王の口から二度目の脱出をした頃、わん太郎と美琴は、まだ一階の階段のところで漆黒の穴を見ていた。
その何者も飲み込み、外へと開放をゆるさない……そんな覚悟を決めて、入らないと戻れないと思えるモノをジット美琴は見つめる。
『もう少し……もう少しで分かるんだよ』
「もぅ、さっきからそればっかりだワンよ~。なんだかワレねぇ、あるじぃが困っている感じがするんだワンよねぇ」
美琴も内心焦っている。
だからこそ、わん太郎よりも焦っている自信があると、霊体だが鼓動が早鐘を打つことで証明されている。
当然だ。だれよりも戦極に会いたいのは、他の誰でもない美琴なのだから。
だが、それでも、だからこそ、美琴は〝今、この時〟を真剣に吟味する。
この漆黒のゲートの向こう側にある、最短を見極めるために。
『三……百七……九十……五百八……ッ!? わん太郎!! 七秒後に行くんだよ!!』
「ほぇ? 七秒って何のことだワン?」
『……五……四……三……二……一……今!!』
「あ~~~~れ~~~~~?」
『戦極様ただ今すぐに!!』
美琴は思い切り、わん太郎を悲恋の柄で押し込むと、自分も同時に漆黒の穴へとダイブして消え去る。
そんな二人の様子を、遠くからお魚の魔物が見て驚く。
だが突如消えた事で〝ギョッ〟とした表情で、不思議そうに見つめていたのだった。
◇◇◇
――人間五十年、下天の内をくらぶれば、夢幻の如くなり……か。
ここは京扇子でも片手に、舞を楽しみ辞世をよむのもいいだろう。
思えば色々あったな……。
古廻家に生まれ落ち、気がつけばクソジジイに拉致監禁された輝かしい青春だった。
青春? なにそれおいしいの? って話しよ。
だってそうだろう? 何が悲しくて、十六歳の時に羅臼のヒグマとガチで殴り合いしなきゃならんのよ。
さらに気がつけば、どこだここは? 異世界? なにそれおいしいのってやつだ。
ふっ……あの偉大な漢も人生五十年だよなぁ……そう五十年だ……。
「だが、あの英雄は三年早く逝ったし、俺に至ってはまだ三十年足りねえだろうがああああああああああああああああああ!!」
戦極はきしむ体の痛みなど、無かったように立ち上がる。
当然背中は悲鳴をあげ、足は痺れにより感覚をなくす。
が、この漢は額に脂汗を滝のごとく流し叫ぶ。
「おい、腐ドラ! テメェにくれてやるほど、俺の極上の肉体は安くねぇんだ」
「グルルルルルル……」
「だから、な」
理性などフッとんだ表情の王は、食欲をむき出しにして走り出す。
そんな王をみた戦極は、悲しげに続ける。
「王としての命が終わり、歩く死体と成り果てたテメェだけは、俺が必ず土にかえしてやる――ジジイ流 断斬術」
戦極も走り出し、むきだしの食欲へと駆け出す。
手に持つ細身の剣を酷使したせいで、あちこちにヒビが入っているが、全力全開の気力を全て込める。
白く発光する細身の剣の刀身。
戦極の九日にわたる苦行で集約された、洗練された気は最大限の硬度と斬れ味を、ナマクラの細身の剣へと与えた。
それを左肩へ担ぎながら、さらに王――いや、元・王へと加速を続ける。
互いの距離が残り八メートル。
戦極は肉食獣かと思える瞳で元・王の弱点をさぐる。
だがそれもすぐに判明。
溶け落ちた首の肉からよく見える、首の十九番目の骨の隙間から飛び出す、脊髄部分だと狙いを決めて特攻するのであった。
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