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第一話
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「はあ、今日も学校終わったな……」
夕方頃、僕は一人で下校をしていた。団体行動がそんなに得意でもなく、入学式すぐに友達を作り始めたクラスメートにも話しかけられずに僕はクラスで目立たない存在となった。
その上、部活動への入部は個人の自由な高校を選んだから部活動にも所属していない。だから、僕は誰とも帰っていない。勉強はあまり得意じゃないから学校は少し憂鬱なだけで、一人でいる事自体は自分が望んだ事なのだ。
「……あ、そういえばクラスメート達が話してた噂のお屋敷ってこの辺りだったような気がする」
僕はある噂を思い出した。その噂というのは、この近くの大きなお屋敷にはいつも窓から外を見ている人形のように綺麗な女の子が住んでおり、風が吹いた瞬間に開いていた窓が閉まっている上にその子も消えているという物だ。そしてそのお屋敷にはその子以外に誰の気配もしないので、そこは幽霊屋敷か何かでその子も幽霊なんじゃないかと言われていた。
「幽霊かあ……せっかくだから見に行こうかな。このまま帰っても暇だし」
僕はクラスメート達が話していたお屋敷を見つけるために辺りを色々歩き回った。歩き続ける事数分、僕の目の前に大きなお屋敷が現れた。
「お、大きいな……」
そのお屋敷は思っていたよりも大きい上に綺麗だった。曇り一つなく磨かれている銀色の門は太陽の光を浴びてキラキラと輝き、門の正面にある噴水からは勢いよく水が吹き出していて、少し離れたところには色とりどりの花が咲き誇る庭園があるようだった。
「だいぶしっかりと手入れされてるみたいだし、幽霊屋敷って事はなさそうだけどなぁ。それにしても、こんなところに住んでる人形のように綺麗な女の子ってどんな人なんだろ」
僕には到底手の届かないいわゆる雲の上の人のような女の子なのだろうけど、もし会えるなら会ってみたいと思える程に興味が湧いていた。しかし、窓のところには誰もいないようだったため、お屋敷を見られただけでも得したと考えて帰る事にした。
「たまには色々歩き回るのも良いのかもしれないな」
そんな事を言いながら帰ろうとしたその時、お屋敷の入り口が開き、白いワンピースの女の子が中から出てきて僕はハッとした。その女の子は美しさと可愛らしさを兼ね備えたような顔つきをしていて、肌は新雪のように白かった。それとは対照的に長く風でなびいてサラサラと流れる黒い髪もまた美しく、スラッとした体型と少しでも力を入れたら折れてしまうんじゃないかと思える程に腕と足は細かった。
「綺麗だ……」
思わずそんな言葉が漏れる。綺麗という感想しか出ない自分が恥ずかしいくらいだったけれど、その子から目が離せず、僕はボーッとしながらその子を見続けていた。だからだろうか。
「あの……」
その子が目の前まで近づいてきていて、不思議そうに首を傾げている姿に気づけなかったのは。
「わっ……」
「あ、驚かせてしまいましたね。申し訳ありません」
「い、いえ……ここでボーッとしていた僕が悪いですから」
「そんな事はありませんよ。突然話しかけてしまった私に非がありますから。今日は調子がよかったので少しお庭を歩いてみようと思いましたが、まさかの出会いがあったので良かったです」
「調子が良かったって……もしかしてどこか悪いんですか?」
その子は首を横に振る。
「今はそういうわけではないです。あ、よろしければ中へどうぞ。普段どなたもいらっしゃらないのでお客様として来ていただけたら本当に嬉しいです」
「え……い、良いんですか?」
「はい。では、今から門を開けますね」
その子は門の横に移動する。すると、門は音を立てながら独りでに開き、僕はその光景に驚くしかなかった。
「す、スゴい……」
「ふふ、驚いていただけたようで良かったです。では、どうぞこちらへ」
「は、はい……」
その子に導かれるままに僕は敷地内へ足を踏み入れ、再び門が閉まっていく音が聞こえる中で僕は女の子の後に続いてお屋敷に向けて歩き始めた。
夕方頃、僕は一人で下校をしていた。団体行動がそんなに得意でもなく、入学式すぐに友達を作り始めたクラスメートにも話しかけられずに僕はクラスで目立たない存在となった。
その上、部活動への入部は個人の自由な高校を選んだから部活動にも所属していない。だから、僕は誰とも帰っていない。勉強はあまり得意じゃないから学校は少し憂鬱なだけで、一人でいる事自体は自分が望んだ事なのだ。
「……あ、そういえばクラスメート達が話してた噂のお屋敷ってこの辺りだったような気がする」
僕はある噂を思い出した。その噂というのは、この近くの大きなお屋敷にはいつも窓から外を見ている人形のように綺麗な女の子が住んでおり、風が吹いた瞬間に開いていた窓が閉まっている上にその子も消えているという物だ。そしてそのお屋敷にはその子以外に誰の気配もしないので、そこは幽霊屋敷か何かでその子も幽霊なんじゃないかと言われていた。
「幽霊かあ……せっかくだから見に行こうかな。このまま帰っても暇だし」
僕はクラスメート達が話していたお屋敷を見つけるために辺りを色々歩き回った。歩き続ける事数分、僕の目の前に大きなお屋敷が現れた。
「お、大きいな……」
そのお屋敷は思っていたよりも大きい上に綺麗だった。曇り一つなく磨かれている銀色の門は太陽の光を浴びてキラキラと輝き、門の正面にある噴水からは勢いよく水が吹き出していて、少し離れたところには色とりどりの花が咲き誇る庭園があるようだった。
「だいぶしっかりと手入れされてるみたいだし、幽霊屋敷って事はなさそうだけどなぁ。それにしても、こんなところに住んでる人形のように綺麗な女の子ってどんな人なんだろ」
僕には到底手の届かないいわゆる雲の上の人のような女の子なのだろうけど、もし会えるなら会ってみたいと思える程に興味が湧いていた。しかし、窓のところには誰もいないようだったため、お屋敷を見られただけでも得したと考えて帰る事にした。
「たまには色々歩き回るのも良いのかもしれないな」
そんな事を言いながら帰ろうとしたその時、お屋敷の入り口が開き、白いワンピースの女の子が中から出てきて僕はハッとした。その女の子は美しさと可愛らしさを兼ね備えたような顔つきをしていて、肌は新雪のように白かった。それとは対照的に長く風でなびいてサラサラと流れる黒い髪もまた美しく、スラッとした体型と少しでも力を入れたら折れてしまうんじゃないかと思える程に腕と足は細かった。
「綺麗だ……」
思わずそんな言葉が漏れる。綺麗という感想しか出ない自分が恥ずかしいくらいだったけれど、その子から目が離せず、僕はボーッとしながらその子を見続けていた。だからだろうか。
「あの……」
その子が目の前まで近づいてきていて、不思議そうに首を傾げている姿に気づけなかったのは。
「わっ……」
「あ、驚かせてしまいましたね。申し訳ありません」
「い、いえ……ここでボーッとしていた僕が悪いですから」
「そんな事はありませんよ。突然話しかけてしまった私に非がありますから。今日は調子がよかったので少しお庭を歩いてみようと思いましたが、まさかの出会いがあったので良かったです」
「調子が良かったって……もしかしてどこか悪いんですか?」
その子は首を横に振る。
「今はそういうわけではないです。あ、よろしければ中へどうぞ。普段どなたもいらっしゃらないのでお客様として来ていただけたら本当に嬉しいです」
「え……い、良いんですか?」
「はい。では、今から門を開けますね」
その子は門の横に移動する。すると、門は音を立てながら独りでに開き、僕はその光景に驚くしかなかった。
「す、スゴい……」
「ふふ、驚いていただけたようで良かったです。では、どうぞこちらへ」
「は、はい……」
その子に導かれるままに僕は敷地内へ足を踏み入れ、再び門が閉まっていく音が聞こえる中で僕は女の子の後に続いてお屋敷に向けて歩き始めた。
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