愛する家族を勇者パーティーに惨殺された少年、【最強の魔剣】と【七大魔人の仲間】を手に入れ、勇者パーティーと世界の全てにざまぁ復讐していく

ハーーナ殿下

文字の大きさ
28 / 39

第28話:先読み

しおりを挟む
「あ、あれは……ライン⁉ なぜ二人いる⁉ 勇者魔法で調べても、お前は間違いなく、ライン一回生だったはずなのに⁉」

まさか現象に、レイチェル=ライザールは言葉を失っていた。
アホな顔で二人のボクを見回している。

「では種明かしといこうか、レイチェル先生」「そこで寝ているボクは、ボクでありながらボクではない」

魔族拘束デーモン・アクセサリー】で拘束され、死の淵にあるのは魔道人形。
そう《怠惰《たいだ》ベルフェ》の作り上げた芸術品だ。

今回もボクの特殊能力の【性質創造リ・クリエイト】も併せて発動。
魔道人形を“勇者候補ラインそのもの”に変質させたのだ。

今回はレイチェル=ライザールの罠を先読み。ボクが事前に用意して、“エサ”として放っておいたのだ。

「な、ば、馬鹿な……“存在そのものを変質”させただと⁉ あり得ない! 私の研究でも、上級魔族ですら、そんな異質な能力は使えないはずだ⁉」

詳しく説明してもレイチェル=ライザールは、状況を受け入れずにいた。
自分のことを賢いと思っている奴に、よくある現象だ。
更に上の存在であるボクの特殊能力を、信じられないのであろう。

「まぁ、別に信じてもらえなくても構わない。お前はもうすぐ地獄を見るのだから、レイチェル=ライザール」

「くっ……舐めるなよ、若造が! たかが義体で騙したぐらいで調子に乗るなよ! むしろ本体のお前が出てきて、好都合! 忘れたのか、この研究室の中では、魔族の力は使えないんだぞ!」

レイチェル=ライザールは混乱から狂気へと、再び表情を変える。
魔法を発動して、ボクの入ってきた後ろの扉を閉鎖。

「くっくっく……“存在を変質させる力”……必ず手に入れてみせるぞ、ライン。キサマのはらわたを引きずり出して、精液を吸収してあげるわ!」

本体であるボクに、レイチェル=ライザールは次のターゲットを定める。
異質な形の杖を出現させ、ゆっくりとボクに近づいてきた。

「“魔族の力が使えない結界”か、たしかに、そのようだな」

流石は人類が誇る勇者の中でも、魔術を得意とする《大賢者》の称号を持つ者。
頭の中は狂気に侵されているとはいえ、かなりの対魔術結界だった。

この中で“新たな魔族の能力”を発動することはは難しい。

「……【魔穴展開ヘル・ゲート・オープン】!」

だがボクは事前に用意しておいた、暗黒魔法を発動。
魔界へ続く“漆黒の穴”を出現させる、特殊な転移魔法だ。

「はっはっは⁉ キサマ、アホか、ライン⁉ この研究所の中では、魔族の魔法は使えないんだぞ!」

「ああ、知っている。魔族の力が使えないのは、“この研究所の中”だけ。つまり簡単なことだ」

「――――な⁉」

レイチェル=ライザールが絶句した直後だった。

転移が始まる。
巨大な“漆黒の穴”な、研究所の下に出現。
建物ごと飲み込んでいく。

――――シュン!

次の瞬間、研究所の外の雰囲気が一変。
魔素と瘴気が強くなっていた。

「ば、ばかな……“研究所を丸ごと転移させた”だと⁉ 理論的にあり得ない……」

外の気配を感じとり、レイチェル=ライザールは言葉を震わせていた。

何故なら魔界への転移は、普通の転移魔法とは、桁違いに難しい。
一人の肉体を転移させるのでも、普通はやっと。巨大な建物ごと転移など、不可能だと思っていたのだ。

だが今回はボクと《怠惰《たいだ》ベルフェ》で、事前に研究所の転移の準備をしておいた。
少し疲れたが、特に問題はない作業だった。

「さて、レイチェル=ライザールよ、魔界へ、ようこそ。いや、《七大地獄セブンス・ヘル》の第二階層、《第二地獄モアブ》にようこそ! 歓迎するぞ!」

魔穴展開ヘル・ゲート・オープン】で移動して先は、魔族の本拠地である魔界。

こうして復讐の宴の第二幕が、華やかに開宴するのであった。
しおりを挟む
感想 7

あなたにおすすめの小説

収納魔法を極めた魔術師ですが、勇者パーティを追放されました。ところで俺の追放理由って “どれ” ですか?

木塚麻弥
ファンタジー
収納魔法を活かして勇者パーティーの荷物持ちをしていたケイトはある日、パーティーを追放されてしまった。 追放される理由はよく分からなかった。 彼はパーティーを追放されても文句の言えない理由を無数に抱えていたからだ。 結局どれが本当の追放理由なのかはよく分からなかったが、勇者から追放すると強く言われたのでケイトはそれに従う。 しかし彼は、追放されてもなお仲間たちのことが好きだった。 たった四人で強大な魔王軍に立ち向かおうとするかつての仲間たち。 ケイトは彼らを失いたくなかった。 勇者たちとまた一緒に食事がしたかった。 しばらくひとりで悩んでいたケイトは気づいてしまう。 「追放されたってことは、俺の行動を制限する奴もいないってことだよな?」 これは収納魔法しか使えない魔術師が、仲間のために陰で奮闘する物語。

最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした

新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。 「もうオマエはいらん」 勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。 ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。 転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。 勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)

防御力を下げる魔法しか使えなかった俺は勇者パーティから追放されたけど俺の魔法に強制脱衣の追加効果が発現したので世界中で畏怖の対象になりました

かにくくり
ファンタジー
 魔法使いクサナギは国王の命により勇者パーティの一員として魔獣討伐の任務を続けていた。  しかし相手の防御力を下げる魔法しか使う事ができないクサナギは仲間達からお荷物扱いをされてパーティから追放されてしまう。  しかし勇者達は今までクサナギの魔法で魔物の防御力が下がっていたおかげで楽に戦えていたという事実に全く気付いていなかった。  勇者パーティが没落していく中、クサナギは追放された地で彼の本当の力を知る新たな仲間を加えて一大勢力を築いていく。  そして防御力を下げるだけだったクサナギの魔法はいつしか次のステップに進化していた。  相手の身に着けている物を強制的に剥ぎ取るという究極の魔法を習得したクサナギの前に立ち向かえる者は誰ひとりいなかった。 ※小説家になろうにも掲載しています。

【本編45話にて完結】『追放された荷物持ちの俺を「必要だ」と言ってくれたのは、落ちこぼれヒーラーの彼女だけだった。』

ブヒ太郎
ファンタジー
「お前はもう用済みだ」――荷物持ちとして命懸けで尽くしてきた高ランクパーティから、ゼロスは無能の烙印を押され、なんの手切れ金もなく追放された。彼のスキルは【筋力強化(微)】。誰もが最弱と嘲笑う、あまりにも地味な能力。仲間たちは彼の本当の価値に気づくことなく、その存在をゴミのように切り捨てた。 全てを失い、絶望の淵をさまよう彼に手を差し伸べたのは、一人の不遇なヒーラー、アリシアだった。彼女もまた、治癒の力が弱いと誰からも相手にされず、教会からも冒険者仲間からも居場所を奪われ、孤独に耐えてきた。だからこそ、彼女だけはゼロスの瞳の奥に宿る、静かで、しかし折れない闘志の光を見抜いていたのだ。 「私と、パーティを組んでくれませんか?」 これは、社会の評価軸から外れた二人が出会い、互いの傷を癒しながらどん底から這い上がり、やがて世界を驚かせる伝説となるまでの物語。見捨てられた最強の荷物持ちによる、静かで、しかし痛快な逆襲劇が今、幕を開ける!

僕の秘密を知った自称勇者が聖剣を寄越せと言ってきたので渡してみた

黒木メイ
ファンタジー
世界に一人しかいないと言われている『勇者』。 その『勇者』は今、ワグナー王国にいるらしい。 曖昧なのには理由があった。 『勇者』だと思わしき少年、レンが頑なに「僕は勇者じゃない」と言っているからだ。 どんなに周りが勇者だと持て囃してもレンは認めようとしない。 ※小説家になろうにも随時転載中。 レンはただ、ある目的のついでに人々を助けただけだと言う。 それでも皆はレンが勇者だと思っていた。 突如日本という国から彼らが転移してくるまでは。 はたして、レンは本当に勇者ではないのか……。 ざまぁあり・友情あり・謎ありな作品です。 ※小説家になろう、カクヨム、ネオページにも掲載。

ゲームの悪役パパに転生したけど、勇者になる息子が親離れしないので完全に詰んでる

街風
ファンタジー
「お前を追放する!」 ゲームの悪役貴族に転生したルドルフは、シナリオ通りに息子のハイネ(後に世界を救う勇者)を追放した。 しかし、前世では子煩悩な父親だったルドルフのこれまでの人生は、ゲームのシナリオに大きく影響を与えていた。旅にでるはずだった勇者は旅に出ず、悪人になる人は善人になっていた。勇者でもないただの中年ルドルフは魔人から世界を救えるのか。

レベルが上がらずパーティから捨てられましたが、実は成長曲線が「勇者」でした

桐山じゃろ
ファンタジー
同い年の幼馴染で作ったパーティの中で、ラウトだけがレベル10から上がらなくなってしまった。パーティリーダーのセルパンはラウトに頼り切っている現状に気づかないまま、レベルが低いという理由だけでラウトをパーティから追放する。しかしその後、仲間のひとりはラウトについてきてくれたし、弱い魔物を倒しただけでレベルが上がり始めた。やがてラウトは精霊に寵愛されし最強の勇者となる。一方でラウトを捨てた元仲間たちは自業自得によるざまぁに遭ったりします。※小説家になろう、カクヨムにも同じものを公開しています。

弟に裏切られ、王女に婚約破棄され、父に追放され、親友に殺されかけたけど、大賢者スキルと幼馴染のお陰で幸せ。

克全
ファンタジー
「アルファポリス」「カクヨム」「ノベルバ」に同時投稿しています。

処理中です...