勇者パーティーをパワハラ追放された【自己評価の低い】支援魔術師、実は魔神に育てられた最強の男でした

ハーーナ殿下

文字の大きさ
23 / 31

第23話:招かざる勇者パーティー

しおりを挟む
勇者パーティーを解雇されたオレは、新しい街で謙虚に生きていくことを決意。
《東方の黄昏たそがれ団》に幼馴染マリナと共に加入して、冒険者として活動開始。

そんなある日、ムサスの街にアレックス勇者パーティーが来た。



勇者アレックスは、オレとマリナを追放した張本人。
顔を合わせて、気持ちが良いものではない。

「マリナ、宿に戻ろうか?」

「ええ、そうね」

――――冒険者ギルド前から、立ち去ろうとした時だった。

ギルドから三人組が出てきた。
アレックス勇者パーティーだ。

ヤバイ!

野次馬たちがざわつく。
勇者パーティーをひと目でも見ようといるのだ。

今がチャンスだ。
早くここから立ち去ろう。

「ん? おい、見ろよ! 面白い二人がいるぞ!」

しまった。
知らないフリをしようと思ったが、先に気がつかれてしまった。

「えっ、アレックス様? あら、本当ですわ!」

「あら、本当! どこの誰かと思ったら、クズな支援魔術師のハリトと、使えない女弓士のマリナじゃない!」

女神官ウルルと女神官エルザもいた。
相変わらず、三人とも嫌な言い方だ。

「えっ……ハリト君とマリナ、勇者パーティーと知り合いだったんですか?」

事情を知らないサラが、唖然としていた。
何が起きたか、理解できていないのだ。

「ああ、少しだけな。でも今は関係ない。行こう、サラ」

こままいたら間違いなく、サラにまで不快な思いをさせてしまう。
オレたちは立ち去ろうとする。

「おい、今の聞いたか? 『勇者パーティーと知り合いだったんですか』だってよ! おい、言ってやりなよ、ハリト! お前とマリナは『使えなさ過ぎて勇者パーティーを追放された』ってな! あっはっはは……!」

うん。相変わらずアレックスはダメな奴だ。
あんな奴に関わることはない。

さぁ、いこう、マリナ、サラ。

――――だがウチの女性陣の様子がおかしい。

まずはサラが身体をプルプルさせて、アレックスに向かって叫ぶ。

「ふう……今のやり取りで、全てを察しましたよ、私は。貴方たちは『ダメな勇者パーティー』なのですね!」

「な、なんだと⁉ どういう意味だ⁉」

見知らぬ少女から口撃をくらい、アレックスは怯む。

「当たり前じゃないですか、このハリト君を使えない支援魔術師だと言っている時点で、自分たちの無能さを、ムサスの街全体に公開しているに等しいのですよ!」

サラは凄い剣幕だ。
いつもの辛口が何倍にもキレている。

それに対して女魔術師エルザが吠え返す。

「な、何を言っているのよ、あんたは! だったらハリトが有能だとでも言うの? そんな使えない支援魔術師なんて、他にゴロゴロしているじゃない⁉」

でもサラも負けていない。

「それならお聞きします、アナタたちは勇者パーティーを名乗っているみたいですが、勇者パーティーの証はどこですか? 見たところ指定位置の首に、証を下げていませんよね? つまり剥奪か、一時はく奪をされたのではないですか? おそらくハリト君を解雇した後に調子が落ちたのではないですか? 戦闘でも思うように力を出せない感じで?」

「「「な…………」」」

サラの指摘の前に、アレックスたち三人は言葉を失っていた。
何も言い返せない。

そんな中、沈黙を守っていたマリナが、口を開く。

「ありがとう、サラ。それじゃ私も指摘させてもらうわ。たしかにハリトが抜けた後は、アレックス勇者パーティーは何回も任務に失敗していたわ。私も最初は気が付なかったけど、理由は間違いなくハリトが抜けたから。つまり追放したアレックスたちの方が、最初から無能だったのよ!」

マリナがこんなに感情を露わに怒るのは、オレも初めて見た。
アレックスたちに対して、凄く怒っている。

だが相手の女神官ウルルが、口を開いて反撃してくる。

「な、何を証拠にそんなことを言っているのよ? マリナは幼馴染だから贔屓ひいきしていつだけでよ?」

すかさずマリナが反撃する。

「証拠はあるわ。この右手を見て」

「えっ⁉ あの呪いで、絶対に回復できなかった右手が、回復している⁉」

「ええ、これもハリトの支援魔法で、治してもらったのよ。《弱》で」

「えっ……そんな……」

ウルルは言葉を失う。
前の話ではウルルは最大魔法でも、マリナの右手欠損の呪いは回復できなかった。

つまりウルルは完全に論破されたことになるのだ。
そんな論破されたウルルに変わって、女魔術エルザが前に出てくる。

「さっきから一方的なのよ、あんたたちは! そんなにハリトの支援魔法が凄い訳ないでしょ!」

そんなエルザに対して、サラが再び口を開く。

「いえ、証拠はマリナの右手だけではありません。これを見てください。ドラゴンの魔石です。私の【大風斬ハイ・ウィンド・カッター《中》】で一撃に倒しました、もちろんハリト君の支援魔法を受けて」

「えっ……そんなドラゴンを【大風斬ハイ・ウィンド・カッター《中》】で一撃だなんて、倒せる訳ないのに……はっ⁉ もしかして、昔、私たちがドラゴンを一撃で倒せたのも、まさか、ハリトが……⁉」

エルザは何かに気が付き、言葉を失う。
オレの顔を見ながら、顔色を悪くしている。

そんな時、少し回復したアレックスが、再び前に出てきた。

「論破されて使えない女たちだな! たしかにハリトがいた時は、調子がよかったかもしれない! だがそれは運だ! そしにオレたちこれら、もっとデカい任務があって、ここに来た! だから今まで以上に名声を手にいれにいくんだぜ! そんな使えない支援魔術師なんでいなくてもな!」

もはやアレックスの言っていることは、話にならない。
ギルドから出て聞いている、ギルドメンバーたちもイライラしている。

――――そんな時、アレックスの背後に近づく者がいた。

「おい、誰が使えない支援魔術師だって」

「ザムスさん!」

オレは思わず叫んでしまう。
やって来たのは、パーティーリーダーのザムスさんだった。

「ひっ⁉」

対してアレックスは、腰を抜かしてしまう。
剣士として格上な相手の圧に、ビビッってしまったのだ。

「話は少し聞いていた。うちの大事な仲間をさげすむ奴らは、たとえ元勇者パーティーでも容赦しないぞ、お前ら?」

「ひっ⁉ くそっ! 覚えてやがれ!」

「あっ、待ってください、アレックス様!」

「置いていかないでよ、アレックス!」

三人は情けない姿で、ギルド前から立ち去ろうとする。
野次馬たちも、もはやアレックスたちの味方はいない。

「「「偽勇者め!」」」とギルドの人たちは、アレックスたちに酒をかけている。

アレックスたちはどこかに消えていく。
あの様子では、もはや街の中にはいられないのだろう。

そんな雰囲気の中、誰かが叫ぶ。
ギルドメンバーだ。

「邪魔者がいなくなったところで、飲み直しだ!」

「「「おお!」」」

皆は冒険者に戻っていく。
そしてギルドの併設されている酒場で、盛大な酒盛りが始まる。
誰もが清々した顔をしていた。

そんな中、ザムスさんがオレの声をかけてくる。

「大丈夫か、ハリト?」

「はい、オレは大丈夫です。サラとマリナが、オレのことを守ってくれたので。ありがとう、二人とも!」

二人に向かって頭を下げる。

先ほどはアレックス一行に対して、マリナとサラは立ち向かってくれた。
オレのことを守ってくれたのだ。

「れ、礼を言われるまでもありませんよ。ハリト君のことを辛口で攻められるのは、私だけの特権なんですから……」

「そうね。私も大事な幼馴染で仲間だからね。礼はいらないわ、ハリト」

「二人とも……でも、ありがとう。本当に嬉しかったよ、さっきは!」

オレは自分のことを、未熟な支援魔術師だと思っている。
でもアレックスたちに言われるのは、さすがに頭にくる。

だからオレのために、本気で怒ってくれた二人。
サラとマリナには本当に感謝しかない。

「ふっ……さて、オレたちも飲み会に混ざるか、ハリト? 中でギルドの連中が、待っているぞ、お前のことを」

「えっ、あっ、本当だ? でもどうしてだろう? オレなんかために?」

「お前がムサスの街で頑張っていたことを、皆も知っているからさ。オレたちと同じで」

「そ、そうですか……それじゃ、いってきます!」

この後の飲み会は、最高に楽しかった。

ギルドメンバーとムサスの街について色んな話をして、美味しい酒を飲んでいった。

もちろんザムスさんとザラ、マリナも一緒に親睦を深めたのだ。






だが、それから数日後。

ムサスの街に大事件が起きる。

近くの“聖山”に、膨大な数の魔物が出現。

ムサスの街に危機が迫っていたのだ。
しおりを挟む
感想 41

あなたにおすすめの小説

無能なので辞めさせていただきます!

サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。 マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。 えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって? 残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、 無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって? はいはいわかりました。 辞めますよ。 退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。 自分無能なんで、なんにもわかりませんから。 カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。

【完結】物置小屋の魔法使いの娘~父の再婚相手と義妹に家を追い出され、婚約者には捨てられた。でも、私は……

buchi
恋愛
大公爵家の父が再婚して新しくやって来たのは、義母と義妹。当たり前のようにダーナの部屋を取り上げ、義妹のマチルダのものに。そして社交界への出入りを禁止し、館の隣の物置小屋に移動するよう命じた。ダーナは亡くなった母の血を受け継いで魔法が使えた。これまでは使う必要がなかった。だけど、汚い小屋に閉じ込められた時は、使用人がいるので自粛していた魔法力を存分に使った。魔法力のことは、母と母と同じ国から嫁いできた王妃様だけが知る秘密だった。 みすぼらしい物置小屋はパラダイスに。だけど、ある晩、王太子殿下のフィルがダーナを心配になってやって来て……

【完結】追放された子爵令嬢は実力で這い上がる〜家に帰ってこい?いえ、そんなのお断りです〜

Nekoyama
ファンタジー
魔法が優れた強い者が家督を継ぐ。そんな実力主義の子爵家の養女に入って4年、マリーナは魔法もマナーも勉学も頑張り、貴族令嬢にふさわしい教養を身に付けた。来年に魔法学園への入学をひかえ、期待に胸を膨らませていた矢先、家を追放されてしまう。放り出されたマリーナは怒りを胸に立ち上がり、幸せを掴んでいく。

冤罪で山に追放された令嬢ですが、逞しく生きてます

里見知美
ファンタジー
王太子に呪いをかけたと断罪され、神の山と恐れられるセントポリオンに追放された公爵令嬢エリザベス。その姿は老婆のように皺だらけで、魔女のように醜い顔をしているという。 だが実は、誰にも言えない理由があり…。 ※もともとなろう様でも投稿していた作品ですが、手を加えちょっと長めの話になりました。作者としては抑えた内容になってるつもりですが、流血ありなので、ちょっとエグいかも。恋愛かファンタジーか迷ったんですがひとまず、ファンタジーにしてあります。 全28話で完結。

国外追放ですか? 承りました。では、すぐに国外にテレポートします。

樋口紗夕
恋愛
公爵令嬢ヘレーネは王立魔法学園の卒業パーティーで第三王子ジークベルトから婚約破棄を宣言される。 ジークベルトの真実の愛の相手、男爵令嬢ルーシアへの嫌がらせが原因だ。 国外追放を言い渡したジークベルトに、ヘレーネは眉一つ動かさずに答えた。 「国外追放ですか? 承りました。では、すぐに国外にテレポートします」

世界最強の賢者、勇者パーティーを追放される~いまさら帰ってこいと言われてももう遅い俺は拾ってくれた最強のお姫様と幸せに過ごす~

aoi
ファンタジー
「なぁ、マギそろそろこのパーティーを抜けてくれないか?」 勇者パーティーに勤めて数年、いきなりパーティーを戦闘ができずに女に守られてばかりだからと追放された賢者マギ。王都で新しい仕事を探すにも勇者パーティーが邪魔をして見つからない。そんな時、とある国のお姫様がマギに声をかけてきて......? お姫様の為に全力を尽くす賢者マギが無双する!?

水しか操れない無能と言われて虐げられてきた令嬢に転生していたようです。ところで皆さん。人体の殆どが水分から出来ているって知ってました?

ラララキヲ
ファンタジー
 わたくしは出来損ない。  誰もが5属性の魔力を持って生まれてくるこの世界で、水の魔力だけしか持っていなかった欠陥品。  それでも、そんなわたくしでも侯爵家の血と伯爵家の血を引いている『血だけは価値のある女』。  水の魔力しかないわたくしは皆から無能と呼ばれた。平民さえもわたくしの事を馬鹿にする。  そんなわたくしでも期待されている事がある。  それは『子を生むこと』。  血は良いのだから次はまともな者が生まれてくるだろう、と期待されている。わたくしにはそれしか価値がないから……  政略結婚で決められた婚約者。  そんな婚約者と親しくする御令嬢。二人が愛し合っているのならわたくしはむしろ邪魔だと思い、わたくしは父に相談した。  婚約者の為にもわたくしが身を引くべきではないかと……  しかし……──  そんなわたくしはある日突然……本当に突然、前世の記憶を思い出した。  前世の記憶、前世の知識……  わたくしの頭は霧が晴れたかのように世界が突然広がった……  水魔法しか使えない出来損ない……  でも水は使える……  水……水分……液体…………  あら? なんだかなんでもできる気がするわ……?  そしてわたくしは、前世の雑な知識でわたくしを虐げた人たちに仕返しを始める……──   【※女性蔑視な発言が多々出てきますので嫌な方は注意して下さい】 【※知識の無い者がフワッとした知識で書いてますので『これは違う!』が許せない人は読まない方が良いです】 【※ファンタジーに現実を引き合いに出してあれこれ考えてしまう人にも合わないと思います】 ◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。 ◇ご都合展開。矛盾もあるよ! ◇なろうにも上げてます。

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

処理中です...