もふもふ子狐のせいで、廃棄(ゴミ)の烙印を押されたハズレ男。あまりにも酷い扱いをされたので、異世界召喚をした国を爽快バトルにて滅ぼします

竹本蘭乃

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完全開放!! 爽快バトル編

096:目的

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「ザコなんだから、もったいぶらずに話すがいいワン。えらいワレがちゃんと聞いてやるんだワンよ」
「……ほぉ。いっぱしの口を聞くではないか? ――ッ、そうか。キサマは氷狐王」

 ざわり。
 一瞬わん太郎のもふもふの体毛が波立つと、冷気が周囲に放たれた。
 それを見た付喪神は目を細め半歩後ずさる、が。

「きゃ、冷たい!!」

 わん太郎を抱いていた美琴は、おもわず放り投げる。
 それが戦極の顔面へと当たり「うぉ冷めてぇ!!」と、さらに右手で振り払われた。
 わん太郎は「あ~れ~」とマヌケな声をだし、ポテンと地面に転がる。

「もぅ、女幽霊なにをするんだワン!」
「こっちのセリフなんだよ。いきなり冷たくなるから、凍死するかと思ったんだよ!」
「いや、死んでるだろ」
「うゆ、死んでるワン」
「うむ、死人だろうが」
 
 なぜか付喪神にまで突っ込まれた美琴さん。
 半歩下がり、右手をノド元あたりへあて白目でショックをうけた。
 そんな美琴さんをほっておき、戦極は話を進める。

「それで? 答えを聞かせてもらおうか」
「ぐっぐっぐ。知りたいか? ならば見せてやろうぞ!!」

 急速に高まる神気。
 暗闇の通路が、白い神気により光を放ち白一色に染め上がった次の瞬間。

「クッ……こいつは……」

 不浄な空気が払われ、遠くからアンデットの断末魔が響きわたる。
 さらに聖浄・・でフロア全体が満たされると、黄緑色の明るい通路へと変わり始めた。
 
「ぐっぐっぐ、これが答えと言うことで満足してくれたかな、古廻の当主よ?」
「よくもまぁここまで聖浄化できたな。ああ。あんたの三百年の思い、しっかりと受け取った。あとはこの土地を任せるよ」
「うむ、任せてもらおう。して古廻の当主よ、これからどうするのだ?」

 どうするか、か。
 悲恋美琴と妖力が戻った以上、この国に用はないが。
 勇者たちの事もあるし、フェリスの事も気になる。となれば……。
 
「本来の目的地、〝トエトリー〟へと向かう。が、その前に一つやる事ができちまったようだ」
「戦極様。それってもしかして?」
「女幽霊は無粋なんだワン。当然あるじぃなら決まっているワン」
「だな。目的地へ行く前に、デュロック王国この国を見て回るかな」
「やったね、わん太郎! また美味しいものが食べれるんだよ?」
「わーい。嬉しいんだワンよ~。タコおじちゃんにも会いに行くんだワン!」
「古廻の当主よ、そうしてくれると俺も助かる。この地を浄化した事で、わかったことがある。それはな――」

 ――なるほどねぇ。
 この国の不浄な場所があまりにも広すぎて、ここの気脈が通る場所意外も汚染されているのか。
 しかもここ意外にも、汚染物を撒き散らす場所がある、か……。

 臭いな。こいつは先祖が言っていた現象に似ている。
 ってことは、俺はこの地をまだ離れるワケにはいかないな。
 どうやらあの人形の残党・・・・・がいるかもしれない、か。
  
「人形の残党にこころあたりは?」
「人形……あのクソどもか。ある! 当然だ、俺がここを浄化するはめになったのも、人形の残党がこの気脈を使い、この国を闇落ちさせようとしていたからだ!」

 おいおいそう怒るなよ。
 怒りで壁が震えているぞ? 崩落しそうで怖んだが。

「まぁ落ち着けって、理由は理解した。それで現在の気脈の汚れも、人形の残党が関わっていると思うか?」
「わかからぬ……。それと言うのも人形の残党が使う術式とは違う、もっと違うものを使っている感じがするのだ」

 違う術式? すると日本製の術式じゃないってことか。
 と、なると――。

「――魔法による汚染という事になるじゃねぇか?」
「魔力か。確かにそうかもしれぬ。が、どうにも魔力にしても気持ちが悪い。古廻の当主よ、そこで頼みがある」
「いいぜ。物見遊山のついでだ、言ってみな」

 おっふ。吹き飛びそうになるほど、鼻息を吐くなよ。
 あぁ見ろ、わん太郎なんか転がっちまったぞ?
 つか、なんで転がる時まであざとい音がでるんだアイツは。

「感謝する。これより南に大きな湖がある。そこから気脈がここへと続いているが、そこから汚染された大地の力が流れ込んでいる。そこを調査し、原因を破壊してくれぬか?」
「了解だ。何か見つけたら討滅しとくよ」
「うむ。それとこの階層は把握したが、上層はまだ時間がかかる。そこでコヤツも連れて行ってくれ」

 そう言うと付喪神は右手で、戦極の前にゲートを作り出す。
 それは階層移動をするのに使ったものであり、漆黒の丸い闇がそこにあった。

 さらにその奥から金髪が出てくると、そのまま排出。
 見ればやせ細った冒険者らしい風体の男が、ドサリと重そうな音と共に倒れ込む。

「うぉ、なんだよその人は?」
「コヤツはここの階層にある、セーフゾーンから逃げられずに隠れていた男だ」

 その様子を戦極の背後から顔をだして見つめる二人。
 そしてわん太郎が「あ!!」と口を開くのだった。
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