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正妻戦争(27)レッドドラゴン強襲!
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「は、はい。ガーランドは私の旦那です。貴女達は?」
「こいつらは、ガーランドとパーティを組んだこともある俺の冒険者パーティの連中だ。もちろん、マリーの父親ともパーティを組んだこともある」
「そう……、だったのですか……」
セフィは、小さく自分自身を納得させるように言葉を紡ぐ。
彼女が何を思っているのか俺には分からない。
「カンダさん! それじゃ、あのドラゴンがガーランドの娘なの?」
「ああ……」
リアの問いかけに言葉を返しながらも俺はドラゴンへと視線を向け続ける。
先ほど、母親であるセフィを攻撃してきたことから、マリーの意識が無いというのが予測できたからだ。
「……それでガーランドの娘が小さかったから、父親のふりをしたということですか?」
「そうなる」
「はぁ……」
ソルティが大きく溜息をつくと口を開く。
「――それで、どうするのですか? 自分の両親が嘘をついていたことにショックを受けたのなら、その問題を取り除くには一つしか方法がありませんが?」
「それは?」
「セフィさんと、カンダさんが結婚すればいいのです」
「いや、それはダメだろ」
俺は頭を左右にふりながらソルティの言葉に答える。
「そうですよ! 結婚するならリアなの!」
「私と結婚するといいですよ!」
「二人とも、こんな時に冗談を言っている場合ではないだろう?」
まったく、もう少し人の気持ちを考えて発言してもらいたいものだ。
今は、マリーの対応が最優先だろうに。
「冗談じゃないの!」
「そうですよ! 正妻戦争に私達は勝ったのですから!」
「――え? 正妻戦争って、こんな事態になっているのに、そんなことを言っている場合じゃな――「カンダさん!」――なっ!?」
突然、ドラゴンになったマリーの目が真っ赤に染まる。
すると、3メートルを超える巨大な火の玉をソルティやリアに向けて吐き出した。
とっさに二人を押し倒す。
頭上を火の玉を越えていく。
熱気が遅れて押し寄せてくる。
「どういうことだ? さっきまでと、全く違う――」
「どうやら、さっきまでカンダさんとセフィさんに向けられていた怒りが、リアさんとソフィアさんに向けられているようですね」
「何故だ? 二人は、関係ないはずだが?」
「いい加減、現状を把握してください。マリーさんは、カンダさんとセフィさんを実の親だと思っていたのでしょう? そして、それが嘘だったことが判明してドラゴンに変化したのでしょう? そして二人揃って、嫁と言ったのですから――」
「つまりリアがカンダさんを略奪したと勘違いしたということなの?」
「わ、私も!?」
「つまり……、リアとソフィアの悪ふざけが原因で、さらにマリーの暴走が酷くなったということか!」
まったく、二人とも場を荒らすような真似はしないでもらいたい。
「悪ふざけじゃないの!」
「そうよ! 何のためにカンダさんの後を追ってきたと思っているの?」
「……もしかして、本気で言っているのか?」
俺の言葉に二人が頷いてくる。
「まったく……、気がつかなかった……。俺は、少し鈍かったようだな……」
「少しじゃないの!」
リアが、俺の言葉に突っ込みを入れてきたが返す言葉もない。
「――で、俺はどうすればいい?」
現時点で、どうやって問題を収束すればいいのか想像もつかない。
こういうときに、エルナが居れば相談することもできるのだが……。
そんな俺にソルティが「セフィさんと再婚すればいいのではないですか?」と提案してきたが、俺にはリルカがいるから……。
「いや、それは……。俺にはリルカが居るからな……。そんなことをしたら裏切りになるだろうし……。第一、何人も妻を取るなんて貴族でも――」
「それなら、建国すればいいのではないですか?」
「おい、そんな夕飯の買い物を行くように簡単に言うなよな」
「それなら、これだけ好意を向けられていたことに気がつかないカンダさんは、どうやって責任を取るつもりですか?」
「……どうやってって……」
ソルティの言葉に言葉が詰まる。
それと同時にドラゴンが詰め寄ってくる。
「カンダさん、私とリアがドラゴンの気を引いておきます! ですから男らしく責任を取ってください!」
何やら意味深な物言いをして、リアとソフィアが俺達から離れていく。
そのあとをドラゴンが追っていくとすぐさまソルティが「また、そうやって先送りするつもりですか?」と語りかけてきた。
「ま、またって……」
まるで、俺が問題ばかり先送りするような日本人の典型的な特徴を指摘しなくてもいいだろうに……。
そもそも、男にとって結婚は一大事な問題なわけで。
それと異世界の女性達は簡単に言いすぎだ! と、言う突っ込みをするとまた文句を言われるかも知れないから黙っておく。
「それに、カンダさん」
「……」
「あのエンシェントドラゴンの元の戻し方を知っているのは、このソルティだけなのですよ? つまり私の協力が無いとマリーさんを救えないということです」
「ソルティ。ま、まさか……、お、お前……」
「察しが良くて助かります」
「こいつらは、ガーランドとパーティを組んだこともある俺の冒険者パーティの連中だ。もちろん、マリーの父親ともパーティを組んだこともある」
「そう……、だったのですか……」
セフィは、小さく自分自身を納得させるように言葉を紡ぐ。
彼女が何を思っているのか俺には分からない。
「カンダさん! それじゃ、あのドラゴンがガーランドの娘なの?」
「ああ……」
リアの問いかけに言葉を返しながらも俺はドラゴンへと視線を向け続ける。
先ほど、母親であるセフィを攻撃してきたことから、マリーの意識が無いというのが予測できたからだ。
「……それでガーランドの娘が小さかったから、父親のふりをしたということですか?」
「そうなる」
「はぁ……」
ソルティが大きく溜息をつくと口を開く。
「――それで、どうするのですか? 自分の両親が嘘をついていたことにショックを受けたのなら、その問題を取り除くには一つしか方法がありませんが?」
「それは?」
「セフィさんと、カンダさんが結婚すればいいのです」
「いや、それはダメだろ」
俺は頭を左右にふりながらソルティの言葉に答える。
「そうですよ! 結婚するならリアなの!」
「私と結婚するといいですよ!」
「二人とも、こんな時に冗談を言っている場合ではないだろう?」
まったく、もう少し人の気持ちを考えて発言してもらいたいものだ。
今は、マリーの対応が最優先だろうに。
「冗談じゃないの!」
「そうですよ! 正妻戦争に私達は勝ったのですから!」
「――え? 正妻戦争って、こんな事態になっているのに、そんなことを言っている場合じゃな――「カンダさん!」――なっ!?」
突然、ドラゴンになったマリーの目が真っ赤に染まる。
すると、3メートルを超える巨大な火の玉をソルティやリアに向けて吐き出した。
とっさに二人を押し倒す。
頭上を火の玉を越えていく。
熱気が遅れて押し寄せてくる。
「どういうことだ? さっきまでと、全く違う――」
「どうやら、さっきまでカンダさんとセフィさんに向けられていた怒りが、リアさんとソフィアさんに向けられているようですね」
「何故だ? 二人は、関係ないはずだが?」
「いい加減、現状を把握してください。マリーさんは、カンダさんとセフィさんを実の親だと思っていたのでしょう? そして、それが嘘だったことが判明してドラゴンに変化したのでしょう? そして二人揃って、嫁と言ったのですから――」
「つまりリアがカンダさんを略奪したと勘違いしたということなの?」
「わ、私も!?」
「つまり……、リアとソフィアの悪ふざけが原因で、さらにマリーの暴走が酷くなったということか!」
まったく、二人とも場を荒らすような真似はしないでもらいたい。
「悪ふざけじゃないの!」
「そうよ! 何のためにカンダさんの後を追ってきたと思っているの?」
「……もしかして、本気で言っているのか?」
俺の言葉に二人が頷いてくる。
「まったく……、気がつかなかった……。俺は、少し鈍かったようだな……」
「少しじゃないの!」
リアが、俺の言葉に突っ込みを入れてきたが返す言葉もない。
「――で、俺はどうすればいい?」
現時点で、どうやって問題を収束すればいいのか想像もつかない。
こういうときに、エルナが居れば相談することもできるのだが……。
そんな俺にソルティが「セフィさんと再婚すればいいのではないですか?」と提案してきたが、俺にはリルカがいるから……。
「いや、それは……。俺にはリルカが居るからな……。そんなことをしたら裏切りになるだろうし……。第一、何人も妻を取るなんて貴族でも――」
「それなら、建国すればいいのではないですか?」
「おい、そんな夕飯の買い物を行くように簡単に言うなよな」
「それなら、これだけ好意を向けられていたことに気がつかないカンダさんは、どうやって責任を取るつもりですか?」
「……どうやってって……」
ソルティの言葉に言葉が詰まる。
それと同時にドラゴンが詰め寄ってくる。
「カンダさん、私とリアがドラゴンの気を引いておきます! ですから男らしく責任を取ってください!」
何やら意味深な物言いをして、リアとソフィアが俺達から離れていく。
そのあとをドラゴンが追っていくとすぐさまソルティが「また、そうやって先送りするつもりですか?」と語りかけてきた。
「ま、またって……」
まるで、俺が問題ばかり先送りするような日本人の典型的な特徴を指摘しなくてもいいだろうに……。
そもそも、男にとって結婚は一大事な問題なわけで。
それと異世界の女性達は簡単に言いすぎだ! と、言う突っ込みをするとまた文句を言われるかも知れないから黙っておく。
「それに、カンダさん」
「……」
「あのエンシェントドラゴンの元の戻し方を知っているのは、このソルティだけなのですよ? つまり私の協力が無いとマリーさんを救えないということです」
「ソルティ。ま、まさか……、お、お前……」
「察しが良くて助かります」
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