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4話
しおりを挟む「なんでこんな一時間で出来るんだ!?」
「ええと……」
書類仕事はずっとやらされていたので、これぐらいは当然の技能なのだが、詳しく話すことは出来ないので少しぼかして説明する。
「ちょっと昔からやっていて……」
「? 嬢ちゃん二十歳もいってなさそうだが、そんな子供のときから書類仕事をしてんのか……?」
ヒューズは訝しそうにしていたが、私がとあることを質問すると忘れたようだった。
「それにしても、税金の無駄が多いです」
「本当か?」
「はい、こことか二重で税金を払ってしまっていますね」
「え!?」
ヒューズは私の指差した箇所を凝視する。
「本当だ……!」
「他にもこういった払わなくてもいい税金を払っていますね。ここをカットすれば税金は半分になると思いますよ」
「半分!?」
ヒューズは驚愕した。
「そんな大金を今まで無駄に払ってたのか!?」
「はい。役所は税金の重複を教えてはくれませんので。それに税金の仕組みは複雑なのでこういったことはよくあります」
「そんなことを知っているなんて嬢ちゃん只者しゃないな……」
「いえいえ、これぐらい普通ですよ」
「いや、一時間で税金の二重支払いに気づくなんて普通じゃないと思うんだが……」
私は首をひねる。
そうだろうか。
私は父から無能と言われ続けていたので、これぐらい普通にできると思っていたのだが。
「よろしければ、経営が安定するまで力をお貸し致しましょうか?」
「本当か!? ぜ、是非頼む! 嬢ちゃんが力を貸してくれるなら、絶対に経営を軌道にのせられる!」
ヒューズは大喜びで私の提案を受け入れた。
私は自分の技能でここまで喜んでもらえたことは生まれて初めてで、とても嬉しかった。
◯
一方スコット家では。
「なに? 腕利きの会計士が用意できないだと?」
「申し訳ございません。急に言われましても腕利きは全員外に出張していまして……」
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腕利きの会計士を商会は手放したくないのは道理。
そのため外に出ているの嘘をついて何とか人材の流出を逃れようとしていた。
「チッ、なら仕方がない。普通の会計士でもいいから寄越せ」
「分かりました。何人必要でしょうか?」
「は? 何を言っている。一人に決まっているだろう」
「ひ、一人ですか……?」
ミシル商会の会長は疑問に思う。
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しかしミアに全てを頼りきっていたリチャードは、そんなことに気づかなかった。
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