魔術師見習い、ニッポンの侍の末裔を召喚する(?)

三毛猫 ポチ

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アツモリ、地獄の養成所へ行く

第77話 聖水の効果は?

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 敦盛たちはアリアドネに向かう馬車に乗り込んだが、当たり前だが馬車に乗り込んだ途端、敦盛は「サムライ様だあ!」と熱烈な歓迎を受けた。しかも満里奈も「スケバン様!」などと呼ばれ、こちらは逆にコメカミをピクピクさせながら頑張って(?)笑顔で握手に応じていた。どうやら満里奈も、シエナと同じパーティのメンバーで白金プラチナクラスのアクアに試合で勝った事が知れ渡っているようだ。優等生(?)満里奈にとって『スケバン』は不名誉(?)な称号だけど、世界で初めて公認された職業なのだから、堂々(?)と「スケバンの満里奈です!」と対応していた。

 ファウナとアリアドネを結ぶ街道は石畳の道で広々としているから、馬車は快調に飛ばし、徒歩なら4日かかる距離を夕方にはアリアドネの街に到着した。
 だが、宿を探す前にルシーダが「明日は教会が開く前に出発するはずですから」と言って敦盛たちを促して向かった先は、バレンティノ教団のアリアドネ教会だ。

 そのルシーダが買い求めたのは・・・敦盛や満里奈の感覚でいえば、栄養ドリンクの『オロロンラインC』くらいの大きさの瓶に入った水だ。
 そのルシーダは結構な数の瓶を買うとエミーナの『魔法の巾着袋マジックポーチ』の中に次々と入れていく。
 それを見た敦盛と満里奈は首を傾げているほどだ。敦盛はルシーダが買った物が何なのか分からなかったから聞いたけど、ルシーダはニコッと微笑んだ。
「聖水ですよ」
「聖水?」
「そう、聖水」
 ルシーダはアッサリ言ってるけど、その言葉に敦盛と満里奈は思わず顔を見合わせてしまった。
「お兄ちゃん、たしか『せいすい』の効果は・・・」
「ああ、これを使うと自分よりレベルの低い敵に遭遇しなくなる」
「やっぱり、ルシーダさんも幽霊が怖いのかなあ」
「だろうね。本音を言えば俺だって幽霊などという存在を信じたくないが・・・」

” ボカッ! ボカッ! ”

 いきなり敦盛と満里奈の頭をグーで叩き付けた人物がいた!
 敦盛も満里奈も「何をするんだあ!」と怒ったけど、二人を叩き付けたのはエミーナだった。
「お前ら!いい加減に『げえむ』とかいうイズモの国の訳の分らん物語の設定をクソ真面目に言うなア!!」
「「えっ?違うの?」」
「当たり前だあ!」
 エミーナは額に青筋を立てて激怒しているから、敦盛も満里奈もエミーナをポカーンとした表情で見ている・・・
「あのなあ、街や村の外で人間が崖から落ちて死んだとか野生動物や魔物モンスターに襲われて、まあ、盗賊団とかに襲われて死んだ時もそうだけどには、そのまま放置しておくと不死生物アンデッド化してしまうんだよ!」
「「うっそー!」」
「ここはバレンティノ教団の教会だ!こんなところで嘘を言ったら、ボクに問答無用とばかりにバレンティノ神が裁きの鉄槌を下すぞ!」
「「マジ!?」」
「そんな事も知らないのかよ!勘弁してくれ!!」
「「すみません・・・」」
「で、話を戻すけど、不死生物アンデッド化した人間は魔物モンスター並みに厄介だから、その魂に聖水をかけるんだよ!」
「「魂に聖水?」」
「そうだ!一口に幽霊ゆうれいと言っても3種類ある!1つは魂は天に召されたけど肉体が負の力で勝手に動き出した『亡骸ゾンビ』。これは肉体を倒せば勝手に消滅する。だが、問題になるのは残る2つだ。1つは肉体そのものは死んで消滅したけど魂が残った状態の『死霊ゴースト』、もう1つが生前に幽体離脱した魂が不死生物アンデッドと化した『生霊レイス』だけど、どれも負の力をエネルギーにしている存在だから、聖剣を使って倒したと思っても時間が経てば復活する!稀に肉体が残っている死霊ゴーストもいるけど、死霊ゴースト生霊レイスも聖職者の『鎮魂歌レクイエム』の呪文か聖水をかけて、魂を神の元へ送ってやる必要があるんだ!」
「「聖水で成仏じょうぶつさせろって事?」」
「はあ!?『ジョーブツ』の意味が全然分からんけど、とーにーかーく、聖水は旅人の必需品なのだよ!盗賊団だって殺した人間が不死生物アンデッドになると自分たちの首を絞める事になるから、死人に祈りを捧げてから埋葬するくらいだ!とにかく、ルシーダも含めて全員が聖水を持ってろ!まずは武器で倒して、その後で聖水を使え!ただし、間違っても聖水を死霊ゴースト生霊レイスに使うな!ダメージは与えられるけど、倒した後にもう1回、聖水をかける事になるから単なる無駄使いだあ!以上!!」
 そう言うとエミーナは『ぷんぷーん』と言わんばかりに腰に手を当てて敦盛と満里奈を睨んでるし、バネットやモコ、ココアも笑ってるくらいだ。シルフィは最初からニコニコ顔だけど、教会の神官や一般の市民まで『クスクス』と笑ってるのが敦盛たちの耳にも届くくらいなのだ。

 敦盛も満里奈も周囲に対して「どうもすみません」と頭を下げたけど、エミーナが機転を利かせなかったら周囲の人どころかバネットやモコにも墓穴を掘るところだったのだ。
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