次はきっと貴方の番です。

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第一章:都市伝説

第3話 なんか最近……

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「……なんか最近、誰かに見られてるような気がする」

 昼。
 以前として納期に追われる日々を送りながら、コンビニおにぎりをかじりながらため息混じりにそう言った。


 今日のおにぎりはちょっと奮発して「新鮮イクラおにぎり」、普通のそれよりも20円ほど高い代物だ。

 おにぎりの20円差は結構大きいと俺自身思うが、そこはまぁ頑張る自分へのご褒美的という事で許している。
 いわゆる「プチ贅沢」というやつだ。

 ……「そんな所でしか贅沢出来ないのか」とか、出来れば言わないで欲しい。
 良いのだ。
 俺にはこの程度の庶民派贅沢がお似合いなのである。



 仕事用のデスクに向かいながらそう呟けば、そんな俺に隣の席からフッという笑い声が漏れ聞こえてきた。

 同期の近藤。
 何でもそつなく熟すし、顔も広くて話も上手い。
 基本的に不器用な俺とは正反対の良い奴だ。

 そんな彼が、ちょっと小馬鹿にしたような笑みを浮かべている。


 今にも「お前何言ってんの?」と言いそうなその顔に、俺は少しムッとした。
 それを隠さず彼に向けると、俺の気持ちを察したのか。
 彼は「ごめんごめん」と笑いながら謝ってきて、その後に「でもさ」と言って言葉を続ける。

「何で大して顔が良い訳でもないお前を見るんだよ?」

 それとも他に、何か見られる心当たりでもあるのか?
 からかい口調でそんな事を言ってきた彼に「確かにそうなんだけどさ」と言って口をツンと尖らせる。


 でも、だって確かに感じるのだ。
 誰かの視線を。

 会社の中でも、会社の外でも。
 まるで監視でもしているかのように付き纏ってくる視線を時折感じ、その度に辺りを見回す。
 しかしそこには誰の姿も見つけることが出来なくて、だからこそ何だかとても落ち着かない。


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