勇者パーティーをパワハラ追放された【自己評価の低い】支援魔術師、実は魔神に育てられた最強の男でした

ハーーナ殿下

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第22話:ターニングポイント

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勇者パーティーを解雇されたオレは、新しい街で謙虚に生きていくことを決意。
《東方の黄昏たそがれ団》に幼馴染マリナと共に加入して、冒険者として活動開始。

北の街道の工事現場で、ドラゴンを皆の攻撃で、倒すことに成功。
落石も撤去して、全ての任務が完了。



ムサスの街に帰還した翌朝。
冒険者ギルドの受付嬢が、オレたち見つけて、大きな声をだす。

「あー。ザムスさん! 待っていましたよ! 皆さんの昇進が決まりました!」

ギルドで待ち構えていたのは、ランク昇進の吉報だった。

今まで《東方の黄昏団》はランクB。
それが今日か、らランクAに昇進したのだという。

「「「おお⁉」」」

一瞬でギルド内は大騒ぎになる。
ムサスの街でランクAの冒険者パーティー誕生は、初のことなのだ。

そんな騒ぎの中、受付嬢の話は続いていく。

「ザムスさん、こちらがパーティーの昇進の証明品です。あと、こちらが皆さんの個人昇進証です!」

受付嬢はオレたち各自に、新しい証明タグをくれた。

剣士ザムスさんは個人ランクBからAに。
魔術師サラは個人ランクCからBへ。
弓士マリナは個人ランクCからBへ。

そしてオレは個人ランクDに昇進していた。

「おお! これがランクDの証明タグか……」

タグを手にして、新しいランクに実感が出てくる。
何度も見直して、喜びをかみしめる。

そんな横で、受付嬢がザムスさんと話をしていた。

「あの……ザムスさん、本当にハリト君は、“ランクD”でいいんですか? 彼の規格外の功績を考えたら、もっと上になるんですが……」

「いや、けっこうだ。あいつは、あまり目立たせない方がいい。悪用する連中が近づいてくる」

「ああ、なるほどです……分かりました」

なんか二人で談合みたいなことをしていた。

でもオレの耳には入らない。
何故なら今はランクDの喜びに、浸っていたからだ。

そんなオレにサラが声をかけてくる。

「ハリト君……本当にランクDでも嬉しいですか? もっと上にもいけるはずですが? 私が聞いてきますか?」

「えっ? いやー、ランクDでも十分嬉しいよ! むしろオレなんか、これでも身分不相応かもだね! あっはっはは……」

「そ、そうですか。ハリト君は凄いのか、謙虚なのか、本当によく分かりませんね」

「でもサラ。そこがハリトの良いところじゃない」

なんか次はサラとマリナが、横で会話を初める。
もちろん感動中のオレの耳には、入らない。

「そうですね。でもあのドラゴン戦の驚きで、未だに私は心臓が痛くなります」

「あー、あれはたしかにね。さすがにアレは私も驚いたわ」

「よ、よかったです、マリナでもハリト君に驚くことがあるんですね!」

なんか女子二人で、楽しそうに会話をしていた。
あとギルドの横の酒場では、早くも勝手に酒盛りが始まっている。

「次はCランクを目指して、コツコツ頑張ろう!」

そんな大騒ぎのギルド内。
オレはランクDの喜びをかみしめていたのであった。



その日の午後になる。
オレち《東方の黄昏たそがれ団》は、ある場所に呼び出しをくらう。

場所はムサスの上級区画にある、大きな屋敷。
領主レイチェルさんの館だ。

執事さんに応接室に案内されて、レイチェルさんと話をしていく。

「……という訳で、ランクAの昇進には、特別任務も生じる。今後は街のためによろしくてたのむ」

話の内容は、今後の《東方の黄昏たそがれ団》に活動について。
ランクA以上の冒険者は、登録している街や国から、半強制的な依頼も必ず受ける必要があるという。

例えば街が魔物に襲われた時など、討伐の依頼を断れないのだ。
その代わりに毎月、安定した収入も約束されるのだ。

パーティーリーダーのザムスさんが、レイチェルさんに対応する。

「問題はない。今まで同じく。オレたちは街のために尽くしていく」

相変わらず不愛想だけど、頼りになるひと言。
これにて領主からの用事は、終わりとなる。

さて、応接室から立ち去ろう。

「あ、あの……」

だがレイチェルさんが、何かを言いたそうにしている。
ザムスさんを見ながら、口をパクパクしていた。

「ん? どうしたレイチェル? 何か用か?」

「えーと、その……ザムスと話が……」

何やらレイチェルさんは、もじもじしている。

ん?
はっ⁉

これはまさか。
レイチェルさんはザムスさんと二人で、話をしたいのでなかろうか?

前のドラゴン討伐の後に、二人は話をしていた。『ゆっくり話をしよう』みたいな感じを。

でも今のザムスさんは忘れている感じだ。
そしてレイチェルさんも素直に、言い出せない雰囲気。

お互いの不器用さが全開で、歯車がかみ合えっていないのだ。

(よし、ここは二人をサポートしてあげよう。なぜならオレは支援魔術師だから!)

でも、こんな時はどんな魔法を使えばいいのだろうか?
師匠にも教えてもらっていないから、分からない。

(勇気か……あっ、そうか! 勇気があればいいだ! よし……)

意識を集中して、魔力を高める。
対象はもじもじしているレイチェルさん。

バレないように無詠唱。
そして発動のエフェクトも出さないようにする。

(いくぞ……【勇気強化《弱》】!)

フワーン

おお、成功した。
レイチェルさんの体内が明るく光った。

これで少しは勇気が出せるはず。
頑張れ、レイチェルさん

「――――ん⁉ こ、これは⁉」

「どうしたレイチェル? 顔が赤いぞ?」

「い、いや、大丈夫。でも私はザムスと二人きりで話しがしたい!」

おお、上手くいったぞ。
レイチェルさんは勇気を出して言葉にだした。

「ん? 二人きりで話だと? 仕事の話か?」

「ええ、そうよ! 大事な仕事の話よ!」

「それなら了解した。悪いが先に戻っていてくれ、お前たち」

しかもザムスさんも受けてくれた。

よし、オレたちも立ち去ろう。

「はい、分かりました! それじゃ、行こうか、サラ! マリナ!」

「はい、分かりました。でもハリト君、何か怪しくないですか? ハイテンションで?」

「そうよね? こんな顔の時のハリトは、だいたい変なことを考えている時よ?」

くっ、女子二人がやけに勘がいい。
というかキミたち、レイチェルさんの気持ちも分かったやれ。

くそっ、こうなった強行手段だ。

「あっ、そうだ。街の広場に、新しい甘味屋さんが出来たよね? 良かったらオレ、奢《おご》るよ、サラと、マリナに⁉」

「えっ……本当ですか⁉ もちろんいきます、私は!」

「私もいく! それにしてもハリトが奢るなんて、初めてだよね?」

「そ、そっかなー。よし、いこう!」

女子二人の手を引っ張って、応接室から出ていく。

あとはファイトですよ、レイチェルさん。

――――というか、何で、オレはここまで応援しているんだろう?

まぁ、支援魔術師だから、誰かを応援するのが好きんだろう、オレは。



その後はマリナとサラの三人で、甘味屋さんに行った。

「ん? 美味しいですね、これはかなり」

「そうね。ありがとう、ハリト!」

噂通りかなり美味しい。
二人とも喜んでくれた。
オレも作戦が大成功して、とても嬉しい。

「そういえば先ほどの応接室、わずかに魔力の乱れがあったのですが、何か知りませんか、ハリト君?」

「えっ? オレは分からないなー」

「そうですか。さすがにハリト君でも【無詠唱】と【魔力痕跡消去の魔法】は、同時に発動できないはずですからね……私の気のせいでしたか」

ふう……危なかった。
サラにバレてしまうところだった。

次にあんな場面があったら、魔力痕跡消去はもっと丁寧にしよう。

「ふう、ご馳走様でした、ハリト!」

「ご馳走様でしたハリト君」

甘味も食べ終わり、三人で店を出る。

そのまま冒険者ギルドに戻ることにした。
ザムスさんを待っているためだ。

冒険者ギルドの前に到着。
だがギルドの前の人だかりが出来ていた。

いったい何の騒ぎだろう?
近づいてみる。

――――そんな人混みから、ある単語が聞こえてきた。

……「なぁ、知っているか、あの勇者パーティーが、冒険者ギルドの中に入っていったらしいぞ!」

……「ああ、聞いたぞ。何でも勇者アレックス一行だろう⁉」

……「早く出てこないかな⁉ 見てみたいぜ!」

聞こえてきたのは『勇者パーティー』と『勇者アレックス』の単語。

なんと、アイツ等がこのムサスの街の来たという。
しかも今は冒険者ギルドの中にいると。

でも、どうしてこんな辺境の街に来たんだ?

そんな時、オレの服を後ろから、そっと掴んでくる人がいる。

「ハリト……」

声を震わせていたのはマリナ。
少し顔が青くなっている。

追放された時の辛いトラウマを、思い出したのかもしれない。

アレックスたちに遭遇する前に、早くここから立ち去らないと。
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