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114話 マクマレート流
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レスティー達とは別行動のまま、四十五階層の探索を開始する。
人数が減った分、モーディーンさん達がそのまま俺達のPTの最後尾に突く形となるが、2分隊の別行動では索敵時間の短縮に繋がり、どちらかが倒した敵の経験値もお互いに得られるのでかなりお得だ。
レスティー班が不意の事態に遭遇すると、対処できない可能性があるため、もし次があるならよしのんをあちらに派遣する方が良いだろうな。
「そうだトシオ君、次は私にやらせてもらえますかにゃ?」
「えぇ、この先にも7匹固まってる所がありますのでそこで」
モーディーンさんの頼みに早速その場へと案内する。
到着するなり、猫頭の剣士が防御魔法をかけるよりも先に敵の前に躍り出た。
その動きには迷いがなく、行動に自信が感じられた。
一体どんなことを見せてくれるのか、非常に楽しみだ。
しかし、楽しみなんて軽い言葉が吹き飛ぶ程に、モーディーンさんの剣技は圧巻だった。
飛んできた7匹のブリットビートルをその場から一歩も動くことなく、全てをレイピア一本で捌いてのけた。
そして1体を切っ先で受け止め、羽ばたかせたまま停止させてみせたのだ。
更にスキルを使うことなく全ての虫の羽根を根元から切り飛ばし、弾丸の如く飛行する甲虫の悉くを、地を這う虫にジョブチェンジさせた。
さすがベテラン。
俺達の様な急増戦力とは違い、豊富な経験と確かな技術に裏打ちされた戦闘力を示してくれた。
俺と初めてやり合った際、もしモーディーンさんが本気を出していたのなら、文字通り赤子の手をひねる結果であったのも否めない。
やだ超かっこいい、抱いて!
男だけど。
……身近にレスティーなんてものが居るため冗談に聞こえないので、例え脳内でも今後この冗談は自重しよう。
ズワローグ戦で後れを取ったのは、単に相手の〝物理無効〟に対して手が出なかったというだけだろう。
なんにしてもすごいなーなんて思っていると、モーディーンさんがまだ構えを解いていないことに気が付いた。
いや、むしろ無傷のブリットビートルと対峙していた時よりも真剣だ。
その構えられたレイピアには、白く淡い光が宿る。
「マクマレート流奥義・狂い啄木鳥!」
突き出されたレイピアの穂先が右手と共に霞むと、地面に蠢くブリットビートル7匹全てが白い輝きによって瞬時に滅多刺しとなり、跡形もなく消え失せた。
地表から舞う粒子のホタルだけが、モンスターが居た形跡を物語った。
「……は? なんですかそれ!?」
「これは私の剣術の師、マクマレート氏に教わった技の一つですにゃ」
「いや、教わったって、スキルでもないのに教わってそんなすごい技が出来るもんなんですか?」
って出来るわ! 出来るのがうちにも3人居るわ!?
変化のスキルが使えるフィローラに、同じく変化魔法を使うメリティエとイルミナさんがまさにそうじゃないか!
マクマレート流すごいなぁ、我が悶絶流とか霞むどころか口に出すことすら憚られるレベルだわ。
「私も昔は才能がないと言われた口でしてね。ですが、ずっと努力を積み重ね、今ではこの通りですにゃ」
先程のよしのんを励ますためか、モーディーンさんが自信に満ちた顔でお茶目にウインク一つ。
真偽を確かめるように隣に居たビアンカさんに顔毎向けると、猫の口に笑みを口元に浮かべて頷いた。
努力すげー。
いや、努力するのも才能なんだけどね。
「今見せたのはパラディンやグレディエーターにある〈オーラブレード〉を長年の修行で会得し、放出する技にまで昇華したものですにゃ」
「ナニソレツヨイ……」
「あたしだって少しなら使えるわよ」
マルグリットさんが鼻高々といった様子で胸を張る。
マジですか……。
「わ、私も頑張れば出来るようになりますか?!」
「無責任なことは言えませんが、先程述べた通り、出来るかどうかはやってみないとわかりませんにゃ。ですが、やる価値はあるのではないですかにゃ?」
「はい!」
モーディーンさんが優しい眼差しで誠実に答えると、よしのんのやる気に火が付いた。
だがもうそろそろお昼にしたいので、それはまた明日な。
その後の戦闘はダイヤモンドダストを撃って動かなくなった敵を、物理で処理するだけの極めて単調な行軍であったが、1時間程歩き回り、ボス部屋に到着した。
「ここのボスって何か分かる?」
「ターレットビートルでしたっけ?」
「シェルビートルかもしれません……」
レスティー達と合流後、いつもの様にフィローラとセシルの2人にボスの情報を聞いてみるも、珍しく違う答えが返ってきた。
「その2匹の特徴は?」
「ターレットビートルは背中からブリットビートルをいっぱい打ち出してきましゅ!」
「シェルビートルはブリットビートルを巨大化した魔物です……。飛行速度もブリットビートル以上だそうで、極めて危険と本に書かれてました……」
つまり、砲弾と砲塔か。
どっちも厄介そうだが、ブリットビートルを封殺できているので、ターレットよりもシェルの方が明らかに危険だな。
防御魔法を重ねがけして扉を開き、部屋の中に踏み込む俺達。
魔方陣から現れたのはシェルビートルだった。
シェルビートル Lv45
属性:なし。
耐性:打撃ダメージ半減。火属性ダメージ1/3。
弱点:なし。
状態異常:なし。
体長1メートルの紡錘形の玉虫が一匹。
耐性などはブリットビートルとほぼ同じか。
巨大な甲虫が羽ばたきを開始しようと羽根を広げた瞬間、俺は容赦なくフレズヴェルクを打ち込み、羽ばたく巨大甲虫の氷像に変えてやった。
1メートルの砲弾が弾丸よりも速く飛んでくるとか、そんな攻撃やらせてたまるか。
粒子散乱を確認してからフレズヴェルクを解除すると、午前の探索をここで打ち切った。
人数が減った分、モーディーンさん達がそのまま俺達のPTの最後尾に突く形となるが、2分隊の別行動では索敵時間の短縮に繋がり、どちらかが倒した敵の経験値もお互いに得られるのでかなりお得だ。
レスティー班が不意の事態に遭遇すると、対処できない可能性があるため、もし次があるならよしのんをあちらに派遣する方が良いだろうな。
「そうだトシオ君、次は私にやらせてもらえますかにゃ?」
「えぇ、この先にも7匹固まってる所がありますのでそこで」
モーディーンさんの頼みに早速その場へと案内する。
到着するなり、猫頭の剣士が防御魔法をかけるよりも先に敵の前に躍り出た。
その動きには迷いがなく、行動に自信が感じられた。
一体どんなことを見せてくれるのか、非常に楽しみだ。
しかし、楽しみなんて軽い言葉が吹き飛ぶ程に、モーディーンさんの剣技は圧巻だった。
飛んできた7匹のブリットビートルをその場から一歩も動くことなく、全てをレイピア一本で捌いてのけた。
そして1体を切っ先で受け止め、羽ばたかせたまま停止させてみせたのだ。
更にスキルを使うことなく全ての虫の羽根を根元から切り飛ばし、弾丸の如く飛行する甲虫の悉くを、地を這う虫にジョブチェンジさせた。
さすがベテラン。
俺達の様な急増戦力とは違い、豊富な経験と確かな技術に裏打ちされた戦闘力を示してくれた。
俺と初めてやり合った際、もしモーディーンさんが本気を出していたのなら、文字通り赤子の手をひねる結果であったのも否めない。
やだ超かっこいい、抱いて!
男だけど。
……身近にレスティーなんてものが居るため冗談に聞こえないので、例え脳内でも今後この冗談は自重しよう。
ズワローグ戦で後れを取ったのは、単に相手の〝物理無効〟に対して手が出なかったというだけだろう。
なんにしてもすごいなーなんて思っていると、モーディーンさんがまだ構えを解いていないことに気が付いた。
いや、むしろ無傷のブリットビートルと対峙していた時よりも真剣だ。
その構えられたレイピアには、白く淡い光が宿る。
「マクマレート流奥義・狂い啄木鳥!」
突き出されたレイピアの穂先が右手と共に霞むと、地面に蠢くブリットビートル7匹全てが白い輝きによって瞬時に滅多刺しとなり、跡形もなく消え失せた。
地表から舞う粒子のホタルだけが、モンスターが居た形跡を物語った。
「……は? なんですかそれ!?」
「これは私の剣術の師、マクマレート氏に教わった技の一つですにゃ」
「いや、教わったって、スキルでもないのに教わってそんなすごい技が出来るもんなんですか?」
って出来るわ! 出来るのがうちにも3人居るわ!?
変化のスキルが使えるフィローラに、同じく変化魔法を使うメリティエとイルミナさんがまさにそうじゃないか!
マクマレート流すごいなぁ、我が悶絶流とか霞むどころか口に出すことすら憚られるレベルだわ。
「私も昔は才能がないと言われた口でしてね。ですが、ずっと努力を積み重ね、今ではこの通りですにゃ」
先程のよしのんを励ますためか、モーディーンさんが自信に満ちた顔でお茶目にウインク一つ。
真偽を確かめるように隣に居たビアンカさんに顔毎向けると、猫の口に笑みを口元に浮かべて頷いた。
努力すげー。
いや、努力するのも才能なんだけどね。
「今見せたのはパラディンやグレディエーターにある〈オーラブレード〉を長年の修行で会得し、放出する技にまで昇華したものですにゃ」
「ナニソレツヨイ……」
「あたしだって少しなら使えるわよ」
マルグリットさんが鼻高々といった様子で胸を張る。
マジですか……。
「わ、私も頑張れば出来るようになりますか?!」
「無責任なことは言えませんが、先程述べた通り、出来るかどうかはやってみないとわかりませんにゃ。ですが、やる価値はあるのではないですかにゃ?」
「はい!」
モーディーンさんが優しい眼差しで誠実に答えると、よしのんのやる気に火が付いた。
だがもうそろそろお昼にしたいので、それはまた明日な。
その後の戦闘はダイヤモンドダストを撃って動かなくなった敵を、物理で処理するだけの極めて単調な行軍であったが、1時間程歩き回り、ボス部屋に到着した。
「ここのボスって何か分かる?」
「ターレットビートルでしたっけ?」
「シェルビートルかもしれません……」
レスティー達と合流後、いつもの様にフィローラとセシルの2人にボスの情報を聞いてみるも、珍しく違う答えが返ってきた。
「その2匹の特徴は?」
「ターレットビートルは背中からブリットビートルをいっぱい打ち出してきましゅ!」
「シェルビートルはブリットビートルを巨大化した魔物です……。飛行速度もブリットビートル以上だそうで、極めて危険と本に書かれてました……」
つまり、砲弾と砲塔か。
どっちも厄介そうだが、ブリットビートルを封殺できているので、ターレットよりもシェルの方が明らかに危険だな。
防御魔法を重ねがけして扉を開き、部屋の中に踏み込む俺達。
魔方陣から現れたのはシェルビートルだった。
シェルビートル Lv45
属性:なし。
耐性:打撃ダメージ半減。火属性ダメージ1/3。
弱点:なし。
状態異常:なし。
体長1メートルの紡錘形の玉虫が一匹。
耐性などはブリットビートルとほぼ同じか。
巨大な甲虫が羽ばたきを開始しようと羽根を広げた瞬間、俺は容赦なくフレズヴェルクを打ち込み、羽ばたく巨大甲虫の氷像に変えてやった。
1メートルの砲弾が弾丸よりも速く飛んでくるとか、そんな攻撃やらせてたまるか。
粒子散乱を確認してからフレズヴェルクを解除すると、午前の探索をここで打ち切った。
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