6 / 11
6話
しおりを挟む
パーティー当日。
ドレスを着た私は、母と一緒に最後に身だしなみを確認していた。
「わざわざ新調する必要なんてなかったのに……」
「そんなことないわよ。せっかくのパーティーなんだからしっかりしたものを着ていかないと。それに、適当なものだったら彼が悲しむじゃない」
「別にハルトはそういうのじゃ……」
私は否定するが、母は一切聞いていない。
そうこうしている内にハルトが家まで訪ねてきた。
「ハルト」
「メアリー」
扉を開けてハルトが入ってきた。
どうやら案内されたらしい。
「……綺麗だ。とても似合ってる」
「あ、ありがとう……」
ハルトは入ってきていきなり私のドレス姿を褒めてきた。
一切の照れ無しで褒めてくるので、逆にこちらが照れてしまう。
「さぁ、行こう」
ハルトはそう言って腕を差し出した。
エスコートしてくれるようだ。
その時、私は思い出した。
アイクはこんなエスコートをしてくれたことがなかった。
いつもパーティーに出る際は私は横を歩いているだけだった。
それが私を愛していなかったからかどうかは今となっては分からない。
けれど目の前のハルトはアイクよりも格好良く、優しいのは確かだった。
「ありがとう」
私は腕を取って歩き出す。
そして馬車揺られること十分。
パーティー会場へついた。
ハルトは馬車を降りるときも私をエスコートしてくれた。
ハルトのエスコートはあまりにも丁寧だった。
一つ一つの所作が、私を丁重に扱ってくれていることが分かって、嬉しかった。
世間で言う、お姫様になったような気分だった。
「楽しいね、ハルト」
「そうか。それは良かった」
私は初めてパーティーを楽しいと思った。
誰か大事な人と来るパーティーは、こんなにも時間が輝いていることを初めて知った。
しかし、その輝きは次の瞬間消えた。
目の前に、アイクとジェーンが現れたからだ。
ドレスを着た私は、母と一緒に最後に身だしなみを確認していた。
「わざわざ新調する必要なんてなかったのに……」
「そんなことないわよ。せっかくのパーティーなんだからしっかりしたものを着ていかないと。それに、適当なものだったら彼が悲しむじゃない」
「別にハルトはそういうのじゃ……」
私は否定するが、母は一切聞いていない。
そうこうしている内にハルトが家まで訪ねてきた。
「ハルト」
「メアリー」
扉を開けてハルトが入ってきた。
どうやら案内されたらしい。
「……綺麗だ。とても似合ってる」
「あ、ありがとう……」
ハルトは入ってきていきなり私のドレス姿を褒めてきた。
一切の照れ無しで褒めてくるので、逆にこちらが照れてしまう。
「さぁ、行こう」
ハルトはそう言って腕を差し出した。
エスコートしてくれるようだ。
その時、私は思い出した。
アイクはこんなエスコートをしてくれたことがなかった。
いつもパーティーに出る際は私は横を歩いているだけだった。
それが私を愛していなかったからかどうかは今となっては分からない。
けれど目の前のハルトはアイクよりも格好良く、優しいのは確かだった。
「ありがとう」
私は腕を取って歩き出す。
そして馬車揺られること十分。
パーティー会場へついた。
ハルトは馬車を降りるときも私をエスコートしてくれた。
ハルトのエスコートはあまりにも丁寧だった。
一つ一つの所作が、私を丁重に扱ってくれていることが分かって、嬉しかった。
世間で言う、お姫様になったような気分だった。
「楽しいね、ハルト」
「そうか。それは良かった」
私は初めてパーティーを楽しいと思った。
誰か大事な人と来るパーティーは、こんなにも時間が輝いていることを初めて知った。
しかし、その輝きは次の瞬間消えた。
目の前に、アイクとジェーンが現れたからだ。
483
あなたにおすすめの小説
【完結】気付けばいつも傍に貴方がいる
kana
恋愛
ベルティアーナ・ウォール公爵令嬢はレフタルド王国のラシード第一王子の婚約者候補だった。
いつも令嬢を隣に侍らす王子から『声も聞きたくない、顔も見たくない』と拒絶されるが、これ幸いと大喜びで婚約者候補を辞退した。
実はこれは二回目の人生だ。
回帰前のベルティアーナは第一王子の婚約者で、大人しく控えめ。常に貼り付けた笑みを浮かべて人の言いなりだった。
彼女は王太子になった第一王子の妃になってからも、弟のウィルダー以外の誰からも気にかけてもらえることなく公務と執務をするだけの都合のいいお飾りの妃だった。
そして白い結婚のまま約一年後に自ら命を絶った。
その理由と原因を知った人物が自分の命と引き換えにやり直しを望んだ結果、ベルティアーナの置かれていた環境が変わりることで彼女の性格までいい意味で変わることに⋯⋯
そんな彼女は家族全員で海を隔てた他国に移住する。
※ 投稿する前に確認していますが誤字脱字の多い作者ですがよろしくお願いいたします。
※ 設定ゆるゆるです。
【完結】貴方の望み通りに・・・
kana
恋愛
どんなに貴方を望んでも
どんなに貴方を見つめても
どんなに貴方を思っても
だから、
もう貴方を望まない
もう貴方を見つめない
もう貴方のことは忘れる
さようなら
彼はヒロインを選んだ——けれど最後に“愛した”のは私だった
みゅー
恋愛
前世の記憶を思い出した瞬間、悟った。
この世界では、彼は“ヒロイン”を選ぶ――わたくしではない。
けれど、運命になんて屈しない。
“選ばれなかった令嬢”として終わるくらいなら、強く生きてみせる。
……そう決めたのに。
彼が初めて追いかけてきた——「行かないでくれ!」
涙で結ばれる、運命を越えた恋の物語。
最後に一つだけ。あなたの未来を壊す方法を教えてあげる
椿谷あずる
恋愛
婚約者カインの口から、一方的に別れを告げられたルーミア。
その隣では、彼が庇う女、アメリが怯える素振りを見せながら、こっそりと勝者の微笑みを浮かべていた。
──ああ、なるほど。私は、最初から負ける役だったのね。
全てを悟ったルーミアは、静かに微笑み、淡々と婚約破棄を受け入れる。
だが、その背中を向ける間際、彼女はふと立ち止まり、振り返った。
「……ねえ、最後に一つだけ。教えてあげるわ」
その一言が、すべての運命を覆すとも知らずに。
裏切られた彼女は、微笑みながらすべてを奪い返す──これは、華麗なる逆転劇の始まり。
その結婚、承服致しかねます
チャイムン
恋愛
結婚が五か月後に迫ったアイラは、婚約者のグレイグ・ウォーラー伯爵令息から一方的に婚約解消を求められた。
理由はグレイグが「真実の愛をみつけた」から。
グレイグは彼の妹の侍女フィルとの結婚を望んでいた。
誰もがゲレイグとフィルの結婚に難色を示す。
アイラの未来は、フィルの気持ちは…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる