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プロローグ
第1話 例の成果が気になって(2)
しおりを挟むそうなのだ。
王子と関わり合いになってしまえば、どう見積もっても面倒な事にしかならない。
ソレを避けたいと、ずっと思っていたところに、ヘンゼル子爵夫人がお誂え向きにその件について切り込んできた。
利用できる。
あの時のセシリアは瞬時にそう判断し、頭の中で素早く組み立て実行した。
つまりアレは、端から見れば躱すのが難しい話題だっただろうが、セシリアからすれば正に僥倖だったのである。
成果の良しと僥倖を思い出した事が重なって、セシリアは意図せずほくほく顔になった。
しかし、ここで。
「このまま第二王子との噂がうやむやになって、尚且つアレはただの気まぐれで本人の脳内からは既に忘れ去られていたら、面倒な事はここで全て立ち消えだね」
キリルから的確な指摘が入り、セシリアはすぐさまズーンと肩を落とす事になる。
確かにキリルの言う通り、もしそうなればそれは確かに願ってもない事だ。
でも。
(そんな都合の良い話がある筈ない……)
これだけの条件を全て満たすなど、間違いなく夢物語だ。
というか、そんな事が現実にあるというのなら、そもそも第二王子からあんなものを貰うなんて事になる筈がない。
だってセシリアの脳内確率論的には、後者の方が低確率な事象だったのだから。
「キリルお兄様……」
気分を急降下させられて、セシリアは思わず恨めしそうな声を上げた。
それはただの八つ当たりだったが、それでも兄は「それも僕に甘えているからこそだ」と、寛容な気持ちで見つめ返す。
そして。
「でもさセシリー。願望が叶わない事よりも、叶わない願望に一縷の望みを掛け続ける事の方が後々のダメージが大きいんじゃない?」
セシリーの為を思っての言葉だよ?
そう言って苦笑する彼に、セシリアはぐうの音も出ない。
確かに彼の言う通りである。
流石はセシリアの兄、セシリアの好む物事の傾向など最初からお見通しなのだ。
そうなると、セシリアができるのは。
「分かっています。分かっていますけど……」
そう言って、ティーテーブルにコツリと額を押し当てる事くらいな物だ。
ヒンヤリとした硬質な感触が直接伝わり、いじけるセシリアの頭を冷やす。
「もうちょっと余韻というものがあっても良いではないですか」
ポソリと呟いたその言葉は、やはり兄の苦笑を誘った。
しかしその後すぐに後頭部へと兄の手の温もりが優しく舞い降りたので、セシリアは「まぁ良いか」とすぐに機嫌を良くしたのだった。
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