召喚に巻き込まれた冴えないおっさんのハーレムライフ?

いけお

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第37話 新たなお騒がせ女神、その名はフレイ

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「ちょっと!私達をそっちの都合で勝手に呼び出しておいて、イーヴィルの脅威が無くなればこちらの意思も確認しないで元の世界に帰すって横暴過ぎじゃないの!?」

華憐がフレイに詰め寄った。

「そうです、私もようやく王道さんへの気持ちを確かめられたのにいきなり帰らされては困ります!」

サクラも華憐と同様にフレイに自分の願いをぶつける。

『元々、彼女達は邪神イーヴィルと邪族達の手からこの世界を救ったら元の世界に帰る予定でした。こちらの世界に残る事の方が予定外なのです!』

フレイの方も引き下がらない、実際彼女の言っている事の方が正しいのだが全員が俺と共に生きたいと願っている以上、元の世界で誰か1人だけを選ぶという選択肢は無い。それにライアやルナ等異世界の者には元の世界の戸籍など無いし、更には日本じゃ重婚がバレたら罰せられてしまう。俺的にも、出来ればこのままそっとしておいて欲しいと思う。

「でも、父さんや母さんにだけでも私が無事だって事を知らせに行きたいな」

美雷がそんな事を言い出した。

「そう言われてみると、確かにそうね。放っておくと私達全員死んだ扱いにされてしまうわ」

華憐はそう言いながら、更に奈央や門音達が反応する言葉を付け加える。

「それに両親にも私の旦那様を紹介しないといけませんしね」

「!?」

「私もきみ兄ちゃんを紹介したい!!」

「でも重婚がバレてしまうのはいけないので、とりあえずは日取りをずらしながら紹介するのがベストなのでは?」

「ちょっと待った~!!!!」

ここでルナが大声を出して華憐達を制止させた。

「済まないが両親に王道様を紹介する話を進めないでくれ、この流れで進むと・・・・私は父イーヴィルに紹介しないとならなくなってしまうではないか!?」

(あ~確かに)

このルナの必死の頼みには流石のフレイも同情しそうになった。それでもすぐに同情を捨て去り心を鬼にする。

『とにかく私達が召喚した7人には全員元の世界に帰ってもらいます、ライアやアクアも最初に彼らと交わした約束を違えない様にして下さい』

ここで王道は忘れ去られようとしていたとある邪族の事を思い出した。

「そういえば、俺達を元の世界に帰すのは全ての邪族が居なくなってからだよなフレイ?」

『そうです、あなた達を帰す前にルナさん達から邪界に追い払います』

「追い払うですって!?」

ルナがキレそうになるのを王道が抑える。

「ルナ、少し落ち着け!ところでさ、フレイ。今のんびり昼寝している邪族が1匹居るのを思い出したんだがそいつが目覚めて帰ってから考えても良いか?」

『まあ、1匹位でしたら許して差し上げます。どうせ後半日もすれば目覚めるでしょうし・・・』

フレイの返答を聞いた王道は勝ち誇った顔に変わるとこう告げた。

「おし!神様の約束だからな反故にするんじゃねえぞ。実はその邪族は醍慕刹峠に居るドームタートルといってあと半世紀位は昼寝し続けると思うぞ」

『何ですって!?』

驚くフレイ、どうやらドームタートルの情報はアクアから送られていなかったみたいだ。

「王道様、流石です!」

「見事です、王道様。私、惚れ直しました」

ライアやララ達が口々に王道を褒め称える、横を見るとフレイが地団駄を踏んで悔しがっている。その一方で・・・

「でもやっぱり、私達の無事と異世界で幸せに暮らしているって事だけは知らせてあげたいな・・・」

美雷にはどうしても捨てきれない両親への思いが有るみたいだ、何とかして叶えてあげたいがどうするべきか?王道はしばらく考えて恐らく最善であろうと思われる方法を思いついた。



「なあフレイ、邪族からこの世界を救ったらお前らは出来る事なら何でもするって言ってたよな?」

『はい、確かにそう言いました。それであなた達全員がこの世界に残るのを認めろとでも言いたいのですか?』

「それも有るが、華憐達の両親や友人達をこちらの世界に召喚する事は出来るか?」

『はあっ!?急に何を言い出すのですか!』

驚くフレイ、華憐達も王道の提案にビックリしていた。

「ちょっと王道!私達の両親を召喚してどうするつもりなのよ!?」

王道は少し照れ臭そうにしながら、考えを皆に伝える。

「元の世界にライアやルナ達を連れて行く事は出来ないから、俺はこの世界に残り皆とハーレム生活を送る事に決めた。だけど華憐達の両親や友人達に皆の花嫁衣裳を見せてあげるのも男としての礼儀だと思う。この楽園全体を会場に盛大な結婚式を開きたいんだ」

自分達の無事と異世界で愛する人と暮らしていく事を家族や友人達に報告する、しかもウェディングドレスを着て!華憐達は目を輝かせ始めた。

「それからな、フレイ。半世紀も生きれば俺も年や病気で死んでいるかもしれない、もしドームタートルが起きる前に俺が死んでしまった時は華憐達の中で元の世界に帰りたいと願う奴が出たら帰してあげて欲しい」

「王道!こんな時に縁起悪い事は言わないで!!」

「俺はわがままだから、俺の居なくなった世界に残されるお前達の姿を想像したくないだけだ」

50年後には王道は80を過ぎている、少なくとも身体の至る所が壊れているだろう。自分が死んだ後の事まで考えておくのが彼女達への王道なりの感謝の気持ちの表れなのだ。

しかし、王道が懸命に考えて皆に言った計画を全てぶち壊す者が居た。非常に残念な女神、アクアだ。



『それでしたら全然気にしなくても大丈夫ですよ、召喚された直後に薫さんに王道さんが爆発直後の時間まで戻して貰う事をアドバイスしていました。なので先に皆さんを不老状態にしておきましたので50年間この世界でゆっくりと愛の巣を築き上げてから両親を呼んで結婚式を開けば良いのです』

「・・・・・・」

『どうかされましたか?』

「もしかして、俺達50年間このまま?」

『不老状態を解除しなければ、元の世界でも永遠にその若さを保てますよ』

地上に降りる前からどうやらコイツは残念女神だったみたいだ。

「嫌ァアアアアアアアアアア!!それじゃあ、私が先にお婆さんになって王道さんよりも早く死んじゃうじゃないの!?」

サクラがパニック状態と化した、ハーレムの中で自分1人だけ年老いていくのは想像しようの無い苦痛かもしれない・・・。

「アクア、とりあえずお前はプールに落ちて反省しろ」

カチッ!

遠くで何かがプールに落ちる音が聞こえた。アクアの仕出かしたとんでもない事、それはこの世界で50年を過ごした後に18歳の華憐が40過ぎの孫を両親に見せる事になるかもしれない恐ろしい物だった。
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