上 下
8 / 14

8話

しおりを挟む

「い、今レノ王子を殴ったわ!」
「どうすればいいの!」

 マーク王子は怒鳴る。

「ふざけるな! お前ら俺のことを馬鹿にしてやがって!」

 マーク王子がもう一度レノ王子を殴ろうとする。
 しかし今度はレノ王子はそれを受け止めた。

「これで正当防衛ですね」
「なっ……!」

 そう言ったレノ王子はみるみるうちにマーク王子を取り押さえてしまった。

「離せっ……!」
「そうはいきませんね。私を殴ったあなたを今離したら、シャーロットにも同じことをするかもしれない」
「そいつは俺のことをコケにしたんだ! 許さないぞ!」

 レノ王子は周囲の生徒に呼びかける。

「誰か! 教師の方を呼んできて下さい!」

 生徒たちは慌てて教師を呼びに行った。
 そしてすぐに教師が連れて来られる。
 教師は取り押さえられているマーク王子を見て困惑している。

「今、マーク王子がシャーロット嬢に殴りかかろうとし、それを阻止しました。その際私も危害を加えられています。それはここにいる生徒全員が見ていました」
「ほ、本当ですか?」

 教師は辺りを見渡す。
 生徒たちは首を縦に振った。
 教師はレノ王子の言い分は真実だと認めたようだ。

「わ、分かりました」

 その後暴れているマーク王子は複数人に取り押さえられながら連れて行かれた。

「シャーロット、大丈夫だった?」

 レノ王子が心配そうに私に問う。

「それはこちらの台詞です! なぜあんな危ないことをしたのですか!」
「いや、あのままではシャーロットが危なかったからさ」
「それでも、代わりに殴られるなんて危ないです! 血が出てるじゃないですか……!」
「シャーロットを守れた名誉の負傷さ」

 レノ王子は口の中を切っているのか、口から血を垂らした。
 私はそれを慌ててハンカチで拭う。

「ありがとう」

 レノ王子はにっこりと笑う。
 私は顔が赤くなった。
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

婚約破棄させてください!

恋愛 / 完結 24h.ポイント:1,455pt お気に入り:3,013

初恋の王女殿下が帰って来たからと、離婚を告げられました。

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:40,789pt お気に入り:6,942

お犬様のお世話係りになったはずなんだけど………

キャラ文芸 / 連載中 24h.ポイント:4,984pt お気に入り:373

片思いの相手に偽装彼女を頼まれまして

恋愛 / 完結 24h.ポイント:1,057pt お気に入り:13

処理中です...