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8話
しおりを挟む私とハルトは声を揃えて疑問の声をあげた。
今更何を言っているのだろうか。
やり直したい?
冗談じゃない。
「ホスキンス。俺達を馬鹿にしているのか?」
「いいや。これは僕の本心だ。君ともう一度やり直したい」
「何を言っているの。そもそもあなたにはジェーンがいるでしょう……」
混乱して頭を抑えながら話していると、アイクはきっぱりと告げた。
「ジェーンとはもう別れた」
「は?」
私とハルトはまた同じく声を上げた。
アイクの言っていることがますます理解できなくなったからだ。
「君とやり直すために、彼女とは別れてもらった。実を言うと彼女にはもう魅力を感じなくなっていたし、問題はない」
「いや、そんな勝手な……」
「だからどうだろう。僕とやり直してくれないだろうか」
アイクはそう言うと跪き、私の手を取った。
私はすぐに手を離す。
「触らないで! 浮気したくせに虫が良すぎるのよ!」
「それは謝ろう。君に魅力がないと言ったことも撤回する。今日、このパーティーで君を見て理解した。君が近すぎて君の魅力をはっきりと捉えられていなかったんだ。灯台下暗しとはまさにこのことだ」
「都合のいいことばかり並べないで! あなたとはもうやり直すつもりなんてないわ!」
「そこまでだ。いい加減にしてもらおうか」
そこでハルトが私とアイクの間に入った。
アイクはハルトを睨みつける。
「だから僕の邪魔をするな! これは元夫婦の間の話で──」
「俺はメアリーの婚約者だ」
「は?」
今度はアイクが素っ頓狂な声を上げる番だった。
「お前と離婚した後、俺とメアリーで新たに婚約したんだ。つまり、お前との間に入る権利はある」
私はそんな話を知らないので、これはハルトのアドリブだろう。
ただ、何故かとても演技には見えないような、リアリティのある振る舞いだ。
「ふ、ふざけるな! メアリーは僕のものだ!」
突然、顔を真っ赤にしたアイクがハルトへ向かって殴りかかった。
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*作者ご都合主義の世界観のフィクションです
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