あなたの隣で

ほろ苦

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どうもナナンは私の事が心配らしい。

個性たっぷりのパーティでさっそく南の洞窟ダンジョンに向かった。
洞窟までは実は街から近く、朝出発して昼過ぎには洞口入り口に到着した。
レックスの指示のもと、各自軽く昼食をとり、すぐに洞窟攻略が始まった。
街から近い洞窟だからさほど強い魔獣は居ないはずだが、奥に進むにつれて洞窟内の空気が一変した。

「なるほどなぁ、魔瘴気があふれている」

レックスは目を細め洞窟の奥に神経を尖らせると、大型魔獣の気配を感じていた。
私は依頼所の人から預かった洞窟の正確な地図をみて現在地をレックスに知らせる。

「現地点はここですのでこのまま真っすぐが一番近道かと」
「…ダメだな。両方の横道から魔獣が一気に襲ってきたら全滅だ」

確かに、三本の道があり各通路に大型の魔獣がいたら…

「っち、余計な事言ってるんじゃねーよ、素人は黙ってろ」

マックスに手で押しのけられレックスの傍にマックスが寄ってこれからの戦略を話している。
私は確かに経験が少ない。
ダンジョン攻略なんて今回が初めてだ。
だけど、なにかの役に立ちたくて…
ぐっと唇を噛んで悔し涙を堪えていると私の肩にモモがポンっと手を乗せてきた。

「だぁいじょうぶぅ?マックスっち無駄に張り切ってるから気にしないでぇいいよぉ」
「モモさん、ありがとうございます」
「どんだけぇーがんばってもレックスの相棒になれないのにねぇ」

ふふっと笑顔のモモが一瞬悪魔のような顔に見れた。
こ、こわい…

「ここから2手に別れよう。ロッソ・モモは右通路、俺とマックスとミリアは左だ。おそらくそれぞれに大型魔獣がいる。討伐して中心でおち合おう。先に到着した方は待機。その後合流して真ん中の魔獣討伐、いいな!」
「「「はい」」」

ロッソ、モモと別れてレックスの傍をずっとマックスがついて歩き、話しかけている。
私はその様子を恨めしそうに少し後ろから眺めていた。
レックスの横に立てる日か本当に来るのだろうか…
こんな役立たずの私をレックスが認めてくれる日が来るのだろうか…
自分の不甲斐なさにドンドン凹んでいってるとゴゴゴと地鳴りがして大きだ魔獣が突進してきた。
レックスとマックスは冷静に戦闘態勢にはいり、魔獣の突進をかわしたが後ろにいた私は前にいた二人で魔獣の動きをとらえる事が出来なかった。
爆風と一緒に弾き飛ばされ、洞窟の壁に体を打ち付ける。

「ぃった…」
「おい!大丈夫か!?」
「…は、はい!」

レックスの声に私は無理やり声を出すが実はあまり大丈夫じゃない激痛が左腕に走っている。
そのまま魔獣との戦闘に入り、レックスとマックスが魔獣の相手をしている間私は洞窟の隅で激痛に耐えていた。
やばい…変な汗が出て来たぞ…
二人の戦闘を遠目でみると二人が戦っている更に奥天井から黒い大きな魔獣が身を潜めながらやって来るのが見えた。

「レックス!!!!!奥上!!!」

私は大きな声を出すと身を潜めた魔獣が大きな口を開けてレックスとマックスに襲い掛かる。
レックスは至って冷静に黒い魔獣をかわすがマックスは流石に焦っていた。
ガラガラと洞窟が所々崩れて大型魔獣2頭とハンター2人では分が悪いように思えた。
しかし、レックスは慌てる様子もなく最適な攻撃をあたえられる魔獣を選択し、戦っている。
まるで一人で2頭を相手にしているようだった。

「す…凄い…」

レックスは本当に強い…こんな雲の上のようなハンターに私は届くのか…
自分の無力さに愕然としながらも二人の戦いを目で追い続けていると1頭が弱り出し、戦線離脱を始めた。
それをチャンスとマックスが追い立てると魔獣は洞窟上部に強い突進をし洞窟を崩しにかかった。

「しまった!マックス、追うな!!!」
「俺の必殺技で仕留めてやりますよぉ!レックスさん!見てて…!?!?」

ひび割れた洞窟の天井が崩れ落ち、亀裂から大量の水が流れ込んできた。
その水の直撃をマックスはあたり、勢いで押し流されていく。
その後も亀裂から洞窟が崩れて大型魔獣も流されレックスは慌てて水が届かない所まで駆け上がると私を見た。

「ミリア!!!上に行け!!!」

私のすぐ近くまで濁流が流れ込み間一髪のところで私も洞窟の岩の上に上がった。
洞窟の崩壊はまだ続いており、私は行ける所までレックスの近くに行くとレックスも私の所までやって来た。

「腕は?」

少し心配そうに私の腕を掴みまじまじと見る

「大丈夫です。だいぶ痛みがひいてきました」
「…そうか」

そういうと掴んでいた私の腕を離すレックスに私はレックスの掴まれた所が熱くやけどをしたようにジンジンとしていた。
レックスに触られた…
心臓がバクバクしている。

「洞窟の方が止まるまで待機か…こっちだ」

レックスは安全そうな洞窟を見つけて進むので私もレックスに付いて行った。
洞窟は更に深部の奥の方に続いており、魔瘴気も濃くなってきた。

「もう、ロッソとモモさんは着いているでしょうか?」
「ああ、おそらくこっちに2頭きたからあっちは楽勝だろう」
「マックスさん大丈夫ですかね…」

まったくもって心配してないが、一応念のため気にかけておこう。

「まぁあいつなら大丈夫だろう」

深部に到着すると私達意外まだ誰も来ていなかった。
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