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夜明けのティアラ
エピローグ:夜明けのティアラ
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セドリックが社交界から姿を消して、数ヶ月が過ぎた。
王都には、穏やかな春の光が満ちていた。私とゼノは、あの始まりの場所である、王宮の庭園を二人で散歩していた。
「不思議ですわ。あんなに憎んでいたはずなのに、今ではセドリック様のことなど、どうでもよくなってしまいました」
私がそう言うと、ゼノは微笑んで私の手を握った。
「君の心が、過去ではなく未来を向いている証拠だ」
私たちは、噴水の前に置かれたベンチに腰を下ろした。
ゼノは、懐から小さな箱を取り出した。それは、偽りの婚約の日に私に贈られたサファイアの指輪が入っていた箱とは、また違うものだった。
「リラ」
彼は私の前に跪くと、その箱を厳かに開いた。
中には、一つのティアラが収められていた。プラチナの繊細な土台に、無数の小さなダイヤモンドが散りばめられ、中央には、夜明けの空の色を映したような、淡いピンク色のダイヤモンドが輝いていた。
「これは……?」
「私の国の王家に、古くから伝わるティアラだ。『夜明けのティアラ』と呼ばれている。絶望の夜を越え、新しい光を迎える王妃に贈られるものだと伝えられてきた」
彼はティアラを手に取ると、私の頭にそっと乗せた。
「リラ・アステル。いや、私の愛するリラ。偽りではない、真実の想いを、今ここで君に誓いたい。私の妻になってほしい」
彼の銀色の瞳は、どこまでも真剣で、深い愛に満ちていた。
もう、迷いはなかった。
「はい、喜んで。あなたの愛する、ゼノの妻に」
涙で滲む視界の中で、彼が嬉しそうに微笑むのが見えた。彼は立ち上がると、私を優しく抱きしめ、唇を重ねた。それは、これまでのどんなキスよりも、甘く、永遠を感じさせるキスだった。
私たちは、追放された王子の身分も、伯爵令嬢という肩書きも、全て捨て去ることにした。
ゼノ・クォーツと、リラ・クォーツとして。ただの、愛し合う一組の男女として、新しい人生を歩み始めるのだ。
かつて、婚約破棄という絶望の夜にいた私は、もういない。
私の頭上には、愛する人がくれた「夜明けのティアラ」が輝いている。それは、私が自分の力で掴み取った、幸せな未来の象徴。
夜明けの光の中、私たちは手を取り合い、輝かしい未来へと続く道を、ゆっくりと歩き始めた。
王都には、穏やかな春の光が満ちていた。私とゼノは、あの始まりの場所である、王宮の庭園を二人で散歩していた。
「不思議ですわ。あんなに憎んでいたはずなのに、今ではセドリック様のことなど、どうでもよくなってしまいました」
私がそう言うと、ゼノは微笑んで私の手を握った。
「君の心が、過去ではなく未来を向いている証拠だ」
私たちは、噴水の前に置かれたベンチに腰を下ろした。
ゼノは、懐から小さな箱を取り出した。それは、偽りの婚約の日に私に贈られたサファイアの指輪が入っていた箱とは、また違うものだった。
「リラ」
彼は私の前に跪くと、その箱を厳かに開いた。
中には、一つのティアラが収められていた。プラチナの繊細な土台に、無数の小さなダイヤモンドが散りばめられ、中央には、夜明けの空の色を映したような、淡いピンク色のダイヤモンドが輝いていた。
「これは……?」
「私の国の王家に、古くから伝わるティアラだ。『夜明けのティアラ』と呼ばれている。絶望の夜を越え、新しい光を迎える王妃に贈られるものだと伝えられてきた」
彼はティアラを手に取ると、私の頭にそっと乗せた。
「リラ・アステル。いや、私の愛するリラ。偽りではない、真実の想いを、今ここで君に誓いたい。私の妻になってほしい」
彼の銀色の瞳は、どこまでも真剣で、深い愛に満ちていた。
もう、迷いはなかった。
「はい、喜んで。あなたの愛する、ゼノの妻に」
涙で滲む視界の中で、彼が嬉しそうに微笑むのが見えた。彼は立ち上がると、私を優しく抱きしめ、唇を重ねた。それは、これまでのどんなキスよりも、甘く、永遠を感じさせるキスだった。
私たちは、追放された王子の身分も、伯爵令嬢という肩書きも、全て捨て去ることにした。
ゼノ・クォーツと、リラ・クォーツとして。ただの、愛し合う一組の男女として、新しい人生を歩み始めるのだ。
かつて、婚約破棄という絶望の夜にいた私は、もういない。
私の頭上には、愛する人がくれた「夜明けのティアラ」が輝いている。それは、私が自分の力で掴み取った、幸せな未来の象徴。
夜明けの光の中、私たちは手を取り合い、輝かしい未来へと続く道を、ゆっくりと歩き始めた。
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