勇者パーティーをパワハラ追放された【自己評価の低い】支援魔術師、実は魔神に育てられた最強の男でした

ハーーナ殿下

文字の大きさ
10 / 31

第10話:危険な護衛任務

しおりを挟む
勇者パーティーを解雇されたオレは、新しい街で心機一転、謙虚に生きていくことを決意。

兄妹パーティー《東方の黄昏たそがれ団》の仲間に、オレは本格的に加入して活動開始。

順調に活動していた時、西の街への馬車の護衛の任務に就く。
そんな道中で、仲間である護衛隊がオレたちに絡んできた。



厳しい目つきの護衛隊の二人が、休憩中にやってきた。

「ふん。Bランク冒険者だか、黄昏なんとかか、知らないが、今回の護衛はオレたちの指示に従ってもらうぞ、お前らは!」

雇い主の商人カネンさんから、聞いていた話とは彼は違っていた。
契約ではオレたちは独立遊撃隊として、動いていいはずなのだ。

こちらのリーダーであるザムスさんも、黙っていない。

「それは、どういうことだ?」

「理由なんて、どうでもいい! オレたち護衛隊は、お前らみたいな冒険者が気に食わないだよ!」

 かなり上からの物言い。
理論よりも感情が先走っている。

これにはザムスさんも怒って反論しそうだ。

「そうか。分かった。それでは今後の道中で、お前たちに従う」

だがザムスさんは静かに了承する。
相手の理不尽な指示に、従うと答える。

「はん! 噂の冒険者とやらも、この程度だったのか⁉」

「そうだな。がっはっはは……!」

下品な笑い声と共に、護衛隊の二人は立ち去っていく。

「兄さん、どうして、あんな奴らに従うんですか⁉」

怒っていたのは妹サラ。
頬《ほお》を膨らませてプンプンしている。

「オレたちの任務は、この商隊を無事に、西の街に送り届けることだ。大事な任務の前に、身内で揉めたくない」

「でも、兄さん……」

「それに戦闘になったら、こっちの独壇場だ。アイツに従う義理もない」

「兄さん! そうよね! 戦闘になったら、私たちの力を、あいつらに見せつめてやりましょう!」

サラの怒りも収まる。
なるほどザムスさんは従順に、従ったフリをしていただけなのか。

さすがは腕利きのBランク冒険者。
トラブルの対応も見ていてためになる。

そんな時、ザムスさんはオレに視線を向けてきた。
なんだろう?

「それに、ああやって追い返さないと、ウチの規格外が、また事件を起こしそうだからな」

「そ、そうね、兄さん……今回の護衛任務は、ハリト君が何も事件を起こさないことを、祈るしかないです」

えっ?
なんかすごい扱いをされている。
事件を起こすとか、どういうことだろう?

そんな感じで、休憩時間も終わり。
カネン商隊は再発進する。

その後はひたすら街道を、西に進んでいく。
移動と休憩、夜営を繰り返し。

野営中もオレたち《東方の黄昏たそがれ団》は、交代で見張りに立つ。
何しろ盗賊団は、いつ襲ってくるか分からない。

そんな感じで何日か、ひたすら街道を進んでいく。

――――そして、ある日、事件が起きるのであった。



「ん? これは……?」

商隊の最後尾にいたオレは、何かに気が付く。

「これは前方から……何か、来るのかな?」

弱い反応だったので、気が付くのが遅くなってしまった。
急いでリーダーに報告しないと。

「ザムスさん。前から何か来ます!」

「ん? 前だと? 何も見えないぞ?」

「私も、何も見えないです、ハリト君?」

「まだ距離があるので……ちょっと待ってください。えーと、【視覚強化《弱》】!」

ザムスさんとサラを対象に、支援魔法を発動。
二人の視覚を“少しだけ”強化する魔法だ。

「二人とも意識を集中して、あっちの方角を見てください」

「えっ? 意識を集中? ん? えええええ⁉ なにこれ⁉」

いきなりサラが大声を上げる。

どうしたんだろうか?
もしかしたら【視覚強化《弱》】が、失敗していたんだろうか?

「いやいやいや! 失敗とかじゃなくて、見えすぎですよ、これは! なんで、あんな遠にいる盗賊団が、こんなにハッキリ見えるのよ⁉」

「えっ……視覚を強化する支援魔法、だから……かな?」

「いやいやいやいや! 普通は視覚強化《強》でも、もう少し控えめな強化なんですよ、ハリト君!」

「えっ、そうなの?」

「そうです! あと、この別に見える映像は何ですか? 上から見た感じなんですけど⁉」

「あっ、それは【視覚強化《弱》】に付けておいた、補助機能。【鳥観バード・ビュー《弱》】という魔法です。上から相手を、覗き込むことが出来るんだ」

「えっ……【鳥観バード・ビュー《弱》】? 上から覗き込む? は、始めて聞く魔法なんですが、私は……?」

「それはオレの開発したオリジナル魔法だから、かな?でも便利だよね。迷子の犬とか探す時とかに?」

「オ、オリジナル魔法まで開発していたんですね……ハリト君は……しかも、こんな超機能を、迷子探しに使うとか。仮に戦に使ったら、大陸の勢力図が、一気に変わってしまいますよ、これは……」

「えっ? そうなの? でも今のところ使えるのは、オレだけだから、安心して!」

「わ、分かりました……兄さん……ハリト君が、また……」

「ああ、そうだな。諦めろ、サラ。とりあえず今は雇い主に、報告が先決だ」

「そうですね……ふう……」

ザムスさんのお蔭で、サラも落ち着いてくれた。
さすが頼りになるパーティーリーダーだ。

「よし、カネンの所にいくぞ」

盗賊団の動きを観察しつつ、カネンさんの乗る中央の荷馬車に向かう。
遠くから盗賊団が接近してくることを、雇い主に報告するためだ。

だが控えていた例の護衛隊の二人が、オレたちの邪魔をしてきた。

「なんだと⁉ そんな相手は、どこにも見えないぞ⁉」

「まさかお前たちも賊の仲間か⁉ 商隊を混乱させるつもりか⁉」

オレたちの話をさえぎり、逆にカネンさんを混乱させてきた。

うーん、これは困ったな。
どうすればいいのだろうか?

あっ、そうか。
この二人にも【視覚強化《弱》】を、かけてあげればいいのかな?

でも勝手にやったら、またザムスさんとサラに叱られてしまうかも。

――――そんな時だった。

「隊長! 大変です! 前方から盗賊団が、接近してきます!」

前方の見張りの護衛が、息を切らしてやってきた。
肉眼でも確認できる距離まで、相手に接近されてしまったのだ。

「な、なんだと⁉」

「相手はかなりの大規模です! このままではマズイです!」

どうやら頭の固い二人のせいで、時間を食ってしまった。
こちらが不利な距離まで、盗賊団が来てしまったのだ。

「あの数は……くっ……今まで最大規模ではないか……」

「ここままでは……こっちは全滅だ……」

相手の戦力を目視して、護衛隊の二人は言葉を失っていた。
もはや剣で戦って、どうなる数の相手ではないのだ。

「た、隊長! ヤバイです! 攻撃魔法で、先頭車両が攻撃を受けています!」

「なんだと⁉」

護衛隊の二人は更に、苦悶の声をもらす。
戦力差で負けているだけではなく、相手には驚異の魔法使いもいる。

どうやっても、勝てる相手ではないのだ。

「く……こうなったら全財産を身代金にするしかないのか……」

雇い主であるカネンさんも、青い顔になる。

商隊全体が、負のオーラに包まれていた。

「「「ああ……」」」

誰もが言葉を失っていた。

これはマズイな。
ん?

でも、もしかしたらオレにとっては、今が好機かな?
しおりを挟む
感想 41

あなたにおすすめの小説

無能なので辞めさせていただきます!

サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。 マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。 えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって? 残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、 無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって? はいはいわかりました。 辞めますよ。 退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。 自分無能なんで、なんにもわかりませんから。 カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。

【完結】物置小屋の魔法使いの娘~父の再婚相手と義妹に家を追い出され、婚約者には捨てられた。でも、私は……

buchi
恋愛
大公爵家の父が再婚して新しくやって来たのは、義母と義妹。当たり前のようにダーナの部屋を取り上げ、義妹のマチルダのものに。そして社交界への出入りを禁止し、館の隣の物置小屋に移動するよう命じた。ダーナは亡くなった母の血を受け継いで魔法が使えた。これまでは使う必要がなかった。だけど、汚い小屋に閉じ込められた時は、使用人がいるので自粛していた魔法力を存分に使った。魔法力のことは、母と母と同じ国から嫁いできた王妃様だけが知る秘密だった。 みすぼらしい物置小屋はパラダイスに。だけど、ある晩、王太子殿下のフィルがダーナを心配になってやって来て……

【完結】追放された子爵令嬢は実力で這い上がる〜家に帰ってこい?いえ、そんなのお断りです〜

Nekoyama
ファンタジー
魔法が優れた強い者が家督を継ぐ。そんな実力主義の子爵家の養女に入って4年、マリーナは魔法もマナーも勉学も頑張り、貴族令嬢にふさわしい教養を身に付けた。来年に魔法学園への入学をひかえ、期待に胸を膨らませていた矢先、家を追放されてしまう。放り出されたマリーナは怒りを胸に立ち上がり、幸せを掴んでいく。

冤罪で山に追放された令嬢ですが、逞しく生きてます

里見知美
ファンタジー
王太子に呪いをかけたと断罪され、神の山と恐れられるセントポリオンに追放された公爵令嬢エリザベス。その姿は老婆のように皺だらけで、魔女のように醜い顔をしているという。 だが実は、誰にも言えない理由があり…。 ※もともとなろう様でも投稿していた作品ですが、手を加えちょっと長めの話になりました。作者としては抑えた内容になってるつもりですが、流血ありなので、ちょっとエグいかも。恋愛かファンタジーか迷ったんですがひとまず、ファンタジーにしてあります。 全28話で完結。

国外追放ですか? 承りました。では、すぐに国外にテレポートします。

樋口紗夕
恋愛
公爵令嬢ヘレーネは王立魔法学園の卒業パーティーで第三王子ジークベルトから婚約破棄を宣言される。 ジークベルトの真実の愛の相手、男爵令嬢ルーシアへの嫌がらせが原因だ。 国外追放を言い渡したジークベルトに、ヘレーネは眉一つ動かさずに答えた。 「国外追放ですか? 承りました。では、すぐに国外にテレポートします」

世界最強の賢者、勇者パーティーを追放される~いまさら帰ってこいと言われてももう遅い俺は拾ってくれた最強のお姫様と幸せに過ごす~

aoi
ファンタジー
「なぁ、マギそろそろこのパーティーを抜けてくれないか?」 勇者パーティーに勤めて数年、いきなりパーティーを戦闘ができずに女に守られてばかりだからと追放された賢者マギ。王都で新しい仕事を探すにも勇者パーティーが邪魔をして見つからない。そんな時、とある国のお姫様がマギに声をかけてきて......? お姫様の為に全力を尽くす賢者マギが無双する!?

外れスキル《コピー》を授かったけど「無能」と言われて家を追放された~ だけど発動条件を満たせば"魔族のスキル"を発動することができるようだ~

空月そらら
ファンタジー
「鑑定ミスではありません。この子のスキルは《コピー》です。正直、稀に見る外れスキルですね、何せ発動条件が今だ未解明なのですから」 「何てことなの……」 「全く期待はずれだ」 私の名前はラゼル、十五歳になったんだけども、人生最悪のピンチに立たされている。 このファンタジックな世界では、15歳になった際、スキル鑑定を医者に受けさせられるんだが、困ったことに私は外れスキル《コピー》を当ててしまったらしい。 そして数年が経ち……案の定、私は家族から疎ましく感じられてーーついに追放されてしまう。 だけど私のスキルは発動条件を満たすことで、魔族のスキルをコピーできるようだ。 そして、私の能力が《外れスキル》ではなく、恐ろしい能力だということに気づく。 そんでこの能力を使いこなしていると、知らないうちに英雄と呼ばれていたんだけど? 私を追放した家族が戻ってきてほしいって泣きついてきたんだけど、もう戻らん。 私は最高の仲間と最強を目指すから。

国外追放だ!と言われたので従ってみた

れぷ
ファンタジー
 良いの?君達死ぬよ?

処理中です...