勇者パーティーをパワハラ追放された【自己評価の低い】支援魔術師、実は魔神に育てられた最強の男でした

ハーーナ殿下

文字の大きさ
11 / 31

第11話:盗賊団、迎撃戦

しおりを挟む
護衛中の商隊が、大規模な盗賊団に強襲を受けてしまう。

絶望的な状況な顔のカネンさんに、オレは提案する。

「えーと、カネンさん。一つよろしいでしょうか? あの盗賊団を、オレたち《東方の黄昏たそがれ団》で対応してもいいですか?」

雇い主カネンさんに提案する。
あと護衛隊の二人にも、念のために確認する。

「な、何を言っているんだ、キサマは⁉ こんな時に冗談か⁉」

「キサマはたしかランクEの冒険者だろうが⁉ こっちは大変なんだ! 勝手にやっていろ!」

おっ、護衛隊の二人から了承が得られたぞ。
カネンさんも無言でうなずいている。

よし、これで自由に動いてもOKだな。
近くにいるサラの所に、戻っていこう。

「という訳で、サラ、お願いしてもいいかな?」

「お願いって……私は何をすればいいのですか、ハリト君?」

「たしかサラは《麻痺《弱》》の魔法を使えたよね?」

「はい……でも《弱》なので有効射程距離は短く、成功率も低く、対象も一人だけですよ?」

「うん、それでも大丈夫。とりあえず、あの近づいてくる盗賊団に向かって、発動してちょうだい。あとはオレの方で支援するから!」

「嫌な予感しかしませんが、分かりました。それでは、いきますよ……」

サラが魔力を集中する。
《麻痺《弱》》を発動する瞬間を、オレは狙う。

「いくよ、サラ……【魔法全強化《弱》】!」
「いきます……【麻痺《弱》】!」

よし、タイミングばっちり!
サラの《麻痺《弱》》に、オレの支援魔法を被せられたぞ。

ヒュイーン……ビリビリビリビリビリビリビリビリ!

おっ、あっちでも、上手く命中したみたいだ。

こちらに突撃してきた盗賊団が、全身を痙攣《けいれん》しながら倒れていく。

よし、終わったぞ。

相手の魔法使いを含めて、盗賊団は全員が麻痺。
地面で動けなくなってプルプルしている。

さて、これ脅威きょういは収まった。
カネンさんたちも、ひと安心しているだろう?

ん?
カネンさんと護衛の二人、あと商隊の皆の様子がおかしいぞ。

「「「なっ…………」」」

全員が目を点して、言葉を失っている。
身体も固まっていた。

あっ、もしかしてオレの支援魔法で、商隊の人まで麻痺を拡大させちゃったかな?

そんな中、カネンさんが口を開く。
よかった、麻痺させていなかったんだ。

「ハ、ハリト君と言ったかな……あれは、何が起きたのじゃ?」

「えーと、あれはですね。ウチの魔法使いのサラが、盗賊団を全員麻痺させました! だから脅威はもう無いです、カネンさん!」

「えっ、麻痺の魔法で、あんなに大量の相手を? 普通なのか、お前たち?」

「い、いえ、カネン様……普通の《麻痺》の魔法は、《強》でも対象者は一人が限界。しかも成功率が低く、遠距離では発動できません……」

おお、さすが護衛の人は、魔法にも詳しい。
オレの説明の手間を、省いてくれた。

「と、ということは? どういうことだ、お前たち?」

「つ、つまり《東方の黄昏《たそがれ》団》の女魔法使い、あのサラという少女が規格外なのでしょう……」

「おお、そういうことか……よく分からないが、今が好機じゃ。よし、とにかく盗賊団を拘束するぞ! 西の街で懸賞金も、たんまり貰えるぞ!」

「「「お、おおお!」」」

何やら話が上手くまとまってくれた。
商隊と護衛の人たちは、麻痺して動けない盗賊団を拘束しにいく。

話を聞いた感じだと、懸賞金も貰えるらしい。
まったく商隊の人たちは、商売根性がすごいね。

ねぇ、サラもそう思わない?

ん?
サラ、どうして、そんな怖い顔をしているの?

「ハ、ハ、ハリト君……私に何をしたんですか? 私の魔法に……?」

「えっ、そうか。説明してなかったね! オレの《魔法全強化《弱》》でサラの魔法を強化したんだ。具体的には魔法の威力と有効射程、あと対象数と麻痺時間の延長を、“ちょっとだけ”強化した感じかな。あっ、もしか《魔法全強化《弱》》を知らなかったかな、サラ?」

「い、いえ、これでも一応は魔法使いの端くれですから、《魔法全強化《弱》》は知っています。でも普通の《魔法全強化《弱》》はあんなに超強化は出来ません!」

「あっ、そうなんだ? 無知でごめんね……」

「それにハリト君! ちゃっかり、“私のせい”にしていたでしょ⁉ どうするんですか、カネンさんたちに誤解されたままですよ、私は⁉」

「あっ、そういえば? まぁ、小さいことは気にしないで。カネンさんたちも、すぐ忘れてと思うから。ほら、『人の噂も七十五日』って言うじゃない? はっはっは……」

「うっ……兄さん……ハリト君が、ついに私にまで被害を……」

「ふう……諦めろ、サラ。《東方の黄昏たそがれ団》は、もう後戻りできない所まで来たんだ」

「そ、そんな……普通の冒険者人生を、私は送りたかったのに……」

どうやらサラも落ちついてくれた。
これでひと段落。



その後、カネン商隊は西の街に、無事に到着。

凶悪な盗賊団は麻痺したまま、街の憲兵に引き渡していた。
カネンさんから《東方の黄昏たそがれ団》は感謝を受けて、懸賞金を沢山もらった。

サラは喜んでいたけど、悲しそうで複雑な表情をしていた。

「うっ……兄さん、私なんか【東方の魔女】って、皆さんに呼ばれるようになったんですけど……」

「諦めろ、サラ。この街を満喫して、心を紛らせておけ」

そんな感じで、カネン商隊は数日間、西の街に滞在することになった。
ここで商品を仕入れてから、ムサスの街に戻るという。

それまでオレたち三人も自由行動。
西の街を満喫することになった。



そんな自由な日の二日目。

オレは“一人の少女”と再会する

その子は赤毛の少女。

「えっ……あれは……マリナ……?」

見つけたのは幼馴染の少女マリナ。

どうして王都から離れた、こんな街にいるんだ?

そして様子がおかしい。

「えっ……奴隷になって……売られている……?」

なんとマリナは広場で奴隷として、売られていた真っ最中だった。

しかも彼女の右手は欠損している。

「ど、どうしよう……⁉」

何が起きたか理解できない。

こんな時はどうすればいんだ……。
しおりを挟む
感想 41

あなたにおすすめの小説

無能なので辞めさせていただきます!

サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。 マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。 えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって? 残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、 無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって? はいはいわかりました。 辞めますよ。 退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。 自分無能なんで、なんにもわかりませんから。 カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。

【完結】物置小屋の魔法使いの娘~父の再婚相手と義妹に家を追い出され、婚約者には捨てられた。でも、私は……

buchi
恋愛
大公爵家の父が再婚して新しくやって来たのは、義母と義妹。当たり前のようにダーナの部屋を取り上げ、義妹のマチルダのものに。そして社交界への出入りを禁止し、館の隣の物置小屋に移動するよう命じた。ダーナは亡くなった母の血を受け継いで魔法が使えた。これまでは使う必要がなかった。だけど、汚い小屋に閉じ込められた時は、使用人がいるので自粛していた魔法力を存分に使った。魔法力のことは、母と母と同じ国から嫁いできた王妃様だけが知る秘密だった。 みすぼらしい物置小屋はパラダイスに。だけど、ある晩、王太子殿下のフィルがダーナを心配になってやって来て……

【完結】追放された子爵令嬢は実力で這い上がる〜家に帰ってこい?いえ、そんなのお断りです〜

Nekoyama
ファンタジー
魔法が優れた強い者が家督を継ぐ。そんな実力主義の子爵家の養女に入って4年、マリーナは魔法もマナーも勉学も頑張り、貴族令嬢にふさわしい教養を身に付けた。来年に魔法学園への入学をひかえ、期待に胸を膨らませていた矢先、家を追放されてしまう。放り出されたマリーナは怒りを胸に立ち上がり、幸せを掴んでいく。

冤罪で山に追放された令嬢ですが、逞しく生きてます

里見知美
ファンタジー
王太子に呪いをかけたと断罪され、神の山と恐れられるセントポリオンに追放された公爵令嬢エリザベス。その姿は老婆のように皺だらけで、魔女のように醜い顔をしているという。 だが実は、誰にも言えない理由があり…。 ※もともとなろう様でも投稿していた作品ですが、手を加えちょっと長めの話になりました。作者としては抑えた内容になってるつもりですが、流血ありなので、ちょっとエグいかも。恋愛かファンタジーか迷ったんですがひとまず、ファンタジーにしてあります。 全28話で完結。

国外追放ですか? 承りました。では、すぐに国外にテレポートします。

樋口紗夕
恋愛
公爵令嬢ヘレーネは王立魔法学園の卒業パーティーで第三王子ジークベルトから婚約破棄を宣言される。 ジークベルトの真実の愛の相手、男爵令嬢ルーシアへの嫌がらせが原因だ。 国外追放を言い渡したジークベルトに、ヘレーネは眉一つ動かさずに答えた。 「国外追放ですか? 承りました。では、すぐに国外にテレポートします」

世界最強の賢者、勇者パーティーを追放される~いまさら帰ってこいと言われてももう遅い俺は拾ってくれた最強のお姫様と幸せに過ごす~

aoi
ファンタジー
「なぁ、マギそろそろこのパーティーを抜けてくれないか?」 勇者パーティーに勤めて数年、いきなりパーティーを戦闘ができずに女に守られてばかりだからと追放された賢者マギ。王都で新しい仕事を探すにも勇者パーティーが邪魔をして見つからない。そんな時、とある国のお姫様がマギに声をかけてきて......? お姫様の為に全力を尽くす賢者マギが無双する!?

外れスキル《コピー》を授かったけど「無能」と言われて家を追放された~ だけど発動条件を満たせば"魔族のスキル"を発動することができるようだ~

空月そらら
ファンタジー
「鑑定ミスではありません。この子のスキルは《コピー》です。正直、稀に見る外れスキルですね、何せ発動条件が今だ未解明なのですから」 「何てことなの……」 「全く期待はずれだ」 私の名前はラゼル、十五歳になったんだけども、人生最悪のピンチに立たされている。 このファンタジックな世界では、15歳になった際、スキル鑑定を医者に受けさせられるんだが、困ったことに私は外れスキル《コピー》を当ててしまったらしい。 そして数年が経ち……案の定、私は家族から疎ましく感じられてーーついに追放されてしまう。 だけど私のスキルは発動条件を満たすことで、魔族のスキルをコピーできるようだ。 そして、私の能力が《外れスキル》ではなく、恐ろしい能力だということに気づく。 そんでこの能力を使いこなしていると、知らないうちに英雄と呼ばれていたんだけど? 私を追放した家族が戻ってきてほしいって泣きついてきたんだけど、もう戻らん。 私は最高の仲間と最強を目指すから。

国外追放だ!と言われたので従ってみた

れぷ
ファンタジー
 良いの?君達死ぬよ?

処理中です...