私をもう愛していないなら。

水垣するめ

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6話

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 パーティー当日。
 ドレスを着た私は、母と一緒に最後に身だしなみを確認していた。

「わざわざ新調する必要なんてなかったのに……」
「そんなことないわよ。せっかくのパーティーなんだからしっかりしたものを着ていかないと。それに、適当なものだったら彼が悲しむじゃない」
「別にハルトはそういうのじゃ……」

 私は否定するが、母は一切聞いていない。
 そうこうしている内にハルトが家まで訪ねてきた。

「ハルト」
「メアリー」

 扉を開けてハルトが入ってきた。
 どうやら案内されたらしい。

「……綺麗だ。とても似合ってる」
「あ、ありがとう……」

 ハルトは入ってきていきなり私のドレス姿を褒めてきた。
 一切の照れ無しで褒めてくるので、逆にこちらが照れてしまう。

「さぁ、行こう」

 ハルトはそう言って腕を差し出した。
 エスコートしてくれるようだ。

 その時、私は思い出した。
 アイクはこんなエスコートをしてくれたことがなかった。
 いつもパーティーに出る際は私は横を歩いているだけだった。

 それが私を愛していなかったからかどうかは今となっては分からない。

 けれど目の前のハルトはアイクよりも格好良く、優しいのは確かだった。

「ありがとう」

 私は腕を取って歩き出す。

 そして馬車揺られること十分。

 パーティー会場へついた。
 ハルトは馬車を降りるときも私をエスコートしてくれた。

 ハルトのエスコートはあまりにも丁寧だった。
 一つ一つの所作が、私を丁重に扱ってくれていることが分かって、嬉しかった。
 世間で言う、お姫様になったような気分だった。 

「楽しいね、ハルト」
「そうか。それは良かった」

 私は初めてパーティーを楽しいと思った。
 誰か大事な人と来るパーティーは、こんなにも時間が輝いていることを初めて知った。

 しかし、その輝きは次の瞬間消えた。

 目の前に、アイクとジェーンが現れたからだ。
 
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