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番外1話 大福の異世界散策・前編
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佐武学
ベースLv1
ノービスLv1
HP:1320 MP:15
ATK:81 MATK:1
DF:67 MDF:1
筋力:41
体力:60
敏捷:1
魔力:1
ステータスポイント:0
正直な話、ワシらの中で最初に戦闘を経験するのはねこさんや無いと疑わんかった。
本人も自覚しているが、実はかなり臆病やし、自分のリスクを避けようと手堅く行動する傾向が強い。
だからねこさんが戦うとしたら、ワシらの誰かが戦って安全を確認してからやと思っとった。
そして最初に戦闘を経験するのは、この世界に飛ばされてからも戦うのが楽しみで仕方が無いワシか、責任感が強くみんなの危険を減らすために先に自分で危険を背負い込むことを選びかねんレンさんのどっちかやろなぁと思い込んでた。
逆にねこさん以上に無いと思ってたのはシンくんやな。
シンくんはレンさんによう懐いとるし、レンさんもシンくんを大事にしとるから、レンさんが自分で戦闘を経験するまでは絶対に戦わさんやろな。
まぁでもねこさんは人一倍優しいからなぁ。
襲われてる人が目の前に居たから飛び出してしもたんかもなぁ。
ただ、元々武器を使った戦闘の才能があったのは、これまで一緒にやってきたネトゲーを見ただけでもなんとなくわかっとった。
実際ワシの爺さんの道場で少し手解きしたことがあるが、あの『間合いの距離感』や『体捌き』と『フェイントを織り交ぜる思考力』は、ワシも羨むくらい良いもんを持ってた。
格闘家としては致命的なくらい筋肉と体重が無いから素手には向かんやろうけど、武器を持たせ戦闘ならワシも本気でかからな危ない程や。
というかホンマに素人なんかと、筋力の無さを再確認するくらい疑ったわ。
で、そんなことを考えながらワシは今何をしてるのかと言うと、ねこさんに触発されて狩りに出てきたわけや。
町にある武器屋で木の盾(丈夫そうな板の裏側に革ベルトが並んで二本付いており、片方は腕に巻いて固定し、もう片方を手で握る)と、そこの厚い革のブーツを追加。
道具屋でHP回復ポーションも5本買い込んだら所持金が雀の涙状態や。
狩りをして何とか所持金を増やさんと、明日以降は野宿やな…。
そんな訳でワシは町の周辺を散策しとる。
時刻は〈ワシ時間〉大体昼の2時頃。
〈ねこ時間〉で言えば夜の8時やな。
ボーナススキルは〈鑑定〉をセット。
ふははー!
久々の実戦や、腕が鳴るで!
まぁ近所のチンピラがこの世界の魔物より強いとは思えんから油断は禁物やけどな。
宿屋の一階にある酒場で少し情報収集したところによると、この近くには魔物が居付いとる洞窟があるそうや。
一通り回って魔物と遭遇せんかったら、洞窟の方にも行ってみよか。
さすがに中には入らんが。
道を外れて木々が生い茂る山に分け入る。
町が見えなくなるようなところまで行かんかったら迷うことないやろ。
ドン!
後ろを振り返って町を見ていたワシの脚に強い衝撃。
「痛っつ…」
衝撃に思わず足をとられたが何とか踏ん張り、衝撃のした方へ振り向いた。
サベージベビー Lv1
体長30cm位のうり坊や…。
だが日本の猪の子とは違い、模様が無く単色の灰色。
恐らく木の陰でじっと身を潜めていたのであろう。
保護色すぎてまったく気付かんかった…。
「フィールドワークはこういう所も気をつけなあかんねんな。勉強になる」
鼻息を荒げて戦闘態勢のサベージベビーに盾を構え、剣を抜き放ち握り締めた。
西洋剣にも剣技はちゃんと存在し、剣の握り方にも種類があるのは知っているが、人相手ならともかくモンスター相手なら何も考えず棍棒を握る感覚で持ったらええやろ。
グリップの具合を確認しながら警戒するワシに力まかせに突進してきたうり坊。
ワシはその無防備な頭に剣を振り下ろした!
すまんやで。
ベースLvUP!
ジョブLvUP!
剣はうり坊の頭を叩き割り即死させる。
ホンマにゲームみたいな感じやな。
けどまぁこれがワシの初戦闘か。
戦ったというよりただ野生動物を駆除しただけやな。
力尽きたサベージベビーはすぐに光の粒子となって消えると、死体のあった場所にはなにやらアイテムらしきものが数点。
いのししの肉 いのししの毛皮 サベージベビーカード
いきなりカードが出よった…。
カードを拾いあげて【鑑定Lv1】のある状態でそれを確認する。
・サベージベビーカード
防具に付与するとスタン軽減。
二枚の場合スタン無効。
耐性系の能力やな。
カードが装備に特殊能力を付与するアイテムということは、やはりEE9のマテリアルオーブみたいなもんやったか。
カードはなんぞ良い装備が手に入ったときにでも使えばええやろ。
最悪売却やけどな。
カードを背負い袋に入れ、次にいのししの毛皮と肉を回収。
こんなん一緒の袋に入れてええもんなんか?
まぁどうすることも出来んししゃぁないか。
そういえば確かボーナススキルに【アイテム収納空間】なんてものがあったなぁ。
アイコンを開いてボーナススキルを呼び出すと【アイテム収納空間Lv1】にポイントを振った。
30cmくらいの半透明な、まるで幽霊のような不思議な袋が出現する。
まずは肉を放り込んでみた。
袋に入った瞬間肉が消える。
「なんや気色悪いなぁ」
…腕を突っ込んだら引き出せんのか?
てか突っ込んで大丈夫なんかこれ?
恐る恐る右手を入れると、何も無かった袋の中に肉が出現したので手で掴む。
次は肉と毛皮を放り込むと、再び腕を突っ込んだ。
さて、どっちが出るんかな?
答えはどちらも出てこなかった。
これはあれか、何を出したいか明確に意識せんとアカンやつか?
肉!
お、肉出よった。
思った物が取り出せるなら、回復アイテムとかこっちに詰めた方がええな。
これは便利や。
早速背負い袋から薬草とHP回復ポーションを取り出し収納空間に入れた。
だが…。
「邪魔やな…」
収納作業をしていて気付いたんやが、この袋、常にワシの真正面に固定して着いて来るのである。
消し方もわからんしスキル外すか?
いや待て、これスキル外したら中身どうなんねや?
一度入れたアイテムをまたリュックに入れなあかんのか?
めんどくさいなぁ…。
念のため動かせないかと手で掴むと、触れることが出来た。
袋そのものを動かしてみるとちゃんと動く。
手を離すと動かした場所で固定され、動くとその距離を維持して着いて来る。
つまり、腰の後ろに持ってれば腰の後ろで固定されるのか。
実際にやってみたら腰の後ろに固定された。
「これは便利やなぁ」
後日談だがこれを皆に教えると、ねこさんが〈収納袋様〉と名付けおった。
ねこさんはホンマおもろいなぁ。
その後ワシは意気揚々と一時間ほどサベージベビーを乱獲したが、流石にカードは落ちなかった。
ノービスのジョブがカンストした頃にはワシのベースLvが8になっていた。
ノービスのスキルで新たに習得したのは7つ。
〈鑑定(初級)〉
〈HP自動回復(微小)〉
〈MP自動回復(微小)〉
〈HP回復量増加(微小)〉
〈MP回復量増加(微小)〉
〈ノービスバッシュ〉
〈基本ジョブ開放〉
〈鑑定(初級)〉はボーナススキルの〈鑑定Lv1〉外すとモンスターの名前しか見れなくなったので完全に劣化版。
〈HP自動回復(微小)〉が開放されてから最初のサベージベビーの不意打ちで少し減ってたHPが目に見えて回復するようになった。
〈ノービスバッシュ〉はここに来てはじめての攻撃スキル。スキル名を口にしながら殴りつけると不可視の力場みたいなのが刀身に宿って気持ち攻撃力が上がってる。
ワシの場合やとサベージベビー相手に頭をかち割ったつもりが首の付け根まで斬れてた程度やな。
しかも分類で言えば攻撃力強化であって攻撃スキルではない。
そして、メインイベント!
お待ちかねの〈基本ジョブ開放〉や!
これはノービスから上位の職に転職することが可能になるもので、ここからが本当のスタートみたいなもんやな。
開放されたジョブは〈ファイター〉〈シーフ〉〈アーチャー〉〈マジックユーザー〉〈プリースト〉〈エレメンタラー〉の6つ。
〈ファイター〉
オーソドックスな近接攻撃職。
重い装備でパーティーの壁になったり高い攻撃力でダメージソースにもなるPTの大黒柱。
〈シーフ〉
素早い動きで敵を翻弄する遊撃職。
ダンジョンでの罠の解除や扉の解錠も出来る。
〈アーチャー〉
弓を使った遠距離物理攻撃職。
野外活動や罠の設置などもこなす。
〈マジックユーザー〉
多彩な攻撃魔法を操る遠距離魔法攻撃職。
PTのメイン火力となる高い攻撃力を持つ。
〈プリースト〉
神の奇跡で仲間を癒す魔法回復職。
呪いなどの解呪や解毒も出来る。
〈エレメンタラー〉
精霊の力で攻撃と回復も出来る万能魔法職。
瞬間的な効果は低目だが長い持続時間が特徴。
なんの迷いも無くファイターを選択。
《ファイターに転職しました》
視界の左端にメッセージが浮かぶとすぐに消えた。
アイコンを開いてステータス欄を確認。
佐武学
ベースLv8
ファイターLv1
HP:2000 MP:145
ATK:85 MATK:1
DF:77 MDF:1
筋力:41+4
体力:60
敏捷:1
魔力:1
ステータスポイント:7
HPが700近く、MPが100も増えとるやないか!?
いや、ベースが上がる度にHPも増えとったから実質は600くらいか?
なんにしろ宿に戻ったら一度ステータスリセットして検証した方がええやろうな。
ステータスポイントを消費して更に筋力を伸ばし、次いでボーナススキルを開く。
現在獲得しているスキルは――。
〈鑑定Lv1】
〈獲得経験値増加Lv1〉
〈筋力ボーナス追加Lv1〉
〈HP自動回復増加Lv3〉
〈アイテム収納空間Lv1〉
この7つ。
スキルポイントは1余り。
〈筋力ボーナス追加〉をLv2にするとステータス欄の筋力の隣についている〈+8〉が〈+17〉になり、〈HP自動回復増加〉を外してLv3にすると〈+25〉になった。
レベルが上がる毎にステの1割が加算か、ステ極振りでLv10まで伸ばせば、それこそどえらいことになりそうやな。
アクティブスキルの使用にスキル名を叫ぶのが煩わしく思うので〈詠唱短縮Lv1〉を習得して使ってみたら、スキルを思い浮かべただけで発動した。
〈詠唱短縮Lv2〉も存在するため、魔法職に呪文の詠唱が必要なのかもしれんと予測してみた。
おそらくそれくらいしかないやろ。
他にも似たスキルで〈クールタイム減少〉があるが、これはスキルの再利用までに時間が短縮されるやつやな。
あと、ねこさんが使用したアクティブスキルの〈ブレイブハート〉にもレベルが存在したため試しに振ってみると、Lv2で発動すると持続時間が30秒から300秒になり、Lv3で効果がPTメンバー全員に、Lv4でPT+自分の周辺に効果の範囲スキルに進化した。
他にもこの手のスキルがいくつかあるので要検証やな。
てか、よくこんなスキルに着目しよったな…。
そんなこんなでボーナススキルを再習得しなおした。
〈鑑定Lv2〉
〈アイテムドロップ率UPLv2〉
〈アイテム収納空間Lv1〉
〈HP自動回復増加Lv1〉
〈ジョブ追加Lv1〉
〈詠唱短縮Lv1〉
こんな所やな。
ジョブはファイターとプリーストに設定。
ふははー!
神官戦士の誕生やで!
とか思ってたら突然視界の左端でシステムメッセージがポップした。
《【神官戦士】の称号を獲得しました》
称号なんて有ったんかワレ!?
アイコンで称号を確認しようとすると、名前の横に未設定とある。
こんなんさっきまで無かったぞ…
恐らく称号を獲得して初めて現れるようになるやつか?
【神官戦士】
設定条件:ファイター系ジョブとプリースト系ジョブを兼任していること。
設定効果
+HP100 +MP50
+MDF15
スキル〈ホーリーウェポン〉
〈ホーリーウェポン〉
武器に【聖】属性付与。
めちゃくちゃ優秀すぎやせんか?
迷うことなく速攻で付けた。
【神官戦士】佐武学、ここに爆誕!
ふはははは!
まぁこういう楽しみ方もRPGの醍醐味やな!
たぶんジョブ同士の組み合わせで他にも習得できるやろうな。
ちなみに〈ジョブ追加〉をLv2にしてもジョブを3つ付けるのは無理やった。
バグってんのか? と確認したら『セカンドジョブに上級ジョブを設定することが出来ます』とのこと。
Lv1やとセカンドジョブには基本ジョブしか付けれんって訳やな。
スキルに関してはまぁ大体こんなもんやろ。
それじゃあ狩りの続きと行こうやないか!
ベースLv1
ノービスLv1
HP:1320 MP:15
ATK:81 MATK:1
DF:67 MDF:1
筋力:41
体力:60
敏捷:1
魔力:1
ステータスポイント:0
正直な話、ワシらの中で最初に戦闘を経験するのはねこさんや無いと疑わんかった。
本人も自覚しているが、実はかなり臆病やし、自分のリスクを避けようと手堅く行動する傾向が強い。
だからねこさんが戦うとしたら、ワシらの誰かが戦って安全を確認してからやと思っとった。
そして最初に戦闘を経験するのは、この世界に飛ばされてからも戦うのが楽しみで仕方が無いワシか、責任感が強くみんなの危険を減らすために先に自分で危険を背負い込むことを選びかねんレンさんのどっちかやろなぁと思い込んでた。
逆にねこさん以上に無いと思ってたのはシンくんやな。
シンくんはレンさんによう懐いとるし、レンさんもシンくんを大事にしとるから、レンさんが自分で戦闘を経験するまでは絶対に戦わさんやろな。
まぁでもねこさんは人一倍優しいからなぁ。
襲われてる人が目の前に居たから飛び出してしもたんかもなぁ。
ただ、元々武器を使った戦闘の才能があったのは、これまで一緒にやってきたネトゲーを見ただけでもなんとなくわかっとった。
実際ワシの爺さんの道場で少し手解きしたことがあるが、あの『間合いの距離感』や『体捌き』と『フェイントを織り交ぜる思考力』は、ワシも羨むくらい良いもんを持ってた。
格闘家としては致命的なくらい筋肉と体重が無いから素手には向かんやろうけど、武器を持たせ戦闘ならワシも本気でかからな危ない程や。
というかホンマに素人なんかと、筋力の無さを再確認するくらい疑ったわ。
で、そんなことを考えながらワシは今何をしてるのかと言うと、ねこさんに触発されて狩りに出てきたわけや。
町にある武器屋で木の盾(丈夫そうな板の裏側に革ベルトが並んで二本付いており、片方は腕に巻いて固定し、もう片方を手で握る)と、そこの厚い革のブーツを追加。
道具屋でHP回復ポーションも5本買い込んだら所持金が雀の涙状態や。
狩りをして何とか所持金を増やさんと、明日以降は野宿やな…。
そんな訳でワシは町の周辺を散策しとる。
時刻は〈ワシ時間〉大体昼の2時頃。
〈ねこ時間〉で言えば夜の8時やな。
ボーナススキルは〈鑑定〉をセット。
ふははー!
久々の実戦や、腕が鳴るで!
まぁ近所のチンピラがこの世界の魔物より強いとは思えんから油断は禁物やけどな。
宿屋の一階にある酒場で少し情報収集したところによると、この近くには魔物が居付いとる洞窟があるそうや。
一通り回って魔物と遭遇せんかったら、洞窟の方にも行ってみよか。
さすがに中には入らんが。
道を外れて木々が生い茂る山に分け入る。
町が見えなくなるようなところまで行かんかったら迷うことないやろ。
ドン!
後ろを振り返って町を見ていたワシの脚に強い衝撃。
「痛っつ…」
衝撃に思わず足をとられたが何とか踏ん張り、衝撃のした方へ振り向いた。
サベージベビー Lv1
体長30cm位のうり坊や…。
だが日本の猪の子とは違い、模様が無く単色の灰色。
恐らく木の陰でじっと身を潜めていたのであろう。
保護色すぎてまったく気付かんかった…。
「フィールドワークはこういう所も気をつけなあかんねんな。勉強になる」
鼻息を荒げて戦闘態勢のサベージベビーに盾を構え、剣を抜き放ち握り締めた。
西洋剣にも剣技はちゃんと存在し、剣の握り方にも種類があるのは知っているが、人相手ならともかくモンスター相手なら何も考えず棍棒を握る感覚で持ったらええやろ。
グリップの具合を確認しながら警戒するワシに力まかせに突進してきたうり坊。
ワシはその無防備な頭に剣を振り下ろした!
すまんやで。
ベースLvUP!
ジョブLvUP!
剣はうり坊の頭を叩き割り即死させる。
ホンマにゲームみたいな感じやな。
けどまぁこれがワシの初戦闘か。
戦ったというよりただ野生動物を駆除しただけやな。
力尽きたサベージベビーはすぐに光の粒子となって消えると、死体のあった場所にはなにやらアイテムらしきものが数点。
いのししの肉 いのししの毛皮 サベージベビーカード
いきなりカードが出よった…。
カードを拾いあげて【鑑定Lv1】のある状態でそれを確認する。
・サベージベビーカード
防具に付与するとスタン軽減。
二枚の場合スタン無効。
耐性系の能力やな。
カードが装備に特殊能力を付与するアイテムということは、やはりEE9のマテリアルオーブみたいなもんやったか。
カードはなんぞ良い装備が手に入ったときにでも使えばええやろ。
最悪売却やけどな。
カードを背負い袋に入れ、次にいのししの毛皮と肉を回収。
こんなん一緒の袋に入れてええもんなんか?
まぁどうすることも出来んししゃぁないか。
そういえば確かボーナススキルに【アイテム収納空間】なんてものがあったなぁ。
アイコンを開いてボーナススキルを呼び出すと【アイテム収納空間Lv1】にポイントを振った。
30cmくらいの半透明な、まるで幽霊のような不思議な袋が出現する。
まずは肉を放り込んでみた。
袋に入った瞬間肉が消える。
「なんや気色悪いなぁ」
…腕を突っ込んだら引き出せんのか?
てか突っ込んで大丈夫なんかこれ?
恐る恐る右手を入れると、何も無かった袋の中に肉が出現したので手で掴む。
次は肉と毛皮を放り込むと、再び腕を突っ込んだ。
さて、どっちが出るんかな?
答えはどちらも出てこなかった。
これはあれか、何を出したいか明確に意識せんとアカンやつか?
肉!
お、肉出よった。
思った物が取り出せるなら、回復アイテムとかこっちに詰めた方がええな。
これは便利や。
早速背負い袋から薬草とHP回復ポーションを取り出し収納空間に入れた。
だが…。
「邪魔やな…」
収納作業をしていて気付いたんやが、この袋、常にワシの真正面に固定して着いて来るのである。
消し方もわからんしスキル外すか?
いや待て、これスキル外したら中身どうなんねや?
一度入れたアイテムをまたリュックに入れなあかんのか?
めんどくさいなぁ…。
念のため動かせないかと手で掴むと、触れることが出来た。
袋そのものを動かしてみるとちゃんと動く。
手を離すと動かした場所で固定され、動くとその距離を維持して着いて来る。
つまり、腰の後ろに持ってれば腰の後ろで固定されるのか。
実際にやってみたら腰の後ろに固定された。
「これは便利やなぁ」
後日談だがこれを皆に教えると、ねこさんが〈収納袋様〉と名付けおった。
ねこさんはホンマおもろいなぁ。
その後ワシは意気揚々と一時間ほどサベージベビーを乱獲したが、流石にカードは落ちなかった。
ノービスのジョブがカンストした頃にはワシのベースLvが8になっていた。
ノービスのスキルで新たに習得したのは7つ。
〈鑑定(初級)〉
〈HP自動回復(微小)〉
〈MP自動回復(微小)〉
〈HP回復量増加(微小)〉
〈MP回復量増加(微小)〉
〈ノービスバッシュ〉
〈基本ジョブ開放〉
〈鑑定(初級)〉はボーナススキルの〈鑑定Lv1〉外すとモンスターの名前しか見れなくなったので完全に劣化版。
〈HP自動回復(微小)〉が開放されてから最初のサベージベビーの不意打ちで少し減ってたHPが目に見えて回復するようになった。
〈ノービスバッシュ〉はここに来てはじめての攻撃スキル。スキル名を口にしながら殴りつけると不可視の力場みたいなのが刀身に宿って気持ち攻撃力が上がってる。
ワシの場合やとサベージベビー相手に頭をかち割ったつもりが首の付け根まで斬れてた程度やな。
しかも分類で言えば攻撃力強化であって攻撃スキルではない。
そして、メインイベント!
お待ちかねの〈基本ジョブ開放〉や!
これはノービスから上位の職に転職することが可能になるもので、ここからが本当のスタートみたいなもんやな。
開放されたジョブは〈ファイター〉〈シーフ〉〈アーチャー〉〈マジックユーザー〉〈プリースト〉〈エレメンタラー〉の6つ。
〈ファイター〉
オーソドックスな近接攻撃職。
重い装備でパーティーの壁になったり高い攻撃力でダメージソースにもなるPTの大黒柱。
〈シーフ〉
素早い動きで敵を翻弄する遊撃職。
ダンジョンでの罠の解除や扉の解錠も出来る。
〈アーチャー〉
弓を使った遠距離物理攻撃職。
野外活動や罠の設置などもこなす。
〈マジックユーザー〉
多彩な攻撃魔法を操る遠距離魔法攻撃職。
PTのメイン火力となる高い攻撃力を持つ。
〈プリースト〉
神の奇跡で仲間を癒す魔法回復職。
呪いなどの解呪や解毒も出来る。
〈エレメンタラー〉
精霊の力で攻撃と回復も出来る万能魔法職。
瞬間的な効果は低目だが長い持続時間が特徴。
なんの迷いも無くファイターを選択。
《ファイターに転職しました》
視界の左端にメッセージが浮かぶとすぐに消えた。
アイコンを開いてステータス欄を確認。
佐武学
ベースLv8
ファイターLv1
HP:2000 MP:145
ATK:85 MATK:1
DF:77 MDF:1
筋力:41+4
体力:60
敏捷:1
魔力:1
ステータスポイント:7
HPが700近く、MPが100も増えとるやないか!?
いや、ベースが上がる度にHPも増えとったから実質は600くらいか?
なんにしろ宿に戻ったら一度ステータスリセットして検証した方がええやろうな。
ステータスポイントを消費して更に筋力を伸ばし、次いでボーナススキルを開く。
現在獲得しているスキルは――。
〈鑑定Lv1】
〈獲得経験値増加Lv1〉
〈筋力ボーナス追加Lv1〉
〈HP自動回復増加Lv3〉
〈アイテム収納空間Lv1〉
この7つ。
スキルポイントは1余り。
〈筋力ボーナス追加〉をLv2にするとステータス欄の筋力の隣についている〈+8〉が〈+17〉になり、〈HP自動回復増加〉を外してLv3にすると〈+25〉になった。
レベルが上がる毎にステの1割が加算か、ステ極振りでLv10まで伸ばせば、それこそどえらいことになりそうやな。
アクティブスキルの使用にスキル名を叫ぶのが煩わしく思うので〈詠唱短縮Lv1〉を習得して使ってみたら、スキルを思い浮かべただけで発動した。
〈詠唱短縮Lv2〉も存在するため、魔法職に呪文の詠唱が必要なのかもしれんと予測してみた。
おそらくそれくらいしかないやろ。
他にも似たスキルで〈クールタイム減少〉があるが、これはスキルの再利用までに時間が短縮されるやつやな。
あと、ねこさんが使用したアクティブスキルの〈ブレイブハート〉にもレベルが存在したため試しに振ってみると、Lv2で発動すると持続時間が30秒から300秒になり、Lv3で効果がPTメンバー全員に、Lv4でPT+自分の周辺に効果の範囲スキルに進化した。
他にもこの手のスキルがいくつかあるので要検証やな。
てか、よくこんなスキルに着目しよったな…。
そんなこんなでボーナススキルを再習得しなおした。
〈鑑定Lv2〉
〈アイテムドロップ率UPLv2〉
〈アイテム収納空間Lv1〉
〈HP自動回復増加Lv1〉
〈ジョブ追加Lv1〉
〈詠唱短縮Lv1〉
こんな所やな。
ジョブはファイターとプリーストに設定。
ふははー!
神官戦士の誕生やで!
とか思ってたら突然視界の左端でシステムメッセージがポップした。
《【神官戦士】の称号を獲得しました》
称号なんて有ったんかワレ!?
アイコンで称号を確認しようとすると、名前の横に未設定とある。
こんなんさっきまで無かったぞ…
恐らく称号を獲得して初めて現れるようになるやつか?
【神官戦士】
設定条件:ファイター系ジョブとプリースト系ジョブを兼任していること。
設定効果
+HP100 +MP50
+MDF15
スキル〈ホーリーウェポン〉
〈ホーリーウェポン〉
武器に【聖】属性付与。
めちゃくちゃ優秀すぎやせんか?
迷うことなく速攻で付けた。
【神官戦士】佐武学、ここに爆誕!
ふはははは!
まぁこういう楽しみ方もRPGの醍醐味やな!
たぶんジョブ同士の組み合わせで他にも習得できるやろうな。
ちなみに〈ジョブ追加〉をLv2にしてもジョブを3つ付けるのは無理やった。
バグってんのか? と確認したら『セカンドジョブに上級ジョブを設定することが出来ます』とのこと。
Lv1やとセカンドジョブには基本ジョブしか付けれんって訳やな。
スキルに関してはまぁ大体こんなもんやろ。
それじゃあ狩りの続きと行こうやないか!
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相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。
現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
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パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
痩せる為に不人気のゴブリン狩りを始めたら人生が変わりすぎた件~痩せたらお金もハーレムも色々手に入りました~
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主人公(太田太志)は高校デビューと同時に体重130キロに到達した。
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