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夜明けのセラフィナイト
終章:夜明けの誓い
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ゼファニヤとリリアンジェの婚約は、王都中の祝福をもって発表された。命の恩人であり、家の危機を救った英雄である公爵と、その愛を一心に受ける心優しき伯爵令嬢の物語は、吟遊詩人によって歌われるほどだった。
カシウスとイザベラは、爵位を剥奪され、領地も没収された上で王都から追放された。二度と社交界にその名が上がることはなかったという。
結婚式の準備が進む穏やかな日々の中、リリアンジェはゼファニヤと共に、あの思い出の温室を訪れていた。
「見てください、ゼファニヤ様。セラフィナイトが、花を咲かせそうです」
リリアンジェが指さす先には、小さな白い蕾がついていた。セラフィナイトの花は、純粋な愛に応えるように咲くという言い伝えがある。
「それは素晴らしい。私たちの未来を、祝福してくれているかのようだ」
ゼファニヤは、リリアンジェを後ろから優しく抱きしめ、彼女の髪に顔をうずめた。薬草の清らかな香りと、彼女自身の甘い香りが混じり合う。
「リリア」 「はい」 「君を愛している。世界の何よりも」 「私もです、ゼファニヤ様。私も、あなたを心から愛しています」
振り返ったリリアンジェの唇に、ゼファニヤが優しく口づける。それは、長くて、甘い誓いのキスだった。
かつて、絶望の涙を流した夜会。地味だと罵られ、プライドを打ち砕かれたあの日。あの経験があったからこそ、今、本当の愛を知ることができたのかもしれない。
ガラス窓の向こうで、空が白み始め、夜明けの光が差し込んでくる。新しい一日が、そして新しい人生が、今始まろうとしていた。
ゼファニヤの腕の中で、リリアンジェは心からの安らぎを感じていた。もう何も恐れることはない。この世で最も深く、熱い愛に包まれているのだから。
温室に満ちる薬草の香りと、差し込む柔らかな光の中で、二人は静かに未来を誓い合った。その傍らで、幻の薬草セラフィナイトの白い蕾が、夜明けの光を浴びて、ゆっくりとほころび始めていた。
カシウスとイザベラは、爵位を剥奪され、領地も没収された上で王都から追放された。二度と社交界にその名が上がることはなかったという。
結婚式の準備が進む穏やかな日々の中、リリアンジェはゼファニヤと共に、あの思い出の温室を訪れていた。
「見てください、ゼファニヤ様。セラフィナイトが、花を咲かせそうです」
リリアンジェが指さす先には、小さな白い蕾がついていた。セラフィナイトの花は、純粋な愛に応えるように咲くという言い伝えがある。
「それは素晴らしい。私たちの未来を、祝福してくれているかのようだ」
ゼファニヤは、リリアンジェを後ろから優しく抱きしめ、彼女の髪に顔をうずめた。薬草の清らかな香りと、彼女自身の甘い香りが混じり合う。
「リリア」 「はい」 「君を愛している。世界の何よりも」 「私もです、ゼファニヤ様。私も、あなたを心から愛しています」
振り返ったリリアンジェの唇に、ゼファニヤが優しく口づける。それは、長くて、甘い誓いのキスだった。
かつて、絶望の涙を流した夜会。地味だと罵られ、プライドを打ち砕かれたあの日。あの経験があったからこそ、今、本当の愛を知ることができたのかもしれない。
ガラス窓の向こうで、空が白み始め、夜明けの光が差し込んでくる。新しい一日が、そして新しい人生が、今始まろうとしていた。
ゼファニヤの腕の中で、リリアンジェは心からの安らぎを感じていた。もう何も恐れることはない。この世で最も深く、熱い愛に包まれているのだから。
温室に満ちる薬草の香りと、差し込む柔らかな光の中で、二人は静かに未来を誓い合った。その傍らで、幻の薬草セラフィナイトの白い蕾が、夜明けの光を浴びて、ゆっくりとほころび始めていた。
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