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二人と一緒に生活すると決めたフィーリアは、お供を連れて街にくり出す。

第11話 貧民街の朝とご近所事情(2)

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 浪費。まさかそんな風に見えていたとは。
 一瞬目を丸くして、面白い解釈に思わずクスリと笑う。

「そうですね……あと、少し趣味もあるかもしれません」
「趣味ぃ?」
「綺麗になるのって、ちょっと楽しくありません?」
「意味分かんねぇ」

 私の言葉に、ディーダは心底分からないと言いたげな表情になる。
 得られなかった同意を少し残念には思ったが、趣味なんて人それぞれだ。

 彼は、私の趣味を訝しみこそすれど、取り上げるような事はしなかった。
 毎日床の掃き出しをしていた私に「何で毎日同じところを掃除するんだ」と聞かれはしたけれど、ただそれだけだ。
 毎日埃は溜まるものだと答えれば、鼻を鳴らしただけでそれ以上は言わなかった。



 放任してくれていたお陰で、昨日ついに日課程度に収まるような室内掃除だけで済むくらいには、一通りの掃除が終わってしまった。
 もちろん今日も二人が起きて朝ごはんを買いに行っている間に室内の掃き出しはするけれど、その後は手持ち無沙汰になる。

 家の周辺――この井戸や周りの家の玄関先――を掃除しても良いのだが、俗に貧民街と呼ばれるこの場所では、互いの生活に干渉しないのが暗黙の内の決まり事らしい。
 ディーダとノインからも異口同音に「誰もが自分が生きる事に精一杯で、お互いに他に意識を割くような余裕はないし、逆に他人に構うとトラブルの元だから止めとけ」と、しっかりと釘を刺されている。

 むしろディーダが「はぁ? 『ご近所さん』? 知らねぇよそんなの。こっちに喧嘩を売ってきたら、その時は受けて立つ!」と血気盛んに言っていたので、二人と一緒に生活する以上、他者との無用な関わりはトラブルの素だと確信した。


「うーん、やる事……。あ。そういえば、色々と足りないのよね。この家って」

 何をしようかと考えて、ふとそんな事を呟いた。
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