四人で話せば賢者の知恵? ~固有スキル〈チャットルーム〉で繋がる異世界転移。知識と戦略を魔法に込めて、チート勇者をねじ伏せる~

藤ノ木文

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83話 紫の閃光

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 奴を倒す算段は着いた。
 それを実現するための技術的な諸々を模索する。
 
 必要なのは一瞬でも奴のスピードを上回る瞬発力と、謎の超回復が発揮する前に絶命にもって行くための瞬間火力。

 だが技術的にもピースが揃っていたため、そのどちらも可能である。
 あとは成功率を上げる作業だ。

「……はぁぁぁぁぁ、ダサいな自分。近接職の癖に魔法使い相手に今のとどめが刺せないとか、超絶クソダサですやん」
「あ”?」

 嘲笑を込めて言ってやると、アキヤが顔を歪めて短く声を発した。

「いくら俺と同等のスピードになったところで、魔法使いも殺せない近接職とかゴミ屑以下だって言ったんだよ。このクソ雑魚ナメクジ野郎」
「舐めた口きいてんなよテメェ、今すぐぶっ殺してやる……!」 
「ぶっころすーぶっころすー、それしか知らんのかぶっころすぞー、ぷーくくく」
「テメェだけは絶対に殺す!」
「まぁたぶっころすーか。それと餓狼魔神斬りって、狼なのか魔神なのかどっちかにしろ。あとギャラクシーエクスカリバーってなんだよ? 面白過ぎて笑いを堪えるのが大変だったじゃねぇか! 人の腹筋まで殺しに来るのやめてくれる? あっはははははは!」

 今までのうっ憤を晴らすつもりで小学生レベルの煽りで小バカにしてやると、アキヤの真っ赤だった顔が赤黒にまで変色し、その手に握られた剣が黄金色の輝きを持ち始める。

 エクスカリバーが連射不可なのは何となくわかったが、正直んなもん今更だ。
 使うんだったらさっき接敵した時に使うんだったな。

 前傾姿勢を取りながら腰を落とし、左手は右肩へ、右手は腰の左側に持って行き、交差する腕で顔の半分を隠すような構えを取る。
 視線が前髪で隠れ、奴からは視線だけでなく表情すらも伺えなくしてやった。
 左手以外は超前傾姿勢の居合の構え。
 だが向こうの表情は前髪の暖簾のれんからでもよく見える。

 こちらの情報は極力与えず、相手の情報だけを得る。
 些細なことだがこれも大事な情報だ。
 情報戦、大事、絶対。

 その前髪の暖簾から見る奴の顔は、目が血走り憤怒で口角から泡が付いてるのが汚らしい。

「角張った顔に口から泡ってカニですか? おっと、それはカニさんに失礼でしたねサーセン!」
「これで終わりだあああああああ!」

 こちらの挑発に遂にアキヤが暴発した。
 黄金に輝きを増す大剣に各種スキルが上乗せされ、極光を大上段に振り上げる。

 これで終わりなのはこっちのセリフだ。

 終わりと言い切れるくらい奴を殺す算段は付いている。
 むしろ気付くのが遅いくらいだ。

 最初は近付いて来た奴を止めるためにライトニングランスを突き付けた時。
 そして先程の接触でマジックシールドを出せたことが決定的な決め手となった。

 遠距離から奴の至近で魔法が出せなかったのに、何故あんな至近距離で魔法が出せた?
 奴に魔法が効かないのではなく、半径2メートルの空間を境に魔法を受け付けなかっただけじゃないのか?
 ならば、今度こそ奴を殺せる。

 不幸を振りまく前にあの世に行け!

「エクス――」
「紫電、一閃!」
 
 アキヤが光の剣を高速接近から振り下ろし。
 怒りで雑になった動きを見計らい、左足の裏にフレアボールを生み出し小規模爆発を発生させると、爆発の勢いをそのまま前進速度に上乗せする。
 アキヤの剣が振り下ろされるよりも速く、秒殺を超える瞬殺の抜き胴が、紫の閃光となって通り抜けていた。
 俺の右手には凶悪な帯電音を放つ雷神の一振り。
 ライトニングランス10本分の攻撃を一度に受け、声も上げることなく倒れた男の体から、煙と共に肉を焦がす異臭が立ち込める。
 動く気配は微塵も無い。
 
「……念のためっと」

 油断する余裕なんてあるものか。
 さっき信じられない程の再生能力を見た後だ、当然トドメを刺しておくべきだろ。

 左足に走る激痛をこらえながら、手にした雷撃をおそらく死体であろう男に突き刺す。

 突き立てた魔法剣が効果を失う前に、アキヤの死体が粒子散乱を開始した。


―――――――――――――――――――――――――――――――
 一先ず大幅修正部分を脱することができ、更新頻度が通常運行になると思います。
 読んでくださっている方々にはご迷惑をおかけし、大変申し訳ありませんでした。

 またこのようなことがあるかとは思いますが、その際はまたご連絡させて頂きます。
 
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