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同居人は、変な女。(ディーダ視点)
第21話 ギブ&テイクの関係……の筈(1)
しおりを挟む元来俺は、他人に従うのが嫌いだ。
誰もが俺達の人生に責任を負わない。そんな相手の言葉を信じるなんて馬鹿だ。
俺は、自分の意志と直感に従う。
もしそれで何が悪い方に転がっても、それは俺達が決めた結果だ。「もしあいつの言う事を聞いていたら」なんて絶対に思わない。だってそんなの、なんか状況に負けたみたいで腹立つし。
だから別に、あの女の言う事なんて、聞かなくていい筈だった。それなのに。
「ったく、変な女。何で一々指図されなきゃならねぇんだよ」
何故か今俺は、家の前の井戸から水を組み上げては、ノインと交互に体にザバァッとやっている。
俺だって、別に好きで泥だらけになった訳じゃない。
どちらにしても早い内に流したくはあったから、別に損をしているとか、やりたくない事をやらされているという訳ではない。
でも、こういうのはなんか、すごく調子を崩される。振り回されてる感じがどうにも痒くて落ち着かない。
「そんな事言いながら、結局従ってるわけだけどね、ディーダ」
「テメェもだろうが」
「まぁそうだけど」
それにしても、本当に意味が分かんねぇ。
たとえばあいつがマメに掃除しているあの家の中を汚したくないってぇんなら、まぁ言い分としては分からなくもないけど、よりにもよって「俺達の身の安全が何とか」?
しかも「こんなのはいつもの事だ」って言っても、まるで聞く耳を持たねぇし。
「少なくともあの女にとっては泥だらけとか、きっと普通じゃないんでしょ。そもそも食べ方とかも妙に上品な感じだし、『没落商人の娘』っていうのが妥当なところだろうね」
「分からねぇぜ? 意外と犯罪者とかかも」
肩の上からザバァッとやれば、濁った水が地面に流れた。
冗談交じりに言ってのければ、ノインが少し俺をバカにしたように片眉を上げて聞いてくる。
「ねぇソレ本当に思ってる? もしアレが犯罪者だとしたら、被害者はかなりのポンコツだと思うけど」
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