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049:遺物とジュエリービーチ
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「あれ? 最初に俺が見た時は、あの地平線の上に何かモヤっとしたものがあったんだけど、今消えているな」
『あぁ、それはこの島を封印していた結界だと思いますよ。主がここの管理者になった事で、外の世界と繋がったと思われます』
「そうなの? へぇ~、誰か遊びに来るかなぁ。出来れば最弱がいいなぁ」
『なんですかそれは。とは言え、外の世界と繋がったのは良いこともあるでしょうが、また逆もしかり。この世界は主の世界と違い、いろいろと物騒なのですから』
「おまえは本当に色々と知っているなぁ。ス釣タス以外は」
その言葉でムスっとした感じで話す相棒。
『誰よりも知っていますし、知っていたつもりでしたよ。非常識の塊な貴方と出会うまではね』
と、恨みがましく言われてしまい、「ま、人生いろいろあるさ」と、ごまかし気味に船着き場っぽい場所へと向かう。
近くで見ると本当に美しいこの湾は、純白の砂浜が本当に美しい。
足元の砂をみれば、太陽光をアメジスト色に反射させたかと思うと、一歩踏み出せばガーネット色になる。
さらにまた一歩踏み出せばエメラルド色になり、また一歩踏み出すとサファイヤ色となる。
でも全体で見ると純白色になり、なんとも不思議な光景だった。
それに気を良くした子狐わん太郎は、砂浜に肉球アートを創り出し芸術を楽しむ。まぁカニを見つけてはしゃいでるだけなんだけどね。
わん太郎のはしゃぐ姿にホッコリとしつつ、近づけば近づくほどに船着き場にしか見えない自然石で出来た、全長二百メートルはありそうな場所を見て思う。
「なぁ……どう思う? これって自然石だけど、確実に人の手が入っているように見えるよな?」
『ええ、角を見てください。根本から先端まで綺麗に一直線です。全体で見れば完全な直方体ですからね』
「だよなぁ。まぁ島の中心に社もあるし、昔誰かいたのかもな。それにしてもスゴイ加工技術だ」
目視だけど、まったく曲がったり欠けた感じもない、純白のうつくしい石の道。
それが沖へと向かい、まるで別世界へと繋がっているかと思える錯覚を感じた。
そのまま相棒を担ぎ、沖へと向かって歩く。
ペタペタと素足で歩くが、意外と熱を持っていないようで軽く温かい感じだ。
俺の足の裏がこの島に適してつくられたのか、それとも慣れたのか?
文明的な生活をしたいものだと思いながら、先端まで着くと早速海面を覗いてみる。
「すっげ……なんだよこの透明度……」
水深は二十メートルはありそうなほど深い。
しかしほぼ底までがクッキリと見え、色々な場所に魚が泳いでいるのが見える。
ブルリと震えるほどの透明度に、自分がまるで海底から空を眺めているんじゃないかと錯覚しだす。
自分が海の中なのかと段々思い始め、体と心が惹き込まれそうになり相棒に叱られた。
『主、それ以上はいけません。海は生命の塊ですが、それに同調しすぎると生きては帰れませんよ』
「あ……あぁ、すまない。こんな経験は初めてだよ……なんと言うか、海に飲み込まれそうになった」
『さもありましょう。この海はかなり特殊です。私ですら、こんな命の塊みたいな海水は初めて見ましたからね』
少し怖いほどに美しい海。
美しいものにはトゲやら毒やらがあると言うが、これはまた異質の人を呑み込む魅力があった。
「っと、じゃあ気を取り直して早速釣ったりますわ! ルアーは第一形態の黄金赤目の小魚でいくか」
『それがよろしいでしょうね。毒魚かどうかは、魚がルアーをくわえた時にお教えしますから』
「OK! じゃあ……行ってこおおおおおおい!!」
相棒を全面から大きく後ろへとしならせ、その反動で黄金のルアーを勢いよくぶん投げる。
木製のくせに妙に元の再現性が高く、ベイトリールが〝フィィィィン〟と気持ちの良い音と共に、黄金のルアーがブっ飛んでいく。サイッコーの気分だ!!
そのまま百メートルほど飛び、着水したと同時に〝スキル:人釣一体〟が発動。
相棒は自分でオンオフしないと分からないみたいだけど、俺は常に使っている感じだが、特に水の中に入った瞬間それがさらに強くなる感じだ。
『あぁ、それはこの島を封印していた結界だと思いますよ。主がここの管理者になった事で、外の世界と繋がったと思われます』
「そうなの? へぇ~、誰か遊びに来るかなぁ。出来れば最弱がいいなぁ」
『なんですかそれは。とは言え、外の世界と繋がったのは良いこともあるでしょうが、また逆もしかり。この世界は主の世界と違い、いろいろと物騒なのですから』
「おまえは本当に色々と知っているなぁ。ス釣タス以外は」
その言葉でムスっとした感じで話す相棒。
『誰よりも知っていますし、知っていたつもりでしたよ。非常識の塊な貴方と出会うまではね』
と、恨みがましく言われてしまい、「ま、人生いろいろあるさ」と、ごまかし気味に船着き場っぽい場所へと向かう。
近くで見ると本当に美しいこの湾は、純白の砂浜が本当に美しい。
足元の砂をみれば、太陽光をアメジスト色に反射させたかと思うと、一歩踏み出せばガーネット色になる。
さらにまた一歩踏み出せばエメラルド色になり、また一歩踏み出すとサファイヤ色となる。
でも全体で見ると純白色になり、なんとも不思議な光景だった。
それに気を良くした子狐わん太郎は、砂浜に肉球アートを創り出し芸術を楽しむ。まぁカニを見つけてはしゃいでるだけなんだけどね。
わん太郎のはしゃぐ姿にホッコリとしつつ、近づけば近づくほどに船着き場にしか見えない自然石で出来た、全長二百メートルはありそうな場所を見て思う。
「なぁ……どう思う? これって自然石だけど、確実に人の手が入っているように見えるよな?」
『ええ、角を見てください。根本から先端まで綺麗に一直線です。全体で見れば完全な直方体ですからね』
「だよなぁ。まぁ島の中心に社もあるし、昔誰かいたのかもな。それにしてもスゴイ加工技術だ」
目視だけど、まったく曲がったり欠けた感じもない、純白のうつくしい石の道。
それが沖へと向かい、まるで別世界へと繋がっているかと思える錯覚を感じた。
そのまま相棒を担ぎ、沖へと向かって歩く。
ペタペタと素足で歩くが、意外と熱を持っていないようで軽く温かい感じだ。
俺の足の裏がこの島に適してつくられたのか、それとも慣れたのか?
文明的な生活をしたいものだと思いながら、先端まで着くと早速海面を覗いてみる。
「すっげ……なんだよこの透明度……」
水深は二十メートルはありそうなほど深い。
しかしほぼ底までがクッキリと見え、色々な場所に魚が泳いでいるのが見える。
ブルリと震えるほどの透明度に、自分がまるで海底から空を眺めているんじゃないかと錯覚しだす。
自分が海の中なのかと段々思い始め、体と心が惹き込まれそうになり相棒に叱られた。
『主、それ以上はいけません。海は生命の塊ですが、それに同調しすぎると生きては帰れませんよ』
「あ……あぁ、すまない。こんな経験は初めてだよ……なんと言うか、海に飲み込まれそうになった」
『さもありましょう。この海はかなり特殊です。私ですら、こんな命の塊みたいな海水は初めて見ましたからね』
少し怖いほどに美しい海。
美しいものにはトゲやら毒やらがあると言うが、これはまた異質の人を呑み込む魅力があった。
「っと、じゃあ気を取り直して早速釣ったりますわ! ルアーは第一形態の黄金赤目の小魚でいくか」
『それがよろしいでしょうね。毒魚かどうかは、魚がルアーをくわえた時にお教えしますから』
「OK! じゃあ……行ってこおおおおおおい!!」
相棒を全面から大きく後ろへとしならせ、その反動で黄金のルアーを勢いよくぶん投げる。
木製のくせに妙に元の再現性が高く、ベイトリールが〝フィィィィン〟と気持ちの良い音と共に、黄金のルアーがブっ飛んでいく。サイッコーの気分だ!!
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◇
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