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正妻戦争(28)レッドドラゴン強襲!
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「どうりで非常に協力的だと思っていた。報酬は何がいいんだ?」
さすがの俺も、冒険者として一緒にパーティを組んだこともあり飲み仲間でもあったガーランドの娘をドラゴンのまま放置しておくわけにはいかない。
「カンダさんの子供がほしいです。以前もお伝えしたとおり女神に復帰するのが目的ですし、それに好意も抱いていますから」
「そ、そうか……」
好意が後付けに聞こえるのは気のせいだろうか?
不審な気持ちになったのを察したのか、ソルティが「本当です! カンダさんだって私のことが必要とか言ってくれたから!」と、頬を赤く染めて力説してくる。
今回の話し方は、嘘ではないような気がするが……。
――いかん。どうもエルナの暗躍などを見ていたせいか女性不審になっている気がする。
「つまり、ソルティの話を受け入れないと情報は貰えないと言う事か?」
俺の言葉に彼女は頷いてみせる。
「……分かった」
横目で戦況を確認しながら俺はソルティの言葉に頷く。
ターゲットがリアとソフィアに移ったことで、彼女たちは俺達が少し離れた場所に移動して、ドラゴンの攻撃から人が扱う魔法と、エルフが扱う精霊魔法で身を守っている。
だが、それがいつまで持つか分からない。
「本当に本当ですよ? 約束しましたから!」
「分かったよ……、でもリルカにも相談しないといけないからな」
「カンダさん、獣人の群れの中では雄が決定権を持ちますので! カンダさんが決めたことは決定ですよ?」
「な――!?」
「それでは、説明いたしますね」
「ちょ! まっ――」
「まず、メディデータではなく人間とドラゴンの混血児であるマリーさんを人間に戻すためには、人間としての自我を取り戻すことは必要不可欠です。そして、人間と魔物の一番の大きな違いは精神感応物質をどれだけ取り入れているかだけ。つまり、人間に戻すためには、魔法を発動させるために必要な精神感応物質を除去する必要があるのです」
俺の制止を無視して、ソルティは俺とセフィにマリーが魔物に変化した理由を説明してきた。
その中には、いくつか気になった要素があった。
もう――、この際、毒を食らうならば皿までだ!
最後まで話を聞くために、セフィの同意を得るために彼女のほうへと視線を向けると、セフィも頷いてくる。
「ソルティ」
「はい?」
「精神感応物質と言うのを俺は以前、本で読んだことがある。たしか――オレイカルコスと言ったような気がするが?」
「はい、オレイカルコスは精神波を増幅する力を持っているのです。それは、生物という物が存在している場所には少量ながらも必ず存在するものです。そう、どこの惑星であっても。問題は、この惑星は、その物質そのもので作られているために魔法が使えるという点です。そして、その精神感応物資に効率よく人の意識を伝達するために神代文明の時代に異世界から来た人間に作られたのがナノ・ニュートリノ・マシン。現在は、それが大気中に散布されているのです」
「なるほど……、異世界人というのは地球人だよな?」
「前も、カンダさんに言いました。A―327の惑星です。惑星名までは分かりません」
「そうか……」
ソルティの言葉に溜息をつく。
やはり、この世界は異世界人が深く関わっている可能性がある。
ただ、情報が制限されている可能性がありそうだが……。
「――あ、あの! 娘は、その精神なんとかというのを取り除けば?」
「ええ、元に戻るわ。問題は、カンダさんや私では、それが出来ないってこと」
「どういうことだ?」
「助けるためには……」
ソルティは、口を閉じると逃げ回っているソフィアとリアのほうへと視線を向けた。
「エルフと、進化したメディデータの力が必要なの。彼女たちの協力を得られないと、マリーさんを助けることは出来ないわ」
「なら!」
リアとソフィアなら俺の仲間だ。
俺からの頼みなら二つ返事で聞いてくれることだろう。
「ソフィア、リア! マリーを救うために力を貸してくれ!」
「結婚してくれるなら考えるの!」
「結婚するならいいけど、それ以外は無理です!」
「なん……だと……!?」
二人の言葉に俺は唖然としつつ、言葉を紡ぐ。
「おい! 冗談を言っている場合じゃないんだぞ!」
「冗談ではないの!」
「大真面目よ!」
リアとソフィアが、俺の言葉に即答してくる。
こんな事で、言い争いをしている場合では無いというのに……、まったく冒険者なのに現在の状況も判断がつかないのか!
「わ、わかった! その事に関しては――。結婚とかそういう話については全部が終わってから、ゆっくりとお互いの意見を摺りあわせて、本当にそれでいいのかどうかを決めよう!」
「カンダさんは、いつも先送りする癖があるから、その案は却下なの」
俺の提案をリアがバッサリと切って捨ててきた。
「待ってくれ! とりあえずソルティは、何とかなるかもしれないが! さすがにそんなに無節操に嫁をリルカに相談も無しに取っていたら――」
俺が、めっちゃくちゃ怒られそうだ。
「ま、まずは上司に相談したり各種方面に許可を取ったりと色々とあったり……」
俺は何を言っているのだろうか?
少しというか、かなり頭の中が混乱しているようだ。
即決断が下せないのは日本人らしいと言えば日本人らしい。
さすがの俺も、冒険者として一緒にパーティを組んだこともあり飲み仲間でもあったガーランドの娘をドラゴンのまま放置しておくわけにはいかない。
「カンダさんの子供がほしいです。以前もお伝えしたとおり女神に復帰するのが目的ですし、それに好意も抱いていますから」
「そ、そうか……」
好意が後付けに聞こえるのは気のせいだろうか?
不審な気持ちになったのを察したのか、ソルティが「本当です! カンダさんだって私のことが必要とか言ってくれたから!」と、頬を赤く染めて力説してくる。
今回の話し方は、嘘ではないような気がするが……。
――いかん。どうもエルナの暗躍などを見ていたせいか女性不審になっている気がする。
「つまり、ソルティの話を受け入れないと情報は貰えないと言う事か?」
俺の言葉に彼女は頷いてみせる。
「……分かった」
横目で戦況を確認しながら俺はソルティの言葉に頷く。
ターゲットがリアとソフィアに移ったことで、彼女たちは俺達が少し離れた場所に移動して、ドラゴンの攻撃から人が扱う魔法と、エルフが扱う精霊魔法で身を守っている。
だが、それがいつまで持つか分からない。
「本当に本当ですよ? 約束しましたから!」
「分かったよ……、でもリルカにも相談しないといけないからな」
「カンダさん、獣人の群れの中では雄が決定権を持ちますので! カンダさんが決めたことは決定ですよ?」
「な――!?」
「それでは、説明いたしますね」
「ちょ! まっ――」
「まず、メディデータではなく人間とドラゴンの混血児であるマリーさんを人間に戻すためには、人間としての自我を取り戻すことは必要不可欠です。そして、人間と魔物の一番の大きな違いは精神感応物質をどれだけ取り入れているかだけ。つまり、人間に戻すためには、魔法を発動させるために必要な精神感応物質を除去する必要があるのです」
俺の制止を無視して、ソルティは俺とセフィにマリーが魔物に変化した理由を説明してきた。
その中には、いくつか気になった要素があった。
もう――、この際、毒を食らうならば皿までだ!
最後まで話を聞くために、セフィの同意を得るために彼女のほうへと視線を向けると、セフィも頷いてくる。
「ソルティ」
「はい?」
「精神感応物質と言うのを俺は以前、本で読んだことがある。たしか――オレイカルコスと言ったような気がするが?」
「はい、オレイカルコスは精神波を増幅する力を持っているのです。それは、生物という物が存在している場所には少量ながらも必ず存在するものです。そう、どこの惑星であっても。問題は、この惑星は、その物質そのもので作られているために魔法が使えるという点です。そして、その精神感応物資に効率よく人の意識を伝達するために神代文明の時代に異世界から来た人間に作られたのがナノ・ニュートリノ・マシン。現在は、それが大気中に散布されているのです」
「なるほど……、異世界人というのは地球人だよな?」
「前も、カンダさんに言いました。A―327の惑星です。惑星名までは分かりません」
「そうか……」
ソルティの言葉に溜息をつく。
やはり、この世界は異世界人が深く関わっている可能性がある。
ただ、情報が制限されている可能性がありそうだが……。
「――あ、あの! 娘は、その精神なんとかというのを取り除けば?」
「ええ、元に戻るわ。問題は、カンダさんや私では、それが出来ないってこと」
「どういうことだ?」
「助けるためには……」
ソルティは、口を閉じると逃げ回っているソフィアとリアのほうへと視線を向けた。
「エルフと、進化したメディデータの力が必要なの。彼女たちの協力を得られないと、マリーさんを助けることは出来ないわ」
「なら!」
リアとソフィアなら俺の仲間だ。
俺からの頼みなら二つ返事で聞いてくれることだろう。
「ソフィア、リア! マリーを救うために力を貸してくれ!」
「結婚してくれるなら考えるの!」
「結婚するならいいけど、それ以外は無理です!」
「なん……だと……!?」
二人の言葉に俺は唖然としつつ、言葉を紡ぐ。
「おい! 冗談を言っている場合じゃないんだぞ!」
「冗談ではないの!」
「大真面目よ!」
リアとソフィアが、俺の言葉に即答してくる。
こんな事で、言い争いをしている場合では無いというのに……、まったく冒険者なのに現在の状況も判断がつかないのか!
「わ、わかった! その事に関しては――。結婚とかそういう話については全部が終わってから、ゆっくりとお互いの意見を摺りあわせて、本当にそれでいいのかどうかを決めよう!」
「カンダさんは、いつも先送りする癖があるから、その案は却下なの」
俺の提案をリアがバッサリと切って捨ててきた。
「待ってくれ! とりあえずソルティは、何とかなるかもしれないが! さすがにそんなに無節操に嫁をリルカに相談も無しに取っていたら――」
俺が、めっちゃくちゃ怒られそうだ。
「ま、まずは上司に相談したり各種方面に許可を取ったりと色々とあったり……」
俺は何を言っているのだろうか?
少しというか、かなり頭の中が混乱しているようだ。
即決断が下せないのは日本人らしいと言えば日本人らしい。
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