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4話目 約束
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「な、何か?」
少し震える声で――、だが! 無視も出来ない損な性分もあり、隣に座っているエトワールさんに話しかける。
それにしても俺の隣の席だったとは……。
「あとで顔を貸して」
短く鈴の音が鳴るような綺麗な声で言葉を紡いできた彼女に、俺は思わず頷く。
ただ彼女の言葉の節々から、好意的ではない空気が伝わってくるのは俺の勘違いではないだろう。
それからは何事もなく朝のホームルームという自己紹介は一通り終わる。
「えー。本日は、個々の自己紹介をメインにしましたが、始業式という事もあり本格的な学校生活は明日からとなります。本日は、慣れない中での自己紹介を含めた高校初日だと思いますが、早めに帰宅し休んで明日の登校に備えてください」
神代先生は、そう壇上で俺たちを見渡しながら話しかけてくる。
それと同時に丁度よく学校のチャイムが鳴った。
時刻は、午前11時半。
お昼前の時間ではあったが、思ったよりも時間が経過している事に驚きながらも、俺がカバンを片手に教室から出た。
教室から出たあとは昇降口まで小走りで向かう。
下駄箱が並んでいる場所に到着したあと、外履きに履き替えたあと、校庭に出る。
校庭で横断し、学校の正門から出たところで――、
「ちょっと!」
何か、少し苛立ちを滲ませたような声が背後から聞こえてくる。
まぁ、気のせいだろう。
俺は学校前の信号が青になったところで横断歩道を渡ろうとする。
すると、そこでカバンを手にしていない右手を掴まれた。
「ちょっと、待ちなさいよ!」
俺の手を掴んでくる手は、男の手ではない。
それは断じることは出来る。
そして、『ちょっと!』と、俺に話しかけてくる相手は、たぶん……いや! きっと! 違う! 絶対! 俺に、話しかけてきている。
ただし、それは御怒り気味な感じで。
俺は誰かを怒らせるような立ち回りをするほど馬鹿ではないはずだが……。
まぁ、こうして心の中で考察をしていても何の意味も無い事は明らかだ。
そう! まずは、現実を認識して対処方法を模索する! それは、諸葛孔明も言っていたことだ! 知らんけど。
とりあえず振り向く。
そこには、美少女が立っていて――、俺を上目遣いで見てきていた。
――お、おう。
そう、心の中で思わず突っ込みを入れそうになるくらいの絶世の美少女であった。
お昼という事もあり陽光をふんだんに反射させる銀髪の髪は、キラキラと光り、頭頂付近は天使の輪っかが出来ており、さらに言うのなら髪は細く絹糸のように細くすらあった。
顔は、小顔と言った感じではあったが、大きな赤い瞳は、俺を見上げていて、その瞳の中には俺の姿まで見えるようだった。
「何でしょうか?」
思わず他人行儀な口ぶりになったのは、仕方ないと思う。
まぁ、他人だがな!
「待ってって言ったわよね!」
「……」
思わず首を傾げる。
こんな美少女と約束をしたのなら覚えているはずだが? と、思いつつも記憶の糸を手繰り寄せ――、
「あー、エトワールさん?」
「はぁー」
何とか思い出した。
そういえば、ホームルームの途中で顔を貸せ! と、言ってきたな。
完全に忘れてたな。
少し震える声で――、だが! 無視も出来ない損な性分もあり、隣に座っているエトワールさんに話しかける。
それにしても俺の隣の席だったとは……。
「あとで顔を貸して」
短く鈴の音が鳴るような綺麗な声で言葉を紡いできた彼女に、俺は思わず頷く。
ただ彼女の言葉の節々から、好意的ではない空気が伝わってくるのは俺の勘違いではないだろう。
それからは何事もなく朝のホームルームという自己紹介は一通り終わる。
「えー。本日は、個々の自己紹介をメインにしましたが、始業式という事もあり本格的な学校生活は明日からとなります。本日は、慣れない中での自己紹介を含めた高校初日だと思いますが、早めに帰宅し休んで明日の登校に備えてください」
神代先生は、そう壇上で俺たちを見渡しながら話しかけてくる。
それと同時に丁度よく学校のチャイムが鳴った。
時刻は、午前11時半。
お昼前の時間ではあったが、思ったよりも時間が経過している事に驚きながらも、俺がカバンを片手に教室から出た。
教室から出たあとは昇降口まで小走りで向かう。
下駄箱が並んでいる場所に到着したあと、外履きに履き替えたあと、校庭に出る。
校庭で横断し、学校の正門から出たところで――、
「ちょっと!」
何か、少し苛立ちを滲ませたような声が背後から聞こえてくる。
まぁ、気のせいだろう。
俺は学校前の信号が青になったところで横断歩道を渡ろうとする。
すると、そこでカバンを手にしていない右手を掴まれた。
「ちょっと、待ちなさいよ!」
俺の手を掴んでくる手は、男の手ではない。
それは断じることは出来る。
そして、『ちょっと!』と、俺に話しかけてくる相手は、たぶん……いや! きっと! 違う! 絶対! 俺に、話しかけてきている。
ただし、それは御怒り気味な感じで。
俺は誰かを怒らせるような立ち回りをするほど馬鹿ではないはずだが……。
まぁ、こうして心の中で考察をしていても何の意味も無い事は明らかだ。
そう! まずは、現実を認識して対処方法を模索する! それは、諸葛孔明も言っていたことだ! 知らんけど。
とりあえず振り向く。
そこには、美少女が立っていて――、俺を上目遣いで見てきていた。
――お、おう。
そう、心の中で思わず突っ込みを入れそうになるくらいの絶世の美少女であった。
お昼という事もあり陽光をふんだんに反射させる銀髪の髪は、キラキラと光り、頭頂付近は天使の輪っかが出来ており、さらに言うのなら髪は細く絹糸のように細くすらあった。
顔は、小顔と言った感じではあったが、大きな赤い瞳は、俺を見上げていて、その瞳の中には俺の姿まで見えるようだった。
「何でしょうか?」
思わず他人行儀な口ぶりになったのは、仕方ないと思う。
まぁ、他人だがな!
「待ってって言ったわよね!」
「……」
思わず首を傾げる。
こんな美少女と約束をしたのなら覚えているはずだが? と、思いつつも記憶の糸を手繰り寄せ――、
「あー、エトワールさん?」
「はぁー」
何とか思い出した。
そういえば、ホームルームの途中で顔を貸せ! と、言ってきたな。
完全に忘れてたな。
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