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121話 2杯目の親子丼。
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モリーさんの店から初心者用装備のだぶついていた在庫を回収すると、一掃処分として魔道具作成大会が開催された。
はじめこそ手間取りはしたものの、イルミナさんの予想に反し魔道具の作成は順調で、属性鉱石を用いて属性付与した武器やエンチャンターの属性防御魔法が付与された革製品が作成された。
調子に乗って鉄製の防具にも属性防御魔法の付与をして、気がつけばモリーさんのお店が魔法道具屋レベルの品揃えになっていた。
「本来であればマナの知覚と操作の習得に数年を要するはずが、既に覚えて居ればこんなところじゃな。じゃが、それにしてもやり過ぎであろう」
「これは相場を崩しかねない量だねぇ……。まぁ土属性ばかりだし、近所の魔法道具屋にも卸すとするかい」
イルミナさんとモリーさんが、2人そろって呆れていた。
魔法道具屋はモリーさんのお店の向いかお隣がそうだったか?
まぁ3人がほぼ失敗も無く、調子に乗ってエンチャントしまくればこうもなるわな。
だがしかし、有り余る土属性石は一向に減る様子を見せない。
「教えたことを直ぐに覚えてくれるのは気持ちが良いのじゃが、これでは我が教えずとも良い故、教え甲斐が無いとも言えるのぅ……」
「教えても全く覚えないよりかは全然良いと思うがねぇ……」
イルミナさんが俺と弟子達に目を向け、モリーさんがモティナを見てそれぞれため息を吐く。
「だって、イメージしろとか力を籠めろとか言われたってわかんないんだもん!」
近くで属性付与を見ていたモティナが拗ねながら飛び着いてくると、額をこすりつけて猫のように甘えてくる。
拗ねたフリして甘えたいだけなのが丸分かりだが、可愛い女の子に甘えられる状況は悪い気はしない。
こちらの願望としては、本性であるサテュロス形態で甘えてほしい。
モティナの背中に手を当て、よしよしと摩る。
細身の少女の背中はとても若々しい。
すると、モティナの甘え方が猫の様な仕草から、こちらの胸元をついばんだり、軽い口付けの混じったやや淫らなものへと変化し、呼吸も僅かに荒くなっていく。
「……モティナ、それくらいにしておきな」
「やっ! 私もお兄ちゃんのことが好きなの!」
見咎めたモリーさんにモティナが強く拒絶すると、首に回した腕に力を入れて強く密着する。
困った。
「ほらモティナ、お母さんの言うこと聞いて」
「お兄ちゃんは私のこと嫌いなの?」
「嫌いじゃないけど、君に手を出す訳には行かないんだよ」
「どうして?」
引き剥がそうとした俺に力強くしがみ付き、悲しい顔で理由を問うてくるモティナ。
モリーさんの方へ目を向けると、とても辛そうな顔をしている。
俺としてはモリーさん親子には手を出さないと言った手前、ここで彼女に手を出すとモリーさんからの信用を失う。
「モティナ!」
「お母さんもお兄ちゃんのこと好きなんでしょ?」
「それは……」
モティナの問いかけに、モリーさんは否定も肯定もせずに押し黙る。
「大丈夫だよ、お兄ちゃんなら私達の正体を知っても変わらずに居てくれるよ」
モティナが戸惑うモリーさんを諭すような口調で言うと、自分の指にはまる指輪を何の躊躇いもなく外してしまった。
指輪をはめていた指先から全身を染めるように変化を起きた。
明るい茶色の山羊の毛が、手や首など、薄着の隙間から覗く肌に生えたのが見て取れる。
額から伸びる角は緩やかに湾曲して後ろに伸び、瞳孔も山羊の様に横長の四角。
口は人の字に変形して少し前に突き出る。
下半身はすらっと伸びた羊脚は、先っぽに黒い蹄が見える。
短パンから飛び出た尻尾は短く愛らしい。
こうしてモティナは半人半羊のサテュロスへと変貌を遂げた。
全く持って、俺好みのケモっ娘だ。
口が山羊というよりクク達みたくウサギっぽいのがまたグッドだ。
「可愛いなぁ、知ってたけど」
「知っていたの!?」
「スキルの精度が上がってね、2人の正体が目で見えるようになったんだ。当然モリーさんがミノタウロスであることも知ってる」
「………」
「それと、さっきモティナが言ってた〝俺なら正体を知っても嫌いにならない〟ってヤツね、あれは残念なことに正解。むしろ余計に好きになったくらいだ」
我慢していたものを投げ捨て、強く抱きしめた少女の唇からも体温を感じ取る。
口周りの構造こそ人と少し違うが、それがまた良い。、
先程は手が出せなかったが、正体を現してしまったら話が変わる。
このまま何もせずでは、今度は正体を知られたことでモリーさんが夜逃げされかねない。
それこそこれまで築いた信頼関係が水泡に帰す。
だったらここで彼女達を女性として繋ぎ止めるべきだ。
なにより、こんなに可愛い女の子を逃してなるものか!
モティナが初めてのキスで呼吸が出来なくなり、息が上がったので唇を放す。
少し涙目で蕩け切った表情が、少女とは思えない色香を放っていた。
「実はずっとこうしたかったんだ」
「お兄ちゃん……」
甘い吐息を零しながら、山羊娘が尻尾を振りまくる。
実に可愛い。
「でも少し待ってね」
モティナを置いてモリーさんの元へ行くと、大柄の褐色美女を抱き寄せた。
「あたしは……!」
「モリーさんも、いいですよね?」
返事なんて待つことも無く、その美しい唇を奪った。
はじめこそ頑なに唇を閉ざして拒んだが、優しく何度もついばむうちに、徐々にほころびを見せはじめる。
そのほころびを逃すことなく押し込んだ舌で、彼女の口内をねっとりと蹂躙して差し上げる。
キスされるのに慣れていないのか、普段は気の強い野性味の美女が、まるで少女の様に成すがままとなる。
しかし、大人しかったのもつかの間で、すぐに自ら舌を絡ませてきた。
荒々しく、力強く、大胆に、モリーさんの気質を現した様な激しい口づけだ。
「……あんた、こうなったからには責任は取ってもらうからね」
「もちろんです」
彼女達を家に招いた時点で、こうなれば良いなとは心の何処かでは思っていた。
そしてそれが現実になっただけなので、受け入れる覚悟なんてはなから出来ている。
赤面しながら睨む美女の視線を真正面から受け止めると、再びその唇を堪能した。
場所を寝室に移し、ただいまピロートークの真っ最中。
俺の周囲では美女達が思い思いに寝そべり、たわいない日常の話しに花を咲かせていた。
「モティナはトシオ様で良かったの?」
「むしろお兄ちゃんじゃなきゃ嫌です! だってほら、男の人って結婚したら態度が変わるって話を聞くじゃないですか。でもお兄ちゃんはちょっと意地悪だけど、結婚しても変わらず優しいままだって皆さんを見てればわかるから。それと、時々お駄賃くれるのも良いなって♪」
リシアの何気ない問いかけに、後ろからモリーさんに抱きしめられた状態で寝転ぶモティナが朗らかと答える。
最後のはなんとも現金な話だが、まぁこの子はなんだかんだでちゃっかりしてたし、やることはちゃんとやるので文句を言う気はない。
むしろ正直にぶっちゃけてのけるところには好感が持てる。
「釣った魚に餌をやらんという奴じゃな」
「その点トシオ殿は釣り上げた後の方が何かと気にかけてくれますね」
「そんなことないですよ、ご主人様は釣り上げる前からも良くしてくださいますもの」
イルミナさんの例えにユニスが乗っかり、ククが更に持ち上げる。
「私としては、もっと荒々しくても――いえ、なんでもありません」
どさくさに紛れて性癖を吐露しかける人馬娘。
いやもうしちゃってるな。
「犬のぬいぐるみとかくれたし、ぷりん食べさせてくれたー!」
「良い装備を整えてくれるしな」
「かっこいい斧とかなー」
トトがおもちゃと食い気、メリティエが装備と、こちらも現金なことを言う。
「私のナックルの方がかっこいいがな」
「そんなことないもん、あての斧すごく強いもん」
「私のナックルはどんな敵を殴っても手が痛くならないぞ」
「あての斧だって、どんな敵も一撃だもん!」
「私の――」
「2人とも、いい加減にしなさい?」
「「はい……」」
ククが謎の張り合いを始めた2人の首を掴み、凄みを含んだ声で黙らせた。
叱られた2人は小声で「お前の姉はおっかないな」「お姉ちゃん怒るとこわいからなー」などと小声でささやき合う。
耳が良すぎるククに聞こえていない訳はないが、騒がしくないから黙認しているのだろう。
まさに大人の対応である。
「あとは、正体とかばれたら私達って奴隷になっちゃう決まりでしょ? そうなると恋人作ったりとか結婚とかできそうにないじゃないですか? でも、セシルさんの指輪、アレどう見ても私達のと同じでしょ? ならもしかしたら魔族領の人なのかなって。実際そうだったし」
気を取り直して会話を再開するモティナ。
良く見てらっしゃる。
そして計算高く強かだ。
そんなモティナの視線の先では、肉感美女のダークエルフが俺の下半身に抱き着き、「パパ……パパ……」と俺の腹に頬を擦り付けてのベタ甘え状態でトリップ中。
幼少期の生い立ちが原因か、こうなるとしばらくは周りの話しが耳に入いらなくなる。
そして覚醒した際は羞恥心から塞ぎ込むので、そのフォローもちゃんとしなければならない。
トラウマって怖いね。
エルフの27歳は未だ幼少期かもだけど。
セシルの銀糸の髪や褐色の頬を撫で、この大きくも美しい娘をひたすらに甘やかす。
これが素のセシルであり、彼女にとって最も心安らぐ時間なため、大事にしてあげたい。
「それと、ミネルバちゃんやククさん達でもいけるなら、2人よりは人の姿に近い私とお母さんなら絶対に受け入れてくれると思ってたの♪」
モティナが満面の笑みで小悪魔チックに言ってのけると、背後ではモリーさんがバツの悪さを誤魔化す様に指で頬をかく。
どいやらモリーさんもそんな打算があったようだ。
てか、ミネルバやクク達〝でも〟って、何気に失礼だな。
ちなみにミネルバはというと、相変わらずピロートークには参加せず、することしたら布団の片隅で寝息を立てていた。
寝るの好きだなぁ。
それはさておき、モティナのハーレム入りの理由は分かったので、今度はモリーさんの理由も聞いてみるか。
「モリーさんは?」
「聞くな馬鹿」
モリーさんが短く吐き捨てそっぽを向き、教えてはもらえなかった。
そんなモリーさんだが、先程はミノタウロス形態でも抱かせていただき、色々と大迫力で結構な御手前でした。
ただ筋肉質で肌は固く、他の妻達には無い抱き応えがあった。
レンさんが筋肉筋肉と言っているのも頷ける。
野性味あふれる美女な上、ミノタウロス時の巨体を組み敷いて鳴かせる状況がまたたまらない。
しかもモティナとの親子丼プレイで興奮も倍増だ。
そうだ、明日は是非巨大イルミナさんと2人同時にお相手させてもらおう。
きっと全周囲を肉で挟まれるステキプレイが楽しめるはずだ。
妄想を加速させる俺の脳内を知ってか知らずか、モリーさんの鋭い視線がこちらに向けられている。
「……一応あんたに言っとくけど、ミノタウロスの女は相手が気に入らないとそのまま殴殺することもあるんだ。これはミノタウロスに限らず、オーガみたいな気性の荒い種族に言えたことだから覚えておきな」
「マジですか……」
「それは我も聞き覚えがある故、マジな話じゃ」
モリーさんの言葉に、何故か幼女ラミア形態のロリミナさんが補足を加え、俺の背筋に悪寒が走る。
そんな相手に今までちょっかい出してたのか!?
てかイルミナさんの今の状態、何気に〈のじゃロリ〉だな。
これはこれで愛くるしくて非常に素晴らしい。
そして抱いてた時の背徳感は、フィローラ程ではないが凄まじかった。
「それくらい恋愛衝動が激しいんだよ。今後は気をつけな」
「はい」
モリーさんの忠告を素直に受け入れる。
オーガもってことは、レンさんも知らずとは言え危ないことしてたんだな。
友人の知らずのうちに発生していた危機にもゾッとする。
それからも俺への品評会が続き、恥ずかしさや至らなさから、心のHPがギュンギュン減る。
持ち上げるのか貶すのか、どちらかにしてください死んでしまいます!
と、ここでククテナが静かに立ち上がり、真剣な顔で俺の耳元に口を寄せてきた。
なんだろ?
「ご主人様、窓の外に誰か居ます……」
唐突過ぎるその言葉に、驚きから俺の体が大きく跳ねた。
はじめこそ手間取りはしたものの、イルミナさんの予想に反し魔道具の作成は順調で、属性鉱石を用いて属性付与した武器やエンチャンターの属性防御魔法が付与された革製品が作成された。
調子に乗って鉄製の防具にも属性防御魔法の付与をして、気がつけばモリーさんのお店が魔法道具屋レベルの品揃えになっていた。
「本来であればマナの知覚と操作の習得に数年を要するはずが、既に覚えて居ればこんなところじゃな。じゃが、それにしてもやり過ぎであろう」
「これは相場を崩しかねない量だねぇ……。まぁ土属性ばかりだし、近所の魔法道具屋にも卸すとするかい」
イルミナさんとモリーさんが、2人そろって呆れていた。
魔法道具屋はモリーさんのお店の向いかお隣がそうだったか?
まぁ3人がほぼ失敗も無く、調子に乗ってエンチャントしまくればこうもなるわな。
だがしかし、有り余る土属性石は一向に減る様子を見せない。
「教えたことを直ぐに覚えてくれるのは気持ちが良いのじゃが、これでは我が教えずとも良い故、教え甲斐が無いとも言えるのぅ……」
「教えても全く覚えないよりかは全然良いと思うがねぇ……」
イルミナさんが俺と弟子達に目を向け、モリーさんがモティナを見てそれぞれため息を吐く。
「だって、イメージしろとか力を籠めろとか言われたってわかんないんだもん!」
近くで属性付与を見ていたモティナが拗ねながら飛び着いてくると、額をこすりつけて猫のように甘えてくる。
拗ねたフリして甘えたいだけなのが丸分かりだが、可愛い女の子に甘えられる状況は悪い気はしない。
こちらの願望としては、本性であるサテュロス形態で甘えてほしい。
モティナの背中に手を当て、よしよしと摩る。
細身の少女の背中はとても若々しい。
すると、モティナの甘え方が猫の様な仕草から、こちらの胸元をついばんだり、軽い口付けの混じったやや淫らなものへと変化し、呼吸も僅かに荒くなっていく。
「……モティナ、それくらいにしておきな」
「やっ! 私もお兄ちゃんのことが好きなの!」
見咎めたモリーさんにモティナが強く拒絶すると、首に回した腕に力を入れて強く密着する。
困った。
「ほらモティナ、お母さんの言うこと聞いて」
「お兄ちゃんは私のこと嫌いなの?」
「嫌いじゃないけど、君に手を出す訳には行かないんだよ」
「どうして?」
引き剥がそうとした俺に力強くしがみ付き、悲しい顔で理由を問うてくるモティナ。
モリーさんの方へ目を向けると、とても辛そうな顔をしている。
俺としてはモリーさん親子には手を出さないと言った手前、ここで彼女に手を出すとモリーさんからの信用を失う。
「モティナ!」
「お母さんもお兄ちゃんのこと好きなんでしょ?」
「それは……」
モティナの問いかけに、モリーさんは否定も肯定もせずに押し黙る。
「大丈夫だよ、お兄ちゃんなら私達の正体を知っても変わらずに居てくれるよ」
モティナが戸惑うモリーさんを諭すような口調で言うと、自分の指にはまる指輪を何の躊躇いもなく外してしまった。
指輪をはめていた指先から全身を染めるように変化を起きた。
明るい茶色の山羊の毛が、手や首など、薄着の隙間から覗く肌に生えたのが見て取れる。
額から伸びる角は緩やかに湾曲して後ろに伸び、瞳孔も山羊の様に横長の四角。
口は人の字に変形して少し前に突き出る。
下半身はすらっと伸びた羊脚は、先っぽに黒い蹄が見える。
短パンから飛び出た尻尾は短く愛らしい。
こうしてモティナは半人半羊のサテュロスへと変貌を遂げた。
全く持って、俺好みのケモっ娘だ。
口が山羊というよりクク達みたくウサギっぽいのがまたグッドだ。
「可愛いなぁ、知ってたけど」
「知っていたの!?」
「スキルの精度が上がってね、2人の正体が目で見えるようになったんだ。当然モリーさんがミノタウロスであることも知ってる」
「………」
「それと、さっきモティナが言ってた〝俺なら正体を知っても嫌いにならない〟ってヤツね、あれは残念なことに正解。むしろ余計に好きになったくらいだ」
我慢していたものを投げ捨て、強く抱きしめた少女の唇からも体温を感じ取る。
口周りの構造こそ人と少し違うが、それがまた良い。、
先程は手が出せなかったが、正体を現してしまったら話が変わる。
このまま何もせずでは、今度は正体を知られたことでモリーさんが夜逃げされかねない。
それこそこれまで築いた信頼関係が水泡に帰す。
だったらここで彼女達を女性として繋ぎ止めるべきだ。
なにより、こんなに可愛い女の子を逃してなるものか!
モティナが初めてのキスで呼吸が出来なくなり、息が上がったので唇を放す。
少し涙目で蕩け切った表情が、少女とは思えない色香を放っていた。
「実はずっとこうしたかったんだ」
「お兄ちゃん……」
甘い吐息を零しながら、山羊娘が尻尾を振りまくる。
実に可愛い。
「でも少し待ってね」
モティナを置いてモリーさんの元へ行くと、大柄の褐色美女を抱き寄せた。
「あたしは……!」
「モリーさんも、いいですよね?」
返事なんて待つことも無く、その美しい唇を奪った。
はじめこそ頑なに唇を閉ざして拒んだが、優しく何度もついばむうちに、徐々にほころびを見せはじめる。
そのほころびを逃すことなく押し込んだ舌で、彼女の口内をねっとりと蹂躙して差し上げる。
キスされるのに慣れていないのか、普段は気の強い野性味の美女が、まるで少女の様に成すがままとなる。
しかし、大人しかったのもつかの間で、すぐに自ら舌を絡ませてきた。
荒々しく、力強く、大胆に、モリーさんの気質を現した様な激しい口づけだ。
「……あんた、こうなったからには責任は取ってもらうからね」
「もちろんです」
彼女達を家に招いた時点で、こうなれば良いなとは心の何処かでは思っていた。
そしてそれが現実になっただけなので、受け入れる覚悟なんてはなから出来ている。
赤面しながら睨む美女の視線を真正面から受け止めると、再びその唇を堪能した。
場所を寝室に移し、ただいまピロートークの真っ最中。
俺の周囲では美女達が思い思いに寝そべり、たわいない日常の話しに花を咲かせていた。
「モティナはトシオ様で良かったの?」
「むしろお兄ちゃんじゃなきゃ嫌です! だってほら、男の人って結婚したら態度が変わるって話を聞くじゃないですか。でもお兄ちゃんはちょっと意地悪だけど、結婚しても変わらず優しいままだって皆さんを見てればわかるから。それと、時々お駄賃くれるのも良いなって♪」
リシアの何気ない問いかけに、後ろからモリーさんに抱きしめられた状態で寝転ぶモティナが朗らかと答える。
最後のはなんとも現金な話だが、まぁこの子はなんだかんだでちゃっかりしてたし、やることはちゃんとやるので文句を言う気はない。
むしろ正直にぶっちゃけてのけるところには好感が持てる。
「釣った魚に餌をやらんという奴じゃな」
「その点トシオ殿は釣り上げた後の方が何かと気にかけてくれますね」
「そんなことないですよ、ご主人様は釣り上げる前からも良くしてくださいますもの」
イルミナさんの例えにユニスが乗っかり、ククが更に持ち上げる。
「私としては、もっと荒々しくても――いえ、なんでもありません」
どさくさに紛れて性癖を吐露しかける人馬娘。
いやもうしちゃってるな。
「犬のぬいぐるみとかくれたし、ぷりん食べさせてくれたー!」
「良い装備を整えてくれるしな」
「かっこいい斧とかなー」
トトがおもちゃと食い気、メリティエが装備と、こちらも現金なことを言う。
「私のナックルの方がかっこいいがな」
「そんなことないもん、あての斧すごく強いもん」
「私のナックルはどんな敵を殴っても手が痛くならないぞ」
「あての斧だって、どんな敵も一撃だもん!」
「私の――」
「2人とも、いい加減にしなさい?」
「「はい……」」
ククが謎の張り合いを始めた2人の首を掴み、凄みを含んだ声で黙らせた。
叱られた2人は小声で「お前の姉はおっかないな」「お姉ちゃん怒るとこわいからなー」などと小声でささやき合う。
耳が良すぎるククに聞こえていない訳はないが、騒がしくないから黙認しているのだろう。
まさに大人の対応である。
「あとは、正体とかばれたら私達って奴隷になっちゃう決まりでしょ? そうなると恋人作ったりとか結婚とかできそうにないじゃないですか? でも、セシルさんの指輪、アレどう見ても私達のと同じでしょ? ならもしかしたら魔族領の人なのかなって。実際そうだったし」
気を取り直して会話を再開するモティナ。
良く見てらっしゃる。
そして計算高く強かだ。
そんなモティナの視線の先では、肉感美女のダークエルフが俺の下半身に抱き着き、「パパ……パパ……」と俺の腹に頬を擦り付けてのベタ甘え状態でトリップ中。
幼少期の生い立ちが原因か、こうなるとしばらくは周りの話しが耳に入いらなくなる。
そして覚醒した際は羞恥心から塞ぎ込むので、そのフォローもちゃんとしなければならない。
トラウマって怖いね。
エルフの27歳は未だ幼少期かもだけど。
セシルの銀糸の髪や褐色の頬を撫で、この大きくも美しい娘をひたすらに甘やかす。
これが素のセシルであり、彼女にとって最も心安らぐ時間なため、大事にしてあげたい。
「それと、ミネルバちゃんやククさん達でもいけるなら、2人よりは人の姿に近い私とお母さんなら絶対に受け入れてくれると思ってたの♪」
モティナが満面の笑みで小悪魔チックに言ってのけると、背後ではモリーさんがバツの悪さを誤魔化す様に指で頬をかく。
どいやらモリーさんもそんな打算があったようだ。
てか、ミネルバやクク達〝でも〟って、何気に失礼だな。
ちなみにミネルバはというと、相変わらずピロートークには参加せず、することしたら布団の片隅で寝息を立てていた。
寝るの好きだなぁ。
それはさておき、モティナのハーレム入りの理由は分かったので、今度はモリーさんの理由も聞いてみるか。
「モリーさんは?」
「聞くな馬鹿」
モリーさんが短く吐き捨てそっぽを向き、教えてはもらえなかった。
そんなモリーさんだが、先程はミノタウロス形態でも抱かせていただき、色々と大迫力で結構な御手前でした。
ただ筋肉質で肌は固く、他の妻達には無い抱き応えがあった。
レンさんが筋肉筋肉と言っているのも頷ける。
野性味あふれる美女な上、ミノタウロス時の巨体を組み敷いて鳴かせる状況がまたたまらない。
しかもモティナとの親子丼プレイで興奮も倍増だ。
そうだ、明日は是非巨大イルミナさんと2人同時にお相手させてもらおう。
きっと全周囲を肉で挟まれるステキプレイが楽しめるはずだ。
妄想を加速させる俺の脳内を知ってか知らずか、モリーさんの鋭い視線がこちらに向けられている。
「……一応あんたに言っとくけど、ミノタウロスの女は相手が気に入らないとそのまま殴殺することもあるんだ。これはミノタウロスに限らず、オーガみたいな気性の荒い種族に言えたことだから覚えておきな」
「マジですか……」
「それは我も聞き覚えがある故、マジな話じゃ」
モリーさんの言葉に、何故か幼女ラミア形態のロリミナさんが補足を加え、俺の背筋に悪寒が走る。
そんな相手に今までちょっかい出してたのか!?
てかイルミナさんの今の状態、何気に〈のじゃロリ〉だな。
これはこれで愛くるしくて非常に素晴らしい。
そして抱いてた時の背徳感は、フィローラ程ではないが凄まじかった。
「それくらい恋愛衝動が激しいんだよ。今後は気をつけな」
「はい」
モリーさんの忠告を素直に受け入れる。
オーガもってことは、レンさんも知らずとは言え危ないことしてたんだな。
友人の知らずのうちに発生していた危機にもゾッとする。
それからも俺への品評会が続き、恥ずかしさや至らなさから、心のHPがギュンギュン減る。
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