勇者パーティーをパワハラ追放された【自己評価の低い】支援魔術師、実は魔神に育てられた最強の男でした

ハーーナ殿下

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第24話:動かない会議に

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勇者アレックス一行を論破していから、数日後。

ムサスの街が慌ただしくなる。
近隣の聖山に異変が発生。
大量の魔物が溢れて出していると、狩人から情報がもたらされたのだ。



このまま放置しておけば、街に魔物が襲ってくるかもしれない。
蜂の巣をつついたように、ムサスの街は慌ただしくなる。

……「おい、急いで避難の準備を!」

……「でも、どこに逃げるというのだ⁉」

……「何でもいい、武器をくれ!」

……「街の城壁の補強を!」

無力な市民は、街から避難する準備を。
力ある者たちは、魔物を迎え撃つ準備をしていた。

そんなムサスの街の中、領主の館で戦力が集中している場所がある。
レイチェルの住んでいる屋敷であった。

無数の武装した兵によって、戦場の陣地が庭に敷かれていた。

……「おい、予備の武器をもっと用意しろ!」

……「近隣への要請は済んでいるのか⁉」

……「馬が足りない! 非常事態宣言で、徴収してこい!」

まさに戦時のように、兵士たちは殺気だっていた。

そんな屋敷の中で、今緊急会議が開かれている。

場所はレイチェル邸の、一番大きな部屋。
“迎賓の間”に無数の者たちが集結している。

「それでは今日の緊急会議を始めるぞ!」

集まっていたのは領主レイチェルと、街の有力者たち。
各商工ギルドの代表と、各町会の代表者。

その中にザムスさんと、オレたち《東方の黄昏たそがれ団》もいた。

長いテーブルの上で、各代表たちによって激しい論議されていた。

……「聖山で何が起きているか、説明を、領主殿!」

……「原因は不明。見張りの者によると、凄まじい数の魔物が溢れ出している

……「この街はどうするつもりだ⁉ 避難か、残るのか⁉」

……「それを決めるのが、この会議の場だ!」

会議の内容は、大きく二つに分かれている。
質問をする市民側と、答える領主と関係者側。

あと全市民避難を推す派と、徹底抗戦を推す派だ。
長い議論が進んでいく。

そんな難しい議論をオレは、ザムスさんの後ろで立って聞いている。

でも、かなり内容が難しい会議だ。
なぜ一介の冒険者であるオレが、こんな重要な会議に参加しているのだろうか?

隣のサラに小声で聞いてみよう。

「ねぇ、サラ。どうしてオレたち、ここにいるの?」

「ん? それは私たちが、ランクAの冒険者パーティーに昇格したからです。登録場所に危機があった時は、規則によって強制的に会議に参加が、義務付けられているのです」

「あっ、そうか。でもパーティーリーダーのザムスさんだけで良くない?」

「それも規則によって決まっているのです。先日の昇格書類を見ていなかったのですか、ハリト君?」

「あっ、あれか……ごめん」

「ふう……やっぱりですね。私たちに議決権はありませんが、発言権はあります。何か緊急な時は、挙手して発言できます。まぁ、私たちが発現することは、無いと思いますが」

「あー、ですよね。それじゃ、静かに聞いておくね」

だいたいの情報は聞けた。
つまり何も言わずに黙って聞いておけ、ということなのだろう。

なかなかランクAの冒険者パーティーも難しい立場だ。

(それにしても聖山か……そんなモノがムサスの街の近くにあったんだ……)

会議の話によると、この街の近くに“聖山”という場所があるという。
徒歩で一日くらいの場所。

何もない場所だが、昔から魔力が集まりやすく、“聖山”と呼ばれていたらしい。

でも数日に事件が起きる。
聖山で無数の魔物の群れを、地元の狩人が発見。

ムサスの街に報告。
冒険者ギルドのCランクパーティーが討伐に行った。

しかし報告の数倍の魔物が、聖山に溢れかえっていた。
そのため冒険者パーティーは大急ぎで撤退して、領主に報告。
今日の緊急会議となる。

ちなみにムサスの街の領主レイチェルさんだけど、街の運営は協議会によって行われている。
商工ギルドの代表と、町内の代表者で今回のように決定しているのだ。

――――それで話は戻る。

住民の避難か、徹底抗戦かでもめているのだ。

議長あるレイチェルさんは、まとめるもの大変そうだ。

あー、早く終わらないかな、この不毛な会議。
とりあえず魔物が増えすぎる前に、数を減らしていった方がいいと思う。

あと非戦闘員は退避がいいかな。
家や財産も大事だけど、命が何より大事だからね。

うーん、まだ会議が終わらないな。
本当に会議が不毛で、更に長くなりそうな感じだ。

よし暇だから、聖山の様子でも確認してみよう。

無詠唱で魔力を抑えて……【広範囲探知】!

ピコーン。

よし、聖山方面の魔物を探知したぞ。

うっ……これは酷いな。
聖山らしき中心部は、物凄い魔物の密集地になっている。

小物がほとんどだけど、魔物の数は千以上。
あと大きめな魔物が何体もいる。

ん?
この中心部にいる三体の魔物だけ、やけに強力だな。

前回のドラゴンの倍くらいは強そうだ。
こいつらが原因なのかな?

――――そんな時だった。

「あっ、まずい!」

探知に異常を発見。
オレは思わず声を出してしまう。

「あっ……? みなさん?」

声を出したタイミングが悪かった。
ちょうど会議が、シーンと静まり返った瞬間だったのだ。

ジロリ

参加者の全ての視線が、オレに集まる。
ほとんどの者は、あまり気にしていない感じ。

だが数人は不吉な視線を向けている。
冒険者ギルドのギルドマスターと、女領主レイチェルさん、《東方の黄昏たそがれ団》メンバーだ。

その中でレイチェルさんが、真剣な顔で質問していく。

「……『まずいか』……か。どうしたハリト?」

「えっ、オレ、発言してもいいんですか?」

「ああ、構わない。発言権はあるからな」

「あっ、そうでしたね。それでは報告します。聖山に湧き出た魔物の内、約半数が……えーと、正確には892体が、このムサスの街に向かって、移動を開始しました! 到着予想時間は、この感じだと……三日後の午前中です!」

「「「なっ……⁉」」」

会議の他の参加者は、変な声を出す。
そしてすぐに嘲笑が響き渡る。

「あっはっはは……何を言いだすかと思えば、魔物が892体だと⁉」

「何を根拠に、そんな数が出てきたんだ⁉」

「ここから聖山までは、遠く離れているんだぞ⁉ どうやって分かったんだ⁉」

「しかも到着時間まで⁉ はっはっは……」

オレの話を、各代表たちは信じてない感じだ。

無理もない。
パッとしない風貌の支援魔術師が、いきなり奇怪な報告をしたのだ。
オレが逆の立場でも、同じ反応するかもしれない。

だが参加者の中でも、ギルドマスターとレイチェルさんだけは真剣だった。
ギルドマスターは席を立つ。

「レイチェル殿、私は先にギルドに戻ります。待機しているメンバーに、臨戦態勢を取らせます」

「ああ、頼む。準備が出来たら、この屋敷の庭に集結してくれ!」

「はっ!」

二人は既に臨戦態勢にはいっている。
オレの言葉を信じているのだ。

だが各代表者たちは、更に嘲笑する。

「領主殿、あんな若造な支援魔術師の話を、聞くのですか⁉」

「そんな簡単に信じては、領主として務まりませんぞ!」

「これだから若いもんは……」

今度は矛先を、レイチェルの無能さに向けている。
かなり旗印は悪い。

そんな困っているレイチェルを見て、ザムスさんが動き出す。

「おい、ハリト。今すぐ“出して”」くれ」

「えっ? 出す、ですか? 何をどこに出せばいんですか? ザムスさん?」

「先日の素材を、そこの窓の外の庭に出してくれ」

「えっ? あんな邪魔なものをですか? 庭も傷つけちゃうし、レイチェルさんにも怒られちゃいますよ?」

「いや、大丈夫だ。オレが保証してやる」

何やらザムスさんには、考えがあるらしい。
それなら仕方がない、従うことにした。

オレは会議室のベランダから、外に庭に出る。
意識を集中して、魔力を高める。

「えーと、それじゃいきます、【収納】!」

貯めこんでいた“前回の素材”を出す。

シュッ、ドーーーーーン!

直後、凄まじい地鳴りが、屋敷を揺らす。
あまりの大きさに揺れてしまったのだ。

ふう、これでいですか。ザムスさん?
でも、こんなことに何の意味が?

ん?
レイチェルさんを攻めていた各代表者の様子が、変だぞ?

みんな言葉を失って、目を点にしている。
オレが出した巨大なドラゴの素材を、誰もが凝視しているのだ。

「な……あれは……巨大なアレは……なんだ⁉」

「あ、あれは、まさかドラゴンの素材では⁉」

「まさか……そんな……というか、どうやって出てきたんだ⁉」

「まさか、さっきの支援魔術師が……出した……だと⁉」

誰もが理解できずにいた。
何か怒られそうだから、ちゃんと皆に説明してしないと。

「えーと、みなさん。これは先日オレたち《東方の黄昏たそがれ団》が倒したドラゴンの素材です。オレが【収納】して持ち歩いていました。あと、危険はないのです、安心してください!」

よし、これで説明は終わり。
皆さん、安心してくれたかな?

シーーーン

各代表は静かになる。
どうしたんだろう?

そんな静寂の中で、レイチェルさんが口を開く。

「これで“あの支援魔術師”の力が分かったであろう? つまり魔物892体が三日後に襲撃してくるのも事実だ。各代表者は戻って、これに対応にするべし!」

「「「は、はい!」」」

レイチェルさんの指示に従い、各代表は一斉に席を立つ。
蜂の巣をつついたよう、みんな部屋から出ていく。

そしてみんな出ていく時に、オレの顔を見ていく。
とても怖がっている感じだ。

ん?
どうしたんだろう?

そんな中、レイチェルさんが近づいてくる。

「ありがとう、ハリト。それにザムスも。二人のお蔭で何とか、迅速に魔物への対応ができそうだ」

「えっ? はい?」

「街を守るためだ。礼は無用だ。それより、魔物を迎撃する準備をするぞ、レイチェル」

こうしてムサスの街は臨戦態勢に突入。

892体の魔物の迎撃するための、戦の準備をするのだった。



















 ◇



 ――――あとがき――――


 ◇




読んで頂きありがとうございます!

同じような痛快ファンタジー作品も書いてました。

こちらも是非よろしくお願いします!


《タイトル》
愛する家族を勇者パーティーに惨殺された少年、【最強の魔剣】と【七大魔人の仲間】を手に入れ、勇者パーティーと世界の全てにざまぁ復讐していく

https://www.alphapolis.co.jp/novel/832153235/331366467

《あらすじ》

 
 少年ラインは改心した魔族の元王女と、人族男性の間に生まれた子。人里離れた山奥で、美しい母親と幸せに暮らしていた。
  
 だが合法の《魔族狩り》に来た残虐な六人の勇者によって、幸せな生活は一瞬で崩壊。辛うじて生き残ったラインは、見るも無残な母の亡骸の前で血の涙を流す。魔族公爵の叔父に拾われ、復讐のため魔界の七大試練に挑む。
 
 時は流れ十四歳になったラインは、勇者育成学園に身分を隠し入学。目的は教師となった六人の勇者への完全な復讐。

  これは最強の魔の力を会得した少年が、勇者候補を演じながら、勇者と世界を相手に復讐していく物語である。

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