とあるダンジョンのラスボス達は六周目に全てを賭ける

太嘉

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集結の章

風は異世界からも吹く─4─

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ふわり、と意識が浮かび上がる

「──せんぱい、先輩??」

聞き慣れた声が、意識を揺する。

瞼をこじ開けると、ぼんやりと、自分を「先輩」と呼ぶ金色の光が視界に広がる

──あれ、ここ……

ふかふか、ふわふわとした感覚の中、自分の記憶を辿り──

「!!!」

虹色の光の矢が、豪雨の様に降り注ぐその様に

がばり、とマヌエラは身体を起こした。

「──!状況は?!」
「先輩、大丈夫です!
もう終わってます!!」

何を口走ったのかすら分からないまま、状況確認の声を上げたマヌエラの肩を揺さぶって、エィンヤが大声を上げる。

「……終わった……?」

がくがくと震えの止まらない我が身を抱きしめながら、マヌエラは自分の呼吸の荒さを自覚した。

「終わりました。
あの◯◯野郎、あの虹の雨で石化した所を粉々に砕かれて翌朝埋葬扱いっす」

「……私は、どれだけ」
「丸三日っす。その間に手続きとか全部終わりました」

そのうち1日は、自分も身動き取れなかったんすけど、とエィンヤが頭を掻く。

あの後、領主と冒険者ギルド、『学府』のによる『話し合い』の結果、連名で発表されたのが

『領主の賓客を狙った一味がいるという情報を独自に入手した冒険者ギルドと『学府』が連携した』
『その規模の大きさと、情報を入手してから賓客の到着まで時間が無かった為、関係者のみの通達に留め事に当たった。また同時に有事の際に使用される冒険者ギルドの防衛機能の試運転を行った』
『今回損害を受けた箇所は被害の内容を領主まで報告を上げること。建物の修繕は、カラタチ通りを優先し、その後は先着順で行われる』
『今回街に多大な損害を与えたとして、冒険者ギルド所属『五行』の六名は、『試練場』解放日含めて十日間の立入禁止を命ずる』

という事だった。

「多大……」

あの騒ぎの後、エィンヤは翌日まで眠りに落ちていたが、それでも冒険者ギルドに繋がる横丁は控えめに言っても半壊だった。

確か──<災厄>は、発動者が『敵と看做した者全て』が対象だったはずだ。としたら、最悪、あの勢いが接敵前に逃走したならず者達も対象に……

「それで追放処分じゃ無いあたり、あの領主様が甘いのか、もしくはあんにゃろが厄ネタだったかよね~」

マヌエラがアハハと笑い飛ばす。
最後は冗談のつもりらしい。

「当たらずとも遠からずだ」

そこに、第三者の声が入った。

バッ、と振り向き、声がした方を見ると、入口の扉の向こう側に銀髪の男が立っていた。歳の頃は三十位だろうか。しかし一瞬、マヌエラの目に、顔に深い皺が刻まれた隠者に映る。

「済まない、声がしたので何度かノックをしたのだが。入ってもいいだろうか?」

トーリボルの平民達が好んで着る服の上から、魔術師なのだろう──生成りのローブを羽織っている。内側の裾にあしらわれている刺繍は、彼が『学府』の徒であることを示していた。

「どうぞ、お入りになられて?」

自分を庇うように立つエィンヤの後ろから、マヌエラが声を返すと「失礼する」と男がするりと入ってきた。
同時に、この部屋そのものが隔離された様な──閉ざされた、そんな感覚を二人は感じた。

「済まない、『王都』側に聞かれる訳にはいかなくてな。空間を隔離させて貰った。
私は『アルター』。『試練場』のダンジョンマスターだ。この度はうちの領主が迷惑かけた」

男の自己紹介に、思わず二人が唖然となる。
ダンジョンマスターと言えば──地下迷宮のラスボスとも言える存在だ。普通の人間に紛れて往来をひょこひょこ歩いてたりこんなところに居ていい様な人物では無い、はずだ。

「そして私の師匠が……いや、師匠達が、申し訳ない……」

胃の所を押さえながら絞り出す様な言葉が続く。
「師匠達、とは…」と口にしようとして、マヌエラは言葉を飲み込んだ。

あの場に『学府』の徒は二人しかいなかった、はずだ。
彼らが目の前の男の師、なのだろう。

「今、貴方がたが居るのは『冒険者ギルド』2階の客室だ。回復するまでここを自由に使って欲しい。
貴方がたの拠点は領主が住まう城に設定されている。『冒険者』として『試練場』に入るのであれば、城から別の所に拠点の移動をせねばならんので拠点を確保してからギルドで手続きを頼む」

(なんか、チュートリアルのひとだ…)
(なんだか、ソシャゲのチュートリアルの人っすね…)

「なんか失礼な事を考えられている気がするが」

こほん、と咳払いして

「私がここに居るのは、人手が足りないのと、早急にこの通りを修復するためのゴーレムの操作説明のためだ」
「ゴーレム?」
「操作説明?」
「この街は『学府』傘下だから、遺跡として維持修繕する義務があるのだ。詳しく知りたかったら通りを挟んでギルドの目の前にある『学府』の支部に行きたまえ。誰かが居るはずだ……失礼、システムに異常が出たので戻る。もしギルドマスターが来たらこちらの書物を渡して欲しい。また後ほど」

言うだけ言って、一冊の本を押し付けると、静かな音を立てて『アルター』が消えた。
同時に、閉じられた感覚が元に戻る。

途端に、外の騒々しさが満ち始めた。

「なんだったんだろうね、今の」
「なんだったんですかね、今の」

男が言う事が正しいなら、この街はなんだか『おかしい』。おかしいけれども

「それは、この街全体で『地下迷宮』を『運営』しているからだ」

廊下から声がした。
見やると、灼けた茶色の髪を短く刈り込んだ、体躯の良い男が立っていた。

「失礼しても」
「どうぞ」

軽く頭を下げて入ってきた男は、冒険者ギルドマスターのフォスタンドと名乗った。

「話は伺っている。ようこそ『異世界』からの客人よ」
「「!!」」

自分達が『異世界転生者』というのは誰にも言っていないはずだ。それなのに何故、この男は分かっている──

「身構えない方がいい。急な緊張は筋肉に来るぞ?」

苦笑まじりでフォスタンドが伝える。

「この街の『学府』の徒がずば抜けて優秀でな、貴女がた二人も、あの貧相な男も『転生者』だと仰ったのだ」

自分にも『転生者』の知り合いが居てな、と前置きをして、フォスタンドは手近な椅子を持ってきて座った。

「貴女がたにとってのこの『世界』、という言い方をさせて貰うが、『地下迷宮』というのは街を上げての観光運営みたいなものだと思ってくれていい。
この街の地下の様に厄ネタに近いものから、そこそこ冒険者が楽しめるモノまで様々だ。
だいたいにおいて『地下迷宮』のシステムを掌握するダンジョンマスターと、冒険者達のきょてんを治める領主、自分達冒険者ギルドが手を組んで運営している」

身も蓋もない話を聞かされて、マヌエラとエィンヤは唖然となった。

──もしかして、もしかして、自分達が小さい頃からプレイして来ていた、家庭用ゲーム機のロールプレイングゲームも、こんな裏側があったのだろうか…?

「さっき、『アルター』殿が見えられたろう?彼はここの『試練場』のダンジョンマスターになる前は、領主と共にこの街の復興に尽力されていたお方だ」

人望厚くて人気者だぞ、と笑って続ける。

「貴女がたが違和感を覚えるのも、なんとなく分かるぞ。私もここのギルドマスターになってから、自分が見てきた世界が崩れていっている」

かつて、吟遊詩人の唄を聴きながら、自分もいつかなるのだと夢を描いていた頃が懐かしい──

と、若干、遠い目をした後で

「『地下迷宮運営』と謳ってはいるが、地下迷宮のほとんどが遺跡である以上、適切に維持修繕をせねばならないし、『地下迷宮』の造りや、どういったシステムが組み込まれているかなどの研究も為されている。
貴女がたは『北』から見えられた様だが、こちらに降りて来てから『学府』という組織を見知ってはいるだろう? 彼らが保護保全や研究をしている」

は規格外だが、とフォスタンドはため息を吐いた。

「まあ、『異世界』からの客人向けの説明なら、他の者に聞くより私を捕まえてくれ。慣れてるからな。
ひとまずは、貴女がたは領主殿に喚ばれた以上、城で暮らしながらここの暮らしに慣れていくといい」
「ありがとうございます」

『異世界転生者』というのは、なかなかどうして暮らしにくい。転生前の記憶があるから、ここがどこの世界で…などという予備知識に振り回されるし、あまりの不便さに、自分達が生きてきた世界にあるものをつい求めてしまったりする。
こちらの世界では存在しない言葉を使ってしまうのも、気をつけては居るけれども完全に、とは言えない。

「そうだ、エィンヤ。本を」
「あ、そうだった」

はい、とエィンヤに手渡された冊子をめくって、フォスタンドが破顔する。

「やっぱり、話が通じる様に設定し直したなど、『アルター』殿らしい」

どうやら、冒険者ギルド前に集結しつつある岩のゴーレム達は、ダンジョンマスターが特殊なコマンドを使わなくても動かせる様に設定しているらしい。

「さて、私は下で作業をしてくるとしよう。二人とも、あまり無理はされるな。少々うるさくなるが、回復するまで自由に休んでてくれ。
それと、エィンヤ殿はどちらか?」
「自分っす」
「貴女宛に、荷物が届いている。
こちらで預かっているので、拠点に移動する際に声をかけてくれ」

荷物──と言われて、そうだ、と思い出す。
ヒノオクでやっていた店の、自分の道具と資材を送って貰っていたのだ。

(そこまで多くは無かったはずだけどな?)

では、と受け取った本を片手に出ていくフォスタンドの背中を見送りながら、エィンヤは首を捻った。

────

結局、拠点移動を果たしたのは、『試練場』開放セレモニーの二日後だった。

「いやあ、それにしても皆さん、目ぇ丸くしてたっすね」
「んふふ、私もまぁだまだイケるって事よね」

開放セレモニーの2日前、こっそりと城に入った二人は、自分達の能力を遺憾なく発揮してみせたのである。

マヌエラの『祝福』──<変身>だ。
背格好を整え、化粧で表情を変えて寄せ、服装を完璧に着こなす。術を使う訳ではない。ただ、その場にあるもので外観を矯正し、本人に『成り替わり切る』。

「動きの癖とかまで分かればまだ完成度高められるわよね」

転生前の世界の言葉で言えば『コスチュームプレイ』──コスプレ、だ。

声やスキルまで真似る事は無理だが、外観と雰囲気の完成度は、関係者ですらちょっと見なら騙せるレベルだ──まあ、なにせ今回のが、真実を見抜く目だったり、気配の質の違いを細かに感じ取れる相手なので「ちょっと見」でしかないのだが、そうでなければまるきり本人である。

「もう少し時間あったら、まだ動きやすく作り直せたんすけどね」

そうして、エィンヤの仕事は彼女のサポート全般だ。
化粧の仕上げ、服の補正──いかにより彼女を本物の外観に近づけ、でも化け続けるのが苦にならない様にするのかを、腕の見せ所としている。

『北の国』から二人が降りて来た先のヒノオクは、漫画や小説といった娯楽文化が盛んで、作品のレベルも高かった。そして小規模ではあるものの、本来の意味での「同人誌」──同好の士による自費出版頒布会などが行われていたのだ。

北から降りてきてすぐ、マヌエラは、当時ヒノオクで流行っていた『六人目のかすがい』にドハマりし、その勢いで組合を立ち上げ、頒布会の規模を大きくした上、『コスプレ』の概念まで持ち込んで定着させてしまったのである。

ここまで来たら文化破壊からの再構築に近い。

その上、元々ヒノモトの人間達は手先が器用で緻密に作り上げる性質らしく、マヌエラの「ざっくりコス」レベルなぞ二度目の頒布会で余裕で超えてきた。そこからの盛り上がりは想像に難くない。

──しかし、マヌエラと同じか、越えてくる者は居なかった。癖を含めた動きの模倣や、雰囲気までをも写しとる様に寄せ切る観察眼、多少の暴飲暴食程度ではびくともしない体型と強制的とも言えるその維持力こそが、彼女に与えられた『祝福』だ。

だがそれは、戦う為に必要な、そして術式を扱う為に必要な身体すら造れない、という弊害を持つ。
役に入る為に一時的に肉を付けても、気をつけなければすぐに落ちてしまう──どれだけ修練を積んでも、マヌエラは、戦えるほどには強くはなれないのだ。

────

マヌエラとエィンヤは二人並んで、鍵と一緒に渡された紙片の住所に向かう。

「ここは…」

目抜通りに比べて、人の気配は静かながらも、さまざまな音が煩い場所に出て来た。

通称『白の工房区』。
迷宮の再稼働に合わせて復興した区画だが、どの建物も白が基調となっている為、この様に言われる。
鍛冶屋から修理屋、各種加工場が集まる区画だ。
元々『地下迷宮』で栄えた街だ。冒険や探索関連で、魔法が魔術、奇跡が絡まないものはここに持ってくればどうにかなるし、店に修理に出しても結局はここに回ってくるので、コネやツテがある場合は懇意にしている工房宛に直接来る冒険者もいたものだ。

その少し奥まったところに、それはあった。

こじんまりとした平屋の家。
材質は──他の建物とあまり変わらない。

「……工房、よね?」

大きな窓から中を覗くと、分厚い布に包まれた荷物が、いくつも。
エィンヤが急いで玄関の鍵を開けて入る。
包みを解くと、一つはよく手入れされた縫製機だった。エィンヤが逃げる際にトーリボルまで送って貰うように手配した、仕事道具だ。
細長い荷物を解くと、芯棒に巻かれた布地が何本も。中には、エィンヤが頼んでいないものまで包まれている。

あれやこれやと包みを解いて、最後の大きな機材らしき包みを開けると──

「これ…!」

張り紙と共に、向こうに残して来たはずの、でも、なんだか心が踊り出すような機械が出て来た。

『店長へ いつもの機械工房さんから新作です!』
『国外展開のお祝いだそうです』
『支店運営頑張ってって、店長がいる所が本店なのにね』
『説明書ありますけど、使い方は今までのと一緒だそうです』
『外装だけ載せ替えて送ります!いつかみんなでお邪魔します!』

寄せ書きの様に書かれた貼り紙は、名前なぞ付してなくても見れば分かる。エィンヤの元で働いていた針子達だ。

務歯ファスナー製造機じゃん…!」

何度も、というよりイベント開催時期になったら毎日通っていたマヌエラが嬉声を上げる。

マヌエラの『事業』を支えていたエィンヤの『洋装店』の一番の売りは、ヒノオクから服飾文明を変えてしまったこの『ファスナー』だ。
手作業も含むとはいえ、安定してそれなりに量を生産できるのは、エィンヤの店くらいのものだ。

「興味本位で某ファスナー工場の内部見学に行ったのが役に立ったわ」とはマヌエラの言で、事実、手作業でのファスナーの作り方を一通り体験していたおかげで、その技術を、うろ覚えながらも別の世界に持ち込めたのである。
この世界の神様が見たら仰天するだろうが、どうやら神様には、四六時中見張られているわけではない様だ。

「エィンヤ」
「先輩」
「とりあえず、あんたはここ『拠点』でやってけるわよね?」
「あなたの『拠点』でもありますけどね」

二人の拠点は、領主の『城』から、冒険者ギルドから準備されたこのこぢんまりとした一軒の工房に移転した。マヌエラとしては、領主の依頼の為には『城』の方が都合が良かったのだが、エィンヤが譲らなかった──「先輩と離れたくない」とだだを捏ねて捏ねて捏ねまくったのだ。

勿論、冒険者ギルドが無償で提供する訳ではない。
引換に、ギルドや『学府』から依頼の、鎧の下に着る服や、布地や皮革関係の防具を格安で作成を請負う事になっている。

「……先輩」
「なあに?」
「貴女は、どう……」

どうするのか。
何をしようとしているのか。
先は、見えているのか。
算段は立っているのか。

着いて、身辺が落ち着いたばかりの相手になんて無茶を訊くんだと、逡巡する。

「私? やる事はいつもと同じよ」

にんまりと、マヌエラが笑みを深めた。
まさか──

「今回は締切、見えてるんですもの。
十年なんてあっという間よ?
まずは五年後までに、ここで『自費出版頒布会』をやるわよ!」
「やっぱり───?!?!?!!!」

ヤル気満々のマヌエラの言に、エィンヤが頭を抱える。

「でさ、Xデー合わせでさ?『領主様100人併せ』とか面白そうじゃない?」
「…ここの文化とかも破壊するぶっこわすつもりっスか……ソレ以前に、ココ、なんもコンテンツ無いじゃないすか、それどーすんすか…」

コンテンツがあれば、エィンヤだって、どれだけでも支援が出来る。
しかしここには、ヒノオクの様な娯楽文化は皆無だ──

「? あるじゃない」

至極当然のように、マヌエラが首を傾げて見せた。

「ココ、それごとコンテンツになるわよ?」
「は??」

信じられない、という目で、エィンヤはマヌエラを見る。いやまさか、まさか──

「ねえ、憶えてる?ここに来る前の『夏の陣ナツコミ』と『冬の陣フユコミ』」

言われなくても、全部、憶えている。
それだけじゃない、貴女が行くイベント全部、同行して調整から撮影までやったし──コスプレした貴女は、誰よりも輝いてて、素敵だったから。

「ソレみたいにさ、1日目は冒険者向け全年齢向け、二日目はさあ」
「ナマモノに手ェ出すンすか?!流石にヤバないっスか?!?!?!」
「ちゃあんと事前に本人達にヒアリングして、レギュレーション組むわよ?
手段問わずの許可出てるんだから、この際存分に利用させて貰うわ」
「あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙……!」

にんまり、から、ニタリ、と、人の悪い笑みに変わったマヌエラの顔をチラ見して、エィンヤは心の中で土下座した。


──すみません、トーリボル上層部の皆さん……
自分には、こうなった先輩は止められないっス……


──── Start their 10 years war!
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