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同居人は、変な女。(ディーダ視点)
第21話 ギブ&テイクの関係……の筈(3)
「で? 俺らが参戦した事で逆弱い者いじめが発生しちゃった件については、ディーダはどう思ってるわけ?」
「それはあっちの自業自得だ。っていうか、お前だって結局参加しただろうが」
「そりゃぁまぁ流石にあの人数相手に一人でやらせるのはどうかと思うでしょ」
「そういう所がお人好しってんだよ」
「ボクには一番似合わない言葉だけど、もしアレがそういう名前のものだとしても、発揮する相手は選んでるつもりさ。ボクの懐は狭いからねっ……と、あー、ダメだねコレ」
言いながら、ノインは自分の腹の辺りを見ながら両手でシャツを引っ張ってみせる。
泥は大方落ちていた。が、ベージュ色の服には泥のシミがくっきりと付いて、汚れる前までには無かったまだら模様ができている。
が、俺も他人の事を笑えない。似たような状態になっている。
「ねぇこれさ、あの女に何か言われちゃうんじゃない?」
そうかもしれない。
そもそもあいつは俺たちがいつも通り生活してるだけで、やれ「洗濯していないのですか?!」、やれ「一週間も着っぱなしなんて……」と一々驚いたり落ち込んだりしていた。
その上汚したとなれば、またあの困り顔でオロオロとするに違いない。
あー、めんどくせぇ。マジでめんどくせぇ。
「知らねぇよ。ついちまったもんは仕方がねぇだろうが。そもそも服に付いた泥なんて、綺麗に取れねぇのが普通だろうが」
「その普通が、あの女には通用しないって話だよ」
かなりありそうな話だ。
つっても、どうすりゃいいのか全然分かんねぇ。
「流石にこれだけでバイグルフに服の替えを要求するっつうのは無理だろうし」
それは無理だろうな。
俺たちみたいなのは、この街で上手く生きていくために幾つかの暗黙のルールを守っている。
たとえば、人から物をくすねて食べる時は、高いものには手を付けない。安物や傷物、値切り済みのものを狙う事。店を荒らして営業妨害しない事。
見つかって怒られても、これを守るだけでかなり違う。
具体的には、憲兵などを呼ばれずに済む。追いかけるのも早々に諦めてくれる、という感じだ。
それと同じで、あの布屋の店主・バイグルフから服を貰う時も『着るものがなくなった時だけ』というルールが存在するのだ。
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